2009/10/04
恋愛講座 vol.148 ブルーシリーズ三部作の(一)、二十歳の詩:ブルー・じゃあず
┏Mail_magazine 恋愛講座━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃ ブルーシリーズ ┃ ┗━━━━━━━━━━ http://www2.ocn.ne.jp/~toppy/ ━━┛ vol.148 「ふたまわり」第三部が再開できる間、<ブルーシリーズ>を お楽しみください。 ━━━━・━━━━・━━━━・━━━━・━━━━・━━━━ 共感していただけるか、 はたまた、反感をもたれるか、・・・・・ 時代背景や事象には、多分にフィクションを交えています。 ニヒリズムに取り憑かれていた頃に書き上げた作品です。 人称をまったく使わずに書き上げました。 深く考えることなく“どんな風になるのかなあ”と、 そう思って書き上げた実験的な作品です。 「何か新しい作風が・・」 それ程期待したわけではないのですが、何も・・・でした。 でも、何となく愛着のある作品になり、 「小説・二十歳の日記」の下地になりました。 *二十歳の詩=はたちのうた ──────────────・────────────── 『優しい社会に しませんか?』 ( http://www2.ocn.ne.jp/~toppy/appeal-0805.htm ) ============================= [ 第一弾: 二十歳の詩~ブルー・じゃあず~ ] その日はいつになくすがすがしい目覚めで、プーンと部屋中に漂う コーヒーに意識が誘われてのこともあり、心はいつになく穏やかだ った。 が、重い瞼を、開いては閉じ・閉じては開き、そして閉じる・・・ 際限のないこの営みに、再び睡魔に襲われようとしたとき、カーテ ンの隙間から時折射るように差し込む、朝の太陽の光はその閉ざさ れた目を鋭くえぐった。 熱いコーヒーをすすりながら、テーブルの上のサングラスー冷たい 銀のフレームのサングラスに目をやり、思わずため息ともつかぬ吐 息をもらした。 風は時折快い風を呼ぶ。しかし、カーテンの揺れる度の太陽の光 にーまぶしいばかりの太陽の光に、思わず背を向けてしまう。 「すまないが、カーテンを閉めてくれないか!」 訝しげに見る目を気にしつつ、付け足した。 「目が痛いんだ!」 言葉が空を横切った途端、“嘘だ!”と、心が叫んでいた。 心が叫ぶまでもなく脳は刺激され、サングラスの無い世界の恐ろし さが瞼の裏に醸し出された。 そこによぎるもの全てが眩しいものだった。 “信じられないんです” 或時、目に見えぬ何物に向かってそうつぶやいた時、また心は叫ん でいた。 “嘘だ!” 決してその言葉のせいではなく、といって “信じないさい、信じることが唯一の道です”という言葉をはねつ けたせいではない。 大きく深呼吸をし、ベッドの中から、もそもそと起き出した。 カーテンの端からチラリチラリとのぞく、外の景色に目を見やる。 その狭く、細長い世界には、唯一つポプラの木がそびえ立っている。 その大きな葉が風にゆれ、時折透ける太陽の光ーほんの一瞬間だと いうのに惜しげもなくその光を投げる太陽の光でさえ、眩しく感じ られた。 「コーヒーとパン、ここに置いておきますので冷めないうちにお食 べください。食べ終わりましたら、ここに戻してください。」 慇懃で固い声にふり向くと、ドアのすぐ横にある小さなテーブルの 上に、白々と湯気立つコーヒーとバターの薄くぬられたパンがあっ た。 「ありがとう」 言葉と共にドアから流れ出た空気も、今では落ち着き払い、部屋は 前にもまして深閑としていた。 部屋の中はキチンと整理されていた。 ベッドの横の壁には、この別荘を建ててくれた愛すべき祖父のいか めしい姿の額があり、まるでこの狭い部屋の全てのものー空気でさ えもーを、支配するかの如くで妙に大きく感じられた。 そのいかにも明治らしいー鹿鳴館時代にしばしば起きた、東洋と西 洋の対立と調和をまざまざと感じさせる、チョンマゲにタキシード 姿。 まさに明治時代から今に至る道、この部屋の全てを支配した、主そ のものであった。 その反対側の壁には、埋め込み式の棚に豪華なステレオがある。 そこより流れ出る現代の息吹きーそれへの反応は、しばしば額の中 の支配者の顔を、さらにいかめしくさせた。 豪華なステレオ(なのか?)。 胴体の色は銀一色だが、前面にジャガード織りの布がかけられてい る。 さらに豪華という表現を満足させるのは、スイッチなどの操作の必 要性がないことだ。 全てオートマチックだ。 唯一気になるのは、ジャガード織りの中央に光るレンズのようなも のがあることだ。 夕方になると、太陽光線でキラリキラリと光ることだ。 そのステレオの上の壁には、その艶やかな肌に深くナイフの傷跡を 残し、それでも穏やかな表情の能面があった。 しかし穏やかに微笑んでいるその能面に、どこか冷たさを見ては背 筋に氷の入る思いをするのは、一度や二度ではなかった。 