霊界物語をメールで配信!(677)
霊界物語をメールで配信!第16巻(677)
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■第2篇 深遠微妙《しんゑんびめう》■
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■第11章 宝庫の鍵〔601〕 ■
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神素盞嗚《かむすさのを》の瑞霊《みづみたま》
国武彦《くにたけひこ》の厳霊《いづみたま》
三五教《あななひけう》の宣伝使
名さへ目出度き亀彦が
闇《やみ》を照らして英子姫《ひでこひめ》
悦子《よしこ》の姫と諸共に
鬼武彦《おにたけひこ》の守護《まも》りにて
さしもに猛き曲津神《まがつかみ》
鬼雲彦の一族を
言向《ことむ》け和《やは》し服従《まつろ》はぬ
数多《あまた》の鬼は四方八方《よもやも》に
雲を霞《かすみ》と逃げ散りて
鬼雲彦は雲に乗り
伊吹《いぶき》の山の方面に
逃げ失せたりととりどりの
高き噂を菊月《きくづき》の
空を照らして昇り来る
三五《さんご》の月の夕間暮《ゆふまぐれ》
秋山彦の門前《もんぜん》に
現はれ出《い》でたる二人の男女
覆面《ふくめん》頭巾の扮装《いでたち》に
四辺《あたり》を憚《はばか》り声低《こゑひく》に
そっと門戸《もんこ》を叩きつつ
頼《たの》も頼《たの》もと訪《おとな》へば
ハッと答へて出で来たる
加米公《かめこう》銀公《ぎんこう》の両人は
戸の隙間より垣間見て
二人の姿を怪しみつ
何人《なにびと》なるかと訊《たづ》ぬれば
声|淑《しと》やかに答へらく
われは日《ひ》の出大神《でのおほかみ》ぞ
行成彦《ゆきなりひこ》の神の宮
早く開けさせ給へかし
秋山彦の神司《かむつかさ》に
申し上ぐべき仔細あり
早く早くと急《せ》き立てて
何とはなしに落ちつかぬ
怪しき風情《ふぜい》に加米公《かめこう》は
口を尖らし怒鳴り立て
日の出神とは心得ぬ
三五の月の皎々《かうかう》と
上り初《そ》めたる夕間暮《ゆふまぐれ》
門戸を叩き訪《おとな》ふは
日暮の神に非ざるか
行成彦《ゆきなりひこ》とは嘘の皮
宿を失ひ行き詰まり彦の
醜《しこ》の命《みこと》の曲神《まがかみ》か
門は締めても秋山彦の
神の司《つかさ》の御館《おんやかた》
汝ら二人の胸の内
未《いま》だ開《ひら》かぬ曲津見の
醜《しこ》の容《い》れ【もん】砕け門
摺《す》った門だと申さずに
早く帰るがよからうぞ
日暮に門を叩く奴
ろくな奴ではあるまいぞ
用事があれば明日《あす》来たれ
この大門《だいもん》はわれわれが
夜昼寝ずに守る門
大門開きは日の出時
その日暮しの門番も
日暮の門は開かない
帰れ帰れと急《せ》き立つる。
高姫『十里四方は宮の内、大門《おほもん》開きの日《ひ》の出神《でのかみ》、
一時も早く秋山彦の御大将《おんたいしゃう》に、日の出神|行成彦《ゆきなりひ
こ》の神の御入来《ごじゅらい》と申し伝へよ、門番の分際として門の開閉を拒む
ことはなるまい、愚図々々致して、後で後悔するな、今宵に迫る当家《たうけ》の
大難、救ひの神と現はれた日の出神を何と心得る』
と慄ひを帯びた癇声《かんごゑ》を張り上げ、形相凄じく突っ立ち居る。
加米公『オイ銀公、ちょっと覗いて見よ、顔に白粉《おしろい》をべたりとつけて
