2009/11/06
著作権判例速報-GLAY著作権事件-
◆◇著作権判例速報◇◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ こんにちは!駒沢公園行政書士事務所日記メルマガです。 http://ootsuka.livedoor.biz/ 最高裁判所ウェブサイト掲載日09/11/5(謝意:裁判所判例Watch) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ GLAY著作権事件 東京地裁平成21.10.22平成19(ワ)28131著作権確認等請求事件 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20091105164235.pdf *キーワード:著作権譲渡契約、弁済の提供、解除、印税、 短期消滅時効 -------------------- ■事案 音楽著作権印税支払い遅延を理由とする著作権譲渡契約の 解除の成否及び音楽著作権の帰属などが争点となった事案 原告:GLAYメンバーの音楽事務所、音楽出版社ら 被告:元専属音楽出版社 -------------------- ■結論 請求一部認容 -------------------- ■争点 条文 民法541条、704条、493条但書、174条2号 1 著作権譲渡契約の解除の成否(肯定) -------------------- ■契約関係 【専属契約】 専属料50万円 出演料、商品化許諾料等20% 【著作権譲渡契約書】 著作権印税割合 原告:被告=2/3:1/3 【合意内容】 著作権印税配分 作曲5/16(実際の作曲者)、その他のメンバー1/16 作詞5/16(実際の作詞者)、その他のメンバー1/16 【原盤契約】 原告エクストリーム原盤印税: 小売価格×倉庫出荷数量80%×ジャケット代控除率15%×原盤印税率15% 【GLAYに関する原盤等権利の譲渡契約書 第1条】 (略) ------------------ ■判決内容 <争点> 1 著作権譲渡契約の解除の成否 音楽著作権がGLAYメンバー(作詞、作曲)→GLAYメンバーの 原告音楽事務所ら→原告ラバーソウル(現在の音楽出版社) という流れで移転しており、現状で原告ラバーソウルに帰属 していることの確認の前提として、GLAYメンバーらと被告音 楽出版社との間の従前の著作権譲渡契約が有効に解除され、 音楽著作権がGLAYメンバーに帰属していたかどうかが争点と なっています。 楽曲の著作権譲渡契約の解除については、約定の支払期限が 経過し、債務(印税)の提供がなく、催告の上解除の意思表 示がされていることから有効に解除は成立。 そして、著作権譲渡契約の規定(19条、21条)に基づき音楽 著作権がGLAYメンバーに帰属したと裁判所は判断しています (32頁以下)。 結論として、原告ラバーソウルの著作権帰属の確認請求を認 容、金銭債権についても合計6億7097万円余を認めています。 なお、履行遅滞や解除に対する被告の抗弁として、 (1)弁済の提供(民法492条、493条但書)があったこと (2)解除権の濫用(民法1条3項)であること (3)消滅時効(労働基準法115条)「賃金」2年間で 短期時効消滅 (4)消滅時効(民法174条2号)「演芸を業とする者の報酬」等 1年間で短期時効消滅 これらの点を挙げましたが、いずれも裁判所に容れられてい ません(34頁以下)。 -------------------- ■コメント 音楽アーティストさんが専属事務所や専属出版社から離れる場合、 出版権(音楽著作権)と原盤権(著作隣接権)を全てアーティス トさん側が回収する場合と、それらの権利(一部又は全部)を残 したまま移籍する場合など様々なケースがあるかと思います。 契約途中で出版権もアーテストさん側に取り戻すとなると、それ こそ出版社側とハードな交渉(移籍料なども含め)になるかと想 像されます。 ところで、専属契約上の債務不履行を根拠に解除をした場合は、 音楽著作権譲渡契約への影響(牽連性)やどこまで権利を回復で きるか(解除の効果)、アーティストさんと専属先との最初の契 約書内容がそれこそ肝心となります。 もっとも、GLAY事件では、印税支払い遅延があって、音楽著作権 譲渡契約書(19条-契約違反-、21条-契約終了後の著作権の帰属- の規定振りから、たぶん、MPAフォーム利用)に基づく債務不履 行解除をしたというシンプルな事案ですので、契約論としては (抗弁事由はともかくとして)あまり複雑ではありません。 インディーレーベルで、契約書がなかったり、専属契約と著作権 譲渡契約と原盤契約がごちゃまぜになっている契約書があるとき の移籍や解除、合意解約が要注意となります。 なお、GLAY事件の交渉の過程で作成された「GLAYに関する原盤等 権利の譲渡契約書」に関して、その記載内容が争点となってしま っていますが(被告の抗弁-解除権の濫用-35頁以下)、被告から の原案提案とはいえ(24頁)、合意文書として著作権(楽曲)と 著作隣接権(原盤)を区別して明記できなかったのか、ちょっと 判然としないところです。 本判決の実務上参考になる点としては、金銭債権の消滅時効に関 連して専属契約上の報酬が「賃金」にあたらない事例であったこ と(GLAYの労働者性否定)、専属報酬、著作権印税、原盤印税な どの金銭債権が短期消滅時効(1年間)にかからない性質の債権 (商事債権で5年)であるとの判断が挙げられるかと思います。 -------------------- ■過去のブログ記事 2006年8月10日記事 GLAY楽曲著作権紛争 http://ootsuka.livedoor.biz/archives/50568566.html -------------------- ■参考サイト GLAY HAPPY SWING SPACE SITE(音が出るので注意) http://www.glay.co.jp/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 後記:ここ数日で急に東京も寒くなってきています。 さて、社労士業務でいつもお世話になっている佐佐木由美子 先生がサイトをリニューアル。ステキな先生の画像もアップ されました。 メルマガも発行されておいでですので、ご購読いただけたら と思います。http://www.sasaki-sr.net/mm.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼企業内イントラネット配信、業務資料、勉強会資料に ご自由にお使い下さい。お一人でも多くの方と著作権 問題について認識を共有できれば私としても幸甚です。 執筆者:行政書士 大塚 大 大塚法務行政書士事務所 東京都世田谷区駒沢5-12-7 TEL:03-3703-7076 E-mail:houmu@pc.nifty.jp HP:http://ootsuka-houmu.com ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