今は亡き母にも似たその面は、生きている人間の意志など無視しが ちな或種の威厳を感じさせ、部屋全体に重くのしかかっていた。 その他には、ぐるりと見回しても、とりたてて言う程のものはない。 強いて言うなら、紺に彩られた扉がある。 そしてその紺の中に一つ、鈍く光るドアノブだけがアンバランスだ った。 以前は、ドアの向こう側に興味を持ったような記憶もあるが、それ とてすぐに消えてしまう程つまらない些細なものだった。 音がするでもないドアの開閉の折りに瞬時見えたのは、同じような ドアと廊下だった。 窓の外にはポプラがそびえ立ち、その葉を透ける太陽の光、そして 遙か彼方の霞にかすむ山々の連なり。 何よりも、どこかにあるのだろう滝のゴーゴーという轟音と、水し ぶきがキラリキラリと光るさまが目に浮かぶ。 そして小鳥のさえずり。 窓の外には、生きた音があった。 晴れた空では、どこまでも青い空があり、そこに一つ二つ・・・と 流れる白い雲。 やがて日が暮れるにつれ、赤く染まりゆく、全てのもの。 雨の空では、濃淡の激しい灰色の雨ー白なのか、銀なのか、はたま た緑・・・色のあるような、ないような、絹糸の如き雨が。 しかしいつの頃からか、それらのものに何の興も覚えなくなってい る。 突如、何の前ぶれもなくー江戸幕府の前にその威厳を見せつけた黒 船のドンの如くに、地獄の断末魔と、雄々しき神々らの歓喜の声と の交錯する悲鳴が飛び込んだ。 一瞬間、全てが止まった、凍りついた。 時の流れでさえ止まった。 四方を壁で閉ざされた世界から、全てが青空の下に移された。 見渡す所には何もなくーまた何かが欲しいと思えばそこにあるよう な気もする。 そんな世界に全てが移された。 その世界は、一方では貴く気高い紫の世界であり、又一方では人間 の持つ主我的という業火の世界であった。 「至急、至急!職員は、#$%&*+;”=^¥!!」と、 あの豪華なステレオから、オートマチックのステレオから、大音響 で響いた。 ~~~・~~~・~~~ 夕刊の三面の片隅に、小さく書き込まれているこの事件には、誰一 人として感情を持たなかった。 凶暴性が強く発作的で、XX山の中腹に隔離され治療中の△△は、 今早朝看護婦が食事を運んだその直後、鉄格子の窓から飛び降り自 殺を試み、そのまま即死した。 なお警察当局では、担当看護婦からの証言について一切発表してい ない。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 今号は、いかがでしたか? 「おもしろかった」と思った方、ワンクリックを! http://clap.mag2.com/thounaphuc :::PR:::PR:::PR:::PR:::::PR::: 【ブログ開設のお知らせ】 ご案内が遅れましたが、ブログを開設しています。良かったらこち らも覗いてみてください。 新趣向の[ポートレート]なんぞもありますので。 「神が創り給うた 奇跡・ニ!」C.C編 Fruit Blog http://postman2008.fruitblog.net/ YAHOO! ブログ http://blogs.yahoo.co.jp/toppy_0024 ──────────────・────────────── ┏━━wail情報:慟 哭━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃ 安 神 編 スタートしました。 ┃ ┗━━━━━━ http://www2.ocn.ne.jp/~toppy/wail.htm ━━┛ ──────────────・────────────── ┏Mail_magazine 詩ャワー━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃ やせっぽちの愛 ┃ ┗━━━━━ http://www.geocities.co.jp/wailman_2000/ ━┛ ──────────────・────────────── ┏Mail_magazine アダルト━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃ 隷 従 ・三 ~ 恨みます・・ ~ ┃ ┗━━━━━━━━━━ http://batsuichi.web.fc2.com/ ━━┛ ───────────────────────☆☆☆ 発行責任者 postman 登録解除 http://geocities.co.jp/wailman_2000/regist.htm Home Page http://www2.ocn.ne.jp/~toppy 既刊置場 http://www.geocities.co.jp/wailman_2000/ お願い 無断掲載・コピーは、ご遠慮下さい 表示→文字のサイズ→「等幅」でお読みください。 ブルーシリーズ三部作の(一)、二十歳の詩:ブルー・じゃあず
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