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2008/07/09

霊界物語をメールで配信!(676)

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霊界物語をメールで配信!第16巻(676)
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■第10章 白狐《びゃくこ》の出現〔600〕 ■
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 八洲《やしま》の国を駆け巡《めぐ》り
   この世を曇らす自在天《じざいてん》
 自由自在の活動を
   続けてここに婆羅門《ばらもん》の
 大棟梁《だいとうりゃう》と仰がれし
   鬼雲彦《おにくもひこ》の猛将も、

 最愛の妻の非業の最後にまたもや続いて子女の浅ましきこの姿を見て胸も張り裂
くばかり、魂《こん》消え、魄《はく》亡びる如き心地しながらドッカとその場に
打ち倒れ無念の涙にくれ居たり。鬼彦《おにひこ》は肩を揺すりながら大口《おほ
ぐち》開けて高笑ひ、
『アハハハハ、われこそは鬼彦とは詐《いつは》り誠は大江山《たいかうざん》に
現はれし白狐《びゃくこ》の鬼武彦《おにたけひこ》、汝|悪神《あくがみ》の計
略を根底《こんてい》より覆へさむと千変万化の活動を続け、神素盞嗚《かむすさ
のを》の大神の大命《たいめい》を奉じ、汝が一類を征服に向うたり、汝が力と恃
《たの》む鬼彦は魔窟ケ原《まくつがはら》の岩窟に匿《かくま》ひあれば汝が神
力《しんりき》をもって索《もと》め出せよ、さりながら彼は最早汝の意志に従ふ
者に非ず、立派なる三五教《あななひけう》の信者となりて居るぞ、汝が妻と見え
しは汝が眼の誤り、わが眷族《けんぞく》の名もなき白狐の変化《へんげ》』
と言葉終らずに鬼雲姫《おにくもひめ》はたちまち巨大なる白狐となってノソリノ
ソリと這《は》ひ始め、鬼雲彦に向って眼を光らせ牙を剥《む》き飛びかからむと
する勢ひを示し居る。鬼虎《おにとら》はまたもや威丈《ゐだ》け高《だか》に胸
を打ちながら大口|開《あ》けて高笑ひ、
『アハハハハ、われこそは大江山《たいかうざん》に現はれて四方《よも》の魔神
《まがみ》を征服し言向《ことむ》け和《やは》す神の使ひ、旭《あさひ》の白狐
が化身なるぞ、汝が力と恃《たの》む四天王の随一と聞こえたる鬼虎は前非《ぜん
ぴ》を悔い今は三五教の信者となれり、魔窟ケ原の岩窟に匿《かくま》ひあれば未
練あらば汝自由に岩戸を開いて面会せよ、汝が伜《せがれ》と見えたるは、これも
白狐の化身なり、汝が妻子は手段《てだて》をもって、あるところに匿《かく》ま
ひあれば改心次第にて親子夫婦の対面を許しくれむ』
と言葉終らぬにまたもや一つの網代籠《あじろかご》よりノソノソ這ひ出た巨大の
白狐、以前の如く鬼雲彦が身辺に目をいからし牙を剥きつつ進み寄る。熊鷹《くま
たか》はまたもや立ち上がり、
『われこそは神素盞嗚《かむすさのを》の大神の立てさせ給ふ三五《あななひ》の
教《をしへ》に仕《つか》ふる白狐の高倉《たかくら》、熊鷹と見えしはこの方《
はう》が化身』
と言葉終らぬにまたもや這ひ出た巨大の白狐、同じく鬼雲彦に向って襲ひ行く。石
熊《いしくま》はまたもや立ち上がり、
『われこそは月日明神《つきひみゃうじん》と名を頂きし常夜《とこよ》の国の大
江山《たいかうざん》に現はれたる白狐《びゃくこ》なるぞ、汝は今より前非を悔
い婆羅門教《ばらもんけう》を振り棄てて三五《あななひ》の神の教に信従するか、
違背に及ばば大江《おほえ》の山は木端微塵《こっぱみぢん》に踏み砕き、草の片
葉に至るまで焼き亡ぼさむ、返答いかに』
と詰めかける。またもや一つの駕籠よりは巨大の白狐現はれて鬼雲彦を前後左右よ
り取り巻きコンコンと啼《な》き立てながら改心を迫る。鬼雲彦はたちまち精神錯
乱して大刀《だいたう》を引き抜き前後左右に荒れ狂ひ、館を後に木の茂みを指し
て姿を隠したり。数多の従卒《じゅうそつ》どもは鬼雲彦が後を追ひ、山を越え谷
を渉《わた》り鬼ケ城山《おにがじゃうざん》の方面さして力限りに遁走《とんそ
う》したりける。
 鬼ケ城山《おにがじゃうざん》の方面より亀彦を先登《せんとう》に英子姫《ひ
でこひめ》、悦子姫《よしこひめ》は宣伝歌《せんでんか》を謡ひながらこちらに
向って前進し来たる。さすがの鬼雲彦も前後に敵を受け死物狂ひの勇気を現はし、
長刀《ちゃうたう》を引き抜いて亀彦目がけて斬ってかかるを、心得たりと亀彦は
右に左に身を躱《かは》し飛鳥《ひてう》の如く挑み戦へば鬼雲彦は踵《きびす》
を返し、もと来し道を一目散に帰り行く。数多の従卒はわれおくれじと三十六計の
奥の手を出して散り散りバラバラ、足に任せて逃げて行く。いつの間にやら鬼雲彦
