2008/12/30
映画のなかの人生…Vol.850「そして、私たちは愛に帰る」★★★
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ☆ ★ ☆ 映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】 映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、 そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。 _ _______ Vol.850「そして、私たちは愛に帰る」★★★ 2008.12.30(火)  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 【1】STORY ドイツに暮らすトルコ人の親子。父が娼婦を家で囲おうとし、 彼女が複雑な事情を抱えていたことから、物語は広がる。 【2】Michelin シネスイッチ銀座での単館上映。それなりに混んでるかも。 【3】Review 脚本は秀逸。あえて語らない語り口に、考えさせられる。 【4】Column それでも、血のつながりは、孤独への救いになりうるのか。 ______________________________________Auf Der Anderen Seite 「愛より強く」で、鮮烈な印象を残したファティ・アキン監督。 新作は、やはりドイツとトルコという2つの文化を行き交う、 3つのドラマが交錯します。カンヌ映画祭では最優秀脚本賞受賞。 「アモーレスペロス」に似てる…あれもカンヌの注目作だったな。 <オフィシャルサイト> http://www.bitters.co.jp/ainikaeru/ ┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃1┃ STORY (観ていないあなたへ) ┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ドイツに暮らすトルコ人の親子。娼婦を家で囲おうとする父を、 息子は遠くから眺めていたが、思いがけない事件から、彼は、 トルコへと旅立つ。そこではまた、彼らの知らないところで、 彼ら自身も知らない親族が、同じような悲しみに向き合っていた。 ┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ) ┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ シネスイッチ銀座での単館上映です。 初回に行きましたが、混雑はそれなりでした。 お正月シーズンは、まあまあ混んでいるのでは。 サイトもご参考までに。 http://www.cineswitch.com/konzatu/ ▼銀座 シネスイッチ銀座 10:35/13:20/16:05/18:50〜終21:00 ※31日は18:50、2日は10:35の回が休映 ※1日は休館日になります ┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃3┃ Review (観おわったあなたへ) ┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【ポイント】★★★ <内訳> テーマ :★★★★ ストーリー :★★★ キャスト :★★★ スタッフ :★★★ >テーマ ★★★★ さまざまな人々の孤独と、そこから見いだされる絶望と希望を、 物静かに綴っていく様子は、深く考えさせられるものがある。 >ストーリー ★★★< 3つのオムニバスだが、それぞれが関係し、時として交錯する。 また、肝心の場面を描かないことで、逆に想像させるのが面白い。 >キャスト ★★★< 娼婦の女や、トルコ人の活動家など、女性たちが印象に残るのは、 やはりこの監督の強みか。その辺はアルモドバルな雰囲気もある。 >スタッフ ★★★< 静かな映像に、人々の心情を語らせる今回は、暴力を描く前作と 全く違う映画である。このあたりは、キム・ギドクなんだなあ。 >総評 ★★★< このファティ・アキンという監督は、 いろんな他の監督の要素をあわせもっていて、 さすがは世界の十字路イスタンブール、という感じ。 構成は「アモーレスペロス」のイニャリトゥ監督、 女性たちを描く雰囲気はアルモドバル監督、 斬新で時には宗教的な面がキム・ギドク監督、 いろんな要素が、うまく混じり合っているような。 この映画で感心したのは、あえて盛り上げない演出。 フツーにハリウッドだったら、「感動の再会!」みたいな、 ありがちな演出で、音楽も大音響!な場面が、 絶対に生まれる設定なのに、いっさい撮りませんでした。 ラブシーンとか、ありそうな場面がまるでない。 そんなことより、よく考えてくれということなのでしょう。 その空白を埋めるのは、観客の側の経験だ、というわけです。 涙を流す感動作を期待すると全然違いますが、 その一方で、深く思考を促す意欲作のはず。 ┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃4┃ Column (観おわったあなたへ) ┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 人は、誰でも孤独になりうる。 生まれたときから、片親しかいないことがある。 突然の事故で、家族を失うこともある。 年老いて、気がつくと自分しかいないことも。 一生懸命、友だちを作ろうとする人もいる。 一方で、孤独を楽しむ人もいる。 ネットでつながる感覚に満足する人も、 次々と飲み会を開催する人も、いろいろだ。 でも、最後にたどり着くのは、 やはり、血のつながりなのだろうか。 さまざまな事情で、生き別れになった家族。 娼婦の女は、やはり娘に逢いたいと願う。 捕まった父は、それでも息子に逢いたいと願う。 どんなに反目しても、真実が悲惨なものでも、 それでも、血のつながりがあるのなら、 それは孤独を癒すことができるのだろうか。 一方で、さまざまな事情で、死に別れた人々もいる。 遺された人々は、何かできることがあったのでは、と、 雑多な記憶をひっくり返して、後悔と失意の闇に浸る。 そして気がつくと、最後にまだできることを探す。 死に別れた彼女のために、娘を捜し出そうとする。 死に別れた娘のために、意志を継ごうとする。 だけれども、哀しいかな、 死人に対して、生者ができることは限られている。 やがて、なすべきことを終えてしまうと、 もはやできることは、たまの墓参り以外になくなる。 そうして、人は再び孤独になる。 それは、突然のようにやってきたり、 すっかり忘れていると、足音もなく、 どこからともなくやってきて、心の奥に忍び寄る。 そのとき、また振り返る場所として。 やはり、そこには家族があるのだろうか。 誰もいない砂浜で、水平線の先を見つめる。 必ず帰ってくると、信じられるのだろうか。 私を生んだ人だから、信じられる。 例え、見たこともない相手でも。 そこにあるのは、見たことがない故の希望か、 それとも他に希望がない故の絶望なのか。 すべての人に、必ず存在する血のつながり。 年末年始のこの時期に、里帰りする人々は、 帰る場所のある喜びを、胸に刻むべきなのだろう。 2008/12/30 シネスイッチ銀座にて。 ┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃6┃ 次回予告 ほか ┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ その他、筆者からのお知らせなどなど。 ★次回予告「悪夢探偵2」…………………………………………… とりあえず、初夢には悪夢を観てこようと思います。もちろん、 映画の話ですが…塚本晋也監督の新作は、あの前作の続編です。 今回は松田龍平だけが残ったので、きっとちゃんとした映画に、 なっていることと思います…市川美和子なら大丈夫。え、違う? で、次回もお楽しみに。次回は新年2日の予定。 皆さまどうぞ良いお年を。 http://www.akumu-tantei.com/ ★今後の予定など……………………………………………………… 正月休みを利用して、筆者は映画館に通います。 特に、することもない正月なので…。 あとは以下の2本を観て、その日のうちに書きます。 「ノン子36歳(家事手伝い)」http://nonko36.jp/ 「アンダーカヴァー」http://www.undercover-movie.jp/ 今年の振り返りも、すみませんがお正月に。 ちょっといまは、時間がないので…。 というわけで、来年もよろしくご愛顧のほどを。 ★最新情報はブログにて!!………………………………………… ブログには過去掲載作などがまとめて載っています。 http://filmandlife.seesaa.net/ ※ 実はケータイからも同じアドレスでみられます。要Check! ブログなら、かしこまったメールをすることもなく、 小さなコメントや、筆者へのリクエストを書き込めます。 また、筆者が映画を見終わった直後の感想や、休刊情報、 映画とは全く関係ない筆者の近況まで、いろいろ掲載中。 ぜひぜひアクセスしてください!! ★これまでのバックナンバー………………………………………… バックナンバー、メルマガの紹介や登録関係などについては、 それぞれ以下のページをご参照くださいませ。 http://www.mag2.com/m/0000197069.html(まぐまぐ) http://www.melma.com/backnumber_33635/(メルマ) メルマのバックナンバーは、第1号から掲載されています。 ただし検索機能がついておりませんので、 ここ2年については、ブログの方が探しやすいと思います。 http://filmandlife.seesaa.net/(筆者のブログ) ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 【映画のなかの人生、映画のような人生。】 Vol.850 2008年12月30日 発行者:Ak. http://filmandlife.seesaa.net/ (C)2001-2008 Ak. All rights reserved. ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



