2009/03/27
著作権判例速報[まぐまぐ]
著┃作┃権┃判┃例┃速┃報┃ ━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ こんにちは!駒沢公園行政書士事務所日記メルマガです。 最新著作権判例について簡易版でお伝えします。 *事案の詳細はブログをご覧下さい。 Blog:駒沢公園行政書士事務所日記 http://ootsuka.livedoor.biz/ *この事案の裁判所ウェブサイト掲載日09/3/26 (謝意:裁判所判例Watch) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ BRAHMAN事件(控訴審) 知財高裁平成21.3.25平成20(ネ)10084実演家の権利侵害差止請求控訴事件 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090326104738.pdf *キーワード:著作隣接権、原盤権、原盤製作契約 -------------------- ■事案 ロックバンドBRAHMAN(ブラフマン)がCD原盤を製作した インディレーベルに対してCDの製造、販売の差止を求め た事案の控訴審です。 原告(被控訴人):バンドメンバー4名 被告(控訴人) :レーベル -------------------- ■結論 控訴棄却(ブラフマン勝訴) -------------------- ■争点 条文 著作権法91条1項、95条の2第1項、112条1項 1 原告らと被告との間で、原告らが本件レコードに対す る実演家の著作隣接権を譲渡又は放棄することを内容 とする合意が成立したか (否定) 2 著作権者の意向に反して、著作隣接権に基づく差止は 認められないか (肯定) 3 原告らの差止請求権の行使は権利濫用にあたるか(否定) 4 弁論再開の許否 (否定) -------------------- ■判決内容 <争点> 1 原告らと被告との間で、原告らが本件レコードに対す る実演家の著作隣接権を譲渡又は放棄することを内容 とする合意が成立したか(否定) 本件レコード(2つのCD)に関して原告らと被告との間で、原告ら が本件レコードに対する実演家の著作隣接権を譲渡又は放棄する ことを内容とする合意(口頭契約)が成立していたかどうかが争 点となっています。 この点について、裁判所は、被告レーベル代表者の陳述書提出に みられる訴訟活動の経緯や原告からの内容証明郵便、被告からの 通知書の内容などから合意の成立を認めていません(5頁以下)。 ---------------------------------------- 2 著作権者の意向に反して、著作隣接権に基づく差止は 認められないか(肯定) 控訴審でも原審同様、被告レーベルの主張を認めていません(7頁)。 ---------------------------------------- 3 原告らの差止請求権の行使は権利濫用にあたるか(否定) 権利濫用の点についても、原審同様被告レーベルの主張は認めら れていません(7頁以下)。 ---------------------------------------- 4 弁論再開の許否(否定) 被告レーベルは、本件口頭弁論終結後に「被告が原告らの有する 著作隣接権に基づいてレコードの製造,販売につき許諾を受けた」 趣旨の抗弁を追加するため口頭弁論の再開を求める趣旨の上申書 (平成21年1月29日付)を提出していましたが、結論的には、裁判 所は弁論の再開を認めていません(8頁以下)。 なお、原告側から被告との間のレコードの製造、販売等に関する 許諾契約を承継した有限会社(平成11年設立 バンド代表原告Aが 代表者)は、被告から印税が支払われなかったため許諾契約を解 除したことなどを主張して印税の支払を求める別訴を提起してお り、東京地方裁判所に係属しているようです(12頁参照 東京地 裁平成20年(ワ)5569、同年(ワ)33049)。 結論として、レーベルの控訴は棄却となりました。 -------------------- ■コメント BRAHMANとレーベルが原盤の取扱いを巡って争っている事 案の控訴審です。 原審の判決内容は短くて(5頁)、原審の段階では紛争の 状況がよく分かりませんでしたが、控訴審で提出された被 告レーベル代表者の陳述書(乙4号証、5号証)やアーティ スト側の反論(3頁以下)から、原盤製作契約書の取り交 わしや口頭での契約の存否に関する経緯について、事情が 少しみえてきました。 原盤を利用して音楽CDを製造販売する場合、レコード製作 者(音を最初に固定した者)の著作隣接権やアーティスト さんの実演家としての著作隣接権、作詞作曲にかかわる音 楽著作権などいろいろな権利がかかわってきますが、どれ かひとつでも欠けるとその原盤は利用できなくなります。 今回、原審、控訴審ともにアーティストさんの実演家とし ての主張が認められていて、レーベルが原盤について仮に レコード製作者としての著作隣接権を保有していたとして もアーティストさんの許諾(実演家の著作隣接権)がない 限りこれら2枚のCDは使えず事実上廃盤となってしまうわけ ですが、レーベルが原盤製作の費用を負担していたとすれ ば(3頁参照)、裁判の結果は、その後の影響も考えると (特にリクープ前だと)レーベルには酷にも思えます。 (但し、利用許諾の存否については、別訴での判断の余地 を控訴審はちゃんと残しています。12頁参照。) レーベルが平成16年分以降のアーティスト印税を不払にし ていた(4頁、12頁参照)ということが紛争の背景にある のかもしれませんが、なお現状ではこの辺の事情がよく分 からないところです。 アーティスト印税不払に関する別訴(東京地裁に係属)の 行方も注目したいと思います。 -------------------- ■過去のブログ記事 2008年10月27日記事 BRAHMAN事件(原審) http://ootsuka.livedoor.biz/archives/51717629.html -------------------- ■参考文献 福井健策編、前田哲男・谷口元著「音楽ビジネスの著作権」 (2008)177頁以下 佐藤雅人「音楽ビジネス著作権入門」(2008)52頁以下 安藤和宏「よくわかる音楽著作権ビジネス実践編3rdEdition」 (2005)15頁以下 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 後記:駒沢公園の桜も咲き始めています。4月に入ると 週末の公園は宴会騒ぎです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼企業内イントラネット配信、業務資料、勉強会資料に ご自由にお使い下さい。おひとりでも多くの方と著作権 問題について認識を共有できれば私としても幸甚です。 執筆者:行政書士 大塚 大(おおつか だい) 大塚法務行政書士事務所 東京都世田谷区駒沢5-12-7 TEL:03-3703-7076 E-mail:houmu@pc.nifty.jp HP:http://ootsuka-houmu.com ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



