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最高裁判所サイト公表最新著作権判例について行政書士が紹介。06年4月開始。法務,不正競争防止法,ライセンス,フランチャイズ事件も駒沢公園blogで掲載中。知的財産権,知的資産,音楽,法律,プログラム,ソフト,広告代理店,出版,起業,営業秘密,業務委託契約書,弁理士,弁護士,特許,商標

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2009/06/11

著作権判例速報

    著┃作┃権┃判┃例┃速┃報┃
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 こんにちは!駒沢公園行政書士事務所日記メルマガです。

  最新著作権判例について簡易版でお伝えします。

   *事案の詳細はブログをご覧下さい。
   Blog:駒沢公園行政書士事務所日記
   http://ootsuka.livedoor.biz/

  *この事案の裁判所ウェブサイト掲載日09/6/8
   (謝意:裁判所判例Watch)

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   観音像仏頭部原状回復事件


★東京地裁平成21.5.平成19(ワ)23883著作権侵害差止等請求事件
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090608093021.pdf

*キーワード:著作者の推定、著作者人格権、
       死者の人格的利益の保護

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■事案

観音像の仏頭部を無断ですげ替えて公衆の観覧に供したとして、
遺族が著作者人格権侵害などを争った事案です(一部認容)。

原告:彫刻家兼仏師
被告:寺院
   仏師

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■結論

請求一部認容

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■争点

条文 著作権法14条、20条、25条、60条、115条、116条

1 原告の共同著作者性            (否定)
2 人格的利益保護のための原状回復等請求の可否(一部肯定)
3 遺族としての謝罪広告請求の可否      (否定)

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■判決内容

「駒込大観音」:十一面観音菩薩立像

観音像体内墨書
「大佛師 監修 D(亡父)」
「制作者 E(亡兄) F(兄) A(原告) 弟子 C(Eの弟子)」

観音像足ほぞ墨書
「監修 D(亡父)」
「制作者 E(亡兄) F(兄) A(原告) C(Eの弟子)」

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<争点>

1 原告の共同著作者性(否定)

原告は、共同著作物である観音像が無断でその頭部がすげ替えられた
として、被告らに対して著作者人格権侵害等を理由として損害賠償請
求などを求めました。

ところで、観音像の体内と足ほぞに墨書で原告Aの氏名が記載されて
いました。
これによって原告Aは著作権法14条(著作者の推定)によって観音像
の著作者(共同著作者)であると主張しました。

しかし、裁判所は、被告仏師の観音像の制作経緯と制作作業の内容に
関する供述などから、原告Aは観音像の仕上げ作業に何らかの関与を
したものとは認めたものの、仕上げ作業は観音像の制作についての創
作的な関与にあたるものとまで認めることは困難であると判断。

結論として、著作権法14条の推定は認められず、原告Aは観音像の共
同著作者とは認められませんでした(48頁以下)。

このことから、原告A自身の著作者人格権侵害などを理由とする損害
賠償請求等は認められていません。

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2 人格的利益保護のための原状回復等請求の可否(一部肯定)

観音像の制作に関与した原告の亡父(D)、亡兄(E)の人格的利益に
ついて、原告は遺族として仏頭部の原状回復を求めました(著作権法
116条、60条、115条)。

1.亡父Dの人格的利益の保護の要否(否定)

仏師であった亡父Dについては、観音像の体内や足ほぞに「監修 D」
との亡父の雅号の墨書があり著作権法14条(著作者の推定)によって
著作者とも考えられましたが、結論的には病気などにより亡父Dは観
音像の制作に関与していたと認められず、観音像の著作者であると
認められていません(54頁以下)。

従って、原告による遺族としての亡父Dの人格的利益保護のための原
状回復等請求は認められませんでした。

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2.亡兄Eの人格的利益の保護の要否(肯定)

原告Aの亡兄Eが観音像の著作者であることに争いがなく、亡兄Eが制作
した仏頭部部分のすげ替え行為が亡兄Eとの関係では亡兄Eの意に反す
るもので、同一性保持権侵害となるべき行為(著作権法60条本文)に
あたるかどうかが争点となりました。

被告寺院は、仏頭部のすげ替えは生前のEの意思に沿うものとして60条
ただし書きの「当該著作者の意を害しないと認められる場合」にあた
ると反論しましたが、結論として著作者人格権侵害となるべき行為に
あたると裁判所は判断しています(55頁以下)。

また、被告寺院は、仏頭部のすげ替えは著作権法20条(同一性保持権)
2項4号の「やむを得ないと認められる改変」にあたり、同一性保持権
侵害にはあたらないと反論していましたが、裁判所に容れられていま
せん(58頁以下)。

結論として、著作権法115条(名誉回復等の措置)に規定される「訂正
・・・するために適当な措置」としてE制作による仏頭部へ原状回復す
ることが認められています。

なお、観音像を原状回復するまでの間、一般公衆の観覧に供すること
の停止の請求までは認められていません(63頁以下)。

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3 遺族としての謝罪広告請求の可否(否定)

亡兄Eの遺族として原告Aは新聞への謝罪広告の掲載を求めましたが、
裁判所は認めていません(64頁以下)。

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■コメント

東京文京区の駒込の光源寺さんにある通称「駒込大観音」。もともと
境内には1697年造立の約8mの十一面観音像がありましたが、これが19
45年5月25日の東京大空襲で焼失、平成5年に6mの立像として再現され
ました。

被告仏師は、原告の仏師一門の工房の弟子筋にあたり、師匠である仏
師E(原告の兄)とともに観音像の制作にも深く関与していました。

観音像の頭部を制作したのは被告仏師の師匠Eで、その師匠Eが生前、
観音像の「尊顔」が悪相で作り直す願いを持っていた(48頁)ことな
どから、原告Aの反対を押し切ってまで弟子の被告仏師は仏頭部のす
げ替えを断行したと思われますが、生前の師匠Eの意思がどこにあっ
たのか、寺院や弟子は裁判で明らかにすることができませんでした。

いずれにしても開眼落慶法要から約10年間、信仰の対象となっていた
観音像の頭をすげ替えるという事態は、たいへんなことだったと思わ
れます。寺院、お檀家さん、仏像制作工房内での人間模様、いろいろ
思いを巡らされるところです。

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■過去のブログ記事

銅像をめぐる著作権事件について

2006年3月2日記事 ジョン万次郎銅像事件
http://ootsuka.livedoor.biz/archives/50363844.html

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後記:東京も昨日梅雨入りしたようです。今朝は朝から
   雨模様。気分が滅入る時期ですが、元気に(カラ
   元気?)行きたいと思います。
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▼企業内イントラネット配信、業務資料、勉強会資料に
ご自由にお使い下さい。おひとりでも多くの方と著作権
問題について認識を共有できれば私としても幸甚です。

執筆者:行政書士 大塚 大
大塚法務行政書士事務所
東京都世田谷区駒沢5-12-7
TEL:03-3703-7076
E-mail:houmu@pc.nifty.jp
HP:http://ootsuka-houmu.com


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