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小劇場演劇やダンス、パフォーマンスを取り上げるレビューマガジンです。内容はWEBサイトにも再掲しますが、マガジン版が先行するオリジナルを掲載します。

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2009/09/09

週刊マガジン・ワンダーランド 第156号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.wonderlands.jp/

   マガジン・ワンダーランド(小劇場レビューマガジン)

   2009年 9月09日発行 第156号                          毎週水曜日発行

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【目次】
◇Bunkamura20周年企画「桜姫」
 新たな『桜姫』の世界を紡ぎ出す 現代版と歌舞伎版が共鳴して
 -コクーン歌舞伎15年目の挑戦-
 田中綾乃
◇インタビューランド第10回 平田オリザさん
(劇作家、演出家、大阪大学コミュニケーションデザイン・センター教授)
◎100人の活動を2億円で支える アゴラ劇場と青年団の26年 (第1回)
 聞き手:北嶋孝(本誌編集長)+水牛健太郎(評論家)

▽連載【レクチャー三昧】
 第56回 「ご所属は」??再び
 高橋楓

■web wonderland から===================== http://www.wonderlands.jp/ 

◇The Vagina Monologues (ヴァギナ モノローグス)
 『ヴァギナ モノローグス』の御開帳
 杵渕里果

◇shelf「 Little Eyolf-ちいさなエイヨルフ」
 その囁きは水底から響いてきたようにも思えた
 大泉尚子
◇ピエール・リガル「プ・レ・ス」第3回(最終回)
閉塞空間をリアルな身体で生きる不条理 ユーモアを意識的に導入して
堤広志

◇ワンダーランド支援会員を募集中!
http://www.wonderlands.jp/info/members2009-1.html


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◇Bunkamura20周年企画「桜姫」
 新たな『桜姫』の世界を紡ぎ出す 現代版と歌舞伎版が共鳴して
 -コクーン歌舞伎15年目の挑戦-
 田中綾乃

 1994年、コクーン歌舞伎第一回公演『東海道四谷怪談』を初めて観た時の興
奮は、いまだに忘れられない。バブル崩壊後、小劇場系の第三世代と言われた
劇団が次々と休止、解散していく中で、90年代に入ると演劇界全体が方向性を
見失い、停滞していたように思われる。そのような中で、現代劇の劇場である
シアターコクーンに登場したコクーン歌舞伎。本水を使い、抑制された身体の
中にも溢れ出る歌舞伎役者たちのエネルギーを目にした時、そこには私がこれ
まで観てきた「歌舞伎」とは異なる歌舞伎があった。しかも、その当時、シア
ターコクーンの芸術監督であり、オンシアター自由劇場の演出家串田和美と歌
舞伎役者たちとのコラボレーション(二回目以降は串田が演出を担当)である。
千秋楽では、オンシアター自由劇場のメンバーがジャズを演奏する中、歌舞伎
役者が立ち廻りを行った。観終わった後、興奮冷めやらぬ私は、Bunkamura内
の公衆電話から俳優の友人に急いで電話をかけた。「コクーン歌舞伎、すごい
舞台を観てしまった!! これから演劇が変わるよ!!!」と。

 それから15年。この間、コクーン歌舞伎は、常に新しい試みを行いながら、
観客を魅了し続けてきた。コクーン歌舞伎は歌舞伎の裾野を広げ、若い歌舞伎
ファンを育ててきた、という意味でも意義があるが、何よりも串田が演出をす
ることで、南北や黙阿弥といった古典作品を現代の視点で再解釈し、作品世界
を深めることによって、歌舞伎の可能性を追求してきた、という点に大きな意
義がある。その試みは、もはや「歌舞伎」としてカテゴライズされるだけでは
なく、「演劇」そのものの可能性でもあった。

 たとえば、コクーン歌舞伎で繰り返し上演を重ねてきた『夏祭浪花鑑』の主
人公である団七九郎兵衛という役。2008年の再々演では、「長町裏の場」での
団七と舅の義平次との絡みがこれまで以上に張りつめた緊張感の中で描き出さ
れた。ここでの団七は、従来の単なる男伊達という団七像だけでなく、義平次
とのやりとりを通して、絶望、悲しみ、怒り、悩み、後悔といった様々な感情
を背負った一人の人間としての団七の心理状態がこと細やかに浮き彫りにされ
た。これは、もちろん団七役の中村勘三郎と義平次役の笹野高史という二人の
稀有な役者の対峙があったからこそ可能になったわけだが、団七の人物像が深
められることで、他の登場人物の理解も深められ、作品自体がぐっと厚みを増
した。

 通常、現代劇では、一つのカンパニーが再演を繰り返しても作品の印象が大
きく変容することはあまりない。だが、コクーン歌舞伎の場合、再演を繰り返
すたびに、前作とはまた異なる世界観が描出される、という日本演劇の中でも
珍しい創作過程を辿ってきた。もちろんコクーン歌舞伎は、一方では、観客を
巻き込んだり、考えられないような仕掛けで観客をあっと言わせたり、そうい
う演劇の「遊戯性」を存分に持ち合わせながらも、他方では、常に作品と向き
合い、登場人物の心理状態を分析し、再解釈することで作品の脱構築を試みて
きたのである。

 と、随分、前置きが長くなってしまったが、そのようなコクーン歌舞伎の歩
みの中で15年目を迎えた今年。今年は、鶴屋南北の『桜姫』を現代版と歌舞伎
版の二ヶ月連続公演で行うという新たな試みに挑んだ。しかも現代版の脚本は、
長塚圭史が担当し、原作の『桜姫東文書』を南米版として『桜姫 清玄阿闍梨
改始於南米版』に書き換えた。南米版というタイトルからもわかるように、単
に原作を“書き換えた”というよりは何度も換骨奪胎した結果、原作とは全く
異質な世界が出現することになった。

 そもそも原作の『桜姫』も驚くほど不条理な物語なのではあるが、歌舞伎の
場合は、それを様式美や桜姫の華やかな衣装などで補うことができる。だが、
その様式性を取り去ると、そこには生々しい人間の欲望や身勝手さ、そして貧
困や戦争、格差などによってどうにもならない世界の不条理さが顕わになる。
現代版は、まさしく欲望が渦巻く不条理な世界のただ中で蠢く私たちそのもの
を描くと同時に、「魂の救済」という新たなテーマが付加された。

