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『敵も味方もどこにいて、何をしてるか判らない』だけどその状況は幸せだと彼は言った…圧制下で暗躍する小国の王子とその護衛部隊の成長を描くFT恋愛群像劇。仕事の合間に!勉強のお供に!他人の世界に触れてみよう!がテーマの軽く読める連載小説。

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2008/08/11

1日5分!空き時間に読む小説 vol.122

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━ 1日5分!空き時間に読む小説 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━

      スイッチ(モラトリアムを選ぶと言うこと)
      【 ジャンル:ファンタジー系恋愛小説 】
          http://shosetsu.uijin.com/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━Vol.122 2007年8月11日
発行者:作倉エリナ

☆☆───────────────────────────────☆☆
  今号は「続・序章 第六話 続・穴二つ 009/010です。
☆☆───────────────────────────────☆☆

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 まえがき
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 はじめましての方、お手にとっていただきありがとうございます。
 以前からお読みいただいている方、本当に本当にありがとうございます。
 
 最近、発行遅れまくってます。もうしわけないです……。
 とてもお久しぶりです。
 遅れることでご迷惑をおかけしてしまうことと、まぐまぐさんのいろんな
 規定の変更に関して、メルマガの発行自体を考え直しています。

 結論は、近いうちに……
                            作倉エリナ

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  スイッチ(モラトリアムを選ぶと言うこと) 続・序章
      第六話 続・袖振り合うも多生の縁
                          P.009 / P.010

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(前回までのあらすじ)

 何らかのショックにより、現代から500年ほど未来の変貌してしまった時代
 にタイムリスリップしてしまった相原は、王子ミハマの言葉を受け、元の時
 代に帰りたいと願い、出来ることのために、動き始める。

 暗躍するテッキを後見に、中王の軍人であるはずのティアスがオワリに現れ
 る。彼女は深夜、テツと密会をしているようだが、その確証が取れぬままア
 イハラは悩む。しかし、彼女に信頼されていることだけを支えに、護衛部隊
 に正体の知れてしまった彼女の味方でいようと決意する。
 しかし、シュウジ達の口から語られる彼女の真実に近付くたび、不安が増大
 していく。

(↓以下本文)


第六話 続・袖振り合うも多生の縁

09

「カナ、良いから……。スズオカ准将が話があるそうだから、彼と……」

 何か、突然お母さんが来た、みたいな態度になってるな。

「そう?」
「カナの役割、言ってあるから」
「動く気って?まるで、君が重い腰を上げたのを喜んでるみたいだね」

 ただただ、にこやかなミハマの態度に、わかりやすく反応したのはティアス
だった。言葉には出さなかったけれど。こういうところ、可愛いよな。

「そうなんですよ」
「カナ!もう良いから……」

 シュウジさんを指さし(普段の彼女は人を指さすような真似はしないのだけ
ど)、サエキ大尉を促す。それでも彼女の笑顔は優しげで、ティアスを見つめ
ながらも、命令通りシュウジさんの前へ立つ。
 シュウジさんは彼女が美人だったからか、ちょっとだけ照れた顔を見せ、メ
ガネをかけ直す仕草をしたあと、彼女と一緒に奥のデスクに向かった。

「でしょうね」

 ミハマは笑顔を絶やさぬまま、サエキ大尉の言葉に同意し、再びティアスを
真正面から見つめた。バツが悪そうに、彼女はソファに座り直すような仕草を
して見せた。

 それにしても、『重い腰』か……。
 サエキ大尉は、彼女が動くことを望んでいたけれど、彼女の腰は重かった。
それはおそらく、「彼女が北へ向かうこと」なのだろうけど……なぜ?
 サエキ大尉が「ティアスが北へ向かうこと」を望む理由も、彼女がそれに対
して腰が重くなる理由も、オレにはよく判らなかった。北に向かうことが難し
いとは、ミハマ達も彼女も言っていた。だけど、「腰が重くなる」こととは別
の話だ。サエキ大尉は彼女の意志に喜んだのだから。

 行きたくないのか、何か行きにくい理由でもあるのか?
 北を抜ければ、彼女の故郷に手が届くのに。どうして。

「テツは、随分久しぶりになるね。大陸に行くのは。ユノもだろ?」
「あんまり覚えてない」

 サワダの表情はほとんど変わらなかった。別に不愉快な顔をするでもなく、
普通に答えただけだったのに、ミハマはそれ以上彼に話すのをやめ、ソファか
ら乗り出し、後ろに立つイツキさんを見た。

「ユノは?」
「そうですね。私も、小さかったのであんまり覚えてないんですけど」
「……どういうこと?」

 ティアスが不思議そうな顔で、サワダとイツキさんを交互に見つめる。

「大したことじゃない。オレの父親に、昔、放浪癖のようなもんがあっただけ
だろ」
「意味が判んないし」
「テッちゃん!殿下がせっかく!」

 つってイツキさんは、後ろから思いっきりサワダの頭をはたいた。サワダは
怒鳴るかと思ったが、そうせずに口を尖らせただけだった。

「ユノは……」
「私は小さいころ、母に連れられて、大陸からオワリに来たのよ。ただ、それ
を知ってる人は他にいないんだけど」
「……でも」
「母は、ニホンの人よ。父は知らないけど」

