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小劇場演劇やダンス、パフォーマンスを取り上げるレビューマガジンです。内容はWEBサイトにも再掲しますが、マガジン版が先行するオリジナルを掲載します。

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2009/10/07

週刊マガジン・ワンダーランド 第160号(前半)

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   マガジン・ワンダーランド(小劇場レビューマガジン)

   2009年 10月7日発行 第160号                         毎週水曜日発行

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【目次】
○新編集長あいさつ
◇サスペンデッズ『夜と森のミュンヒハウゼン』
 鬱蒼とした森の物語 現実との交錯、衝撃と叙情と
 三橋 曉
◇鵺的『暗黒地帯』
 澱んだ世間、汚物が逆流 暗闇の中に一筋の光も
 木俣 冬
(以上前半、以後後半)
◇虚構の劇団『ハッシャ・バイ』評三本
 娘の物語、母の物語
 都留由子
 真摯だけれど何か物足りない 清志郎の歌を聴きながら
 直井玲子
 始まりの場所へ-「ハッシャ・バイ」の海-
 金塚さくら

▽連載【レクチャー三昧】
 第60回 土曜日はダメよ
 高橋楓

□web wonderland から===================== http://www.wonderlands.jp/ 

◇南河内万歳一座「S高原から」
 青年団プロジェクト公演「青木さん家の奥さん」
 舞台における俳優の役割と魅力 青年団・南河内万歳一座共同企画から
 水牛健太郎
◇劇団どくんご「ただちに犬 Deluxe」
 喜劇的造形の見事な達成 夢幻的なスペクタクルの舞台で
 柳沢望
◇少年王者舘「夢+夜~ゆめたすよる~」
 「ノーベル精神分裂症」が漱石を砕く
 杵渕里果

◇ワンダーランド支援会員を募集中!
http://www.wonderlands.jp/info/members2009-1.html

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○ 新編集長あいさつ
 このたびワンダーランドの編集長を引き継いだ水牛健太郎と申します。年齢
こそ41歳ですが、演劇の世界に関心を持ち始めたのは3年前の2006年、演劇
評論を書き始めたのは2007年からですから、多くの執筆者や読者の方々よりも
演劇におけるキャリアは短く、経験や知識も及ばないと思います。そんな私が
どうして編集長を務めることになったのか。北嶋前編集長から特に説明は受け
ていませんが、ご承知のように、ワンダーランドはここ数年セミナーなどの企
画も多くなっています。そうした中で、前編集長の負担を軽減するために、私
がメルマガの編集・発行という実務を任されたと解釈しています。
 ワンダーランドの編集長たるもの、演劇に関して、抜きん出た経験と知識を
持ってほしいとお考えの方もあるかもしれませんが、それが編集長の「条件」
ならば、私は半永久的に満たすことはないと思います。残念には思いますが、
どうしようもありません。演劇のことを知らなかった38年間は紆余曲折あり、
それなりに貴重な経験を積むこともできました。結果として演劇に接する機会
を持てませんでしたが、そのことを後悔したり反省したりするのも意味がない
ことです。それよりも、自分が持っているものに目を向けて、今後の与えられ
た仕事に生かしていきたいと思っています。
 何卒よろしくお願い申し上げます。

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◇サスペンデッズ『夜と森のミュンヒハウゼン』
 鬱蒼とした森の物語 現実との交錯、衝撃と叙情と
 三橋 曉

 まるでゲームの話をするみたいだが、三鷹市芸術文化センターの星のホール
と聞くと、ついつい攻略法という言葉を思い浮かべてしまう私。素人目にも、
この劇場はそれくらい使い難そうだ。そもそもは、市民のサークルや生涯学習
の発表を念頭において設計されたのだろう、ゆったりとした座席と舞台の配置
になっているが、しかし小さなお芝居をやるには、その空間が無駄に広過ぎる
のだ。

 にもかかわらず、このホールは東京圏における注目の公演が次から次へと掛
かる。運営スタッフの選球眼の良さには敬服するほかないが、しかし、どこも
決まってこの空間をどう制圧するかという厄介な課題に頭を悩ますと聞く。

