2009/12/20
だれでもハズレは観たくない#187 母なる証明
劇場公開中の新作・話題作からレンタル中の隠れた名作・おすすめ作品まで、 日本映画・アジア映画・洋画とジャンルにとらわれません。 1万本の映画の中から、とっておきをご紹介!! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 週刊映画レビュー『だれでもハズレは観たくない』 ~新旧映画紹介~ #187 2009.12.20号 主宰・発行者 slow ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◇◆◆◆ 『母なる証明』 ■ストーリー 漢方薬の店で働く母(キム・ヘジャ)は、貧しいながらも 息子のトジュン(ウォンビン)を大切に育ててきた。しかし ながらある日、平和な街で女子高生殺人事件がおき、 容疑者として、トジュンが逮捕されてしまう。知的水準の 低いトジュンは罪を認めてしまうが、誤認逮捕だと信じる 母は、息子の無実を証明するため、事件の真相を調べ 始める。真犯人は一体誰なのか。 ■レビュー 本メルマガで2006年の優秀作品賞に推した『グエムル- 漢江の怪物-』でおなじみ、韓国映画界を牽引する 実力派のポン・ジュノ監督作品。 テイスト的に『オールドボーイ』系の極限状態にある人間の 狂気のようなものをどのように表現しているか興味を持って 観ましたが、主人公が中年女性ということで、激しくという よりは静かに進んでいきました。銃を持っているわけでも 組織があるわけでもなく、ごくごく普通の貧しい母が 事件を追うため、アクションはありません。 ミステリの要素が強いのですが、そういう点以上に、母と 息子の演技に注目したい作品です。表情が実にいい。 ただありふれたことをしている時の顔つきと視線に深い味が あり、スクリーン全体から、不穏な空気感が漂います。 脚本が巧みなため、事件を追う母の周りで徐々に見つかる 手がかりに、観客も同じように母を応援したくなります。 ただ、母の息子への愛を信じすぎると、観ている途中から、 とてつもない闇へと引きずり込まれていく感覚に陥ってしま います。ただの愛ではない、狂気を目の当たりにすることに なります。正義とか誠実とか道徳観念といったものは 奪い去られ、なんともいえぬ後味の悪さを残します。 共感はできませんでした。 ただ、母の想いといったん踏み込んだ闇の中で生きる覚悟は ひしひしと伝わってきます。真犯人はだれか。 明かされる事実がなんとも・・・・・・ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ●あとがき 2009年もたくさんの作品を観てきましたが、 今年もとりわけ印象に残った作品を振り返り グランプリを決めてまいります。 「『だれでもハズレは観たくない』映画グランプリ」、 次回12/27日号で2009年下半期編、 12/31日号で2009年年間総合編を お送りいたします。 皆さんの心に残った印象深い作品も ぜひぜひ教えてください。 週刊映画レビュー『だれでもハズレは観たくない』 since July.8 2006 主宰・発行者 slow