何だか嫌らしい女が一人、青瓢箪《あをべうたん》のやうな面《つら》をした男が
一人だ。何でも大変なことがお館にあるので知らしに来たとか、この門|開《あ》
けねば明日になって後悔をするとか云って居る、どうしたらよからうかな』
銀公『何と云うても御主人様の云ひつけ、暮六《くれむ》つ過ぎたなら、何人《な
にびと》が来ても開けることはならぬとの厳命だ。ほっとけほっとけ』
加米公『それでも普通の人間ではない、神だとか云って居るやうだ』
銀公『神にも種々《いろいろ》ある、人を喰ふ狼もあれば曲津神もあり、鼻紙、塵
紙、尻拭き紙もあるワ、よう【かみ】分けて判断をせないと後になって歯【がみ】
をなして悔しがらねばならぬことが出来《しゅったい》するぞ、どれどれ一つ俺が
覗いて様子を調べてやらう』
銀公は門の隙間より片目を塞ぎ、片目を当てて覗きながら、
銀公『ハハハハハ、あいつア神に間違ひないが、薑《はじかみ》だ、咳嗽《せき》
や痰《たん》の薬なら持ってこいだ。よう何だか耳に口を当てて密々話《ひそひそ
ばなし》をやって居よるワ、あの顔色の青い男はあの女のハズバンドだな、気楽な
奴もあればあるものだ、人の門前に立って意茶ついて居やがる。お月さまに恥づか
しくは無いだらうかなア』
青彦『モシモシ、御館《おやかた》に対して今夜のうちに大事《だいじ》が突発致
します、一寸先は闇《やみ》の夜《よ》だ、われわれは天下を助ける宣伝使だ、ど
うぞ開けて下さい』
銀公『ナナナ何を吐《ぬか》すのだ、今夜のやうな明月《めいげつ》に、一寸先は
闇の夜だとはそれゃ貴様の心のうちのことだらう、用事があらば明日《あす》来い。
たとへこの館にいかなる変事が突発せうとも、貴様の容喙《ようかい》する所ぢゃ
ない、トットと帰れ』
高姫『左様では御座いませうが日の出神様より強《た》っての御神勅《ごしんちょ
く》、何はともあれ秋山彦の御主人にこの由《よし》お伝へ下さいませ』
銀公『アア仕方がないな、兎も角、御主人様に申し上げて来るから、それまで、貴
様はここに待ってけつかりませ、オイオイ加米公《かめこう》、俺が出て来るまで
邪が非でも開けてはならぬぞ』
と言ひ捨て奥を目がけて駆け出したり。
青彦『もしもし門番さま、早く開けないか、愚図々々して居るとお前の身の上が危
ないぞ。根《ね》の国|底《そこ》の国へ真っ逆様に落とされると可憐《かはい》
さうだから気をつけてやりたいと神様の御神勅で出て来たのだ』
加米公『神勅でも何でも主人の許しなきまでは開けられぬ、根の国底の国と云ふ地
獄に落ちるか知らぬが、地獄の沙汰も金次第だ、もしこの門あけて地獄にでも落ち
ては困るから、お前さまも何々を出しなさい、さうしたら開けて上げやう、金さへ
あれば地獄の釜の蓋《ふた》でも開《あ》くと云ふこと、鬼に酒代《さかて》をや
って地獄を逃れる分別をさせなくてはならぬから、サア出したり出したり、惚薬《
ほれぐすり》外《ほか》にないかとイモリに問へば指を輪にして見せたげな、イモ
リでさへもそれだもの、同じ水に住む加米公《かめこう》に円いものを出しなさい、
そっと開けてやるから』
高姫『サアこれだから瑞《みづ》の霊《みたま》の教《をしへ》は悪のやり方だと
云ふのだよ、門番までが金取り主義ぢゃ。これこれ青彦さま、この一事を見てもい
かに三五教が現金主義、利己主義、われよしのやり方と云ふことが分るぢゃないか。