 現代版は、セルゲイ(清玄)を中心にして物語が進められる。冒頭、大きな
十字架を背負って登場する聖人セルゲイ(白井晃)は、16年前、若き少年ジョ
ゼ(白菊丸)と心中したものの自分だけが助かってしまったことを後悔し、自
責の念にかられている。セルゲイは、罪ほろぼしに人々に善行を施しながら生
きているものの、ここでは<過去>に囚われてしまった人物として描かれてい
る。他方、このセルゲイと対極にいるのがゴンザレス(権助)である。南米の
悪党であるゴンザレス(中村勘三郎)は、過去には一切囚われず、自らの欲望
を満たすためであれば、人殺しも厭わない。そして、この聖人と俗人の二人を
媒介するように、マリア(桜姫)がいるわけだが、しかし、マリアのスタンス
は少々異なる。マリア役の大竹しのぶが墓守役を兼ねることで、マリアはセル
ゲイやゴンザレスの物語を共に生きる登場人物であるとともに、その物語を操
る超越した存在者でもあるのだ。そのようなメタな視点が入ることで、劇構造
は時空を超え、幾重にも折り重なり、虚実が綯い交ぜとなり、ふわふわした不
思議な世界が展開することになる。「この世は、わからぬことこそ現実で、わ
かることこそ幻だ」というセルゲイのセリフがあるが、まさに虚実皮膜の世界
が現れる。

 そして、物語が進むにつれ、セルゲイとゴンザレスはこの世界では表裏一体
であることがわかる。セルゲイのように過去の罪に囚われているだけでは<現
在>は生きられない。しかし、ゴンザレスのように人を殺めた過去の罪を一切
忘れて、未来を見るだけでも生きられない。セルゲイもゴンザレスも「いまを
生きている」という実感がないまま、それでも何とか生きていかざるをえない、
そんなはかない人間なのだ。この人間観は、セルゲイの弟子であったココージ
オ(残月)にもあてはまる。ココージオ(古田新太)は、現代版の中では、唯
一の現実主義者であるが、後半からのココージオは、過去の想い出も未来の希
望も捨て、ただ虚無的な一瞬、一瞬の「いま」だけを信じ、ただ椅子に座って
じっとしているだけの人物になってしまう。過去と未来を捨て去ると、そこに
残るのは虚無的な「いま」しかない。古田のココージオは、そんな虚無感をよ
く表していた。

 このような閉塞感が漂う中で、現代版の登場人物たちは、生きているのか死
んでいるのかも定かではないように、現実と虚構の間を蜻蛉のようにゆらゆら
とゆらめいていて、危うい。そのようなゆらめく人々が舞台に登場し、消えて
いく。一方で、7月の歌舞伎版を観て、あらためて感心したのだが、歌舞伎の
『桜姫』の登場人物たちは、誰もがたくましい。どのように悲惨な状況でも、
事態を受け容れ、生きていく力強さが漲っている。これが古典の世界観なのか
とも思うが、少なくとも現代版の登場人物たちには、その生への漲りがない。
情けないほどにナイーヴで、はかない。だが、そのはかなさのほうが、愛おし
くも思える。

 現代版に登場するルカ(井之上隆志)が世界にいる「もう一人の自分」とす
れ違う話をする場面で、次のようなセリフがある。「世界というどうにも受け
容れがたいものを受け容れるためには、心の中に小さな箱を持っておく必要が
ある」と。現代という混沌とした時代において、世界はなかなか受け容れられ
るものではない。その中で、私たちは、何とかゆらめきながら生きていくしか
ない。このゆらめきは、現代の劇作家である長塚の時代感覚ゆえに出てきたも
のなのだろう。

 さて、長塚は、パンフレットの中で「『桜姫 清玄阿闍梨改始於南米版』は
原作で死んでも死にきれなかった清玄と、突然その兄弟だと明かされ幕を閉じ
てしまった権助への私からの鎮魂歌となるのだ」と述べている。たしかに原作
では、権助は、親の敵と知った桜姫によって理由も明かされず殺されてしまう。
だが、現代版では、ゴンザレスは死なない。そして、セルゲイも死ねない。決
して一人では死ぬことができないセルゲイは、ゴンザレスに向かって「罪を背
負ってお前も死ね」と叫び、ゴンザレスを道連れにして、マリアとともに死の
うとする。しかし、それでもこの世に未練がある二人は、やはり死ぬことがで
きない。

 長塚は、現代版の最後の最後で、この二人を生かす。原作では、あっけなく
殺されてしまう二人に命を与えるのだ。その代わり、二人の罪をマリアに背負
わせる。終盤、もはやマリアでも墓守でもない少女は、母なる大地のように、
二人の罪を背負い、奈落の下へと落ちていく。この場面を観て、マリアとは、
マグダラのマリアでもあり、すべてを受け容れる聖母マリアでもあったのか、
と気づかされる。そして、マリアが罪を担うことで、セルゲイとゴンザレスの
二人の魂はようやく再生し、生かされることになる。ただし、それは決して二
人の罪が昇華されるのではない。これまでは、「罪を背負って死ぬ」という選
択肢しかなかった二人に、罪を忘れず、記憶しながらも「生きる」という選択
肢を与えるのである。長塚は、このような「魂の救済」を現代版で試みた。

 そして、この「魂の救済」は、7月の歌舞伎版にも継承される。原作では、
権助を殺した桜姫は、その後、権助との間にできたわが子にも手をかける。し
かし、7月の『桜姫』では、赤子は殺さない。いや、正確に言えば、幽霊となっ
た清玄が、赤子の魂を生かすのである。それはあたかも南米版で生かされたセ
ルゲイが、今度は桜姫(マリア)の赤子の魂を救済するかのようである。桜姫
は生かされた赤子の魂を慈しみながら、歌舞伎版ではめでたくお家再興となる。
その光景の中で、清玄と権助は、昇天していく。