 一方、手ごわいホールをどう使いこなすかは、そのカンパニーの技量を測る
物差しにもなるわけで、それぞれが繰り出す創意工夫や苦心のアイデアには、
はっとさせられることも少なくない。最近では、このだだっ広さを逆手にとっ
て、イギリスの古典的なミステリにでも登場しそうな大邸宅をパースペクティ
ブに出現させたパラドックス定数の「五人の執事」にいたく感心させられた。
客席を追いやり、ホールをほとんど丸ごと舞台にしてしまうという逆転の発想
は、見事というほかなかった。

 しかし、その驚きもさめやらぬうちに、再び星のホールをここまで使いこな
す芝居と出会うことになろうとは。今回が7回目の公演となる早船聡ひきいる
サスペンデッズの新作『夜と森のミュンヒハウゼン』である。(以下、ネタバ
レもあります。ご容赦を)

 ロビーから客席扉をくぐり、劇場空間に足を一歩踏み入れた途端に、観客は
自分が鬱蒼とした木立の中にいることを発見する。草木を踏み分けるようにし
て、月明かりの下にも似た薄暗闇の中を、足許を確かめながら彼方に見える客
席を目指して歩かされるのだ。
 
 当日配られたパンフによれば、作者の早船聡の中には、そもそも星のホール
のイメージとして「森」があったという。そんな劇場の印象を具現化した舞台
美術は、作品の物語世界とも見事にシンクロし、観客を日常から一瞬にして別
の世界へと連れ去ってしまう。欲ばりであっぱれなこのホールの攻略法といっ
ていいだろう。

 そして、物語が始まる。深い深い森の中。そこで動物たちは、人間と同様に
日々の営みの中で暮らしている。旅行用のスーツケースを引っぱり、そこに迷
い込んできたアユミ(石村みか)は、書店員なのに医者もやっている金田とい
う男(富沢たかし)と出会う。彼女が看護師だということを知り、往診の途中
だという金田は、ちょっと強引に同道を求める。怪訝に思いながらも、金田と
ともに森の奥の一軒家へと向かうアユミ。

 そこには、病弱な少女のサキ(高畑こと美)が、彼女を暖かく見守る兄のク
ロ(佐藤銀平)とともに、ひと目を忍ぶように暮らしていた。しかし、サキは
このところ、兄の優しさには感謝しつつも、森の退屈な毎日に飽き飽きしてい
た。いつか動物たちの医者になることを夢見る彼女は、現実に医療の現場で働
くアユミの中に自分の将来の姿を見つけ、この森を出たいという気持ちを新た
にする。そんな折、一軒家を訪ねてきた森の住人のひとり奥田(佐野洋一)が、
クロのもとに厄介な相談を持ち込んでくる。

 先に書いたように、巧妙な舞台装置により、われわれ観客もまた自らが森の
奥深くにいることを意識させられるわけだが、さらには縦長のシルクハットの
ようなものを被った世話焼きな馬や寂しがり屋の兎などが次々と登場するお話
の幕開きに、ちょっと怪訝な思いにとらわれる観客は少なくないだろう。実は、
わたしもそのひとりだった。というのも、『夜と森のミュンヒハウゼン』は、
これまでわたしが観てきたサスペンデッズ(そして早船聡の)の芝居とは、ま
ったく異なる質感の作品だからだ。

 サスペンデッズは、円の演劇研修所を卒業した早船聡が、2005年に研修所
同期の仲間たちと旗揚げしたカンパニーで、ネットでの評判を聞きつけ、私は
最初に2008年6月の新国立劇場の「シリーズ・同時代」の3作品連続公演に
足を運んだ。脚本を早船聡が書き下ろし、文学座の松本祐子が演出した『鳥瞰
図-ちょうかんず-』は、東京近郊の港町を舞台に、船宿をやっている家族の
三世代にわたる一家の歴史をふりかえるひと夏の物語だった。
 
