2009/12/02
著作権判例速報-スピーカ測定システム事件-
◆◇著作権判例速報◇◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ こんにちは!駒沢公園行政書士事務所日記メルマガです。 http://ootsuka.livedoor.biz/ 最高裁判所ウェブサイト掲載日09/11/30(謝意:裁判所判例Watch) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ スピーカ測定システム事件 東京地裁平成21.11.9平成20(ワ)21090著作権侵害差止等請求 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20091130155342.pdf *キーワード:営業秘密、創作性、複製権、使用料相当額 -------------------- ■事案 退職従業員によるスピーカ測定システムに関する営業秘密 不正利用行為性と著作権侵害性が争点となった事案です(一部認容)。 原告:音響機器製造販売会社 被告:原告元従業員 -------------------- ■結論 請求一部認容 -------------------- ■争点 条文 著作権法21条、114条3項、不正競争防止法2条1項7号 1 不正競争防止法2条1項7号該当性 (----) 2 被告ソフトウェアの著作権侵害の有無(肯定) 3 原告の許諾の有無 (否定) 4 差止め等の請求の可否 (肯定) 5 損害賠償請求の可否及びその額 (肯定) -------------------- ■判決内容 <争点> 1 不正競争防止法2条1項7号該当性 被告元従業員は、原告会社を退職後スピーカ測定器とこれ を稼働させるソフトウェア(被告システム)を販売しまし た。 この点について、不正競争防止法の論点に関してまず被告 の製造販売行為の不正競争行為性(保有営業秘密の不正使 用)として原告のスピーカ測定システムに関する情報(回 路図やソースコード)が営業秘密にあたるかどうかが争点 となっています(15頁以下)。 この点について裁判所は、 (1)回路図など 「原告システムに関する情報」の具体例として原告が主張 する回路図を含め内容が明らかにされておらず特定されて ないこと、また秘密管理性も認めるに足りる証拠はないと して、営業秘密性を否定。 (2)ソフトウェアのソースコード 「原告システムに関する情報」のうちソフトウェアのソー スコードについては、著作権侵害の争点での被侵害利益と 全く同一であることなどから、まず著作権侵害の有無、差 止め等の範囲を検討するとして不正競争防止法の争点につ いては判断をしていません。 結論としては、ソフトウェアのソースコードに関して著作 権侵害性及びそれに基づく差止め等が認められており、不 競法違反の請求については判断されていません(27頁)。 ------------------ 2 被告ソフトウェアの著作権侵害の有無 1.原告ソフトウェアの著作物性及び原告の著作権 そこで被告ソフトウェアの著作権侵害の有無について、ま ず、原告ソフトウェアの著作物性については、創作性(著 作権法2条1項1号)があると判断されています(17頁)。 そして法人著作(15条2項)の点から原告が原告ソフトウェ アの著作者、著作権者であると認定されています。 2.著作権(複製権)の侵害 被告ソフトウェアが原告ソフトウェアに依拠していること が認められ、また原告ソフトウェアと被告ソフトウェアが 同一又は類似していることが認められるとして著作権侵害 性が肯定されています(18頁以下)。 ------------------ 3 原告の許諾の有無 被告は、スピーカ測定器を製造することを原告関係者に伝 えていることや原告社員との共同開発の事実をもって、原 告の許諾があったと主張しましたが、裁判所に容れられて いません(20頁以下)。 ------------------ 4 差止め等の請求の可否 被告計測器については、差止め等の必要が認められません でしたが、被告ソフトウェアについては、複製・販売の差 止め及びそれを格納した記憶媒体の廃棄が認められていま す(著作権法112条 22頁以下)。 ------------------ 5 損害賠償請求の可否及びその額 裁判所は著作権侵害について、被告に少なくとも過失があ ったと認めた上で損害論については、著作権法114条3項 (使用料相当額)により、 被告システムの販売額160万円×50%(被告システムにおいて 被告ソフトウェアが占める価値)×実施料率5%=4万円 そして弁護士費用5万円の合計9万円を損害額と判断してい ます(24頁以下)。 -------------------- ■コメント 営業秘密情報(ソフトウェアのソースコード)の不正利 用を不正競争防止法と著作権法で検討した事案です。 結論としては、ソフトウェアの無断利用が認められまし たが、被告システムの販売先の一つが原告の関連会社で あったり(11頁)と、提訴に至る背景事情に何かしらあ ったのかもしれません。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 後記:早くも12月。あっという間の1年です(去年も同じ 感慨を書いたような)。慌ただしさが一段と増す 今日この頃です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼企業内イントラネット配信、業務・勉強会資料にご自由 にお使い下さい。皆様と著作権問題について認識を共有で きれば幸甚です。 執筆者:行政書士 大塚 大 大塚法務行政書士事務所 東京都世田谷区駒沢5-12-7 TEL:03-3703-7076 E-mail:houmu@pc.nifty.jp http://ootsuka-houmu.com http://twitter.com/ootsuka ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