 通常とは異なる歌舞伎版のラストを観た時、今回のコクーン歌舞伎『桜姫』
は、現代版と歌舞伎版の二つによってはじめて『桜姫』が成立しているのだ、
ということを痛切に感じた。7月は、紛れもなく歌舞伎の世界である。だが、
それはこれまでのような再解釈という次元ではない。歌舞伎版のすぐ裏側には
現代版の桜姫の世界がある。両者の世界が、合わせ鏡のように混ざり合い、溶
け合っている。そして、現代版の登場人物の魂たちが歌舞伎版に継承され、ま
た、その魂がどこかに旅立っていく・・・輪廻というよりは、魂の響き合い。
そのような奇妙な感覚に陥る舞台であった。

 そして、あらためて、こんな実験的な舞台ができるのもコクーン歌舞伎なら
ではなのだと感じる。単なる現代版ではなく、現代版と歌舞伎版が相互に共鳴
しあって、新たな『桜姫』の世界を紡ぎ出す。はからずも、この二ヶ月公演で
コクーン歌舞伎は、また一歩進化した。それは、もはや、歌舞伎や現代劇とい
うジャンルに囚われず、歌舞伎や現代劇を融合しながらも「演劇とは何か?」
という大きな問いに挑んでいるようである。

 そして、この挑戦は、まだまだ続くのだろう。現代版の最後のシーンでは、
物語がすべて終わった後、物語の案内役でもあった墓守役の笹野と大竹が出て
くる。墓守役の笹野がおそるおそる「(これから)どうするつもりなんだ?」
と尋ねると、同じく墓守役の大竹はとびっきりの笑顔で「やめられるもんか!」
と叫んで駆け出していく。この「やめられるもんか!」は、この15年間コクー
ン歌舞伎を築いてきたコクーン歌舞伎のメンバーたちの代弁でもあるし、今回、
新たにコクーン歌舞伎に共犯した現代版のメンバーたちの宣言でもあるのだろ
う。コクーン歌舞伎は、きっと今後も果敢に新たな演劇作品を創り出すにちが
いない。そんなコクーン歌舞伎の歩みに、これからも観客として参加していき
たい。

【筆者略歴】
 田中綾乃(たなか・あやの)
 名古屋市生まれ。東京女子大学文理学部哲学科卒業、同大学院修士課程、博
士課程修了。10月より、三重大学人文学部准教授。専門はカント哲学、現代演
劇論。哲学研究と観劇という二足の草鞋を続行中。
・wonderland 掲載劇評一覧:http://www.wonderlands.jp/index.php?catid=3&subcatid=13


【上演記録
▽Bunkamura 20周年記念企画『桜姫』
 Bunkamuraシアターコクーン(2009年6月7日-30日)
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/shosai_09_sakura_gendai.html

原作 四世 鶴屋南北
脚本 長塚圭史
演出 串田和美
出演 秋山菜津子、大竹しのぶ、笹野高史、白井晃、中村勘三郎、古田新太 
他(50音順)
料金 S[椅子/ベンチ]\12,000 A\9,000 コクーンシート\5,000 (税込)
企画・製作 Bunkamura
制作協力 松竹株式会社

▽Bunkamura 20周年記念企画 第10弾 渋谷・コクーン歌舞伎『桜姫』
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/shosai_09_sakura_kabuki.html
Bunkamuraシアターコクーン(2009年7月9日-30日)

原作 四世 鶴屋南北
演出 串田和美
出演 中村勘三郎、中村扇雀、中村橋之助、坂東彌十郎、中村七之助、笹野高
史 他
料金 1等席[椅子/ベンチ]\13,500 2等席\9,000 3等席\5,000 (税込)
製作 松竹株式会社
主催 松竹株式会社/Bunkamura


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◇インタビューランド第10回
平田オリザさん(劇作家、演出家、大阪大学コミュニケーションデザイン・セ
ンター教授)
◎100人の活動を2億円で支える アゴラ劇場と青年団の26年(第1回)
 聞き手:北嶋孝(マガジン・ワンダーランド編集長)+水牛健太郎(評論家)

-ワンダーランドのインタビューは時間をたっぷり取って、演劇に関係するテー
マをじっくり掘り下げようという趣旨で進めてきました。聞き手の側は詳細に
尋ねたいと思いますが、尋ねられる側は根掘り葉掘りそこまで聞くか、と感じ
ることがあるかもしれません。そこは私たちのインタビューの趣旨をくみ取っ
ていただき、ご理解いただきたいと思います。
 平田さんは現代口語演劇の提唱者であり、優れた作品をいくつも上演して内
外で高く評価されています。ですから現代口語演劇という演劇方法論やその作
品、舞台に関するインタビューはとても多いのですが、平田さんは同時にこま
ばアゴラ劇場の支配人・経営者であり、青年団という劇団を20数年維持・運営、
活動してきた主宰者です。私は現代口語演劇論や青年団の公演にも強い関心は
ありますが、本日は劇場の活動やあり方、劇団の組織や運営の実際について主
にお尋ねしたいと思います。

▽アゴラ劇場、青年団、アゴラ企画

-平田さんは『都市に祝祭はいらない』という本に収録した文章(注1)で、
青年団の活動を検証しながら劇団運営の実践と戦略を具体的に示しています。
この文章が執筆されたのは1996年6月ですから、もう10年以上経ちました。そ
の後の経過、経験を踏まえて、劇団と劇場に関する体験と意見を現時点でどう
考えているのでしょうか。まずは組織関連から入ります。
 アゴラ劇場や青年団のチラシやプログラムなどには、(有)アゴラ企画、こ
まばアゴラ劇場、青年団という三つの組織・団体名が書かれている場合が多い
ようです。少なくともいま挙げた団体がそれぞれ二つ組み合わさって表記され
ているケースがほとんどです。この三団体の関係、成り立ちをまず、教えてい
ただけますか。