 以降、サスペンデッズとしての同年8月の第5回公演『MOTION & CONT
ROL』@下北沢OFF・OFFシアター、翌2009年1月の第6回公演『片手
の鳴る音』@シアタートラムと観たが、いずれも『鳥瞰図』と同様に、人間関
係の愛憎と葛藤を濃密に描きながら、ありがちな日常を見つめる軽妙さと、人
情喜劇を思わせる穏やかな温かさがあって、それがサスペンデッズの、そして
早船聡のスタイルとして定着しているかに見えた。

 しかし、である。(わずか3作しか見ていない身なので、言い切るにはいさ
さか心許ないのだが、)今回の『夜と森のミュンヒハウゼン』の世界は、明ら
かにこれまでの早船作品とは次元が異なる。リアリズムに対するファンタジー
とでもいったらいいだろうか。動物たちが互いに話を交わし、その森の奥では
兄と妹がたったふたりで暮らしているというこの現実離れしたシチュエーショ
ンをつきつけられたわたしは、戸惑い、すっかり煙に巻かれてしまったのだ。

 物語の話を続けると、昔は平和だった森の中で、ここのところ無差別な殺戮
が行われていて、犯人はホワイトソックスと呼ばれる狐(伊藤総)であること
が判っている。ネットで殺人依頼や不穏なやりとりを交わしたり、「本人のた
めに殺してやった」などとうそぶいたり。ホワイトソックスには同情すべき親
からの虐待を受けた不幸な少年時代があったが、彼が兎のバニー(冠野智美)
を殺したことで、森の秩序を破壊する彼に我慢できなくなった動物たちは、ク
ロと相談し、ある思い切った計画を実行に移そうとする。

 戸惑いが期待感に変わっていくのは、この異次元のファンタジーに、現実の
世界が割り込んでいく途中からの重層的な展開だ。病院の小児病棟で働いてい
たアユミは、あるとき患者の父親に恋をするが、不倫の関係が次第に彼女を蝕
み、ついには居場所のなくなった病院をあとにする。この夢と現実が並行する
まどろみのような展開の中で、なぜアユミが森に迷いこんだかが説明され、同
時に病院の裏に広がる樹海のようなこの森のなかで、かつて残虐な少女誘拐殺
人事件があったことが観客に知らされる。そしてまさにその瞬間、積み上げら
れてきたいくつもの不可解な謎が、一瞬にして解き明かされるのだ。

 この瞬間の衝撃は、なんともすさまじい。少女サキの正体が浮かび上がり、
彼女もまたアユミと同じく、自らの道を見失い、森をさ迷う者であったことが
観客に明かされる。かくして、ふたりの女性はそれぞれに進むべき道を見つけ、
手に手をとりあって森を出ていく決心をするが、このエンディングへと至る一
瞬ではあるが劇的な展開は感動的で、観る者の心をうたずにはおかない。

 鬱蒼とした森は、すなわちわれわれが暮らしている現実のこの世界の喩えで
あり、罪のない者たちが犠牲になる事件が相次ぐ森の殺伐とした空気は、今ま
さに朽ちかけようとしているわれわれの現実社会の日常のものであることに観
客が気づくのは、さらに幕が降りたあとかもしれない。種明かしが遅すぎると
いうそしりもあるかもしれないが、謎解きを小出しにしてしまっては、伏線を
活かすこともできないだろうし、クライマックスの衝撃も生まれない。そして
何より、幕切れの余韻が叙情を生むこともなかったろう。積み上げられた謎が
飽和点に達するまで観客を辛抱に付き合わせる粘りの物語づくりが、見事に実
を結んでいると思う。

 「ミュンヒハウゼン」とは、患者の語る荒唐無稽な物語をさす精神医学の用
語らしいが、そのタイトルさながらの深い森を旅した末に、観客はどうしよう
もない現実の苛酷さを知り、自分またそんな社会に身を置く一員であることを
思い起こさざるをえない。しかし、数奇な運命の物語を語りつつも、作者はあ
くまで未来に希望の灯りをともすことを決して忘れない。深い余韻と心地よい
後味をかみ締めながら、観客は劇場をあとにするに違いない。この芝居を観て、
つくづくよかったと思いながら。

