2009/06/18
『だれでもハズレは観たくない』#155 ターミネーター4/ガマの油
劇場公開中の新作・話題作からレンタル中の隠れた名作・おすすめ作品まで、 日本映画・アジア映画・洋画とジャンルにとらわれません。 1万本の映画の中から、とっておきをご紹介!! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 週刊映画レビュー『だれでもハズレは観たくない』 〜新旧映画紹介〜 #155 2009.6.18号 主宰・発行者 slow ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◇◆◆◆ ●本日のラインナップ● ■1■ 『ターミネーター4』 ■2■ 『ガマの油』 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ 『ターミネーター4』 ■ストーリー “審判の日”から10年後の2018年。反乱軍(人類)の指導者となり、人類滅亡を もくろむ機械軍スカイネットと戦うジョン・コナー(クリスチャン・ベイル)。 彼は亡き母サラの残したテープより、自分の親になるカイル・リースを守るべき ことを知った。一方カイルは、記憶を失った男、マーカス・ライトと出会う。 ■カンタンおさらいストーリー(ターミネーター&ターミネーター2) 『ターミネーター』 1984年、LA。機械軍は未来の人類の指導者となるジョン・コナー (クリスチャン・ベイル)の母・サラの抹殺を企て、一体のターミネーターT800 (アーノルド・シュワルツェネッガー)を送り込む。 それに対して人類軍も、サラ護衛のため、カイル・リースを送り込む。 死闘の末T800を倒したサラたちだったが、カイルも死んでしまう。 サラのお腹にジョンを遺して。 『T2』 そして、時は1994年、再びLA。機械軍はジョン抹殺のため、未来よりT1000を 送り込む。同じく人類軍もT800改良型(アーノルド・シュワルツェネッガー)を 送り込んだ。激戦の末T1000を倒したT800は、機密保守のため自らの命を絶つ。 かくして、1997年8月29日に起こると予言された“審判の日”(人類と機械軍の核戦争) は回避されたかに見えたが、『ターミネーター4』においては、“審判の日”の 10年後の世界として2018年が描かれる。つまり、2008年に“審判の日”が訪れたこと になるが、そのあたりの詳細は今のところ描かれていない。 また、『ターミネーター』『T2』でいわれる「未来」は、2018年以降のことと 思われる。 ■レビュー 久々に力のこもったハリウッド大作を観たなーという印象を受けた。 VFX技術の進化はとどまることを知らない。前作までの単体同士の戦いから、 今回はありとあらゆる型のターミネーターが登場する。 また、人類軍リーダーのジョン・コナーを主役に据えることで、機械に襲われる 恐怖やスリルというものがひしひしと伝わってきた。 『マトリックス レボリューションズ』の機械たちや、『宇宙戦争』などに通じる 風景だ。 序盤、ジョン・コナーの乗り込んだヘリが落とされるシーンから、前作までとは 異なる体験型の戦闘が続く。まるで自分がターミネーターに襲われているようなのだ。 これはUFJのアトラクションに感覚が近い。 一方、『T2』の大ファンやシュワちゃんのファンからすると、正直『4』は ターミネーター1〜3とはカラーがまったく異なるため、しっくりこないかも しれない。 1・2・3ともにターミネーター同士の壮絶な戦いこそが核になっており、そこに サラやジョンといった数名の人間が巻き込まれるというストーリーだった。 それに対して『4』では、人類軍対機械軍という構図のため、スケールはアップした が、その分一体のターミネーターをクローズアップする作風ではない。 一人のスターを描くのではなく、ある意味群像劇(ジョン、マーカス、カイルを軸に) を描いた。原題も『4』でなく『ターミネーター サルベーション』だ。 サルベーションとは「救済」。機械同士の戦いから、人と機械との戦いの幕開けだ。 その中でマーカス・ライトという、人の心を持ったターミネーターの登場は、 『T2』に続く決戦前夜としてとても興味深い。 (繰り返しになるが、シュワちゃん大ファンからすると逆にそこが 物足りないのだろう) いずれにしても、『4』単独ですべては語れない。 『5』や『6』まで描いてようやく全貌が見えてくるのだろう。 本国アメリカでは『3』に比べて興行収入が悪かったようだが、 ストーリー的には新シリーズの序章であり、前作までとは別物として 純粋に楽しんだらいいと思う。 最後の激闘は『T2』を意識した場所で行われ、息を呑むラスト。 このバーサスは必見。 凄い映像に圧倒され続け、エンドロールのころにはジェットコースターに乗り疲れた ような気分になるのもたまにはアリだ。 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ 『ガマの油』 ■ストーリー デイトレーダーとして何億も稼ぎ豪邸に住む拓郎(役所広司)。息子卓也(瑛太)は、 少年院から出所する幼なじみの秋葉(澤屋敷純一)を迎えに行く途中に事故に遭い 意識を失う。そんな折、卓也の事故を知らない恋人の光(二階堂ふみ)から卓也の 携帯電話にかかってきたところ、思わず拓郎は卓也のふりをして出てしまう。 ■レビュー 俳優としてすでに不動の地位を築いている役所広司の初監督作ということで、 興味深深で観てきました。 まず設定がぶっ飛んでいます。 役所さん演じる拓郎の仕事は株のデイトレード。 家族はとんでもない大豪邸に住んでおり、生活観は皆無です。 息子の卓也は幼馴染の秋葉が少年院から出るのを迎えに行きますが、 なぜ秋葉が少年院に入っていたのか深くは描かれません。 (2人の間になにかがあったようなのですが、そのわりには仲良すぎ?) また、彼らはすごい夢をもっていますが、なぜそんな夢をもつようになったかも よくわかりません。 しかもしかも、物語の前半から中盤で、いきなりの展開が訪れます。 それまでの奔放な展開から、いきなりシリアスに。 さらに後半はなぜかわけのわからないロードムービーに。 役所広司とK−1ファイター・沢屋敷(ジェロム・レ・バンナを倒した男)が 富士山行ったり恐山行ったり熊と戦ったり、 もう、このへんから意味不明です。 ガマの油というタイトルのもとになったエピソードが何度か挿入されますが、 それもちょっとなんだか意図がわからず。 役所さんが夢に見たことなのか、だれかの自伝なのか・・・・・・ そしてラストは仏様まで登場。 “大切だった人の死を迎えたときに、 その人のことを思い続ければその人の存在はなくならない。” そういうテーマなんでしょうね。 まあ、ストレートに言われるとこそばゆいテーマではあるんですが、 ここまで奇想天外にやられると、思考停止です。2時間20分は長い。 しかしながら。 前半は良かったんですよ。 とくに、瑛太の恋人・光役を演じた新人の二階堂ふみ。 彼女と役所広司の携帯電話を通したやりとりが、 コミカルで清々しくて、それでいて切なかった。 光は相手が卓也だと思い込んでいて、 拓郎は自分が卓也の父だとは言い出せず 卓也のふりをして会話を続ける。 そんな拓郎の前半の毒舌、中盤の優しさ、後半の強さ。 一方の光はよく笑う。 ケラケラとこの世の幸せを一心に表現する。 真相を知らずに笑う彼女の表情が切ない。 ここをもっともっとフィーチャーしていけば大傑作になった気がします。 惜しい。 ただし、役所さんの目に留まったこの新人女優の今後は楽しみです。 週刊映画レビュー『だれでもハズレは観たくない』 since July.8 2006 主宰・発行者 slow


