2009/05/05
『だれでもハズレは観たくない』#148 GOEMON
劇場公開中の新作・話題作からレンタル中の隠れた名作・おすすめ作品まで、 日本映画・アジア映画・洋画とジャンルにとらわれません。 1万本の映画の中から、とっておきをご紹介!! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 週刊映画レビュー『だれでもハズレは観たくない』 〜新旧映画紹介〜 #148 2009.5.5号 主宰・発行者 slow ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◇◆◆◆ 『GOEMON』 ■ストーリー 金持ちから金品を盗み、貧しい者たちにばらまく石川五右衛門(江口洋介)は、 ある時盗み出した財宝の中に、石田光成(要潤)が総力を挙げて探している南蛮製の 箱があったことを知る。その箱には、織田信長(中村橋之助)亡き後、天下を手中に した豊臣秀吉(奥田瑛二)の、ある重大な秘密が隠されていた。 ■レビュー 前作『CASSHERN』がデビュー作であった紀里谷和明監督の5年ぶりの新作です。 『CASSHERN』がとてもよかった、という方にとっては、おそらくかなり満足いく 作品になっているはずです。 わたしのように、『CASSHERN』は映像的には斬新だったけどラストが意味不明で、 全体的にも消化不良、と感じた人にとっては、今回の『GOEMON』もまた、 大満足とまではいきません。 ただ、前作よりはよくなっていると感じられるでしょう。 分かりやすさやエンタ性は向上しています。 一応は歴史に沿っているので、知っている武将たちが出てきて分かりやすいです。 逆に、歴史が好きな人にとっては、あまりの好き勝手な解釈ぶりに腹がたつでしょう。 きらびやかな映像美やほぼすべての情景がCGという点については、 好みによるかもしれません。 #122(2008.11.22号)の「『スピードレーサー』論」でも触れましたが、 ここまでCGCGしたつくりを全編とおして見せつめられますと、 「ジャンル不明確性」というのが気になって、感情移入できません。 『マトリックス』であれば、実写の中に超スタイリッシュなVFXを融合させて、 驚愕映像が目白押しながら、哲学性を持たせることで、作品に芸術性をかもし 出すことにも成功しました。 その点、『スピードレーサー』は斬新な空間認識や全方向にピントをあわせる 撮影手法によって、リアリティを感じにくくなってしまったのでしょう。 これらから言えることは、人間を出すのであればとことんリアルな映像を 目指すべきであること。 その点、『GOEMON』は『スピードレーサー』的な方向にいっています。 本来人間ドラマを描きたいシーンにおいても、全体のテイストを崩さないことを 優先し、トーンをあわせて、すべてCGで描いています。蛍のシーンなどは、 完全CGなのに登場人物たちが見とれる姿が滑稽に映ってしまいました。 クライマックスの関ヶ原の戦いも、背景が曖昧で、空間認識に戸惑います。 いろいろ書きましたが、伝わっていますか? もっとストレートに論じたほうがよいでしょうか? 身も蓋もないこといっちゃいますと、 『GOEMON』て、 「プレステ3」のゲームソフトを映画館で観ている感じ。 あーあ、言ってしまいました・・・・・・ でも結局一言であらわせばそういうことなんです。 まあ、わたしはこういうテイスト、嫌いじゃないんですけどね。 (『スピードレーサー』もDVDで買ってますし) とくに、五右衛門が豊臣秀吉を討つために城内を駆け上っていく際の戦闘シーンは 必見ですよ。あのアングルは当然ながらCGだからこその、大胆さ。 かっこよすぎます。 映像についてここまで触れてきて、ストーリーについてはいまさらですが、 クライマックスが何度も繰り返される感じで、ちょっとクドかったですかね。 関ヶ原の戦いまでいかなくても、秀吉のパートで十分でした。 あと、秀吉の残虐性があまりに度をこしていて、不快な気分になります。 家族で観にいく映画ではないですね。 カップルも避けたほうがいいかも。 (ギャルとギャル男ならなにも考えずに観るでしょうが) 漫画世代の若者はわりと受け入れやすいかもしれません。 そしてわたしのように、こういう完全に作りこまれた作品でも許容できる方はぜひ! 感動はしませんが、こんな映像表現もあるんだという確認にはいいですよ。 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ●あとがき● GWに5日ほど北海道をめぐってまいりました。 函館山のふもとの教会は異国情緒豊かでどっぷりひたれますね。 五稜郭の満開の桜はすごかったです。驚愕の風景です。GWこそ見ごろなんですね。 旭山動物園は込みっぷりにビビリましたね。そんなに広いわけではない敷地に、 何万人いたんでしょうか。 うわさには聞いていましたが、それぞれの檻の設計の仕方と展示の工夫、 えさやりのイベント性は抜群によいですね。 アイデアの勝利です。 ただ、今後もっと繁栄させるために、わたしが経営者でしたら以下のことをしますね。 ■フードコートとショップの充実 (狭すぎですよ!商機を逃してます。もったいない!) ■マスコットをつくり、キャラクター商品とキャラクターショーを連動させる ■人懐っこい鳥館の開設 いろいろ勉強になりました。 週刊映画レビュー『だれでもハズレは観たくない』 since July.8 2006 主宰・発行者 slow