 すでにウェルメイドで、地に足のついた台詞劇には定評のあった早船聡だが、
今回の『夜と森のミュンヒハウゼン』におけるファンタスティックな世界への
越境によって、新たな扉を見つけたのではないか。その扉の向こう側に、次は
どのような世界が待ち受けるのか、早船聡とサスペンデッズからは、またしば
らく目が離せない。

【筆者紹介】
 三橋 曉(みつはし・あきら)
 1955年、東京都生まれ。ミステリ・コラムニスト。「本の雑誌」「波」「ミ
ステリマガジン」「このミステリーがすごい」「新刊展望」「週刊現代」他に
書評コラムや映画評を執筆中。共著書に「海外ミステリー事典」(新潮社)な
ど。書評ブログ「ミステリ読みのミステリ知らず」更新中
→http://d.hatena.ne.jp/missingpiece/
・ワンダーランド寄稿一覧:http://www.wonderlands.jp/index.php?catid=3&subcatid=75

【上演記録】
▽ サスペンデッズ第7回公演『夜と森のミュンヒハウゼン』
(Mitaka"Next"Selection 10th参加作品)
http://www.suspendeds.net/
三鷹市芸術文化センター 星のホール(2009年9月11日-20日)
http://mitaka.jpn.org/ticket/star/
作・演出 早船聡
出演 伊藤総、佐藤銀平、佐野陽一、富沢たかし、冠野智美、高畑こと美、
石村みか
チケット 前売2,500円 当日3,000円 全席自由

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◇鵺的『暗黒地帯』
 澱んだ世間、汚物が逆流 暗闇の中に一筋の光も
 木俣 冬

 舞台の壁面に、細いパイプが一面に張っている。場面転換は、この壁面に、
章の数字を幻想的に映すことで理解できる。
 薄暗い舞台に、時折、ゴボッゴボッと不快な音が響く。
 やがて、この音は、マンションの下水がうまく機能せず、逆流している音だ
ということがわかる。この音のように汚物がうまく流れていかない気持ちの悪
さが、芝居の通奏低音となっている。

 まずは、施工会社の一室。社員の林が覚せい剤を打っている。折しも、芸能
界では薬物事件が勃発中で、タイムリーな場面となった。その荒んだ様子に引
く後輩社員。いきなり、劇場中に凶悪な空気を漂わせた林だが、インチキをや
っている会社の仕事を「こうでもしなくちゃやってられない」と早々に弱さを
見せてしまう。

 場面変わって、林が務める施工会社の担当するマンション一室。夫婦がもめ
ている。会社は下水の詰まりは自社の不手際ではなく、ネズミがゴミを運んで
詰まらせたのだと言いはり、さらには住民から大金をせしめ再度工事をさせよ
うとしているが、妻・美佐子は聞き入れない。

 キツい性格の美佐子は、工事費を払い、コトを荒立たせないやり方を選ぼう
とする夫を責める。かつては夫と同じ建設会社に勤務し設計を担当していた美
佐子は、下水の仕組みも熟知していると自信満々だ。

 プライド高く負けず嫌いな美佐子が正論と信じて吐き続ける言葉が、下水の
音以上に不快。美佐子のヒステリックな芝居が多く、それを受け続ける夫のや
るせない気持ちに大いに共感する。また、会社は会社で、明らかに不正をして
いるのにあの手この手で隠し続ける、モラルのない上司や社員だらけ。どっち
の場面も救いがなく、話が進行すればするほど、邪悪さが蔓延し、滅入ってい
くばかりだ。

 クスリで感覚を麻痺させてまで不正を押し通さないと生きていけない林と、
自分が正しいと思ったことを声高に主張し続ける美佐子が互いの言い分をぶつ
け合うことになるが、結果、会社は美佐子に罠を仕掛ける。とんでもない展開
だ。在日二世の林を美佐子が差別したというでっち上げ記事が新聞に掲載され、
美佐子は世間から攻撃される。身に覚えがないと言っても誰も取り合ってくれ
ない。そして、下水道問題はなし崩しに誤魔化されてしまう。