平田 私はよく戦略的だとか先見の明があると言っていただくんですが、実は
その三つの組織の名称を見ても、そんなことはないと分っていただけると思い
ます。そうとう場当たり的にやってきたんですね(笑)。ご承知のように、ア
ゴラ劇場は私の父が1983年に建て、84年に開業しました。建物ができてから消
防署にいろいろ言われて、半年遅れの開業でした。85年に有限会社にしました。
そのころはNPO法(特定非営利活動法人促進法)もなかったので。
 青年団はそれとはまったく別に、当時ICU(国際基督教大学)の学生劇団と
して結成されました。ですから当初はまったく別会計で、青年団もお金を払っ
てアゴラ劇場を借りていました。88年ぐらいまでそうしてましたね。
 アゴラの売り上げは、貸し館にするとせいぜい年間3000万円ぐらい。90年前
後までは、青年団の年間売り上げと当時はほぼ同じでした。例えば3000円のチ
ケットを年間1万枚売れば3000万円じゃないですか。売り上げがほぼ同じ時期
が続いて、青年団とアゴラ劇場を別会社にする選択肢もあったと思いますが、
面倒なんで一緒の会計にした。それが、90年代の半ばから、青年団の方に非常
に大きな額の助成金が入ってくるようになり、今世紀になって芸術拠点形成事
業で、今度は劇場側に助成金が下りるようになって、結局は一体化していたこ
とがよかったことになりました。いまは(有)アゴラ企画がこまばアゴラ劇場
と青年団を運営している、結果的にはそういう形になります。

-(有)アゴラ企画の役員はどなたですか。
平田 もともとは母が社長で、その後ぼくが社長になりましたが、国立大学の
教員と有限会社の代表取締役は兼任できないので、大阪大学に移ってからは妻
が代表取締役に就いています。役員は3人。母はいまも役員なので家族経営で
すね(笑)。

-一体化している利点はどこにありますか。欠点や難点を感じたことはないで
しょうか。
平田 欠点はそんなにないです。しいてあげれば、外から分かりにくいという
ことぐらいですかね。『芸術立国論』に書いてきたように、これからは劇場へ
の助成が必要だと言い続けてきました。ですからアーツ・プランという制度で
劇団に助成を受けていたときも、文化庁と交渉して、正式の採択名は「こまば
アゴラ劇場・青年団」になっています。当時は俳優座劇場がアーツ・プランで
助成対象になっていましたので、前例がないわけではありませんが、私たちは
劇場と劇団が一体化して、劇場には小屋付きの劇団があるべきだし、それが一
体となって助成を受けるべきだと主張していました。対役所では、こういう文
言の実績を積み重ねていくことは重要です。まぁ、うちはいつも後付けなんで
すけど、理念としては間違っていなかったと思います。

-有限会社にしたのは、特別の理由があったんですか。
平田 いやいや、両親がそうしたんです。特別の理由はないと思います。当時
の状況では有限会社がいちばんよかったんじゃないですか。NPO法ができたと
き、NPOにするかどうか考えましたが、NPOにすると銀行がお金を貸してくれな
い。いまでも、NPOと言っただけで地元の信用金庫は嫌な顔をします(笑)。

-平田さんは金融機関に関して詳しいといろんなところでおっしゃっていまし
たね(笑)。
平田 小劇場の世界では、一番詳しいと思います(笑)。
(注1)「劇団に運営戦略はあり得るか 青年団の軌跡を通じて」。初出:セ
ゾン文化財団ニュースレター「view point」No.1 1996年10月。『都市に祝祭
はいらない』(晩聲社、1997年)収録。

▽借金は「現象」である-小劇場の台所

-劇団にとって劇場がある利点は分かりますが、劇場にとって劇団を持つ利点
は何でしょうか。
平田 基本的に劇場は、創作活動をしていないと死んでいくと思っているので、
死なないために何が必要で何が要らないかを知ったり、あるいは劇場の新しい
可能性を切り開いていくには、芝居を作っていないと分からない。いま野田秀
樹さんが東京芸術劇場の芸術監督になって大変ご苦労されていると(副館長の)
高萩さんからも聞いています。東京芸術劇場はこれまで20年あまり貸し館だけ
で運営してきました。貸し館だとどうしても「管理の思想」が働きます。管理
している方が楽ですから。それできめ細かいところに注意が行き届かない。だ
から職員の意識改革が必要になります。
 うちの場合には、ぼくが大学を卒業した86年に小屋番をしながら、同時に劇
団活動もしていましたから、劇場には何が必要かずっと考えてきたし、考えざ
るを得なかった。当時で言えば、音響や照明の設備はあるけれど、輪転機のよ
うなソフトを備えたところは公共ホールにもなかった。でも公演の準備には、
チラシやアンケートを印刷する必要があるから輪転機を備えたし、あと広報・
宣伝に劇場や劇団など、必要な相手先の名簿も作りました。そういったものは
どこの劇団も使うわけだから、劇場が揃えて当然だと考えた。当時は、私自身
も劇場の公共性という言葉さえも知りませんでしたが、みんなが共通して使う
ものは備えておこうという伝統は、劇場がものを作っているからこそ出てきた
発想ですね。

-ほかの劇団も使いやすい劇場、ということですね。
平田 そうですね。ほかの劇団の立場に立っても使いやすい劇場です。使う側
の立場に立って作られているし運営されています。特にアトリエ春風舎は、現
状復帰さえきちんとしてくれれば何をしてもいい空間になっています。ただそ
れは演出家にとっては言い訳が聞かないことにもなりますね。とは言ってもア
ゴラは、本当に劇場として使いやすいかというといろんな制約があります。例
えばアゴラは、何時までいてもいいけど、夜の9時半になると音を出せません。
その制約の中で一緒に作っていくしかない。

-隣近所の問題ですね。クレームがあるんですか。
平田 うーん。そこは難しいんですけどね。昔から近隣と協定みたいなものが
あって音を出すのは9時半までにしてきました。それが25年も続いてますから
ニューカマーの方が来て文句を言っても、これは昔からのご近所との決め事で
午後9時半で終わりにしていますから、と言っています。ぼくはここで生まれ
育った商店街の子ですから、ほかの方からもそれでご支援をいただいています
ので。地元の幼稚園、小学校、中学校、高校、すべて私の母校で、今も時々ワー
クショップなどを行って、地元の地域対策をしています。

