2009/03/05
著作権判例速報[まぐまぐ]
著┃作┃権┃判┃例┃速┃報┃ ━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ こんにちは!駒沢公園行政書士事務所日記メルマガです。 最新著作権判例について簡易版でお伝えします。 *事案の詳細はブログをご覧下さい。 Blog:駒沢公園行政書士事務所日記 http://ootsuka.livedoor.biz/ *この事案の裁判所ウェブサイト掲載日09/3/4 (謝意:裁判所判例Watch) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 溶銑運搬列車制御プログラム事件 大阪地裁平成21.2.26平成17(ワ)2641著作権確認等請求事件PDF http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090304114108.pdf *キーワード プログラム 著作物性 -------------------- ■事案 溶融状態の銑鉄を運搬する列車のブレーキ制御プログラム の著作物性が争われた事案です。(一部認容) 原告:通信機器製造販売会社 被告:鉄鋼会社 物流会社 -------------------- ■結論 請求一部認容 -------------------- ■争点 条文 著作権法2条1項10号の2 1 本件プログラムの著作物性 (肯定) 2 本件プログラムの著作権の承継の有無(肯定) 3 対抗要件の要否・信義則違反の有無 (否定) 4 本件使用料支払契約1の成否 (否定) 5 本件使用料支払契約2の成否 (否定) 6 本件第三者のためにする契約の成否 (否定) 7 不当利得の成否 (否定) -------------------- ■判決内容 <争点> 1 本件プログラムの著作物性 製鉄所で溶融状態の銑鉄を運搬する列車(動力車、貨車) の「混銑車自動停留ブレーキ及び連結解放装置」(本件 装置)に組込まれた制御プログラム(本件プログラム) の著作物性について、ありふれたものかどうかが争点と なりました。 この点について、裁判所は、本件プログラムの著作物性 を肯定しています(39頁以下)。 ---------------------------------------- 2 本件プログラムの著作権の承継の有無 湯浅通信機が制作した本件プログラムを原告が譲り受け ていたかどうかが争点となりましたが、結論として肯定 されています。 この点について、被告は、第一次契約書(甲214)に押 印された湯浅通信機の代表者印の印影や貼付された収入 印紙、使用されたワープロの文字、取引関係者の供述な どから疑義を主張しましたが、容れられていません(50 頁以下)。 ---------------------------------------- 3 対抗要件の要否・信義則違反の有無 (1)対抗要件の要否 著作物性本件プログラムの著作権について、湯浅通信機 と原被告らの共有とする合意がなかったと認定されたこ とから、湯浅通信機から被告らへ著作権の持分の譲渡が あったわけではなく、原被告らは、著作権譲渡について 二重譲渡の関係にない。 したがって原被告は対抗関係(著作権法77条)に立つも のではないとして、原告の対抗要件具備は不要と判断さ れています(56頁以下)。 (2)信義則違反の有無 被告は、原告が本件プログラムに修正を加えたうえで (著作者人格権侵害)取得しているとして、その権利主 張がクリーンハンズの原則に反し信義則違反であると主 張しましたが、容れられていません(57頁)。 ---------------------------------------- 4 本件使用料支払契約1の成否 被告らが原告に対して本件プログラムの使用料を支払わ ない代替措置として以下の内容の使用料支払契約(本件 使用料支払契約1 本件5項目)が成立していたかどうか が争点となっています。 この点について議事録、決裁書、見積書などの書証、人 証、原被告間の取引状況などから、結論としては本件使 用料支払契約1の成立を裁判所は否定しています(57頁 以下)。 ---------------------------------------- 5 本件使用料支払契約2の成否 原告は、本件使用料支払契約1の成立が認められなかっ たとしても被告鉄鋼会社と本件プログラムの使用につき 相当額の使用料の支払の合意(本件使用料支払契約2) があったと主張しました。 しかし、結論としては、本件使用料支払契約2の成立に ついても否定されています(82頁以下)。 ---------------------------------------- 6 本件第三者のためにする契約の成否 原告は、被告鉄鋼会社の本件プログラムの使用について、 被告物流会社が相当額の使用料を支払うという合意(第 三者のためにする契約)が成立していたと主張しました が、認められていません(83頁)。 ---------------------------------------- 7 不当利得の成否 原告は、被告鉄鋼会社が法律上正当な理由がないのに相 当額の対価を支払うことなく本件プログラムを使用し、 使用料相当額の利得を得ているとして不当利得が成立し ていると主張しました。 しかし、被告鉄鋼会社は適法に複製された本件プログラ ムの複製物を本件装置において使用しているにすぎない などとして、不当利得の成立を否定しています(83頁以 下)。 結論として、原告の本件プログラムの著作権の帰属の確 認請求については認められましたが、金銭請求について は棄却されています。 -------------------- ■コメント 装置そのものの購入代金の支払以外に装置に組込まれ たプログラム部分の使用料の支払が必要だったかどう かが争われた事案です。 昭和60年当時ですと、ハードとソフトである著作権を 切り離してプログラムの著作権の使用料が発生すると いう発想自体が一般的ではなかったという被告側の主 張も、理解できるところではあります(21頁以下)。 いずれにしても、20年以上前の取引関係を証明するこ との困難さが伝わる事案です。 当時使用されたであろうワープロ機器の印字文字など も検討されていて、書面の真正性について考えさせら れる内容です。 なお、関連訴訟として、特許を受ける権利や実用新案 登録を受ける権利の譲渡代金請求を巡る訴訟も提起さ れていましたが、消滅時効が援用されて棄却されてい ます。 -------------------- ■関連訴訟 特許を受ける権利等譲渡代金請求事件 大阪地裁平成21.2.26平成19(ワ)1479判決PDF http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090304113848.pdf ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 後記:きょうは社会保険労務士の先生と会社設立後の従業 員の労務関係について打ち合わせをしました。世相 を反映する労務案件が多いようで、たいへん参考に なるお話でした。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼企業内イントラネット配信、業務資料、勉強会資料に ご自由にお使い下さい。おひとりでも多くの方と著作権 問題について認識を共有できれば私としても幸甚です。 執筆者:行政書士 大塚 大(おおつか だい) 大塚法務行政書士事務所 東京都世田谷区駒沢5-12-7 TEL:03-3703-7076 E-mail:houmu@pc.nifty.jp HP:http://ootsuka-houmu.com ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