お前さまもよい加減に目を醒まさぬと瑞《みづ》の霊《みたま》に尻の毛が一本も
無いところまで抜かれてしまひますぞゑ』
青彦『さうですな、隅から隅まで抜け目のないお前さまと思って居たのに、三五教
《あななひけう》はも一つ哥兄《あにき》ですなア』
加米公『エエ、愚図々々と出し惜しみをする奴だなア、どこの宣伝使か知らぬが、
三五教が銭払ひがよい、われわれのやうな門番のやくざものでも、こちらから何も
云はぬに小判の二枚や三枚はそっと懐中《ふところ》に入れてくれる、こいつはウ
ラナイ教と見えてこちらから露骨に請求しても出しやがらぬ吝嗇坊《けちんばう》
だ、それだから三五教の信者を自分が苦労もせずに掻き落としに回ってウラナイ教
に入れることばかり考へて居やがるのだ。オイオイ二人の宣伝使、忘れものはない
か、何かお前は忘れて居るだらう、渡し船に乗っても、はし銭が要るぢゃないか、
門を潜《くぐ》るのに何々で潜ると云ふ法があるか、エエ気の利かぬ宣伝使ぢゃな、
銀公の奴が居らぬ間に一つ権兵《ごんべ》るつもりで居たのに、先方《むかう》が
気の利かぬドンベイだから成功|覚束《おぼつか》なしと云ふものだ』
かかる所へ銀公は走り来たり、
『ヤア加米公、御主人の申つけだ、直ちに門を開いてお通し申せ』
『アアさうか』
と閂《かんぬき》を外し左右に開いて声を変へ、
加米『アアこれはこれは立派な立派な御神徳のありさうな二人の宣伝使様、私は奥
に急用あって居りませなかったものだから家来の奴、摺《す》った門だと理屈を申
し、吝嗇《けち》なことを申してお金を強請《ねだ》ったさうで御座います、決し
て、当家は三五教の信者ですから、上から下まで清浄潔白お金などは手に触れるの
も汚がって居るものばかりです、この頃|傭《やと》うた門番が一人御座いまして、
そいつが今までバラモン教の信者であったものですから、二つ目にはお金のことを
申しまして恥づかしう御座います、決して私が申たのでは御座いませぬ、悪しから
ず、御主人にお会ひになっても加米公《かめこう》が云ったのではないと弁解して
おいて下さい、兎角誤解の多い世の中、清浄潔白の加米公までが、門番の傍杖《そ
ばづゑ》を喰って痛くない腹を探られるのもあんまり心持ちのいい門ぢゃ御座いま
せぬ』
と初めの作り声をいつしか忘れて元の地声になってしまひける。
高姫『ホホホそれでも貴方《あなた》のお声がよく似てますナア、初めの方は違ふ
方かと思ひましたが、やっぱり最前のお声の持主、ようマアお化け遊ばすなア、大
化物《おほばけもの》の瑞霊《みづみたま》の乾児《こぶん》だけあって化けるこ
とは奇妙なものだ。ホホホホホ』
加米公はまたもや作り声になって、
『イエイエ決して決して、初めのうちは私の地声で御座いました、中途に新米門番
の生霊《いきりゃう》が憑《つ》きやがって云ったのです、それで新米門番そっく
りの声が出ました。アハハハハ』
と笑ひに紛らさうとする。
銀公『アハハハハ、地獄の沙汰も加米《かめ》次第だな』
加米公『地獄の沙汰も加米と銀公とで埒《らち》が明《あ》く世の中だ。アハハハ
ハ、サアサアお二人のお方、トットとお入り遊ばせ』
二人は定《きま》ったことだと云はぬばかりに大手を振り大股に意気揚々として、
のそりのそりとのさばり行く。二人は玄関にヌッと立って家の様子を覗き込むやう
な、覗かぬやうな体《てい》に聞き耳立てて居る。玄関の障子をさっと開いて現は
