2009/01/02
映画のなかの人生…Vol.851「悪夢探偵2」★★★
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ☆ ★ ☆ 映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】 映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、 そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。 _ ______________ Vol.851「悪夢探偵2」★★★ 2009.1.2(金)  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 【1】STORY 恐がりの親友が変貌し、悪夢を見るようになった高校生。 自分の悪夢に困る悪夢探偵は、相変わらず依頼を断るが…。 【2】Michelin シネセゾン渋谷での単館上映。そんなには混まないだろう。 【3】Review 久々に塚本晋也らしい。物語は平凡だが、テーマは秀逸。 【4】Column 想像力は、人を不安にするが、ないよりはあった方がいい。 ______________________________________Nightmare Detective 2 初夢から悪夢を観てきました。もちろん、映画の話ですが。 塚本晋也監督の新作は、例の前作の続編。うーん、悪夢の予感? 新年1発目から大丈夫か?しかし敬愛する塚本監督のこと、 今回はやってくれました。あー、良かった…うなされなくて。 <オフィシャルサイト> http://www.akumu-tantei.com/ ★ 新年のご挨拶 ★ 本年も、何とか続けていくことができそうです。 皆々様のご期待に応えられるよう、頑張ります。 今年もどうぞよろしく、ご愛顧のほどをm(--)m。 ┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃1┃ STORY (観ていないあなたへ) ┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 恐がりの親友をいじめていた女子高生。しかし、度が過ぎたのか、 ある日から彼女の悪夢が離れない。悪夢探偵に助けを求めたが、 その探偵自身が自分の悪夢に悩んでいるところで、相変わらず、 彼は依頼を断る。彼はいまだに母親の悪夢から抜け出せずにいた。 ┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ) ┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ シネセゾン渋谷での単館上映です。 初回でしたが、そんなに混んでいるわけではなく。 普通の回でも、混んでいるのかな? いちおう全席指定ですから(初回除く)、 気になる方は、お早めにどうぞ。 渋谷なら時間をつぶせる場所も多いでしょうから。 ▼渋谷 シネセゾン渋谷 11:40/14:05/16:30/18:55〜21:00(終) ┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃3┃ Review (観おわったあなたへ) ┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【ポイント】★★★ <内訳> テーマ :★★★★ ストーリー :★★ キャスト :★★★ スタッフ :★★★★ >テーマ ★★★★ ホラー映画の怖さを、さらに客観的に紐解いていく設定は斬新。 想像力がもたらす恐怖を、人生にまで広げた視点は塚本らしい。 >ストーリー ★★< 単純に怖い映画を期待すると、たぶんあまり面白くないだろう。 謎解きもなく、恐怖場面に斬新さはない。主眼はそこにないはず。 >キャスト ★★★< 松田龍平は、自分勝手な悪夢探偵にハマっているが、やっぱり 最後の場面は演技力が問われるかな…。ヒロインも及第点。 >スタッフ ★★★★< 支離滅裂になりかねない物語を、演出でテーマをカバーしている。 今回はCGが絶妙に使われ、塚本映画も新境地?を感じさせた。 >総評 ★★★< よかった、塚本晋也監督の映画でした。 久々に観た。ああ、安心しました…。 彼の映画をほとんど観ている筆者には、 前作は、ものすごく衝撃だったのです。 まあ、そんな悪夢のことは忘れましょ。 今回は一般受けするようには、全く作っていません。 陳腐なサスペンスでもないし、ホラーとしては平凡でしょう。 物語も驚くような展開はないし、それを期待すると違う。 ただ、この映画が斬新なのは、その設定。 怖いものを描くのではなく、怖がる人間を描いている。 そういう意味で、メタ・ホラー映画なのです。 本誌でホラー映画を取り上げるたびに、 説明しているように、ホラーが怖いのは、 「観る側の想像を駆り立てるから怖い」のであって、 その想像が駆り立てられている人間とは、 いったいどういう存在なのか?に、この映画は迫る。 この切り口は、さすが塚本晋也監督。 すごいな、と悪夢だけに唸らされた格好。 肉体の解体にようやく飽きた?のか、 「HAZE」以降、閉塞と闘っているようですが、 今後も闘い続けて欲しいものです。ついていきます。 ┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃4┃ Column (観おわったあなたへ) ┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ジェットコースターが怖いのと、 お化け屋敷が怖いのとでは、違うだろう。 私は前者はダメだが、後者は平気である。 物理的に追い込まれると弱いのだが、 精神的に追い込まれても、あまり気にならない。 怖い映画というものは、幸いなことに、 椅子が突然、落ちるということはないので、 精神的に、人々を追い込んでいくものだ。 例えば、古い扉の先に、何があるか分からない。 なかなか開かない扉が、きしむ音を立てて、 ゆっくりと開く…その、開くまでが、怖いのだ。 なぜなら、人々は扉の先を想像するからだ。 得体も知れない、グロテスクな死体の存在か。 見たこともない、不可思議な生物の横顔か。 親友の無残な姿か、両親の亡霊か、それとも。 怖いというのは、想像力の産物だ。 実際に見てしまえば、何ということはない。 見慣れてしまえば、怖さはなくなっていく。 この映画で、彼らが怖がっているのは、 化け物でも、開かない扉でもなく、 実際に、目の前にいるはずの人間である。 目の前にいる人間が、怖い。 それは、想像が先走っているからだ。 この人物が、何をするか分からないのだ。 すると人によっては、悪い方へ、悪い方へと、 いままでの経験から、余計なことばかり考えて、 終いには「この世には恐ろしいことしかない」と、 勝手な結論を抱いて、他人を無条件に恐れはじめる。 何も変化がなければ、それは人見知りだが、 怯え、膝が震え、叫びはじめたりすると、 それは、重い心の病に変わってくる。 世界中の誰もかもがひどいやつで、 私はここに、母親のせいで産み落とされた。 誰もかもが、当てにはならない以上、 私は逃げ続け、ひとりで泣き続けるしかない。 母よ、どうして産んだのだ? 私と同じ憎しみや哀しみを、 あなたも背負っていたのではないのか? 想像力がたくましいほど、人は孤独になりうる。 自らの記憶のピースを、悪い方へと並び替え、 恐ろしい悪夢をキャンバスに描き出してしまう。 誰とも分かち合えない、それは一人だけの悪夢。 でも、本当にあなたの記憶は、 そんな哀しみしかとどめていないの? 他人に想像できるのは、哀しいことばかりなの? きっと、そうではないはずだ。 私を、こんな世界に産み落とした、 憎い母にさえ、幸せな記憶を見いだせるはずだ。 頭を少しだけ切り換えれば、 無機質な悪夢にも、人間の顔が見えてくる。 幸せな記憶を並べれば、キャンバスも違う色に変わるはず。 だって人間の想像力は、人を不幸にするだけではない。 その想像力が、夢や、希望や、願いを生み出し、 新しい世界と、新しい活力を、人々に与えてきた。 想像力はないよりも、あったほうがいい。 悪夢さえ見られない想像力では、 人生はちょっと、哀しいはずだ。 2009/1/2 シネセゾン渋谷にて。 ┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃5┃ 2008年の振り返り ┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ えー。昨年はいろいろございまして。 大変申し訳ありませんでした。 久々に100本割れをしてしまうとは。 92本しか観ていないんですね…我ながら驚き。 お恥ずかしいかぎりです。ごめんなさい。 筆者は、自宅で映画を観るクセがないもので、 この時期に見逃してしまうと、ずっと観ない、 ということが非常に多いんですよね。 何とかして、自宅でキャッチアップしないと…。 そんなこんなで、あまり多くのことは言えませんが、 とりあえず、ベスト10だけはつけておきます。 (公式サイトが残っているものは、リンクを付けました) 1.「僕らのミライへ逆回転」http://www.gyakukaiten.jp/ 2.「つぐない」 3.「ペネロピ」http://www.penelope-movie.com/ 4.「スピードレーサー」http://wwws.warnerbros.co.jp/mach5/ 5.「ダークナイト」http://wwws.warnerbros.co.jp/thedarkknight/ 6.「4ヶ月、3週と2日」 7.「西の魔女が死んだ」http://nishimajo.com/top.html 8.「WALL・E」http://wall-e.jp/ 9.「マイブルーベリーナイツ」http://www.blueberry-movie.com/ 10.「おくりびと」http://www.okuribito.jp/ それでもアメリカ映画が1番ですか。 まあ、ゴンドリーはアメリカンではない気がしますが…。 昨年、唯一の5つ★です。素晴らしかった。拍手。 「つぐない」や「ペネロピ」は、 欧州らしいゆったりとしたスピードで、 人々を描いていて、とても感心しました。 「4ヶ月、3週と2日」はカンヌ受賞作ですが、 久々に「素晴らしい不愉快」を感じさせる力作。うん。 「スピードレーサー」「ダークナイト」は、 一番それらしいハリウッド映画なんですが、 どちらも日本での興行成績はパッとしなかったようで。 映画としては、どちらも素晴らしい内容なのですが…。 一方で、日本映画も筆者としてはパッとしない。 邦画の復興が叫ばれていますが、今年はあまり、 単館の新人監督を観にいけなかったからなのか、 注目していた橋口亮介、阪本順治、押井守あたりが、 いまいち、ピンと来ない映画を作っているんだな…。 