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映画史とその背景(美術や演劇、芸術運動など)や、カメラ、レンズといったハード面をも絡めながら、いまさら人に聞けない映画用語を解説しつつ、感想文や個別の作品の作家論ではない視点での映画の話を展開します。

  • 周期 隔週刊
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  • 発行部数 108
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2008/05/19

映画アカデミア 第44号

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        映画アカデミア 第44号をお届けします

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こんにちは。

日本映画史のつづきです。

1910年を過ぎてくると、映画館が誕生し、撮影所が建設され、
映画監督やスターも登場、と日本の映画産業の体制が整えられてきます。

この大正時代中ごろの大スターといえば
「目玉の松ちゃん」といわれ子供に大人気だった
尾上松之助でした。

彼は英雄、豪傑、侠客などあらゆる役を演じました。
映画のネタも歌舞伎から講談へと移ってゆきます。
とくに猿飛佐助や霧隠才蔵などが登場する立川文庫は
題材として使われていました。

尾上松之助の魅力はギョロリとした目玉と立ち廻りでした。

その映画の特徴は、
1.トリック撮影
2.アクション
3.場面転換(ショット数)が多い
ことでした。

トリックはとくに忍術映画に欠かせない技術で
忍者が突然消えたり、現れたり、変身したりといったことは
映画にしかできないことでもあったので多用されました。

映画が人気を得てきたこの頃、映画館はまだまだ少なく、
映画製作業者らで自社映画をかける映画館を奪い合っているような
状態でした。

そこで個々の事情や思惑も重なり1912年には、
吉田商店、横田商会、エム・パテ商会、福宝堂の4社がトラスト合同を
おこない、日本初の本格的な映画会社・日本活動写真株式会社、
略称〈日活〉が発足します。

日活は東京向島と京都にそれぞれ撮影所を設け、
東京では新派(現代劇)を、京都では旧劇(時代劇)を製作しました。

新派というのは、現代ドラマを描いた商業大衆演劇で、
恋愛悲劇を主題におくものが専らでした。
1910年代は「金色夜叉」「不如帰」「滝の白糸」
といった定番劇が繰り返し映画化され、女性を中心とした庶民層に
好まれていました。

現代劇は新派悲劇、時代劇は尾上松之助映画に
代表される講談調活劇が盛んで、初期無声映画時代は主に
女性や子供に愛され、知識人層は外国映画を評価するという傾向が
形作られました。

そんななか、映画と演劇は違うものであるという認識から
映画を一個の芸術分野として見なし、演劇から離れ、映画の価値も、
脚色上において、また撮影上において映画が有するすべての範囲を
最も巧みに使用するとせざるとに帰するべき、
という意見がうまれてきました。

この動きは映画史の上では「純映画劇運動」とよばれています。

具体的には日本映画の表現形式の欧米化とも呼べるもので
1.女形を廃止して女優をつかう
2.弁士を廃止して字幕を使う
3.映画個有の表現の使用・・・カットバックや移動撮影、ロケなど
4.伴奏音楽を洋楽にする
といったものでした。

シナリオをつかった映画製作やテーマを盛り込んだ作品内容など
当時のインテリやジャーナリストには絶賛されますが、
概ねバタ臭く、大衆の好みには合わなかったようです。


次号(第45号)発行は6月2日(月)の予定です。
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  映画アカデミア
  発行者:松本賢剛

    発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ 
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