れ出でたる一人の男、
『オー貴方は高姫さま、青彦さま、この間は豪《えら》いお気の毒な御災難が御座
いまして、その後一度お見舞ひに参らうと思っては居ませぬが、随分お火傷《やけ
ど》なさいましたさうで、水責《みづぜめ》、火責《ひぜめ》、煙責《けぶりぜめ
》、眼から火の出の神様、青息吐息《あをいきといき》の顔真っ青な青彦さま、よ
うマア態々《わざわざ》、お尋ね下さりやがった。マアマア御遠慮がありますれば、
御用事無く、とっとと入りやがるな』
と云ふかと見ればプスリと姿は消えにける。二人は玄関に立ちながら、
高姫『これだから化物教《ばけものけう》だと云ふのだよ、青彦さま、これだから
私について実地教育を受けねば駄目だと云ふのだよ、日の出神の眼力《がんりき》
は違やしよまいがな』
青彦『本当にさうです、いやもう恐れ入谷《いりや》の鬼子母神《きしもじん》で
すワ』
高姫『ソンナ剽軽《へうきん》なことを云うてはなりませぬ。お前もどうやらする
と瑞《みづ》の霊《みたま》の悪霊《あくれい》に憑依されたと見える、ちっとし
っかりなさらぬかい』
このとき奥の方より紅葉姫《もみぢひめ》は淑《しと》やかにこの場に現はれ、
『これはこれはお二人のお方、夜中《やちう》にお越し下さいましたのは何か変っ
たことが在《おは》すのでは御座いませぬか、兎も角お上がり下さいまして御休息
の上、御用の趣《おもむき》仰せ聞け下さいませ』
高姫『左様ならば遠慮なく御免かうむります、サア青彦、貴方もついて来なさい、
随分気をつけて油断せぬやう眼《まなこ》を八方に配るのだよ』
紅葉姫『私方《わたくしかた》は三五教《あななひけう》の信者、善の道を遵奉す
るもの、御心配下さるな、滅多に陥穽《おとしあな》もありませぬ、また地の底に
魔窟ケ原《まくつがはら》のやうな隠れ場所も造っては御座いませぬ、マアゆっく
りと、安心して胴を据ゑて下さいませ』
高姫『この間は御主人様はお気の毒なことで御座いましたなア、どうぞ霊様《みた
まさま》なりと拝まして下さい、三五教を信仰なさってもやっぱり悪魔には叶はぬ
と見えます、大江山《おほえやま》の鬼雲彦《おにくもひこ》の部下《てした》に
捕へられ嬲殺《なぶりごろ》しにお遭ひなさったさうだが、私が聞いても涙が澪《
こぼ》れる、まして女房の貴女《あなた》、御愁傷のほどお察し申します』
と、そっと目に唾《つばき》をつけ、オンオンと空泣きに泣き立てる。青彦はポカ
ンとして紅葉姫の顔を見詰めて居る。高姫は青彦の裾をそっと引き、泣き真似をせ
よと合図をする、青彦はすこしも合点行かず、
『エ何ですか、私の着物に何ぞ着いて居りますか、甚《ひど》う引っ張りなさいま
すな』
紅葉姫『オホホホホ、それは御親切有り難う御座います、私の主人は無事帰って参
りました、これも全く三五教の御神徳で御座います、あまり三五教の勢力が強いの
で嫉《ねた》み猜《そね》みから、ウラナイ教とやらが出来て、そこら中を掻き回
して歩くと云ふことで御座います、よう人の真似の流行る世の中、人が成功したか
らと云うて自分がその真似をして向ふを張らうと思っても、身魂《みたま》の因縁
性来《いんねんしゃうらい》で到底思惑は立つものぢゃありませぬ、貴女はウラナ
イ教の宣伝使とお見受け致しますが、一体ウラナイ教はドンナ教《をしへ》で御座
いますか』
高姫『三五教はあれは元はよかったが、今はさっぱり駄目です、三五教の誠|生粋
