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幸せと平和を願う人々の心が臨界質量を超えるとき、世界は良い方向に動きだす。臨界質量とは、世の中をよくしたいという同じ「思い」あるいは「目覚め」を持った人々の数がある閾値を超えると、その「思い」が実現するというものです。

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2009/11/13

こころは超臨界 No.751「芸術教育」

【 幸せと平和を願う人々の心が臨界質量を超えるとき世界は変わる 】
( 心が臨界質量を超えるとは → http://tinyurl.com/5kr6f )

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        人間学を学ぶメルマガ『 こころは超臨界 』

        読者:368人 / 発行人:渡部天真

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◆ 2009年11月13日 第751号「 芸術教育 」
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  【世界の名言】

  音楽のなかでは激しい熱情が歓喜を叫ぶ
  (ニーチェ)

  In music the passions enjoy themselves. 
   ( Friedrich Nietzsche, German philosopher, 1844-1900 )


●脳科学者の小泉英明さんは今年、音楽プランナーの頼近美津子さんと
対談しました。音楽雑誌の企画によるものです。

●芸術が引き起こす感動は、意欲の原点です。小泉さんは、志、パッシ
ョン、向上心というものは、芸術を通じて育まれるものだ、と考えてい
ます。

  一期一会――日立製作所フェロー・小泉英明
  【「あすへの話題」09.09.11日経新聞(夕刊)】

  音楽プランナーで元アナウンサーの頼近美津子さんが、日立基礎研
  究所にお見えになったのは今年に入ってからだった。「脳科学と芸
  術」について、音楽雑誌での対談を企画された。自分はいつも芸術
  家を心から尊敬しているし、芸術を大切にする人々は大好きだ。初
  対面の頼近さんは、涼しげな目元とは裏腹に、熱いパッションを内
  に秘めた方だった。私の瞳の底をじっと見据えると、たてつづけに
  質問が始まった。

  「音楽って脳から見るとなんでしょう?」感性と知性の協創(輝い
  て上昇し高温溶融して降り注ぐ)だと思います。感性は辺縁系、知
  性は新皮質が主な担い手です。「音楽の先生は何を教えればよいの
  でしょう?」。最初に感動。テクニックが先ではないですよね。「
  本当はピアノがお上手なんでしょう?」。いいえ、全く才能があり
  ません――と会話が続いた。いつしか深く引き込まれ、心の底が揺
  さぶられ、気付いてみるとお互いに涙を浮かべていたその対談が4
  月に掲載されたが、今まで一度も口に出さなかったことまで、しゃ
  べっていて気恥ずかしかった。

  そして、翌月の5月。思いもかけない訃報(ふほう)に接した。お元
  気そのものに見えたのに……佳人薄命。7月に「お別れの会」がカ
  ザルスホールで開かれた。海外から駆けつけた五嶋龍、松田理奈。
  そして小沢征爾らの諸氏が、頼近さんが求めていた心の奥からあふ
  れた演奏を贈った。かつて大河ドラマでお市の方を演じられたそう
  だが。私には「天守物語」(泉鏡花)、富姫の姿を髣髴(ほうふつ)
  とさせた。脳をいじる下界の人間を見て、ふと興味を抱いて白鷺城
  天守閣から飛来した……。多くを与えていただいた文字通りの一期
  一会……合掌。


●話に引き込まれ、気付いてみるとお二人とも涙を浮かべていた、とい
います。どんな内容の対談であったのか気にかかり、音楽雑誌(「ムジ
カノーヴァ」2009年4月号)を取り寄せてみました。

●ここに対談のクライマックスともいうべき部分を掲載します。小泉さ
んは、芸術が引き起こす感動こそが子どもたちの意欲や情熱の原点であ
るとして、芸術教育の重要性を胸熱く語りかけます。

「ムジカノーヴァ」2009年4月号http://tinyurl.com/ybmscvb
【 音楽之友社 】 

【連載】頼近美津子の音楽教育etc.トーク 第87回
    ゲスト 小泉英明さん 
        脳科学者・株式会社日立製作所 役員待遇フェロー

◆私は芸術家を心から尊敬します(p19)

