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映画史とその背景(美術や演劇、芸術運動など)や、カメラ、レンズといったハード面をも絡めながら、いまさら人に聞けない映画用語を解説しつつ、感想文や個別の作品の作家論ではない視点での映画の話を展開します。

  • 周期 隔週刊
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2008/03/10

映画アカデミア 第39号

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        映画アカデミア 第39号をお届けします

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こんにちは。

日本映画史のつづきです。

日本で最初の映画の興行者は稲畑勝太郎といえると述べました。
しかし、彼はその後この事業から離れます。

シネマトグラフの興行権、機械、フィルムを
横田万寿之助、永之助の兄弟に譲りました。

万寿之助と稲畑は学生時代に、
共に留学生としてフランスに行っていた仲でした。
でも万寿之助はほどなく、映画興行から手をひきます。
弟永之助が引継ぎ、
そして後々まで日本映画界に君臨することになります。 

横田永之助は、新類縁者らで一隊あたり約10人の巡業隊を
十余り編成し、まずは浅草、そして一挙に北海道、東北、北陸・・・と、
全国に興行して廻りました。

最初は新作フィルムを輸入していましたが、
明治34年に横田兄弟商会を設立し、
日露戦争を撮影した記録映画の製作や自作の映画製作にも
徐々に着手していきます。

上映にあたっては横田自ら映写技師や説明者を
つとめることもありました。
新京極の劇場や祇園の貸席、ときには南座を借りて
興行を続けていました。

明治37年に日露戦争が起こり、
戦争映画に関心が集まると、フランスのパテー社より輸入された
戦争映画によって事業が発展します。
会社名を横田商会とし、
当時すでに開始してしていた地方巡業の班を増やして
自らも説明者となって興行を行いました。

そして明治40年、日本映画史上重要な出会いがありました。
横田永之助は、千本座の若き座主牧野省三を見つけ、
映画製作を委託することにします。

第一作『本能寺合戦』が公開され、
京都における映画製作が本格的に始まります。

牧野が招き入れた尾上松之助が『碁盤忠信・源氏之礎』でデビューし、
「目玉之松ちゃん」の愛称で大人気となります。

日本映画にスターとスター映画の供給システムが誕生した
といってよいでしょう。

牧野省三による動きに富んだ演出や画面の変化、
特殊撮影(姿がふいに消えるなど)や
テンポのいい剣戟(けんげき)場面と、
忍者もの、講談、歌舞伎、浪曲など
ありとあらゆる役を演じる尾上松之助の活躍によって、
不動の人気を長らく保ちました。 

明治30年代後半頃からようやく映画は
”見世物””金儲けの道具”というだけの扱いから脱しはじめます。
これまで「新しい芸術」という意識はなく、
歌舞伎や新派といった演劇・芝居のコピーの域を
出ることができませんでした。

明治36年に東京の浅草に
初めて映画専門興行の常設館(浅草電気館)が設けられました。

横田商会も大阪・京都に映画の常設館を開館、
京都ではじめて二条城西南の櫓(やぐら)の下に
撮影所を建設します。

常設館では、伴奏音楽も見世物風ではなく、
常雇いの楽士たちによるオーケストラに替りました。
無声映画の説明にも話術の工夫が見られ、
活弁(活士)とよばれるのもこのころからです。

次回は活動弁士についてお話します。


次号(第40号)発行は3月24日(月)の予定です。
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  映画アカデミア
  発行者:松本賢剛

    発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ 
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