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裁判員制度への展望! 実際の「刑事事件」を題材に、裁判所の見解を明らかにしながら、事件の背景にも考察を加えます。法律的な問題点は何か?などを検証します。事実は、小説より奇なり! 人間の「生きざま」が見えてきます。

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2009/04/09

樋口正登の「犯罪・Watch!」第43号

☆☆☆樋口正登の「犯罪・Watch!」第43号☆☆☆
                           2009.04.09発行
 
 皆さん、今日は。

 定額給付金・・・私の居住地では、給付は、まだまだ先のようです。世の
中では、早くも、定額給付金支給のためと称する「振り込め詐欺」があるら
しく・・・普通の方は、騙されませんが、くれぐれもご注意下さい。
 第43号は、預金通帳の発行と詐欺に関する事例です。

★★★第三者に譲渡する意図を秘した自己名義の預金通帳の交付★★★

最判平19.7.17、平18(あ)2319号

■事件の概要■
 この事件は、第三者に譲渡する預金通帳及びキャッシュカードを入手する
ため、意図を隠して自己名義の普通預金口座の開設及び口座開設に伴う通帳・
キャッシュカードの交付を申し込み、金融機関の担当者を第三者に譲渡する
ことなく利用するものと誤信させて、通帳・カードを受け取った事例です。

■考察■
 そもそも、預金通帳については、最決平14.10.21で、その財物性
が認定されています。これは、他人名義の口座を自己が利用すること自体を、
詐欺罪でいうところの「欺もう行為」と認定したものです。
 今回の事例は、自己名義口座の他人利用です。口座開設時には、虚偽の申
立をしていないことから、「欺もう行為」と言えるかどうかが注目されまし
た。

■判決■
 口座開設時には、金融機関の立場としては、第三者への譲渡・質入を禁止
しています。こうした状況で、金融機関の担当者は、第三者に譲渡する目的
で預金口座の開設や預金通帳・キャッシュカードの交付の申し込みをしてい
ることが分れば、口座開設や、通帳・カードの交付に応じることはなかった
ということが考えられ、その意図を秘して申込を行なう行為は、詐欺罪にい
う人を欺く行為にほかならず、刑法246条1項の詐欺罪を構成することは
明らかであるとの判断がなされました。
 口座の開設時には虚偽の申立をしていませんが、これは黙示的な「欺もう
行為」と解するということです。

■編集後記■
 振り込め詐欺では、他人名義の口座を使うのが通常です。今回の事例では、
第三者に譲渡する目的で自己名義の口座を開設した点が問題となりましたが、
要するに、振り込め詐欺に加担した場合にも(=口座を開設して売っただけ
!)、詐欺罪となるという判断です。
 自己名義の口座を開設して、詐欺グループに転売して利益を得る!・・・
とんでもないことです! 

■お知らせ■
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■発行者プロフィール■
 90年司法書士試験合格。資格の学校(LEC)で、法律科目(憲法・民法・
刑法・民事訴訟法など)を教えております。

 発行者サイト  http://blog.goo.ne.jp/goo747-400dom/
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