《きつすゐ》の根本《こっぽん》は、日の出神の生宮《いきみや》、この高姫が何
もかもこの世の開《ひら》けた根本《こっぽん》の初まりから、万劫末代《まんが
ふまつだい》の世のこと、何一つ知らぬと云ふものはないウラナイ教です、それだ
から誰にも聞かずにお家《うち》の御主人秋山彦様の御遭難もチャンと分って居る
のです、ナンとウラナイ教は立派なものでせうがナ』
紅葉姫『死ンでも居ないわが夫秋山彦を死人扱ひなさるのは、いかにもよく分った
偉い神様ですなア、秋山彦はピンピンして居りますよ』
高姫『それは貴女|身魂《みたま》の因縁をご存じないからソンナ理屈をおっしゃ
るが、三五教で一旦|大江山《おほえやま》に囚はれ死ンだところを、この高姫が
日の出神の水火《いき》を遠隔の地よりかけて、神霊の注射をやったから生き返っ
たのだよ、サアこれからは心を改めてウラナイ教に改宗なされ』
紅葉姫『朝日は照るとも曇るとも、月は盈《み》つとも虧《か》くるとも、たとへ
大地は沈むとも、三五教は世を救ふ、誠の神の御教《おんをしへ》、ウラナイ教は
どうしても虫が好きませぬ、合縁奇縁《あひえんきえん》蓼喰《たでく》ふ虫も好
き好き、えぐい煙草の葉にも虫がつく、改宗するのは見合しませう、いや絶対に嫌
ですワ、ホホホホホ』
奥の方より秋山彦の声がして、
『紅葉姫、紅葉姫』
と聞こえ来たる。
『ハイ』と答《こた》へて紅葉姫は二人に軽く会釈して奥の間さして進み入る。
二人は紅葉姫《もみぢひめ》の後ろ姿を目送《もくそう》しながら眼を転じて額
《がく》を見れば、額の裏に鍵の端が現はれて居る。高姫は立ち上がり、手に取り
見れば冠島《かむりじま》沓島《くつじま》の宝庫の鍵と記されてある。高姫はニ
ヤリと笑ひ、これさへあれば大願《たいぐわん》成就と手早く懐中に捻ぢ込み素知
らぬ顔、青彦はがたがた慄ひ出し、
青彦『もしもし高姫さま、ソソそれは何と云ふことをなされます、当家《たうけ》
の什物《じふもつ》を貴女の懐中にお入れ遊ばすとは合点が参りませぬ』
高姫『シーツ、エエ融通の利かぬ男だな、日の出神の御命令だ、此家《ここ》に冠
島《かむりじま》沓島《くつじま》の鍵を持って居ることは天眼通《てんがんつう
》でチャンとにらみてある、これをかぎ出す為にやって来たのだよ、サアサア今の
うちに夜に紛れてここを立ち去り船を拵《こしら》へ冠島《かむりじま》に渡りま
せう』
と先に立って行かむとする。
青彦『一応当家の方々に御挨拶を申し上げねばなりますまい、何だか心懸りでなり
ませぬわい』
高姫『エエ合点の悪い、愚図々々して居る時ぢゃない、時期切迫間髪を容れずと云
ふこの場合だ。大功《たいこう》は細瑾《さいきん》を顧《かへり》みず細君《さ
いくん》は夫を顧みず、神国《しんこく》成就の為に沐雨櫛風《もくうしっぷう》、
獅子奮迅《ししふんじん》の大活動、早く御座れ』
と裏門よりそっとこの家《や》を逃げ出したり。秋山彦邸内の者は一人として二人
の者の逃走せしことに気が付かざりける。二人は由良《ゆら》の港に駆けつけ一艘
の小船を○○《まるまる》し、青彦は艪《ろ》を操り、高姫は櫂《かい》を漕ぎ一
生懸命月照る海原《うなばら》を漕ぎ出したりける。
(大正11年4月15日 旧3月19日 加藤明子録)
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