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2008/08/19

ロジスティクス・キーワード~なるほど物流効率化 No.074【元請け-下請け構造を疑え】

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■■■  ロジスティクス・キーワード〜 なるほど物流効率化
■■■  No.074 元請け−下請け構造を疑え
■■■ 
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連日オリンピックで、お盆期間中もついテレビにくぎ付けになってしまいました。
そういえば今日は高校野球の決勝戦。まったく見ていません・・・。
今年の高校野球はちょっとかわいそうです。
しかし気がついたら、決勝戦は17-0という圧倒的大差で大阪桐蔭が優勝した
とのこと。おめでとうございます。
昔はこんなにスポーツに熱中することもなく、自分の贔屓チームに狂喜乱舞
する人たちを見て「なんでそんなに熱中できるんだろう・・・」と不思議に思って
いたのですが、一生懸命がんばる姿に感動して涙すらでてしまう今の自分は
年をとったのか、何かが変わったのか。
いずれにせよ、努力しつくした人たちのプレーを見ると感動して、すがすがしい
気持ちになります。
同じ人間、オリンピック選手ほどとはいかなくても、努力を続けていく気持ちは
持ち続けたいと思う今日この頃です。
でも、4年に1度しかない舞台、しかも協議によっては一瞬で決着がつくものも
あるなか、あれだけの忍耐と集中力を維持し続けるのはすごいことです。

このような晴れ舞台があるとみんなが注目しますが、実は日頃から頑張って
いるのに、なかなか日の目を浴びない人たちもいます。物流業もその典型。
しかし、まさに時代の要請か、今まで脚光を浴びなかった人たちが浴びる
ようになってきています。本日はこの話を。

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<今週の気になるニュース>

流通改革で手取りが倍に〜直売所が描く農業の未来

「今はすごくおカネを取れるようになったんよ。ほいだら、農業が楽しくてね。
元気が出てくるんよ」 (中略)
「農協に出してたらね、ほんまにね、後引いたら何も残らないんよ。私ほんま
にね、1人の子供を大学に出すのに、のつこつ(大変な思い)をしましたよ。
ほいでもね、“めっけ”に出してから、今は(手取りが)倍取れます。はっきり
言って、(卸売)市場の倍!」 
いかに農業が儲かるか――。取材で訪れた6月末、山下さんは生き生きと
した口ぶりで語ってくれた。そんなニコニコ笑顔の山下さんが口にした“めっけ”。
これは、紀の川市や和歌山市にある直売所、「めっけもん広場」のことである。 

(出所:日経ビジネスオンライン記事(会員登録必要:本誌でも参照できます。)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20080818/168097/)


イオン、JFしまねと直接取引を開始−燃油高に配慮

イオンは14日、漁業協同組合JFしまねと直接取引を始めると発表した。
継続的な直接取引は大手小売業で初めて。燃油コストを考慮して取引価格
を設定し、漁業者の収入を確保する仕組みを目指す。また産地直送の鮮魚
の提供や店頭での食べ方の提案で、魚離れに解消に取り組む。
 第1弾として17日に大阪・京都府や山陰エリアのジャスコ直営水産売り場
など最大60店舗で販売する。
 価格は市場流通と同等を想定。イオン側の調達コストは2―10%低減し、
漁業者の手取り収入は政府の助成制度活用を含めて増加を見込む。
今回の直接取引による鮮魚仕入れの割合は25%程度。
 今後はJFしまねとの取引を継続するほか、他県の漁協との取引を検討。
将来的には各県での直接取引を目指す。
 イオンは全国漁業協同組合連合会が一斉休漁の説明のためイオン本社
を訪れた際に、協同の取り組みの検討を約束。今回の実施につながった。

(出所:日刊工業新聞記事:掲載日 2008年08月15日
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0920080815ceap.html)

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☆燃油高が後押しした直接取引の動き

前回はサーチャージの話をさせて頂きましたが、地方の物流現場ではいまだ
にサーチャージを適用すべきか逡巡している企業が多いようです。
その理由の筆頭は「荷主も厳しい経営を強いられているのに、サーチャージ
をかければ市場自体の縮小を招く。それが本当にいいことなのか・・・。」と
いう疑問。
その先には現在こり固まってしまった元請け−下請け構造の市場定着が
あります。

物流業界では3PLをはじめとする「トータルソリューション」を指向
する荷主企業が徐々に増えてきています。
個々の物流企業では、コンペをはじめとする営業競争に勝ち抜けずに、
元請け-下請け構造が完全に定着しました。
当然、このような構造が定着するにはさまざまな理由がありますが、結果
として元請けに収まった企業は、「真に現場運営能力を持つ物流企業」か、
「物流子会社をはじめとする、荷主企業の出先機関」に二分されました。
現在、上場企業で元請け企業を使わない企業は、製造業の一部にしかない
のではないでしょうか?

