2009/09/04
樋口正登の「犯罪・Watch!」第45号
☆☆☆樋口正登の「犯罪・Watch!」第45号☆☆☆ 2009.09.04発行 皆さん、今日は。 裁判員制度の運用が始まりましたが、今度は、性犯罪に関する訴追だ そうです。世の中の犯罪は、本当にさまざま! そもそも、刑法では、 何が犯罪であるのか?ということが問題になります。何らかの犯罪に該 当する・・・これを「構成要件」といいます。たとえば、殺人罪であれ ば「人を殺した者は」というのが構成要件です。 第45号は、構成要件についてです。 ★★★犯罪の構成要件て何だろう★★★ ■意義■ 構成要件とは,違法・有責な行為を類型化した個々の規定をいいます。 ある行為が犯罪となるかどうかの判断においては,まずこの構成要件に 該当するかが問題となります。 たとえば,殺人罪(199条)の構成要件は「人を殺した」ことであり, 「Xが乙を殺すつもりでピストルを撃ち乙を死亡させた」という事実が あったとすると,「Xの行為は殺人罪の構成要件に該当する」と評価さ れます。 ■種類■ 構成要件の内容は,大きく客観的構成要件要素と主観的構成要件要素 に分けることができます。 1.客観的構成要件要素 客観的構成要件要素とは,その存在が外見上認識できる要素をいい, 実行行為,結果,因果関係などがあります。 ・実行行為 特定構成要件に該当するような行為が実行行為です。 ・結果 構成要件は,通常,一定の結果の発生を構成要件要素として規定して います。 ・因果関係 結果犯においては,その行為によってその結果が発生したという因果 関係が犯罪成立に必要です。 2.主観的構成要件要素 主観的構成要件要素とは,その存在が外見上認識できない要素をいい, 故意,過失などがあります。 ・故意 故意とは,罪を犯す意思,すなわち犯罪事実の認識及び認容をいう。 故意によって犯された罪を故意犯といいます。 ・過失 過失とは,不注意によって犯罪事実の認識及び認容を欠くことをいう。 過失によって犯された罪を過失犯といいます。 ■実行行為■ 実行行為とは,特定の構成要件に該当する行為をいいます。よって, ある行為が実行行為といえるかどうかは,その行為が法で定められた構 成要件を形式的にみたすものかによって判断する必要があります。 たとえば,殺人罪(199条)の実行行為といえるかは,「人を殺す」行 為であるといえるかの問題となります。 殺人罪の実行行為といえるためには,単に人を殺そうという強い意欲 をもって何かをしたというだけでは足りず,人の死という結果を引き起 こす危険性を有する行為であることが必要です。 ■不作為犯■ 1.真正不作為犯 真正不作為犯とは,構成要件が不作為の形で規定されている犯罪を不 作為で実現する場合をいいます。 たとえば,多衆不解散罪(107条),不退去罪(130条後段)などが典 型例です。真正不作為犯における作為義務は構成要件に直接規定されて いるので,不作為があれば,そのまま実行行為性が認められます。 2.不真正不作為犯 不真正不作為犯とは,構成要件が作為の形で規定されているものに不 作為で違反する場合をいいます。不作為が作為と同程度に当該構成要件 を実現(法益侵害)すべき現実的危険性を含んでいる場合には,作為と 同視できるので作為犯の構成要件に該当する行為,すなわち実行行為と みることができるということです。 たとえば,母親が乳児を殺そうとして授乳しないまま放置して餓死さ せた場合,母親が授乳しない不作為は死に至らせる現実的危険性を含ん でいるので,人を殺す作為と同視することができ,「人を殺した」とい う実行行為性が認められることになります。 ■お知らせ■ 著作権法に基づき、発行号数を問わず、無断転載はお断りをしており ます。このメルマガに関するご意見などがございましたら、お聞かせ下 さい。配信画面から、返信が可能となっております。 ■発行者プロフィール■ 90年司法書士試験合格。資格の学校(LEC)で、法律科目(憲法・ 民法・刑法・民事訴訟法など)を教えております。 発行者サイト http://blog.goo.ne.jp/goo747-400dom/