「西の魔女が死んだ」は、原作とサチ・パーカーの勝利。 原作よりも映画の方がいい、という人もいるようで。 「おくりびと」は、手堅く、よく作ってあります。 逆に驚きがない、といえば、それはそうなんですが…。 あと、内田けんじ「アフタースクール」とか、 是枝監督の「歩いても歩いても」が良かったなあ。 日米どちらの映画をとってみても、 ハッキリしてるのは、原作ものとか、 テレビドラマやコミックの焼き直しとか、 リバイバルとか、もう飽きられてるよ、ってこと。 なんか、このあたりの定番映画というのは、 すでに観る気もしなくなってしまいました。 さすがに1000本も観ると、パターンが分かる、 予告編で満腹、という映画が多くなってしまい…。 まあ、新しい観客の皆さんが、とりあえず、 空いている時間を楽しんでもらえれば、 それはそれで、とてもいいと思うんですがね。 しかし、洋画の業績上位を観てみると、 「インディジョーンズ」とか、「レッドクリフ」とか、 「アイアムレジェンド」…本誌でひどい評価のものばかり。 本当に目を覆うばかりで、あきれてしまいます。 これに金融危機が追い打ちをかけて、 いよいよお金をかけた映画が撮れないと、 ハリウッドは、どうなってしまうんでしょう?! でも、きっと影響はハリウッドだけじゃなくて、 優秀な欧州系の映画にも出てくるはずなんだよな…。 そっちの方が心配です。そして中国映画はどうなの? 本当に最近、何も聞かないんだけど…これも寂しいかぎり。 ウォン・カーウァイはこのまま米国に行っちゃうの? せっかくこれだけスクリーンも増えた日本、 今年こそは、地味にいい映画が増えることに、 ちょっと期待したいです。これが本誌の希望。 あとは麻生久美子さんが…それは個人的な希望でした、はい。 毎回オチに使ってすみません、麻生さんm(--)m。 ┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃6┃ 次回予告 ほか ┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ その他、筆者からのお知らせなどなど。 ★次回予告「ノン子36歳(家事手伝い)」…………………………… なんだか妙なタイトルですが、恋人募集ではなく映画ですから。 本誌はなぜか、初登場となる熊切和嘉監督。別に毛嫌いしていた わけではないんですが…。内容は坂井真紀が、宙ぶらりんな場所、 宙ぶらりんな状況、宙ぶらりんな人生を打開しようと頑張るらしい。 で、次回もお楽しみに。次回も明日観にいく予定。 http://nonko36.jp/ ★今後の予定など……………………………………………………… 正月休みを利用して、筆者は映画館に通います。 特に、することもない正月なので…。 あとは以下の2本を観て、その日のうちに書きます。 「アンダーカヴァー」http://www.undercover-movie.jp/ 「PARIS」http://www.alcine-terran.com/paris/ 「きつねと私の12か月」http://kitsune12.jp/ 「チェ 28歳の革命」http://che.gyao.jp/ 「ワンダーラスト」http://wonder-lust.jp/ 「エレジー」http://elegy-movie.jp/ 「007 慰めの報酬」 http://www.sonypictures.jp/movies/quantumofsolace/ 「誰も守ってくれない」http://www.dare-mamo.jp/ 「レボリューショナリーロード」http://www.r-road.jp/ これからもお楽しみに。 ★最新情報はブログにて!!………………………………………… ブログには過去掲載作などがまとめて載っています。 http://filmandlife.seesaa.net/ ※ 実はケータイからも同じアドレスでみられます。要Check! ブログなら、かしこまったメールをすることもなく、 小さなコメントや、筆者へのリクエストを書き込めます。 また、筆者が映画を見終わった直後の感想や、休刊情報、 映画とは全く関係ない筆者の近況まで、いろいろ掲載中。 ぜひぜひアクセスしてください!! ★これまでのバックナンバー………………………………………… バックナンバー、メルマガの紹介や登録関係などについては、 それぞれ以下のページをご参照くださいませ。 http://www.mag2.com/m/0000197069.html(まぐまぐ) http://www.melma.com/backnumber_33635/(メルマ) メルマのバックナンバーは、第1号から掲載されています。 ただし検索機能がついておりませんので、 ここ2年については、ブログの方が探しやすいと思います。 http://filmandlife.seesaa.net/(筆者のブログ) ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 【映画のなかの人生、映画のような人生。】 Vol.851 2009年1月2日 発行者:Ak. http://filmandlife.seesaa.net/ (C)2001-2009 Ak. 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