 ティアスはイツキさんの言葉を受けて、しばし、目を伏せた。
 彼女に言いにくいことを言わせて、申し訳なかったのかも知れない。そうだ
と思いたい。

「テツ。外にいるシンと交代してきてくれませんか?」

 シュウジさんに呼ばれ、サワダが席を立つ。隣でサエキ大尉が会釈をしてい
た。彼女に挨拶をして、ベランダに出た。
 しばらくして、交代でイズミが戻ってきて、サエキ大尉に挨拶をした。

「本当は、他の目的があるんじゃない?ねえ、ミハマ。世界が見たいとか、私
を助けたいとか、それ以外にも」
「どうだろう」
「それって、サワダ中佐のため?」
「どうかな」
「だって、彼の父親は……」

 背筋が凍るかと思った。
 ミハマは笑顔を消したとは言え、極穏やかな表情のままだったのに。それだ
けのことがどうして怖いんだ?彼女を真っ直ぐ見ている、と言う点においては
何も変わっていないのに。

 ……そうか。ミハマはずっと笑ってたんだ。だから。

「彼の父親には、大陸の血が混じってる」
「……どこか判る?」
「知らないの?知ってて、そう言ってるのかと思った。『東の果て』よ。だか
ら、中佐が昔いたという国は、きっと『東の果て』ね」
「それ、テツには言った?」

 その台詞に、オレと同様に、彼女もはっと気付いたらしく、一瞬だったけれ
ど、困った表情を見せた。
 彼女はサワダから、彼自身の話を聞いていたってことだ。ただ、彼女がそれ
に対して困った顔をする理由は判らない。オレは不愉快っつーか、突き落とさ
れた気分だけど。

「……言ってない。確証が、持てなかった」

 何も言わず、彼女を見つめるミハマの代わりに、ミナミさんが彼女を責めた。

「おかしくないですか?サワダ議員にあなたの国の血が混ざってると、あなた
は判ったのに。何を確証が持てないと?」
 
 オレには、彼女を責められない。多分、サワダがここにいたら、オレも関係
ないことで嫌味の一つも言ってしまいそうだったから。それも、みっともない
くらい責めるように。それに比べたら。

「血が混ざってるのは、確実なの。だけど、彼がどういう人か、確証が持てな
い」

 ミハマは、やっぱり黙って彼女を見ていた。笑ってはいなかった。ミナミさ
んが言葉を続けようとしたのを遮ったのは、シュウジさん達とデスクで話をし
ていたはずのサエキ大尉だった。

「申し訳ありません。うちの上司、言葉が足らないものですから」

 見かねてティアスの横に立ったサエキ大尉は、『上司』に対する態度と言葉
からはほど遠かった。

「確証が持てないことを、当の本人に言って混乱させるほど、大佐は酷い方で
はありませんから」
「カナ……」

 彼女はまるで、ティアスの盾にでもなるように、彼女の前に移動した。ニイ
ジマがしたように。

「トージくんから聞いてたこの方達の話と、少しずれてるみたいだけど」
「ううん。トージの話で会ってるわ。それより、そっちの話は?」
「大丈夫よ。終わったから。そろそろ戻らない?」

 サエキ大尉もまた、ニイジマがしたように、オレをちらっと見た。なんか、
求められてるってことかな。

「大丈夫よ。あなたの意志に従うから」

 念を押すように、ティアスを宥めるように、サエキ大尉は繰り返す。
 気のせいか、部屋の奥のデスクからオレ達を見ていたイズミが、少しだけ怖
い顔をしたように見えた。


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 次号は・・・
  スイッチ(モラトリアムを選ぶと言うこと)続・序章 第六話(全七話)
                          P.010/P.010

      vol.123は2008年8月18日発行です。お楽しみに!

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 現在このお話と対になる学園ものシリーズを携帯でお送りしています。
 そちらもぜひご覧ください。
 http://mini.mag2.com/pc/m/M0056277.html
 最初から読みたい方はこちらから
 http://backno.mini.mag2.com/r/servlet/MBack?id=M0056277
 mobile wing of fragment http://shosetsu.uijin.com/


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 あとがき
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 PC版の方はまだいろいろ検討中なのですが、携帯版のほうは、今後メルモ
 さんをメインに進めて行きたいと考えています。
 完全版[w.e.m.]
 http://backno.mini.mag2.com/r/servlet/MBack?id=M0056277

 最近、ペースがゆっくりというか、牛歩というか、ひどい有様ですが、
 途中で終わるということだけはないです。(配信の形態が変わる可能性は
 十二分にありますが)
 ずっとお読みいただいている読者様には本当に申し訳ないですが、長い目
 で見守っていただければ幸いです。

 以下も是非、ご覧くださいませ。
 「小説家になろう」
 天に向かって唾を吐け! http://ncode.syosetu.com/n7361a/
 switch【モラトリアムを選ぶと言うこと】http://ncode.syosetu.com/n2034b/

 今号も、お読みいただきありがとうございました。
 また次号もおつきあいください。
                          作倉エリナ

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