2007/05/25
樋口正登の「犯罪・Watch!」第34号
☆☆☆樋口正登の「犯罪・Watch!」第34号☆☆☆ 2007.05.25発行 皆さん、今日は。 最近、航空業界では、小さな?トラブルが続いているようです。双発機でエ ンジン一発アウト、着陸装置の不良、操縦室で乗務員の写真撮影などなど。個 人的には、旅客機系の飛行機マニアではあるのですが、残念でなりません。ま た、JALが2,000〜4,000億円規模の支援要請をしたとの報道もあ り、経営的に大変な時期を迎えているようです。各社とも、安全運航でお願い します。 第34号は、ハイジャック事件に関する事案です。 ★★★特定の宗教法人の信者を装ったハイジャック犯★★★ 札幌高裁平11.9.30、平9(う)75号 ■事件の概要■ 本事例は、当時、世間を騒がせていた宗教団体の信者を装った者が、360 余名が搭乗している東京発函館行きのANA機(B747)をハイジャックし たものです。 もちろん、各放送局は一斉に特番を組み、日本国中から注目されることとな りました。第一審は懲役8年の実刑判決としていましたが控訴され、高裁の判 断が注目されました。 ■考察■ 今回の事例では、ハイジャック犯は、「サリン」に見せかけた「水の入った ビニール袋」を突き刺す格好をしたり、「プラスチック爆弾」に見せかけた 「ゴム粘土」を示して威嚇したほか、ガムテープを用いて300余名の手首を 縛るなどの行動を取っています。 この被告人は、勤務先では閑職に異動させられるなど冷遇され、持病の「気 管支ぜんそく」や「自律神経失調症」によって欠勤がちとなり、健康上の不安 を抱えていたようです。また、新潟県内で生活する内縁の妻と子供がいて、経 済的に不安材料を抱えていた中で、妻との離婚話も思うようにならなかった! ということをきっかけに、今回の犯行に及んだようです。 被告人は、宗教団体の教祖を呼びつけて反省を促したり、制裁を加えようと したとの証言もしていますが、この点の信憑性はどうでしょうか? 本当の動 機は、本人にしか分らない? あるいは、本人にも分らない?のかもしれませ ん。 ■判決■ 今回の判決では、第一審の懲役8年では量刑が軽すぎると判断され、懲役1 0年が言い渡されました。通常ですと、上訴すれば、刑罰が軽くなるというこ とも多々あるのですが、今回は例外でした。 このハイジャック事件では、ANAは企業イメージという点でマイナスを背 負う?こととなり、その損害額を5,366万円として民事訴訟を提起してい ます。また、関連会社を含めると1億円を超える損害を被ったとされています。 民事訴訟については、裁判所は、ANAの主張を全面的に認めたとの記録があ ります。 あまりにも、代償が大きすぎた!という事件です。 ■編集後記■ 経営再建中のJALにしても、順調に業績を伸ばしているANAにしても、 大きな事故に見舞われないことを願っています。 なお、航空機関連ということでは、「雫石事故」も有名ですね。これは、訓 練中の自衛隊機(F−86F)がB727に空中衝突(裁判記録では、空中接 触)したものです。自衛隊機の乗員は脱出して助かったものの、民間機の乗客 ・乗員162名は、残念ながら全員亡くなっています。 自衛隊の乗員は、業務上過失致死罪により、禁錮刑の判決を受けましたが (盛岡地裁昭50.3.11、昭46(わ)143号)、それで解決されたと いうものではありません。 ■お知らせ■ 次回(第35号)は、6月15日(金)に配信予定です。引き続き、ご愛顧 のほど、よろしくお願いいたします。 著作権法に基づき、発行号数を問わず、無断転載はお断りをしております。 このメルマガに関するご意見などがございましたら、お聞かせ下さい。配信 画面から、返信が可能となっております。 ■発行者プロフィール■ 90年司法書士試験合格、東京司法書士会会員。資格の学校で、法律科目を 教えております。 発行者サイト http://blog.goo.ne.jp/goo747-400dom/


