2009/03/02
著作権判例速報[まぐまぐ]
著┃作┃権┃判┃例┃速┃報┃ ━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ こんにちは!駒沢公園行政書士事務所日記メルマガです。 最新著作権判例について簡易版でお伝えします。 *事案の詳細はブログをご覧下さい。 Blog:駒沢公園行政書士事務所日記 http://ootsuka.livedoor.biz/ *この事案の裁判所ウェブサイト掲載日09/2/25 (謝意:裁判所判例Watch) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 大阪市路線案内図事件 大阪地裁平成21.2.24平成20(ワ)12703著作権侵害差止等請求事件 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090225135244.pdf *キーワード:アイデア、図形の著作物、創作性、複製、翻案、 一般不法行為 -------------------- ■事案 大阪市営地下鉄路線案内図などの著作物性が争われた事案です(敗訴)。 原告:個人 被告:大阪市(大阪市交通局) -------------------- ■結論 請求棄却 -------------------- ■争点 条文 著作権法2条1項1号、21条、27条、民法709条 1 原告書面等の著作者 (肯定) 2 本件著作物の著作物性 (----) 3 被告路線案内図が本件著作物を複製・翻案したものか(否定) 4 一般不法行為の成否 (否定) -------------------- ■判決内容 <争点> 1 原告書面等の著作者 まず、原告著作物である、 小冊子「交通ガイド革命(交通ガイド自由自在システム)」と 「大阪市地下鉄デジタルインフォーメイションシステム(計画 案)」書面の作成名義について、それぞれ 「『交通ガイド自由自在システム』普及会代表X」 「(交通ガイド自由自在システム)会会長X」 との表示がありましたが、団体は実態が無く、また被告も原告 による作成等を争わないとして、原告がこれら著作物の著作者 と認定されています(10頁以下)。 ------------------ 2 本件著作物の著作物性 (1)被告路線案内図への再製性 原告が主張する原告著作物(文章や甲第1号証5頁左図)の著作 物性について、裁判所は、まず原告著作物が再製されたとする 被告路線案内図に関する判断として、そもそも被告路線案内図 への原告著作物の再製が認められないとして、原告著作物の著 作物性の検討は不要としています(11頁)。 ---------- (2)本件システム自体の保護 甲第1号証5頁右図路線図(甲1路線図)について、裁判所は、 甲1路線図の模式的な路線図において、番号や案内表示を具体 的に表現している点について、著作権法の保護の対象(図形の 著作物)となりうるものの、抽象的なアイデアについては保護 されないことを前提としたうえで、本件システム自体は、具体 的な表現を伴わない単なるアイデアに属する事項であるとして、 保護の対象にならないとしています(11頁以下)。 ---------- (3)被告作成の路線図への原告書き込みによる新たな創作性の成否 被告が作成した路線図に原告が独自に記号などを書き込んだ甲 第5号証路線図(甲5路線図)の著作物性について、裁判所は、 甲5路線図の原告による新たな創作性付与を否定しています (12頁以下)。 ------------------ 3 被告路線案内図が本件著作物を複製・翻案したものか 原告甲1路線図が図形の著作物として保護される場合(なお、 裁判所は、原告甲1路線図の創作性の有無は「しばらくおく」 としています。)、被告路線案内図が原告路線図の複製もしく は翻案とならないかどうかが検討されています。 裁判所は、複製と翻案に関する2つの最高裁判決(S53.9.7ワン レイニー ナイト イン トーキョー事件、H13.6.28江差追分事 件)に触れたうえで、結論的には裁判所は、複製あるいは翻案 (著作権法21条、27条)による著作権侵害の成立を否定してま す(13頁以下)。 ------------------ 4 一般不法行為の成否 被告による路線図の導入・実施が、原告路線図作成等へのフリ ーライドなどにあたるかどうか、一般不法行為(民法709条)の 成否が問題となっています。 この点について、裁判所は、本件システムのアイデア自体が、 不法行為法上法的保護に値するものではないこと、また違法行 為も認められないと判断しています(14頁以下)。 -------------------- ■コメント 交通システム関連の著作権事件としては、後掲の浜松市バス 路線設計図事件(知財高裁平成19.3.27)が最近ではありまし たが、今回の事案も原告から当局(大阪市交通局)へアイデ アの提案があったことから、アイデアを盗用された、との受 け止め方を原告が強く持った事案だったのかもしれません。 なお、番号、記号、駅案内表示などを記載した原告路線図の 「図形の著作物」(著作権法10条1項6号)該当性(創作性の 有無)については、明確な判断を示すまでに至っていません (11頁以下参照)。 -------------------- ■過去のブログ記事 バス路線の設計方法を表現した設計図の著作物性について バス路線設計図事件(2007年3月29日記事) http://ootsuka.livedoor.biz/archives/50751750.html 国際空港案内図の著作物性について 空港案内図事件控訴審(2006年6月2日記事) http://ootsuka.livedoor.biz/archives/50500637.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 後記:明日は桃の節句。子供の頃は妹がいたので(熊本へ 嫁ぎました)、この時期は、お雛様にちらし寿司。 お寿司が食べたい気分です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼企業内イントラネット配信、業務資料、勉強会資料に ご自由にお使い下さい。おひとりでも多くの方と著作権 問題について認識を共有できれば私としても幸甚です。 執筆者:行政書士 大塚 大(おおつか だい) 大塚法務行政書士事務所 東京都世田谷区駒沢5-12-7 TEL:03-3703-7076 E-mail:houmu@pc.nifty.jp HP:http://ootsuka-houmu.com ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