-そういう近隣との付き合いの中劇場を運営してきたことが、経営面でもプラ
スになっていますか。
平田 いやあ、それはないでしょう(笑)。劇場は単体では経営できるもので
はなくて、特に小劇場は公的な支援がどうしても必要だと思っていて、劇団に
サービスしようと思えば思うほど赤字になるんです。

-あちこちで話していますが、アゴラ劇場は多額の借金を負っていたけれど、
きれいに返したそうですね。ぼくの記憶だと、借金の額は2億円とか。
平田 そんなにはないですよ(笑)。会社の借金と個人の借金があるのでちょっ
と難しいですけど、小屋の借金は1億2000万円ぐらいありました。はい。

-劇場の分は劇場の収入で、個人の分は個人の稼ぎで返したんですか。
平田 いや、全部は返さないんですけどね(笑)。

-えっ、完済したんじゃないですか。
平田 返してませんよ(笑)。借金というのは、内田百間の名言にあるように、
現実ではなくて「現象」なんです。幻ですから実態があるわけではありません。
だって、1億円なんて、見たことないでしょう。
 中小企業はどこでもそうなんですが、例えば1億円借りるとすると毎年利息
を含めて1000万円ぐらい返さないといけない。実際はもうちょっと多くなりま
すが、分かりやすくするために1000万円としましょう。でもそんなの全部は返
せません。元金500万、利息500万円とすると、まず元金のうち100万円を返済
できればいい。そうすると借金が100万円減り、総額が9900万円になります。
残りの900万円の返済はどうするかというと、どこかからまた借りてくる。こ
うやって短期の借り換えを繰り返して、4、5年したらまた一本化して長期のも
のに組み替える。こういう資金繰りが中小企業経営者にとって最も重要な操作
なんです。ぼくは23歳の時から25年ぐらいずーっとこれをやってきたので、銀
行関係は随分強くなりました。
 そのことが意外なことに役に立った。助成金を得るときに役に立ちました。
銀行から金を借りるのと助成金を得るのは似たところがある。まだいまほど助
成制度が整備されてないころの話ですが、「どうやって助成を得るんですか」
と若手に言われて、「それは書類を書けば取れるよ」と言ってきたんだけど
(笑)、まぁ自分で努力しろよということですが、もちろんまず作品がよくな
ければいけない。それからアートマネジメントというか、自分のやっているこ
との公共性をきちんと説明する能力がなければいけない。でも、もう一つ重要
なポイントは、最初から威張っていないといけないということです。会社の経
営が苦しいと言っているだけでは、銀行はお金を貸してはくれません。「会社
経営は非常に順調にいっている。順調なんだけど、今度新しいジャンルを開拓
しようとしている、新しい企画を実行しようとしているので、そこにあなた方
が投資すれば利益があがりますよ」と、こういう言い方をしない限り銀行はお
金を貸してくれません。それは助成金も一緒です。貧乏だから出してくれ、と
いうのが新劇の理屈だった。「おれたちはこんなに貧しいんだ」と新劇は言い
続けてきた。俳優の平均年収がいくらいくらとかね。でも、そんなの、行政、
あるいは一般の国民の側からすれば関係ないですから。それでは福祉政策では
ないですか。そうではなくて、私たちは誇りと情熱を持って劇作活動を展開し
ていて、自治体も国家の助けもホントは要らないけれど、活動の公共性を認め
るなら、助成をもらってさらに新しい活動、社会的な活動ができますよ、とい
うことを伝える。多分そこが、ほかの劇団といちばん違うところだったと思い
ます。そういうことを考えた演出家は、少なかった。ぼくは、それを銀行との
付き合いで学びました。

-資金を提供しても、その団体が潰れてしまっては元も子もありません。成長
の見込めるところに支援しようとするのは当然ですよね。
平田 はい。そこが大事なんです。ひところ、どうして小劇場に助成金が来な
いのかという議論がありました。でも、それは当たり前ではないか。大人から
見れば、どうみたって明日演劇をやめるかもしれない人に公的なお金は出せな
い。例えばセゾン文化財団が劇団猫ニャーに助成したけれど、途中で弁当屋に
なってしまったケースがありましたね(注2)。セゾンは民間とはいえ、公的
性格の強い助成を、弁当屋には出せないでしょう。劇団活動に助成しているん
だから。途中で弁当屋になるのは、演劇界全体の信頼を損ねることになります。
 もちろん、お弁当屋になるのはいいんです。でも、だったら最初から申請す
るなよ、ということですね。自分の楽しみは自分で楽しめばいいのであって、
そこに公的な支援を求めるべきではないと思います。
 劇団が弁当屋になるというインスタレーション的な芸術性も、もちろん私は
理解しているつもりです。ただ、それならば、それをきちんと説明できる言葉
を持たなければならない。
(注2)劇団猫ニャーは1994年旗揚げ。若手劇団の登竜門「ガーディアン・ガー
デン演劇フェスティバル」(1997年)でグランプリに選ばれるなど、独特の笑
いが注目を集めた。2000年末に解散。翌2001年に演劇弁当猫ニャーに衣替え、
2004年に解散した。(2003.12.05 Theater Guide Online)
http://www.theaterguide.co.jp/Watchfor/2003/1205_2w.html

▽追随したくなる新企画を-劇場プロデュース方式への決断

-劇場の話の流れでもう一つお尋ねしたいのですが、アゴラ劇場は2003年度以
降、貸し小屋業務から、全公演を劇場プロデュース方式に切り替えました(注
3)。これはとても重要な方針転換だと思います。何度も書いたり話したりし
ていますが、もう一度その点を説明してもらえますか。
平田 父から劇場を任されたときから、私の中に違和感がありました。劇場が
お金を取って劇団に貸すというのはどういうことなのか、それでは不動産業で
はないかと。いろいろ勉強していくうちに、海外には支援会員制度があるとい
うことが分かってきた。青年団は98年から海外進出があって、そういう状況を、
現実に目の当たりにしていくわけです。それと拠点助成が始まると聞いて、じゃ
あ思い切って貸し小屋業務は止めてしまおう、拠点助成を積極的に取りに行こ
うという決断をしました。すごくリスクはありました。助成が取れなければ、
うちは一発で潰れてましたから。