【頼近】 豊かな自然体験の重要性も、よく言われていますが、脳科学
的には、それはなぜ、子どもの成長において必要なのですか。

【小泉】 自然には情報がいっぱい詰まっています。音も非常に豊かで
すね。以前は人間の耳が聞き取れるのは2万ヘルツぐらいまでではない
か、と言われていましたけれど、それよりはるかに高い周波数の音まで
人間は検知できるらしい、どうやら耳以外でも聞いているらしい、とい
うことがわかり始めています。ただ、高い音が直接聞こえているわけで
はない。では、それをどのように感じているのか。よく我々は、「みず
みずしい音」とか「つやのある音」とか言いますね。その要因が、この
非常に高い音にあったりするのではないかと。同じリンゴでも、その表
面が、ある人にはみずみずしく、ある人にはかさついて見えている、と
いうこともあり得るわけです。

【頼近】 どうして、そんな違いが起こり得るのでしょうか。

【小泉】 それは脳で情報を再構成しているからです。

【頼近】 音の場合なら、非常に高い音を聞いた経験のない子どもは、
その情報が脳に入っていないから、再構成するときに、それが欠けてし
まう…。

【小泉】 だから、聴きたくても聴こえないわけです。私自身、見たく
てもどうしても見えないものがあります。日本刀の鑑定士の方たちは、
その刀がいつの時代のだれの作か、見抜くことができます。それは、形
だけでなく、特に鋼の肌の違いが彼らには見えるからなんですね。でも、
いくら説明されても、私にはどうしても見えませんでした。

それに、生命は38億年もの歴史を持っていますから、我々の文明社会
なんて、ほんの微々たる年月に過ぎません。脳の構造も進化の過程を全
部宿している。そういう意味でも、自然は私たちのふるさとのはずです。
ただ、周りに豊かな自然があっても、コンピュータの画面ばかり見てい
ては、なんの意味もない。それは、私が今、非常に心配していることの
ひとつです。

学校教育において芸術科目が重視されなくなってきていることにも、私
は危機感を覚えています。私は文部科学省の中央教育審議会で「芸術科
目は大事だ」と孤軍奮闘して叫んでいますが、多勢に無勢。何とか選択
科目にはならずにすみましたけれど、時間数は相対的に削減方向にあり
ます。このままでは、芸術を大切に思う人たちが減ってしまうでしょう。

【頼近】 ピアノか勉強かと言われれば、まずは勉強を優先されても仕
方ないかと、正直なところ思いますが。

【小泉】 芸術が引き起こす感動は、意欲の原点です。感動があるから
意欲や情熱が湧く。脳の一番外側は、図書館のようなもので、私たちが
勉強をしてたくさんの知識を得るのは、図書館にたとえると、本が増え
ていくイメージです。いくら蔵書を充実させても、そこにある本を使わ
なければ、なんの意味もない。能の真ん中のところで、「自分には志が
ある」「私はこれをやりたい」と意欲が生まれて初めて、本、つまり蓄
積した知識が意味を持つわけです。意欲さえあれば、子どもは放ってお
いても、自分で本をどんどんふやしていきます。「ピアノを弾くな」と
言われても、弾くようになるんですね。

【頼近】 生徒さんのやる気を引き出すことができずに悩んでいらっし
ゃる先生は、ピアノのレッスンが音楽的感度を与える場になっているか
どうか、今一度レッスン内容を見直してみる必要がありそうですね。も
しかすると、指導内容がテクニック練習で小脳を鍛えたり、知識を与え
て脳の図書館を充実させたりすることに偏っているかもしれない、と。

【小泉】 先生方の意欲も大事ですよ。「音楽はすばらしい!」と子ど
もたちが感じるようなレッスンをするには、先生自身の音楽への強い思
いが絶対に必要です。

私は芸術を、そして芸術家を心から尊敬しています。私は音楽に非常に
感謝しています。個人的なことでお恥ずかしいのですが、例えば、新し
いことを考えるときに、ショパンの音楽からもすごく大きな力をもらっ
てきました。

志、パッション、向上心というものは、芸術を通じて育まれるものだと
私は考えています。芸術教育が隅に追いやられるようなことにならない
ように、今後も、私は自分としてできる限りのことをしていきたいと思
っています。


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