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幸せと平和を願う人々の心が臨界質量を超えるとき、世界は良い方向に動きだす。臨界質量とは、世の中をよくしたいという同じ「思い」あるいは「目覚め」を持った人々の数がある閾値を超えると、その「思い」が実現するというものです。

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2009/10/09

こころは超臨界 No.728「勝者の呪い」

【 幸せと平和を願う人々の心が臨界質量を超えるとき世界は変わる 】
( 心が臨界質量を超えるとは → http://tinyurl.com/5kr6f )

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     人間学を学ぶメールマガジン『 こころは超臨界 』

        読者:362人 / 発行人:渡部天真

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◆ 2009年10月9日 第728号「 勝者の呪い 」
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  【世界の名言】

  勝者は敗者よりも頻繁に負ける
  (出典不明)

  A winner loses more often than losers.
   ( Source Unknown )


●「勝者の呪(のろ)い」とは、共通価値のオークションにおいて、勝者
は常に市場価格を上回る価格で落札するはめになることをいいます。

  『ゲーム理論』と人間の限定合理性
   [7] 入札の勝者に呪い
   はこだて未来大学准教授・川越敏司
  【「やさしい経済学」09.07.10日経新聞(朝刊)】

  (前略)

  油田の採掘権は、入札競争に参加する各人にとって共通に価値があ
  ることが見込まれているが、実際にどれだけの価値があるのか、そ
  の見積額は各人によって異なるという特性をもっている。こうした
  財に対するオークションは「共通価値オークション」と呼ばれる。
  共通価値オークションでは、落札者(勝者)が均衡として予想する
  額よりも過大な入札をしてしまい、損失を生んでしまうことがある
  (本来支払わなくてもよかった余分なお金を支払わなければならな
  くなる)。現実のオークションの場でもこうした現象が観察される
  が、これがいわゆる「勝者の呪(のろ)い」である。では、「勝者
  の呪い」はなぜ発生するのか。それを考えてみよう。

  まず各人によって財の見積額は異なり、0から100億ドルの範囲
  だとする。この平均は50億ドルになるので、競争相手の見積額は
  50億ドルだと推定される。合理的なプレーヤーを仮定する伝統的
  な理論では、見積額50億ドルの相手は50億ドルで入札しても利
  益はゼロだし、50億ドルよりもかなり低い額で入札すれば、みす
  みす勝者になる機会を失いかねないので、そのバランスをとって、
  たとえば40億ドルで入札すると予想する。すると、この予想の下
  では、41億ドルで入札すれば自分は落札できる。

  一方、レベルK理論では、相手は見積額に関係なく、0から100
  億ドルの範囲でランダムに入札するという不合理な行動を仮定する。
  すると、相手の入札額の平均値は50億ドルになるから、自分は4
  1億ドルではなく51億ドルで入札しないと落札できない。こうし
  て、相手の合理性を仮定したときの入札(41億ドル)よりも過大
  な入札(51億ドル)をする「勝者の呪い」の発生が、前に見たレ
  ベルK理論によって説明できるのである。


【注】「レベルK理論」とは、伝統的なゲーム理論と違い、人は必ずし
もいつも最善の選択をするほど合理的ではないと考えるものです。詳し
くはこちらを参照下さい。
http://blog.goo.ne.jp/chorinkai/e/42ffe5b26342e35bc695636a8d6c27a3


●法政大学教授の渡部亮さんは、米国の金融破綻はまさにこの勝者の呪
いである、といいます。

●米英型資本主義は20世紀前半にぼっ興した全体主義や共産主義を打
倒し、民主主義や自由といった価値を守った。しかし、勝者が支払った
コストは大きかった、というものです。

勝者の呪い――渡部亮・法政大学教授
【「十字路」09.08.24日経新聞(夕刊)】

プロ野球や大相撲で、一球団や一力士が強くなり過ぎると、興味が薄れ
たり反感を買ったりすることがある。「巨人、大鵬、卵焼き」とか「勝
者の呪(のろ)い」といわれる現象だ。

ギボン著「ローマ帝国衰亡史」によると、紀元後にローマ皇帝位が売り
に出されたことがあった。結局、最高値で入札したディディウス・ユリ
アヌスが帝位を落札したのだが、帝位の正当性を欠いたため、就任直後
に暗殺されてしまった。彼の頭はやりの剣先に掲げられ、ローマの街頭
をパレードしたという。

最近の米英の金融機関の衰亡はまさに勝者の呪いである。巨大金融機関
はその資金力(政治献金)によって政治(議会)を動かし、規制緩和を
推進して、寡占的地位を手に入れた。しかし、利益追求が行き過ぎて破
綻の危機に見舞われた。

米英型資本主義は20世紀前半にぼっ興した全体主義や共産主義を打倒
し、民主主義や自由といった価値を守った。また第2次大戦後の一時期、
米英はドイツ型の社会民主主義に押されて劣勢になったが、それも私的
財産権の尊重と契約の自由という法制度を基盤とする市場経済システム
の徹底によって押し返した。

しかし、勝者が支払ったコストは大きかった。単に軍事支出だけでなく、
資本主義の未来を大衆に確信させるため、低金利の住宅金融や健保・年
金の充実など、広義の社会保障は多額の資金を投じた。サブプライム危
機やGMの破綻はそうしたコスト負担が表面化した結果でもある。

また市場経済には金融市場の不安定性というアキレスけんがあることも
忘れていた。今回の金融危機はこのアキレスけんの断裂を意味する。連
戦連勝を続けるためには、高い規律とたゆまぬ練習が必要だが、それを
忘れた結果、勝者の呪いに見舞われたのである。

国家や企業の場合も、個人同様、好敵手が居なくなると過信と怠慢に陥
るらしい。


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