-アゴラ劇場は2003年以前の貸し小屋時代も、地方の劇団が集まる大世紀末演
劇展などのフェスティバルを開いてきました。かなりの実績を積み重ねていた
と思うのですが、何が足りなくて、どんな限界を感じていたんですか。
平田 限界を感じて何かをしたということではありません。
 基本的にぼくはアーチストなので、人生観というほどのこともないけれど、
他人のやらないことをやろう、というのが行動の指針なんです。ただそれは、
別に奇抜なことをやろうというわけではなくて、他人がやらないけれど、いっ
たんやってしまったら、ああ、その手があったかと追随したくなるような新し
いことをやろうと。メチャクチャなことをやろうというのとは違います。これ
はぼくが冒険から学んだことですね。冒険というのは基本的にすごくセンスが
問われる。太平洋をヨットで横断するのに単独だったり無寄港だったり女性だ
けだったり太陽光発電だったりします。でもそのアイデアの価値なんて誰も測
れない。誰もが納得し誰もが感動するものは、あとから、ああそうだったのか、
その手があったかと思うものなんです。そういうことをしたい。
 アートマネジメントの授業でぼくがよく例に出すんですが、昔アフリカのキ
リマンジャロに後ろ向きで登った人がいる。これはね、感心はされますよ。ヘーッ、
すごいねとか。でも、感動はされない。もちろんいいんです、そういうことを
する人がいても。でも芸術の世界で、ぼくはそういうことをしたいとは思わな
い。そういう意味では小さいことを含めて、他人がしなかったこと、でも普遍
的なことをやっていきたい。例えば今年からアゴラで、入場料の失業者割引を
始めました。コストはまったくかからないけれど、結構反響は大きい。自治体
からの問い合わせもあります。こういった形の、ゲリラ戦なんだけれども何か
の本質を突いていることをしたい。そういう意味では、貸し館業務をスパッと
止めるのは、かなり前から念頭にありました。

-プロデュース方式への転換と支援会員制度とは連携していたんですか。
平田 はい。私自身は直感で動いているけれど、そこはプロデューサーの大事
な要素ではないでしょうか。プロデューサーの仕事というのは、何かと何かを
結びつけるということだと思っています。多分、拠点形成事業助成が始まった
ときに、貸し館業を止めようと考えた人はいるかもしれない。多くの劇場経営
者は、海外の劇場のあり方を勉強していたら、支援会員制度は知っていたかも
しれない。でもそれらを結びつけて考えるのが本当のプロデューサーの仕事だ
と思います。それとタイミングですね。そこに踏み切る勇気と言ってもいい。
それらがうまくかみ合うと、あのような仕事ができるということです。
(注3)「劇場を通じて若手劇団を支援する」(こまばアゴラ劇場webサイ
ト)http://www.komaba-agora.com/system.html

▽モデルのない支援会員制度づくり

-海外の会員制度は国によって違いますね。
平田 ええ、随分違いますね。こういう制度はアメリカというか、アングロサ
クソンが好きですね。フランスはかなり緩くて、アットホームな感じがする。
フランスは個人主義だから、例えばフランスの地方の劇場のシーズンのオープ
ニングでは、芸術監督がロビーに立ってお客さん一人一人を迎えるわけです。
ある劇場でオープニング演目で「東京ノート」を上演したときも、上演が終わ
ると出てくるお客さんをまた芸術監督が迎えて、常連の会員さんが「いいオー
プニングだった」とかなんとか言ってる。そういう風景がいいな、と思います。

-平田さんのほか、静岡の宮城聡さん(SPAC芸術監督)もお客さんを出迎えて
ますね。
平田 そうそう。宮城さんにしろ私にしろ、海外に行ってる人にとっては当た
り前の風景なんです。

-アゴラの支援会員制度はどこかをモデルにしたんですか。
平田 いや。モデルはありません。半年ぐらい、みんなで考えて作りました。
これも普通の会社じゃできないでしょうけど、まずアゴラの制作スタッフら職
員を集めて、支援会員制度を始める、海外のやり方はこういうのもあるしこん
なのもあると説明して、貸し館の廃止と一体になって運用するとしゃべった。
多分1回説明しただけでは誰も理解できないだろうから、本来なら文章にすれ
ばいいんだけど、ぼくが忙しいからともかく、各部署で問題点を考えて制度を
作れ。疑問点があればぼくに聞け、企画書は全部ぼくの頭にはいっているから、
ということでやった。だから最後の最後まで、このプランは文章化されていな
かった。いつもうちのやり方はそうなんですけど、ものすごく新しいことをす
るときは、その企画書はぼくの頭の中だけにある。ぼくが整理しちゃうとそこ
で止まってしまうので、疑問点矛盾点は全部聞け、というやり方です。それで
できた。
 逆に言うと、ぼくの頭の中には、すでに企画が出来上がっているので、他人
が何を分からないのか分からない。強引ですけど、分からないことを聞いても
らいながら進めるというのは意外に合理的なんです。私を信頼してくれるスタッ
フがいれば。

-支援会員は現在、法人とか個人でもいろんな種類がありますけど、おおざっ
ぱに言うと何人ぐらいなんでしょう。
平田 数え方にもいろいろあって難しいんですが、一つの指標は、青年団の本
公演に何人ぐらい見に来るかというデータですね。それだと400人ぐらい。コ
アなお客さんですね。

-予想通りですか。それとももっと多くてもいいとお考えですか。
平田 マックスは1000人ぐらいと考えています。というかそれ以上来られても
入れない。無理なんです。10年で1000人ぐらいにしたいと思っていましたが、
いま6年目ですから、悪くはないけれど、もう少し増えてもいいかな。