はまたもや本城の門前に帰り来たりぬ。門内には鬼雲姫《おにくもひめ》が叫び声、
『鬼雲彦の夫はあらざるか、虎彦、亀彦、山姫《やまひめ》、河姫《かはひめ》は
何所《いづこ》ぞ』
と身をもがき声を限りに叫び居る。鬼雲彦は息も絶え絶え門戸《もんこ》を敲《た
た》き、
『ヤアさう言ふ声は女房なるか、俺は無事にここまで帰って来たぞよ。鬼武彦《お
にたけひこ》はどうなった、白狐の奴らはどこへ行った、返答せよ』
と怒鳴り立てる。鬼雲姫は門内より、
『アア恋しきわが夫、よくも無事に帰らせ給ひしぞ』
と中より門をさっと押し開き鬼雲彦が手を執って奥へ奥へと進み行く。あまりの嬉
しさに足許見えず鬼雲姫は夫の手を携へたるまま、かねて穿《うが》ちおいたる城
内の井戸に夫婦ともどもにドスンとばかり陥《おちこ》みぬ。大江山《おほえやま
》の本城は敵も味方も影を隠し幽《かす》かに鼠《ねずみ》の泣き声のみ聞こえ居
る。門前には大江山の山颪《やまおろし》、岩も飛べよとばかり吹き荒《すさ》み
ゐる。月は早《はや》西に没し黒雲《こくうん》四辺《しへん》を包み咫尺《しせ
き》を弁ぜず、暗黒の帳《とばり》は下ろされたり。鬼雲彦夫婦は千仭《せんじん
》の井戸の底に数多の蝮《まむし》と諸共に世間知らずの楽隠居、否《いな》蝮地
獄《まむしぢごく》の苦しき生活哀れなりける次第なり。
 かかるところへ後《あと》追ひ来たる亀彦はツカツカと門内に進み入り城内|隈
《くま》なく探せども人影さへも見えざれば如何《いかが》せしやと三人は四辺《
あたり》に心を配りつつ窺ふ折しも井戸の底より怪しき叫び声、はて訝《いぶ》か
しやと手燭《てしょく》を点《とぼ》して覗へば紛ふ方なき鬼雲彦が夫婦の者、九
死一生のこの苦しみを見るに見かね館の井桁《ゐげた》に太縄《ふとなは》を打ち
掛けツルツルと井中《ゐなか》に釣り下ろせば、鬼雲彦夫婦は無我夢中になって手
早くこの綱に跳び付くや否や綱はツルツルと何物にか引き上げられて再び旧《もと
》のところへ帰り行きぬ。暗《やみ》を通して聞こゆる三五教の宣伝歌、鬼雲彦夫
婦は叶はぬ時の神頼み、婆羅門教《ばらもんけう》の神歌を唱へ声を限りに哀願す
る。一方鬼武彦は先に据ゑ置きたる千引《ちびき》の岩を取り除き岩蓋《いはぶた
》をサッと開けば待ちかねたる如く現はれ来たる鬼彦、鬼虎、熊鷹、石熊その他数
多の帰順せし人々は、枯木に花の咲きしが如く喜び勇み、大江山の本城目がけて帰
り来たりぬ。
 東《あづま》の空はホンノリと白み初《そ》め、明けの鵲《からす》がカアカア
と啼《な》き初めたり。やうやく山上の鬼雲彦が門前に立ち帰れば亀彦、英子姫、
悦子姫《よしこひめ》の三人に取り巻かれ、鬼雲彦夫婦は何事か説諭を受けつつあ
りぬ。鬼彦初め一同は亀彦一行に一礼し天津祝詞《あまつのりと》を奏上し三五教
の宣伝歌を声を揃へて宣りつれば、鬼雲彦夫婦は居たたまらず館を捨てて一目散に
雲を霞《かすみ》と駆け出し伊吹山《いぶきやま》の方面を目がけて天《あま》の
岩船《いはふね》に手早く打ち乗り夫婦諸共|中空《ちうくう》を翔《かけ》り行
く。
 亀彦、英子姫、悦子姫は、鬼武彦の神を言霊《ことたま》をもってさし招けばた
ちまち昼の天を掠《かす》め白煙《はくえん》となりて南方より現はれ来たりたち
まち三人の前に英姿を現はしたり。
亀彦『ヤア鬼武彦殿、貴下の活動天晴れ天晴れ、われはこれより聖地に向って再び
進まむ。貴下はここに留《とど》まり給ひて、旭、高倉、月日の諸使《しょし》と
共に悪魔征服の守護をなし給へ』
鬼武彦『委細承知|仕《つかまつ》る、当山は天下の邪神集まり来たる霊界の四辻
なれば国武彦《くにたけひこ》の大神、以前の如く国治立《くにはるたち》の大神
と現はれ給ひ、神素盞嗚大神《かむすさのをのおほかみ》、瑞《みづ》の御霊《み
たま》と現はれて、神政成就の暁《あかつき》まで代る代る当山を守護し奉《たて
まつ》らむ、われわれここにあらむ限りは豊葦原《とよあしはら》の中津国《なか
つくに》なる自転倒島《おのころじま》は先づ先づ安心なされたし、貴下は素盞嗚
の大神様の御後《おんあと》に従ひ天下に蟠《わだかま》る八岐《やまた》の大蛇
《をろち》を言向《ことむ》けて神政復古の神業に奉仕されよ、万一|御身《おん
み》の上に危急のことあらば土地の遠近《をちこち》を問はず、鬼武彦、旭、高倉、
月日の名を呼ばせ給へば、時刻を移さず出張応援|仕《つかまつ》らむ』
 亀彦、英子姫、悦子姫は一度に満足の意を表し鬼武彦の千変万化の神業《かむわ
ざ》を激賞しここに目出度く袂《たもと》を分かち東を指して進み行く。
(大正11年4月14日 旧3月18日 北村隆光録)
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(677)に続く
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