 「適当なところで手を打たなかったからこんなひどいことになったんだ」と
美佐子を責める夫。夫婦仲も崩壊一歩手前。すべてを失いかかってもなお、美
佐子は「真実を知りたい」と求め続ける。下水道のことも人種差別(民族差別)
も、美佐子に非はないということこそ真実なのだから切ない。でも、世の中、
嘘をつき続ける人っているんだよなあ…。

 さらに、混乱のどさくさにまぎれてライバル会社につくという裏切り行為を
する社員なども現れて、どこまでこの世は暗黒なのだ…と心底堪え難くなって
くる。とことん登場人物を追いつめるストーリーと演出、それに応える俳優の
演技の集中力には並々ならぬものがある。

 真実に固執する美佐子は浮かばれることはない。むしろ、真実を明確にする
ことこそが最たる罪であるかのようだ。とかく日本社会では、いわゆるKY-
「空気を読む」という、言葉に出さずに察することが美徳とされる。それは、
相手を傷つけないためというのは、それこそ建前だ。曖昧は、自分を守るため、
自分を悪くしないためだから。

 かと言って、いくら信念があっても、美佐子のかたくなで他人に対して高圧
的な態度はあんまりだ、彼女がもっと違うやり方で伝えていたら…などと言う
ようなコミュニケーション論でもないだろう。また、リアルな現代の嫌な気持
ちを批評的に再現したいわけでもなく、嫌な気持ちをエンターテインメント化
したいわけでもないようだ。作者は、我々人間は、正や悪を明確に分かつこと
はできないし、正を推奨し悪を断罪するものでもない-その事実を描いている
だけなのだろうか?

 汚物をすっきり流すことができないもどかしさ。隠蔽に隠蔽を重ねていくだ
けの虚しさが、人間の精神を徐々に狂わしていく。が、地獄のような現実の隠
喩の中で、一筋の光を見つけたような気がした場面があった。林は、美佐子は
国籍など関係なく、美佐子は、林ときちんと向き合って真実を話し合おうとし
ていたのだ、と、上司に問いかける。それはまるで、闘い合う敵同士が、互い
の力を認め合う瞬間があるかのように。目を逸らさずに暗黒を見つめながらも、
そこに何かを描かずにはいられないし、見た者も、そこに何かを見いだす-。
それが物語なのだ。

 ラストは、暗闇の中、二人だけになった林と美佐子が腰掛け、客席を振り返
る。静かに「あなたならどうしますか?」と思考を促すような瞳を見ると、ゴ
ボッと何かが逆流してくる音が、心の中から沸き上がったような気がした。

【筆者略歴】
 木俣 冬(きまた・ふゆ)
 フリーライター。映画、演劇の二毛作で、パンフレットや関連書籍の企画、
編集、取材などを行う。キネマ旬報社「アクチュール」にて、俳優ルポルター
ジュ「挑戦者たち」連載中。蜷川幸雄と演劇を作るスタッフ、キャストの様子
をドキュメンタリーするサイトNinagawa Studio(ニナガワ・スタジオ)を運
営中。個人ブログ「紙と波」。
http://www.ninagawastudio.net/
http://blog.livedoor.jp/kamitonami/
・ワンダーランド寄稿一覧:http://www.wonderlands.jp/index.php?catid=3&subcatid=33

【上演記録】
鵺的第1回公演『暗黒地帯』
http://www.nueteki.org/
下北沢「劇」小劇場(2009年8月5日-9日)
作・演出=高木登
出演=荒井靖雄、加藤更果、実近順次、平山寛人、細田刑事(妄想の劇団)、
吉田テツタ(五十音順)
照明=千田 実(CHIDA OFFICE)
音響=佐々木華音(BASH / Solid State Kanon)
舞台美術=袴田長武+鴉屋
舞台監督=福田 寛
演出助手=武田浩介
宣伝美術=詩森ろば(風琴工房)
写真・ビデオ撮影=安藤和明(C&Cファクトリー)
制作=鵺的制作部・J-Stage Navi

(以上前半)
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