-劇場絡みでもう一つ、お尋ねします。アゴラ劇場は築26年でしょうか。そろ
そろ修理修繕も必要になるころです。それなら新劇場を建てるという考えはな
いのですか。第2アゴラ劇場とか…。
平田 新劇場ですか。そんなお金はありませんよ(笑)。気力もないです(笑)。
建物自体は結構がっちり建てているので地震が来ても大丈夫、50年は持つと言
われてます。もちろん老朽化しているので屋上は今年張り替えました。ぼくも
若い若いと言われながら今年で47歳です。後継者のことも考えなくてはいけな
いので、その点に関しては、秘策を練っています。ああ、その手があったなと
みんなが思うようなことをもちろん考えています。ただ、新しい劇場を建てる
といったことは、民間レベルではもう考えていません。ぼくがどこかの公共劇
場の芸術監督になる可能性はもう一度ぐらいはあるかもしれませんけど。これ
以上(アゴラ劇場を)増やすことは考えていません。(続く)
(2009年7月20日、こまばアゴラ劇場)

【略歴】
 平田オリザ(ひらた・おりざ)
 1962年、東京生まれ。劇作家、演出家、大阪大学コミュニケーションデザイ
ン・センター教授。国際基督教大学(ICU)在学中の1983年「青年団」旗揚げ。
95年に「東京ノート」で岸田國士戯曲賞を受賞。「現代口語演劇」によって演
劇理論と演出方法に大きな影響を与え、こまばアゴラ劇場を拠点に劇場システ
ムの変革にも取り組む。ワークショップ方法論が教科書に採用されるなど、演
劇教育にも取り組んでいる。主な著書は『現代口語演劇のために』『都市に祝
祭はいらない』『芸術立国論』など。


第2回(第157号予定)
▽「天皇制社会主義」-青年団の求心力
▽演出家は俳優によって選ばれる
▽青年団リンクが生まれたわけ
▽劇団が生き残るには
▽拠点劇場と劇場法成立のために
▽芸術政策の転換を

第3回(第158号予定)
▽桜美林から阪大へ
▽認知心理学とロボット演劇
▽2010年代演劇のイニシアチブ
▽真善美からの撤退-現代演劇の新しい芽と可能性
▽現代口語演劇の行方
▽セクハラ・パワハラで処分も-厳しい基準と劇団規約
▽近代演劇の到達点とその先へ


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 連載【レクチャー三昧】第56回 「ご所属は」??再び

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 大学や協会での催しに申込をする際、「所属」を訊かれることがあります。
最初戸惑い、「一般」と答えておけばあっさり引き下がられることが分かるま
で、しばしの時間と経験を要しました。当惑を感じたことがあるのは筆者だけ
ではなく、ウェブの申込フォームに「所属」を答える欄があり、空欄だとはね
られてしまうため何だかわからなくて結局申込やめちゃった、と言っていた
「一般人」の友人が二人居ます。統計をとっているのかもしれませんが、特に
訊く理由がない場合はお尋ね項目から外した方が、あるいは「演劇関係者以外
は『一般』とお書き下さい」などと明示しておいた方が、お客が増えるのでは
ないかと思います。
 (高橋楓、「一般人」)

 と、以前(連載【レクチャー三昧】第12回、部分引用)書いたことがあるの
ですが、つらつらおもんみるに、そもそも「一般人」という区分けは何なので
しょう? 自分たちが「所属」するアカデミックなり何なりの集団、それ以外
は「一般」と分類するやり方には、特権意識を感じ取ってしまうのですが。
(高橋楓)


*無料でも予約が必要なことがございます。必ずウェブサイトでご確認下さい。
*各情報の真偽・変更・取消・思想信条背景等につき一切の責任を負いません。
各自ご確認の上お越しください。
*【レクチャー三昧】カレンダー版(ウェブサイト)もご活用下さい。ただし、
当「マガジン・ワンダーランド」でお知らせした催しが全て転載されているわ
けではありません。
http://www.wonderlands.jp/info/lectures.html


▽ハンガリー民族楽団カラーカ・コンサート・イン・大妻多摩
2009年9月23日(水・祝)14:00開演(13:15開場)
大妻女子大学多摩キャンパス学生会館
無料、要申込、抽選ペア200組ご招待、申込締切9月12日必着
http://www.gakuin.otsuma.ac.jp/news/2009/2009-0817-1509-4.html

▽ポーランド文化におけるイェジー・グロトフスキの演劇
2009年10月17日(土)15時00分~16時30分 
東京工業大学大岡山キャンパス
ポーランド語講演、日本語通訳有
無料、予約不要
講師は ズビグニェフ・オシンスキ氏
http://www.cswc.jp/lecture/lecture.php?id=94

▽イェジー・グロトフスキの世界-ポーランド演劇界の巨匠を語り、演じる-
 プシェミスワフ・バルシコフスキ一人芝居「ファウスト博士」
2009年10月17日(土)16時45分~17時45分 
東京工業大学大岡山キャンパス
無料、予約不要
講師はプシェミスワフ・バルシコフスキ氏
http://www.cswc.jp/lecture/lecture.php?id=95

▽私が観たポーランドと日本の文化交流
2009年10月17日(土) 17時45分~18時30分 
東京工業大学大岡山キャンパス
日本語
無料、予約不要
「グロトフスキと日本」を中心に、ポーランドと日本の演劇交流史について
講師は ヘンリク・リプシツ氏 
http://www.cswc.jp/lecture/lecture.php?id=96

▽能楽らいぶ『光の素足』-今ここに賢治がいる-
2009年10月15日(木)19時00分~20時30分 
東京工業大学大岡山キャンパス
無料、予約不要
講師は 中所宜夫氏(能楽師・観世流シテ方)
 http://www.cswc.jp/lecture/lecture.php?id=93

▽印刷メディアの行く末 -ウェブ社会で新聞・雑誌は消えてゆくのか- 
2009年10月30日(金) 14:00~15:30(90分) 
東洋大学白山キャンパス
無料、要申込、先着順100名
講師は海野敏氏(東洋大学社会学部教授) 
http://www.toyo.ac.jp/manabi/koza/exten_ga/2009fgah01_j.html

▽観光都市マドリッド
2009年9月16日(水)19:00~
セルバンテス文化センター東京
無料、予約不要
フラメンコ特別パフォーマンスも
http://www.tokio.cervantes.es/jp/default.shtm 

