2009/10/07
著作権判例速報-黒澤明監督作品格安DVD(対角川)事件(控訴審)-
◆◇著作権判例速報◇◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ こんにちは!駒沢公園行政書士事務所日記メルマガです。 http://ootsuka.livedoor.biz/ 最高裁判所ウェブサイト掲載日09/10/5 (謝意:裁判所判例Watch) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 黒澤明監督作品格安DVD(対角川)事件(控訴審) 知財高裁平成21.9.15平成21(ネ)10042損害賠償請求控訴事件 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20091005132106.pdf *キーワード:損害論、保護期間、著作者 -------------------- ■事案 黒澤明監督「羅生門」「静かなる決闘」映画作品の保護期間を めぐり映画の著作者が黒澤監督なのか映画会社であるのかが争 われた事案の損害賠償請求別訴の控訴審です(一部控訴)。 原告(控訴人) :角川映画株式会社 被告(被控訴人):格安DVD製造販売会社 -------------------- ■結論 原判決変更 -------------------- ■争点 条文 著作権法2条1項2号、21条、113条1項1号、114条3項、 旧法3条、6条 1 映画の存続期間の満了時期-映画の著作者はだれか 2 原告は映画の著作権を有するか 3 被告の故意又は過失による侵害行為の有無 4 損害の有無及びその額 -------------------- ■判決内容 <争点> 1 映画の存続期間の満了時期-映画の著作者はだれか 2 原告は映画の著作権を有するか 3 被告の故意又は過失による侵害行為の有無 争点1~3について、結論としては原審の判断を維持しています (4頁以下)。 ------------------ 4 損害の有無及びその額 原告角川映画は、原告DVDの標準小売価格4700円(/1本)、4万 本輸入、使用料率20%の合計3760万円を損害額として主張して いました(著作権法114条3項)。 しかし、原審裁判所では被告DVD1本あたりの使用料相当額につ いて被告DVDの小売価格の20%に相当する額として、小売価格1 800円(/1本)×輸入販売数2000本×0.2=72万円が損害額と認 定するにとどまっていました(原判決31頁)。 そこで、原告は、著作権法114条3項にいう「著作権の行使につ き受けるべき金額の額に相当する額」については、すでに市場 で販売されていて真正品についてライセンス料を取得している 場合は、著作権者が真正品1個あたりにライセンシーから得て いる金額と同額以上であるべきであるとして、原告と第三者と の間で締結されていたDVD使用許諾契約書を根拠として4700円 ×現実の使用料率×2000本の損害額を主張しました(5頁以下)。 この点について、控訴審裁判所は、原告の主張を容れています。 -------------------- ■コメント 原告角川映画は、一審では映画コンテンツのロイヤリティ(使 用料率)について、一般的な相場(20~25%)を根拠に原告DV Dの標準小売価格の20%は下らないと主張していましたが、控 訴審では、具体的な第三者とのライセンス契約を根拠とした結 果、損害額の上乗せに成功しています。 いずれにせよ他社とのライセンス契約内容が伏せ字とはいえ一 部開示されるため、その取扱いが難しいのかもしれません。 *その他の格安DVD販売事件での損害額の算定状況 ・チャップリンモダンタイムス事件控訴審 著作権法114条3項:一般的な相場を主張 被告DVD価格×25%×譲渡数量 ・「暁の脱走」格安DVD事件(対東宝) 著作権法114条3項:一般的な相場を主張 被告DVD価格×20%×譲渡数量 ・「姿三四郎」格安DVD事件(対東宝) 著作権法114条3項:一般的な相場を主張 被告DVD価格×30%×譲渡数量 ・黒澤明監督作品格安DVD事件(対松竹)控訴審 著作権法114条1項:(原告DVD価格-経費)×譲渡数量 -------------------- ■過去のブログ記事 原審(2009年5月14日記事) 黒澤明監督作品格安DVD(対角川)損害賠償請求事件 http://ootsuka.livedoor.biz/archives/51859801.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 後記:今朝の東京は弱い雨となっていますが、あすは台風 かもしれません。皆様どうぞお気を付けください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼企業内イントラネット配信、業務資料、勉強会資料に ご自由にお使い下さい。お一人でも多くの方と著作権 問題について認識を共有できれば私としても幸甚です。 執筆者:行政書士 大塚 大 大塚法務行政書士事務所 東京都世田谷区駒沢5-12-7 TEL:03-3703-7076 E-mail:houmu@pc.nifty.jp HP:http://ootsuka-houmu.com ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


