日本玩具博物館ニューズレター8号
日本玩具博物館ニューズレター8号
(2006年12月号)
木枯らしの季節になり、博物館を取り巻く周辺の木々からも落ち葉が舞い落ち
ています。庭には、早咲きのつばきも咲き始めました。
現在、当館1号館では「独楽と羽子板」、6号館では「世界クリスマス紀行」
を開催中です。「世界クリスマス紀行」展では、尾崎織女学芸員の解説会もあり
ます。展示資料からテーマごとに数点取り出し、解説と実演をしています。暗闇
の中で蝋燭の光で動く「光のピラミッド」は、皆様を感動の世界に引き込みます。
当館で心に残るクリスマスの思い出をお作りください。
皆様のご来館をスタッフ一同、心からお待ちしています。
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目 次
今月のおもちゃ
新収蔵品の紹介
館長室・学芸室便り
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【今月のおもちゃ】
セルロイドのサンタクロース (占領下の日本製/昭和22〜26年頃)
日本では最初にサンタクロースが描かれたのは明治31(1898)年のこと。日曜学
校の子ども向け教材として「さんたくろう(三太九郎)」(教文館)という読本が発
刊されました。その扉絵に描かれた三太九郎は、ロバを従え、右手にクリスマス・
ツリー、左手には杖を持っています。どうやらドイツ系の厳格なイメージをもっ
たサンタクロースの影響を受けた絵のようです。やがて大正時代になると、百貨
店のクリスマスセールにもサンタクロースは登場するところとなり、多くの日本
人が冬の贈り物配達人の存在を知るようになっていきました。
トナカイのひくソリに乗り、リンリンと錫を鳴らして空をかけるサンタクロー
スのイメージは、19世紀前半にアメリカ合衆国において形成されたものです。ヨ
ーロッパには、立派な司教、農耕神、仮装劇のMC(司会者)、新年の来訪神など、
様々な性格をもったサンタクロース像が見られますが、戦後の日本が民主主義と
ともに受け入れたのは、アメリカ系のサンタクロースでした。
http://www.japan-toy-museum.org/news.html
写真は、セルロイド製で、ゼンマイを巻くと鈴を鳴らして走り出します。ソリ
の底には「made in occupied Japan」と明記され、これが、昭和22から26(1947
〜1951)年頃の占領下の日本において作られたものだとわかります。
この時代、形も色調もアメリカ人好みにデザインされた玩具が人件費の安い日
本の民間工場で生産され、本国のアメリカへ輸出されていました。けれども、ア
メリカの子ども達のために作られたサンタクロースのうち、いくらかは日本の子
どもの手元にも届き、混乱した戦後の冬に温かい灯を点したことでしょう。
私たち日本人とサンタクロースとのかかわりは早、一世紀を超え、「異国のも
のまね」と一笑できない歴史を、既に、刻んでいるのです。
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【新収蔵品の紹介】
ドイツ・エルツゲビルゲ地方の玩具
先日、ドイツから日本へ一時帰国中の古本清子さん(エアランゲン在住)から19
70〜80年代のエルツゲビルゲ地方の木製玩具が入ったダンボール箱が届けられま
した。
ドイツ連邦共和国の東南部、チェコと国境を接するエルツゲビルゲ地方は、19
世紀初頭、木製玩具の産地として知られていました。この地方は、古くは鉱業で
栄えた町でした。鉱石の枯渇による廃鉱後、人々はロクロを使って生活用品や玩
具を作り、周辺の町々へ行商することを通して暮らしを立てるようになりました。
今も、エルツゲビルゲ地方には、ザイフェンやグリュンハイニッヘンなどの「
おもちゃ村」が点在し、村の歴史や風景をテーマにした物語性豊かな玩具や、ク
リスマスに登場するしかけのある燭台や人形など、独創性にとみ、技術の高さを
示す作品が、大小の工房で作り続けられています。
この地方の玩具作りの現状について、私たちがその詳細を知らされたのは、東
西ドイツが再統合を果たした翌年の1991年、古本・ヘルバルトご夫妻の来館を受
けた折でした。ヘルバルト氏はエンジニアとして大手企業に勤務されていました
が、エルツゲビルゲのミニチュア玩具の調査収集をサイド・ワークに楽しまれて
いる方でした。1994年新春には、井上館長がドイツを訪問し、ヘルバルト氏の案
