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最高裁判所サイト公表最新著作権判例について行政書士が紹介。06年4月開始。法務,不正競争防止法,ライセンス,フランチャイズ事件も駒沢公園blogで掲載中。知的財産権,知的資産,音楽,法律,イラスト,プログラム,ソフト,広告代理店,出版,起業,営業秘密,業務委託契約書,弁理士,弁護士

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2009/09/07

著作権判例速報-新しい歴史教科書」出版差止事件-

著┃作┃権┃判┃例┃速┃報┃
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 こんにちは!駒沢公園行政書士事務所日記メルマガです。

 最新著作権判例について簡易版でお伝えします。

 *事案の詳細はブログをご覧下さい。
  Blog:駒沢公園行政書士事務所日記
     http://ootsuka.livedoor.biz/

 *この事案の裁判所ウェブサイト掲載日09/9/2
   (謝意:裁判所判例Watch)

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    「新しい歴史教科書」出版差止事件


東京地裁平成21.8.25平成20(ワ)16289書籍出版等差止請求事件
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090902165119.pdf

*キーワード:著作物性、創作性、共同著作物、結合著作物、
       出版契約、当事者意思解釈

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■事案

「新しい歴史教科書をつくる会」の会員らが執筆した中学校歴史
教科書などについて出版許諾契約の終了を理由に出版販売差止を
求めた事案です。(否定)

原告:「新しい歴史教科書をつくる会」会員ら4名
被告:出版社

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■結論

請求棄却

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■争点

条文 著作権法2条1項1号、12号

1 原告らの有する著作権の対象及び内容
2 本件許諾契約における発行期間についての合意内容
3 本件許諾契約の合意解約の有無     (否定)
4 本件許諾契約が解除により終了するか否か(否定)

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■判決内容

<争点>

1 原告らの有する著作権の対象及び内容

保守的な歴史教科書の普及を目指す「新しい歴史教科書をつくる会」
(つくる会)の原告会員ら4名が、本文やコラムなど執筆した記述が
掲載された中学校用歴史教科書等の出版について、記述した部分に
関する出版許諾契約が平成22年3月をもって終了したとして被告出版
社に対して平成22年3月1日以降の教科書等の出版、販売及び頒布の
差止を求めました。

まず、出版許諾契約の対象となる本件記述の著作物性について検討が
加えられています。

 1.本件記述の著作物性

本件記述の著作物性について、裁判所は著作権法2条1項1号(著作物)
の意義を述べた上で、本件記述の著作物性(創作性)を肯定していま
す(51頁以下)。

なお、82個の単元やコラム、課題学習については、教科書の他の部分
と分離して利用することが可能であり、各単元やコラムが一体として
の共同著作物(著作権法2条1項12号)ではなく、結合著作物であると
判断しています(52頁)。

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 2.本件記述の著作者等

次に、本件記述の著作者等について、裁判所は、原告ら4名は少なくと
も著作者の一人であって、著作権を有すると認めています(52頁以下)。

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2 本件許諾契約における発行期間についての合意内容

教科書の発行期間(使用期間)についての当事者間の合意内容(口頭
で締結された出版許諾契約の内容)について、裁判所は、

『本件許諾契約締結当時,当事者間においては,本件教科書(本件書
籍)の発行期間につき,本件教科書の改訂が行われ,改訂された新し
い教科書が発行されるまで,と定められていたと認めるのが相当であ
る』

と判断しています(54頁以下)。

結論として、平成20年に改訂された学習指導要領が平成24年度に施行
されることとの関係から、本件書籍の発行期間は平成23年度(平成24
年3月末日)までであるとされています(63頁)。

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3 本件許諾契約の合意解約の有無 (否定)

原被告間では何通かの通知書でのやりとりがありましたが、その通知
書によって出版許諾契約が合意解約されたものかどうかが争われまし
た。

しかし、結論としては、合意解約は認められていません(64頁以下)。

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4 本件許諾契約が解除により終了するか否か (否定)

契約解除の成否について、原告に信義則上解除権を認めるべき事情の
変更があったとは認められないとして、解除権行使による出版許諾契
約の終了を裁判所は認めていません(66頁)。

結論として、原告らが求めた平成22年3月1日以降の本件記述を含む教
科書等の出版、販売及び頒布の差止は認められませんでした。

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■コメント

教科書検定制度や教科書の「寿命」(使用期間)が良く分かる事案で
す。

教科書作りにあたって当事者間では口頭で出版契約が締結されていま
したが、使用期間(発行期間)については業界慣行などから次期改訂
教科書発行までと判断されました。

「つくる会」は、会長人事などを巡って混乱し、有力メンバーの一部
が分裂して「日本教育再生機構」を設立したことから、被告出版社は
従来通りの教科書編集出版作業をすることができなくなってしまい、
改訂版の取扱いについては別会社(育鵬社)を立ち上げるなど対応に
追われることとなりました。
今後の新しい教科書については、「つくる会」は自由社で、「日本教
育再生機構」は育鵬社で出版するカタチとなったわけです。

いずれにしても、教科書関連書籍である教師用指導書や副教材(ドリ
ル)などの制作にも影響が生じるでしょうから、出版社も大変です。

なお、「つくる会」は本件訴訟について控訴しないことを表明してい
ます(後掲「新しい歴史教科書をつくる会」ウェブサイト参照)。

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■参考サイト

・新しい歴史教科書をつくる会
つくる会Webニュース第264号(平成21年9月3日記事)
つくる会が採択結果について「声明」を発表
「つくる会歴史教科書」が2万冊を突破!
著作権訴訟は大局的見地から「控訴せず」
http://www.tsukurukai.com/01_top_news/file_news/news_264.htm
・教科書改善の会 中学校教科書採択結果を受けてコメントを公表
(2009年9月4日記事)
http://kyoukashokaizen.blog114.fc2.com/blog-entry-54.html
・日本教育再生機構
http://www.kyoiku-saisei.jp/
・育鵬社
育鵬社通信>トピックス>メッセージ>(平成21年8月26日)
http://www.ikuhosha.co.jp/public/message.html

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後記:昨日は自由が丘へ散歩へ出掛けたら、ちょうど
   熊野神社秋祭りでした。目黒のさんま祭りもあ
   ったようで、「天高く・・」の季節です。
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▼企業内イントラネット配信、業務資料、勉強会資料に
ご自由にお使い下さい。お一人でも多くの方と著作権
問題について認識を共有できれば私としても幸甚です。

執筆者:行政書士 大塚 大
大塚法務行政書士事務所
東京都世田谷区駒沢5-12-7
TEL:03-3703-7076
E-mail:houmu@pc.nifty.jp
HP:http://ootsuka-houmu.com


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