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2009/02/24

霊界物語をメールで配信!(742)

霊界物語をメールで配信!第19巻(742)
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■第16章 玉照彦《たまてるひこ》〔661〕 ■
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 来勿止神《くなどめのかみ》は、松姫、竹その他四人の男と共に機嫌よく湯を啜《す
す》って居る。
 ここへ門番頭《もんばんがしら》の勝《かつ》は入《い》り来たり、
『モシモシ神様、此間《こなひだ》の奴が二人も新顔を連れ、都合四人やって参りまし
た』
来勿止神『アアさうだらう、改心して謝罪《あやま》って居るだらうなア、大方|谷丸
《たにまる》、鬼丸《おにまる》、テルヂー、コロンボと云ふ人間だらう、早く此方《
こなた》へ案内をするがよろしい』
勝公『承知致しました、しかし松姫《まつひめ》様にお詫びがしたいと云うて居ます』
来勿止神『アアさうかさうか、それなら尚更結構だ』
 間もなく勝《かつ》の案内に連れ、四人の男この場に現れ怖《こわ》さうに閾《しき
ゐ》を跨げて土間に平太《へた》り込み、頭《かしら》を地につけて謝罪《あやま》っ
て居る。
来勿止神『オオお前は谷丸以下三人の男だなア、どうだ、神様の御神力《ごしんりき》
には屈服したかな』
 谷丸やうやく首を上げ、
谷丸『イヤもう、重々御無礼を致しまして申し訳も御座いませぬ、そちらに御座るは松
姫様、どうで御座います、お体は痛みませぬか、つい心の中の悪魔に操られ、御無礼ば
かり致しました。今日は四人連れ打ち揃ひ貴女《あなた》のお跡《あと》を尋ね、お詫
びに参りました。重々の罪お赦し下さいませ』
と四人は一度に首を下げる。
松姫『イイエ、何の何の、私こそ貴方がたにお詫びをせなくてはならないのです。貴方
がたのお蔭で結構な御神徳を頂きました』
来勿止神『皆様、そこは土間ぢゃ、冷えますから破屋《あばらや》なれど座敷へ上がっ
て下さい』
谷丸『イエイエどう致しまして畏《おそ》れ多い、かやうな罪人《ざいにん》が貴方様
と同席がどうして出来ませう』
来勿止神『貴方はもはや罪より救はれたのだ、尊い神様の珍《うづ》の御子《みこ》だ
から、さう遠慮なさるに及ばぬ。遠慮はかへって神様に御無礼の基《もと》だから、私
の云ふ通り素直にお上がり下さい』
テルヂー『サア皆さま、折角のお志、上がらせて頂きませう』
と一足《ひとあし》跨《また》げて先に上がる。三人は、
『御免下さいませ』
と怖る怖る、座敷に上がった。竹は湯を汲んで四人に勧める。
谷丸『松姫様、貴女はこれから玉照彦《たまてるひこ》様をお迎ひにお出でなさるので
せう』
松姫『エエ』
谷丸『お隠しなさいますな、もはやわれわれどもは改心を致しました以上は、玉照彦様
を奉迎したいなどと、左様な不都合な考へは持ちませぬ、ナア、一同さま』
テルヂー『左様で御座います、われわれも神様のお蔭によって左様な執着心は念頭から
【さらり】と去りました。しかし松姫様にお詫びのため、高熊山《たかくまやま》の巌
窟までお伴致し、いろいろと能《あた》う限りの御用をさして頂きたう御座います』
来勿止神『皆々の赤心《まごころ》は良く分りましたが、このことは御助力《おてつだ
ひ》を受けたとあっては松姫様のお手柄になりませぬ、松姫さまだけお一人お出でなさ
るがよろしからう、皆の人はここに待って居てお上げなさい、その間に種々《いろいろ
》と神様の結構なお話を交換致しませう』
 一同は言葉を返す勇気もなく、承知の旨を答へ、松姫の無事の帰途を待つこととした。
松姫は心いそいそ勇み立ち、脚も何となく軽げに枯草|蔽《おほ》へる谷道を上り往く。
前方より二人の男女、にこにこしながら出《い》で来たり、丁寧に会釈し、
『私は当山を守護致す、神国守《みくにもり》、妾《わたし》は国依姫《くによりひめ
》で御座います。貴女《あなた》は松姫さまぢゃ御座いませぬか』
松姫『仰せの通り、不束者《ふつつかもの》で御座います、何分よろしうお願ひ致しま
す。玉照彦の神様は御機嫌|麗《うるは》しうあらせられますか、言照姫《ことてるひ
め》様はどうしておゐでなさいます』
神国守『ハイハイお二方共、御機嫌|殊《こと》のほか麗しく、今朝よりは特別の御機
嫌で貴女のお出でを大変に待って居られるやうです。サア、私夫婦が御案内致しませう、
随分茂った嶮岨《さかし》い山道で御座いますから、私がお手を把って上げませう』
松姫『イエイエなにとぞ構うて下さいますな、神様に対して畏《おそ》れ多いことで御
座います。人様のお出で遊ばす所へ私が往けないはずは御座いませぬ』
国依姫『左様なれば妾《わたし》が先導を致しませう』
と夫婦は松姫を中にして静々と岩窟さして登り行く。
神国守『サア、ここが岩窟の入口で御座います、四十八の宝座の御前《みまへ》で御座
います、一度礼拝致しまして、奥へ御案内することにしませう』