内でエルツゲビルゲ地方の木製玩具産地の中心ともいえるザイフェンの町を訪ね、
同年のクリスマスに博物館の学芸スタッフと友の会のメンバーが団体で訪ねた折
には、清子さんが通訳として町の工房を案内して下さいました。当時、アジアか
らのツアーは珍しく、私たちは、日本初の団体旅行者としてザイフェンの方々に
大歓迎を受けました。
1990年代前半、ザイフェンの町には、10カ所ほど大きな工房と家内工業的な小
さな工房は140ほどありました。人口約3000人にして、700人近くが玩具職人とい
う、文字どおりのおもちゃ村。工房の小さなショーケースや家々の窓には、何代
にもわたって作り継がれてきた玩具とキャンドルの明かりが暖かく、光のピラミ
ッドやクルミ割り人形の大きなつくりものが町を飾るクリスマスアドベントの風
景が深く心に残っています。
しかし、旧東ドイツに位置していたエルツゲビルゲ地方は、東西統合後、急速
に変化を遂げました。ザイフェンの町にも、西側の資本が入り、たくさんのホテ
ルが立ち、旧来のマニュファクチュアによる玩具作りを固守するマイスター(熟練
工)たちの暮らしにも、様々な影響が出始めています。ザイフェンのマイスターた
ちは、以前ほども玩具が売れなくなってしまった・・・と頭を悩ませているとい
います。
さて、今回、古本さんから届けられたエルツゲビルゲ地方の木製玩具は、旧東
ドイツ時代、1980年代前半頃のものが中心です。木のドーナツ型(ライフェンドー
レーン)から動物が切り出される様を紹介する資料、乗り物のミニチュア、メリー
ゴーランドなど仕掛け玩具、糸仕掛けで動く小さな人形、削りかけの木(シュパー
ンバウム)と動物、積み木と街づくり、ミニチュアままごと道具、クリスマスのオ
ーナメントなど、総数にして約100点です。
2006年の現在、エルツゲビルゲの工房では、それぞれに同じ形態のものが作り
続けられていますが、20〜30年前のそれらは、今のものとどこか違っています。塗
布される絵の具の色彩も、装飾や華美を退けた雰囲気のシンプルな造形も、旧ソ連
時代に作られたロシアの木製玩具に通じるものがあり、箱の中から次々に出てくる
玩具が並ぶと、過ぎ去った「東ドイツ」の空気が立ち込めるようです。
これらの玩具は、4号館の常設コーナーに順次、展示し、また機会をとらえてド
イツの木製玩具の歴史を紹介する企画展を開催してみたいと思っています。
古本ヘルべルトご夫妻と出会い、それから玩具を通じた交流が続いていること、
何より日本玩具博物館への変わらぬご協力ご支援に対して、この場をかり、あら
ためて御礼申しあげます。
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☆館長室から
NO16
企画展「独楽と羽子板」で、日本のお正月再発見を
(2006年11月25日 館長・井上重義)
http://www.japan-toy-museum.org/stuff1.htm
☆学芸室から
NO26
クリスマスの造形・その4 〜命をいつくしむ心〜
(2006年11月24日 学芸員・尾崎織女)
http://www.japan-toy-museum.org/gakugeisitu2005.htm
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日本玩具博物館利用案内
開館 午前10時〜午後5時
休館 水曜日
入館料 大人500円 学生400円 こども200円
(団体20名以上は2割引、100名以上は3割引となります)
交通 JR播但線香呂駅から徒歩13分
播但有料道路船津ランプから車で5分
詳細地図
http://map.yahoo.co.jp/pl?nl=34.54.15.451&el=134.44.52.979&la=1&fi=1&pref
=%ca%bc%b8%cb&kind=%bd%bb%bd%ea&skey=%c9%b1%cf%a9%bb%d4%b9%e1%bb%fb%c4%ae%
c3%e6%bf%ce%cc%ee671-3&sc=4
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発行元のホームページ: http://www.japan-toy-museum.org
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発行: 日本玩具博物館
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