2009/10/23
【お金の話題】 No.576 格差を初めて実感した日
2009年 10月 23日発行 =========================================================== お金の話題 ~マネーで幸せになるために~ [No.576] =========================================================== ■格差を初めて実感した日■ 中学2年生の初夏だったと思う。 クラスにH君が転校してきた。 H君は昔のインテリ書生を思い出させる。 小柄で痩せ型だが、頭は切れる。 勉強は得意で、特に数学と国語は並外れていた。 声は甲高く、口調が激しくなると、 彼の特徴である出っ歯がくっきり見えた。 H君は清潔からは程遠い存在だった。 髪はいつもぼさぼさ。 靴下は薄汚れ穴あき。 制服からはきつい臭いが発せられていた。 「お前、風呂何日も入ってないんだろ。」 誰かにやっかみ半分で言われたのか、 単にからかわれただけなのか。 その度に、反論するH君の声が教室に響いていた。 同級生との小競り合いは日常茶飯事だった。 とある休日。 友人O君の誘いで、彼の家を見に行くことになった。 興味半分、からかい半分で。 ところが、家に着いたとき、 2人とも言葉を失ってしまった。 借家だった。 庭は畳一畳あるかないかぐらいで 足を踏み入れるにはあまりに弱弱しかった。 家も、家でなく小さな小屋と言った方がよいぐらい。 本当に人が住めるところかと疑ったほどだ。 想像以上に、貧相な家を目の当たりにして、 思わずその場に立ちすくんでしまった。 遠巻きで眺めるのがやっと。 2人とも同じことを思ったに違いない。 何か見てはいけないものを見てしまったのだと。 私は普通の中流の家に、 O君は大地主の家に生まれている。 なぜ、H君の靴下がいつも汚れていたか。 2人ともその答えは知っていたが、 現実にどのようなものかまでは、 それを実際に目の当たりにするまで分かっていなかった。 「帰ろうか・・・」 ぽつり、私がO君に言っただろうか。 言葉はそれだけしか記憶に残っていない。 恐らく、O君はずっと無言だった。 2人、来た道を引き返した。 からかう気持ちなど、とうに消え去っていた。 結局、H君は3年生に上がることもなく、 同じ年の冬、またどこかに転校していった。 その後、クラスでH君が話題にのぼることはなかった。 大人になった今も、私は答えを探している。 H君の背中を追いながら、何かを追い求めている。 あの小さな庭とH君の出っ歯と汚れた靴下。 数十年前の幾つかの記憶の断片は、 今も私の中で居場所を求めさまよい続けている。 ---------------------------------------------------------------- ●お金について学びませんか? 「家計」と「資産運用」の話を中心に、 株式投資、保険、年金、貯蓄・節約、身近な経済ニュース、日常の買い物、 マネー教育など、世の中のお金に関わる幅広い話題を取り上げます。 お金(マネー)を知って、学んで、楽しんで、幸せになりましょう!!! ●ご意見、ご感想はこちらまでお寄せ下さい。 発行者: がる atjour@nifty.com URL: http://homepage3.nifty.com/atjour/ ●配信先の登録、変更、中止は以下のページから行ってください。 『まぐまぐ』<http://www.mag2.com/> ID: 0000204788 ●本メルマガは投資行為を誘導するものでも保証するものでもありません。 投資等はご自身の判断で行って下さい。また、発行者は、提供内容や リンク先のご利用等により生じた損害は、その責を負いません。