▽チェーホフ研究会『かもめ』第一幕を読んで、味わう
2009年9月23日(水)14:00~
シアターX
会員外500円
http://www.theaterx.jp/chekhov/

▽特別企画講義 サブカルとカルスタ 
第2学期月曜日5時限(16:20~17:50)
東京経済大学
無料、要申込、受付期間 9月7日(月)~9月16日(水)
担当教員は本橋哲也氏、渡辺潤氏 
http://www.tku.ac.jp/~koho/member_of_society/chair_tk_detail_1.html
http://www.tku.ac.jp/~koho/member_of_society/chair_tk.html

▽特別企画講義 マスメディアの現場から2009 
第2学期土曜日2時限(10:40~12:10) 
東京経済大学
無料、要申込、受付期間 9月7日(月)~9月16日(水)
担当教員は有山輝雄氏、長谷川倫子氏 
http://www.tku.ac.jp/~koho/member_of_society/chair_tk_detail_4.html
http://www.tku.ac.jp/~koho/member_of_society/chair_tk.html

▽佐藤亜紀特別招聘教授特別講義
2009年10月3日(土)、11月7日(土)、12月12日(土)14:00~15:30
明治大学駿河台校舎リバティタワー
無料、予約不要、席数制限有
http://www.meiji.ac.jp/koho/hus/html/dtl_0004479.html

▽表象としての<日本>:近代ヨーロッパの場合
 -神奈川大学・ヴェネツィア大学学術交流の現場から-
2009年10月3日(土)10時~16時55分
神奈川大学横浜キャンパス
無料、予約不要
http://human.kanagawa-u.ac.jp/kenkyu/symposium/PDF/poposter01.pdf

▽家族の肖像~詩の朗読&ピアノコンサート
2009年10月17日(土)15:00~17:00 (開場/14:00) 
東京経済大学100周年記念館※会場変更可能性有
1,000円、要申込、定員1,000名、申込締切10月2日
演者は谷川俊太郎氏、賢作氏
http://www.tku.ac.jp/event/detail.php?articleID=EV00763

▽新・世界都市物語~ニッポン・町・移り変わり~
2009年10月9日(金)、10月16日(金)、10月23日(金)、10月30日(金)、
11月 6日(金)、18:30~20:30
麻生市民館視聴覚室
各回500円、要申込、定員35名、申込締切各回一週間前
和光大学主催
http://www.wako.ac.jp/kaihou/file/toshimonogatari09.pdf
http://www.wako.ac.jp/kaihou/event.html

▽岡部篤行東京大学名誉教授退職記念シンポジウム
 明日の空間情報科学と都市解析
2009年9月17日 (木) 13:00~17:30
東京大学弥生講堂一条ホール(弥生キャンパス)
要申込
http://ua.t.u-tokyo.ac.jp/party.html

▽明治維新とプロイセン改革 
2009年9月18日(金)13:00-18:00、9月19日(土) 9:00-18:00  
東京大学駒場キャンパス
日独同時通訳付
無料、申込不要
 http://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/20090919desk.html
関連HP:http://www.desk.c.u-tokyo.ac.jp/j/d_090918.html 

▽日本と私
2009年10月9日(金) 16:00~18:00(開場 15:30)
東京大学本郷キャンパス 法文2号館2階1番大教室
ロシア語逐次通訳付
要申込
講師は ボリス・アクーニン氏、司会は沼野充義氏(東京大学教授)
http://www.jpf.go.jp/j/about/award/09/dl/lectures2009.pdf

▽アメリカにおける日本語教育とAATJの活動
2009年10月9日(金) 15:00~16:00(開場 14:30)
国際交流基金日本語国際センター
日本語
要申込
講師は スーザン・シュミット氏
http://www.jpf.go.jp/j/about/award/09/dl/lectures2009.pdf

▽英国という鏡に映る日本の政治
2009年10月7日(水) 16:00~18:30(開場15:45)
国際文化会館 岩崎小彌太記念ホール
英語同時通訳付 
要申込
講師は アーサー・ストックウィン氏
http://www.jpf.go.jp/j/about/award/09/dl/lectures2009.pdf

▽水-その文化と科学-
東京大学安田講堂
全講義(5日間)一括申込4,000円、一回1,000円、要申込
▽▽10月10日(土)13:30~16:55 水と科学 
▽▽10月17日(土)13:30~16:40 水と政治・経済 
▽▽10月24日(土)13:30~16:40 水と文学 
▽▽10月31日(土)13:30~16:40 水と社会 
▽▽11月7日(土)13:30~17:20 水と生命・環境 
http://www.u-tokyo.ac.jp/gen03/d04_01_01_j.html

▽難民映画祭-東京
2009年10月1日~8日
セルバンテス文化センター東京等
無料、予約不要
http://unhcr.refugeefilm.org/about/

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【編集日誌】
☆公演評は「桜姫」を取り上げました。シアター・コクーンで上演された現代
版と歌舞伎版を重ね合わせつつ、あたらしい「桜姫」の世界が開けていると指
摘した力作です。田中さんには久しぶりに執筆していただきました。これから
は三重の地の利を生かし、名古屋、大阪、京都、そして東京にも足を伸ばして
縦横に論じてもらいたいと思います。
☆インタビューランドは平田オリザさんの登場です。現代口語演劇絡みの話も
若干ありますが、ほとんどは劇場と劇団関連の話題に終始しました。泥臭い地
上戦かもしれませんが、言葉と論理の空中戦よりはるかに演劇らしい現場では
ないでしょうか。長尺なので今号と次号以降に分けて掲載予定です。
☆劇評セミナー「座・高円寺」留学コース(後期)が9月5日から始まりました。
第1回は、虚構の劇団で「ハッシャ・バイ」を久しぶりに取り上げた鴻上尚史
さんの「自作を語る」でした。受講生との遣り取りを通じて鴻上さんは、作品
のモチーフとなった母-娘の関係とその変奏を巧みな比喩を交えながら語って
くれました。あっという間の2時間でした。関心のある方は次のページをご覧
ください。個別参加をご希望の場合は問い合わせてください。
http://www.wonderlands.jp/info/seminar09the.kohenji3.html
(北嶋)

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