 松姫は嬉しさうにニタリと笑ひ、四十八の宝座を一々礼拝し、神国守《みくにもり》
夫婦に案内されて岩窟の奥深く忍び入る。
国依姫『この岩窟は上り下りが、所々に御座いますから、御用心なさいませ、十七八丁
奥へ進みますと立派な岩窟のお館が築かれて御座います、ここが玉照彦様のお館』
松姫『有り難う』
と簡単に礼を返し窟内《くつない》の隧道を右に折れ左に曲り、上りつ下りつやうやく
館の前に辿り着いた。館の前に一人の男が立ち現れ松姫の到着を待って居た。
松姫『ヤア、お前は熊公《くまこう》ぢゃないか、どうしてこんなところへ来たのだい』
熊彦『ハイ、私は貴方が過日《せんだって》の夕間暮《ゆふまぐれ》、お館を捨てて、
御出奔《ごしゅっぽん》なされたので、お跡《あと》を尋ね、お願ひ申して再び高城山
《たかしろやま》の館へお帰りを願ひたいと、取るものも取り敢へず走り出でむとすれ
ば、お節さまや竜若《たつわか》に無理に引き留められ、残念ながら肉体は館に残し、
霊魂のみ貴方の行方を尋ね、ここまで御案内を申して来たのです、堺峠において四人の
奴に貴方がエライ目に遭はされなさった時、私はどれだけ苦しんだか知れませぬ。貴女
のお体に付き纏《まと》ひ、私が代って撲《なぐ》られました、御覧なさいませ、この
通りまだ創傷《きず》が十分に癒って居りませぬ』
松姫『アアさうするとお前は肉の宮を館に残しておいて来たのだなア、跡《あと》はど
うしなさった』
熊彦『ハイ、肉の宮は千代彦《ちよひこ》と云ふ本守護神が守って居ます』
松姫『アア、さうかな、それは御苦労だった、早く帰って下さい、もう大丈夫だから』
熊彦『もうしばらくお伴さして下さい』
神国守『ヤア、さう聞くと貴方がある人の幽霊だな』
松姫『これは私の家に居りまする熊公と云ふ大変師匠思ひの男で、門番や受付をして居
るので御座います、一心の誠が通って霊魂が幽体を現じ、ここまで私を守って来てくれ
たのです』
国依姫『何と誠の強い、師匠思ひの方ですなア』
 松姫は早くも何故か涙ぐんで居る。熊公の姿は煙の如く消えてしまった。
 忽然として館の戸は開かれ、中より言照姫《ことてるひめ》の威厳に満ちた姿が現れ
た。
言照姫『ヤア其方《そなた》は松姫であったか、妾《わたし》は言照姫の命《みこと》、
様子あって本名は今しばらく名乗りませぬ、奥に寝《やす》ませらるる玉照彦様は遠き
未来においてミロク神政成就の神業《しんげふ》に参加遊ばす尊き伊都能売之御霊《い
づのめのみたま》、其方《そなた》は大切に奉侍《ほうじ》し、世継王山《よつわうざ
ん》の麓に在《おは》す国武彦《くにたけひこ》の命《みこと》にお届けあれ、しから
ば其方《そなた》は云ふに及ばず高姫、黒姫一派の、今まで瑞《みづ》の御霊《みたま
》の大神に射向《いむ》かひまつりし重大の罪を赦され、神界の御用に参加し、偉勲を
建つることを得む。神国守《みくにもり》、国依姫《くによりひめ》は松姫と共に玉照
彦の命《みこと》を保護し奉《たてまつ》り、綾の聖地に送らるべし』
と言葉終るや否や、言照姫の姿は忽然として消えてしまった。松姫は畏《かしこ》み慎
《つつし》み、天《あま》の数歌《かずうた》を謡ひあげ、終って言葉静かに、
松姫『妾《わたし》は松姫と申すもの、ただ今|言照姫《ことてるひめ》様の御命令を
拝し、尊様《みことさま》をお迎へ申して綾の聖地に向かひます。なにとぞ妾《わたし
》にこの尊き御用をお許し下さいませ』
と一心に祈願し終るや、玉照彦の命《みこと》は立ち上がり、小さき身体を揺りながら、
松姫の膝に嬉しげに上がらせられた。松姫は恭《うやうや》しく懐中《ふところ》に抱
《いだ》き奉《たてまつ》り、神国守《みくにもり》夫婦に守られ、やうやく岩窟を立
ち出て、再び宝座を伏し拝み、来勿止神《くなどめのかみ》の庵《いほり》にやうやく
帰りついた。
 来勿止神を始め、勝、竹、六、初、その他の門番及び谷丸、鬼丸、テルヂー、コロン
ボは門の内面に整列して奉迎しつつあった。松姫は神国守《みくにもり》夫婦を伴ひ、
静々と目礼しながら門を出《い》づれば豈《あに》図らむや、数多の白衣を着せる神人
《しんじん》幾百人ともなく、道の左右に整列し、英子姫《ひでこひめ》、悦子姫《よ
しこひめ》、亀彦、常彦《つねひこ》、若彦、紫姫、その他三五教、ウラナイ教の宣伝
使の肉体及び幽体相交はり、恭《うやうや》しく奉迎して居る。何処《いづく》ともな
く微妙の音楽四方に起こり松姫は思はず足も進み出で、いつの間にか、世継王山麓《よ
つわうさんろく》の悦子姫《よしこひめ》の庵《いほり》に着き居たり。ここに玉照彦、
玉照姫の神人《しんじん》は二柱相並び給ひ、日に夜に神徳現れ、昼夜の区別なく瑞雲
棚引き渡り、ウラナイ教の高姫、黒姫その他も嬉々《きき》として集まり来たり、ミロ
ク神政の基礎を固むることとなりにける。
(大正11年5月9日 旧4月13日 加藤明子録)
(昭和10年6月4日 於透明殿 王仁校正)
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(743)に続く
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