物流企業は大手の荷主との契約を目指す→大手にはほぼ必須で物流子
会社が存在し、彼らが元請けとなり、物流企業を管理する→結果として元
請け→下請け構造が定着する、という流れがここ数年の流れに落ち着きつつ
あります。
特に現在は環境対策をはじめとする、物流企業単体ではなかなか着手でき
ないテーマが出てきており、このような取り組みを求められている企業に
とっては、そのような取組みをとりまとめて進める元請け会社・物流子会社
の存在意義は大きいですが、単に日々の業者手配と請求事務代行会社と
なっている元請け企業にとって言えば、はっきり言って存在自体が無駄で
あると言えます。

もし元請け企業がいなかったら、取引コストはどれだけ下がるのか−。
今回の農業、漁業の直接取引の動きは重要な示唆を含んでいます。


☆「リスク管理」という名の無駄

元請け企業、記事でいえば農協、漁協の存在は過去、非常に重要でした。
今のように交通・情報流通網が発達しておらず、小口の取引先が多い
時代は代金回収のリスクは測り知れず、本業を放っておかなければいけ
ないほどの手間がかかりました。また、地域としてののブランド構築など
は「流通品質」が非常に重要であり、流通を統制することがブランド構築に
必須だったのです。プロジェクトXでもやったと思いますが、「夕張メロン」
などはその典型でしょう。
地域が力を得るために、生産者、供給側が団結する必要があったのです。

しかし、現在は交通・情報網が発達し、取引先の多くは淘汰・集約されま
した。生産者も極端に減少し、往時の「メーカー対小売」の流通戦争など
おこるべくもありません。今では保護すべき対象にすらなっています。
また、今では日本全国民が脱法行為・品質に非常に敏感になっています。

そのような中で、元請けは当時のような「代金回収・与信」「品質管理と統
制」だけで生きていけるのでしょうか。もう無理な時代になりつつあります。

もちろん、企業の中では当然元請け企業は存在意義がある、という企業
もあるでしょう。では、あえて存在意義がある、という場合、そのコストは
どれぐらいが適当でしょうか。

☆「現地を知らない」荷主を相手に情報格差で稼ぐ中間流通

前述の和歌山のミカン農家の記事では、”卸売市場流通の場合、農協など
の出荷団体の段階で30〜40%、小売りで40%のマージンが発生していた”
というのです。
「ピンハネ」とは、取引価格の1割(ピン)を手数料でもらうからピンハネと
いうそうですが、ピンハネどころかまさに搾取と呼ぶにふさわしい取引構造
です。
このコストに見合う「管理」業務とはいかなるものなのか。
先般話題になった日雇い派遣においても同様の構造があり、存在意義
自体は皆が賛同しますが、元請け企業が20-40%の手数料を搾取していた
という「利益の構造」こそが問題になりました。

物流子会社群でこれだけ「抜く」企業は聞いたことがないので、農業・漁業
ではそのようなことはないと信じたいですが、そのような構造を持つ業界は
多いでしょう。
今回の記事はこのような硬直化した流通構造を打破する一穴になる可能性
があります。

特に重要なのは、これらの記事の舞台です。和歌山と島根という、いわ
ゆる市場競争が機能する大都市部でなく、地方都市においてこのような
話が出てきていることがポイントです。

特に東京本社の方は、「地方の企業をコントロールできるから元請けは
重要だ」という企業が多いのですが、じつはそこが元請け企業において
の金城湯池になっている可能性が高い、ということでしょう。
都市部では信じられない搾取の構造が、自社の本社から遠い「地方」で
起こっているかもしれません。

☆地方を自分の目で見て、元請けの企業の役割を疑え

生産者と消費者が直接つながることで、コスト的なメリットは相当出ること
が記事をお読みいただければわかると思います。
地方の企業は、確かに営業ノウハウや品質や意識は都市部の企業に
比べて見劣りするかもしれませんが、実際に接すれば特段の問題では
ならないケースが多いです。
また、地方への物流(特に配送)は単価でみれば都市部と比べて割高
に感じるかもしれませんが、それは件数の差だけであり、単価契約を
するより、月極契約をして、荷受けや簡単な倉庫管理もお願いすること
で、割にあったり、サービスで差別化したりできるメリットも出てきます。
(北海道・九州などはそのような契約のほうが業種によってはメリットが
多いです。)

この期に及んでも、荷主企業はなんとか物流費を下げようと、単価交渉
に余念がありません。
当然、元請け企業は市場情勢を理由に、値下げなど飲まないでしょう。
しかし、自分の身を再度市場に置いてみると、ただ情報が無い、自分
たちが自ら取りに行かないだけで、すさまじいコストを元請けに払って
いることがあるかもしれません。

単価交渉を東京に呼び出して行うなら、一度地方の委託先の現場を
見に行かれて、地場の物流企業とお話をしてみてはいかがでしょうか?
行くだけで、サーチャージを乗せてもおつりがくるほどの大変重要な
ヒントが現場に転がっているかもしれません。

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