2009/01/29
著作権判例速報[まぐまぐ]
著┃作┃権┃判┃例┃速┃報┃ ━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ こんにちは!駒沢公園行政書士事務所日記メルマガです。 最新著作権判例について簡易版でお伝えします。 *事案の詳細はブログをご覧下さい。 Blog:駒沢公園行政書士事務所日記 http://ootsuka.livedoor.biz/ *この事案の裁判所ウェブサイト掲載日09/1/28 (謝意:裁判所判例Watch) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ロクラク事件(控訴審) 知財高裁平成21.1.27平成20(ネ)10055著作権侵害差止等請求控訴事件 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090128154308.pdf *キーワード:間接侵害論、私的使用目的複製、カラオケ法理 -------------------- ■事案 国内放送番組を海外でもネットで視聴可能にするハウジングサービス (「ロクラク2ビデオデッキレンタル」)がテレビ局の著作権、著作 隣接権を侵害するかどうかが争われた事案の控訴審です。 控訴人・附帯被控訴人:株式会社日本デジタル家電 被控訴人・附帯控訴人:NHK、東京放送、静岡放送など10社 -------------------- ■結論 原判決控訴人敗訴部分取り消し(事業者勝訴) -------------------- ■争点 条文 著作権法21条、30条1項、98条 1 控訴人による複製行為の有無 (否定) -------------------- ■判決内容 <争点> 1 控訴人による複製行為の有無 サービス提供事業者(控訴人)が、テレビ局の番組や放送に係る 音楽又は影像の複製行為を行っているのか、あくまで利用者が複 製を行っているのか、という複製行為の主体性について、 (1)本件サービスの目的 (2)機器の設置・管理 (3)親機ロクラクと子機ロクラクとの間の通信の管理 (4)複製可能なテレビ放送とテレビ番組の範囲 (5)複製のための環境整備 (6)事業者が得ている経済的利益 という諸点について裁判所は検討を加えています(25頁以下)。 そのうえで、テレビ局側の主張する各事情は、事業者自身が複製 を行っていると認められる事情ということはできないと判断。 さらに、知財高裁としての政策的価値判断を明確に表明。また、 クラブキャッツアイ事件とは事案を異にするとしてカラオケ法理 の適用を明確に否定しています(31頁以下)。 -------------------- ■コメント テレビ番組のネットを利用した視聴サービスとしては、2008年、 「まねきTV事件」で事業者側が勝訴していましたが、今回の 「ロクラク事件」でも事業者が逆転勝訴という結果となりました。 「ロクラク事件」は、ソニー製ロケーションフリー機器を利用し た同種サービスである「まねきTV事件」よりも事業者の関与の度 合いが強いため、不適法なサービスと判断された「録画ネット事件」 に近い位置づけにあったと考えられますが(*)、知財高裁は、 著作権が技術革新とその利益享受を阻害してはならないという 政策的価値判断(32頁)を明確に示すことで、ネット関連事業者 の新規サービスを擁護する判断を下しています。 (*)たとえば、録画ネット事件とロクラク事件では、 放送データの複製があるのに対して、まねきTV事 件では複製はされていない。前二者とまねきTVと では、転送機器の汎用製品性の違いや所有権の 帰属の有無が大きいと指摘するものとして、小倉 後掲書206頁以下参照。 「録画ネット事件」での知財高裁の判断(平成17年11月15日決定) から3年余り。 ネット環境、技術の進展が、「ロクラク事件」でのサービスが利 用者による私的複製として許容できる範囲を超えない複製である (テレビ局の利益を不当に害さない)との認識の変化を裁判所に 生じさせた結果の判決です。 フェア・ユースの議論のなかでも中山先生が、ネット事業での リスクの取り方とスピード感の衡量について言及されておいで ですし(「著作権研究」35号(2008)164頁以下参照)、今回の 知財高裁の判断は、著作権法のあり方に関する昨今の議論を裁 判所が敏感に受け止めたもので、ネット事業と著作権の問題に ついて大きな転換点に立つ判断といえます。 -------------------- ■過去のブログ記事 2008年5月29日記事 ロクラク事件(原審) http://ootsuka.livedoor.biz/archives/51573148.html 2008年6月23日記事 まねきTV事件(本案) http://ootsuka.livedoor.biz/archives/51606105.html 2008年12月21日記事 まねきTV事件(控訴審) http://ootsuka.livedoor.biz/archives/51758588.html -------------------- ■参考文献 ・録画ネット事件について、 帖佐隆「録画ネット事件」『著作権研究』33号(2008)173頁以下 茶園成樹「テレビ番組録画視聴サービスにおける複製の主体」 『最新判例知財法 小松陽一郎先生還暦記念論文集』(2008)705 頁以下 ・まねきTV事件について、 小倉秀夫「まねきTV事件」中山信弘編『知的財産権研究5』(2008) 195頁以下 中野圭二「テレビ番組送信サービス「まねきTV」事件」『パテント』 61巻8号67頁以下 http://www.jpaa.or.jp/activity/publication/patent/patent-library/patent-lib/200808/jpaapatent200808_067-071.pdf ------------------- 吉田克己「著作権の「間接侵害」と差止請求」田村善之編著『新世代知 的財産法政策学の創成』(2008)253頁以下 田村善之「著作権の間接侵害」第二東京弁護士会知的財産権法研究会編 『著作権法の新論点』(2008)259頁以下 藤原宏高、大塚一郎、斉藤浩貴、津田幸宏「著作権の間接侵害の法理と その限界」同上書393頁以下 潮海久雄「著作権侵害の責任主体-不法行為法および私的複製・公衆送 信権の視点から」野村豊弘、牧野利秋編『現代社会と著作権法 斉藤博先生御退職記念論集』(2008)197頁以下 平嶋竜太「著作権侵害主体の評価をめぐる議論について-私的利用領域 の拡大と差止範囲画定の視点から」同上書228頁以下 山本隆司「教唆・幇助による著作権侵害の成否」同上書261頁以下 デジタルコンテンツ委員会編「コンテンツ利用者向けサービスにおける 著作権侵害の問題- 誰が侵害者となるのか?-」『知財管理』 58巻3号(2008)399頁以下 -------------------- ■参考サイト 株式会社日本デジタル家電 ロクラク伝言板(09/1/28) レンタルロクラクに関する知財高等裁判所・1月27日判断について http://www.tv.rokuraku.com/ 企業法務戦士の雑感(2009-01-28記事) [企業法務][知財]ついに潮目が変わったか? http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20090128/1233165123 出戻り知財業務雑感(2009/01/29記事) ロクラク事件控訴審 http://ipg4000.blog45.fc2.com/blog-entry-80.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 後記:NET(現テレビ朝日)開局一期生の父親に今回の 裁判を伝える新聞記事について説明したら、どこ まで理解できたか分かりませんが、「そりゃたい へんだ!!」と(笑) 今回の判決の今後の影響を注視したいです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼企業内イントラネット配信、業務資料、勉強会資料に ご自由にお使い下さい。おひとりでも多くの方と著作権 問題について認識を共有できれば私としても幸甚です。 執筆者:行政書士 大塚 大(おおつか だい) 大塚法務行政書士事務所 東京都世田谷区駒沢5-12-7 TEL:03-3703-7076 E-mail:houmu@pc.nifty.jp HP:http://ootsuka-houmu.com ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



