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2008/03/31

ロジスティクス・キーワード〜なるほど物流効率化 No.069【燃料サーチャージ〜国家主導の値上げ効果は?】

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■■■ ロジスティクス・キーワード〜 なるほど物流効率化
■■■ No.069 燃料サーチャージ〜国家主導の値上げ効果は?
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とうとう明日から道路特定財源の暫定税率が一旦切れることが確実になり
ました。当社のメルマガでも繰り返し伝えてきた「既得権としてあるもの、
と捉えるのでなく、十分な議論を望む」という願いについては、政局化
しましたが、制度自体がなくなることで、議論の土台ができました。
しかしながら、少なくとも私の周辺ではすっかり興ざめな雰囲気が流れて
います。5月になったらまたあがるかもしれないし。どうなることやらです。

しかし、この大もめにもめた政局は物流業界に奇貨をもたらしましました。
それは「トラック燃料サーチャージ」。
実運送を担う事業者の、燃料費高騰による経営圧迫を問題視した国交省と
公取委のタッグにより、運賃の底上げを支援することになりました。
制度実施の効果や懸念についてはすでに多方面で議論されていますので、
私からは先行して業界をあげた値上げを行ったタクシー業界を例に、サー
チャージが発動すればどうなるのか、予想をしてみましょう。

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<今週の気になるニュース>

昨年十二月に運賃を引き上げた東京地区(23区と武蔵野市、三鷹市)で、
消費者のタクシー離れの傾向が続いている。東京乗用旅客自動車協会に
よる、会員35社を対象にした調査で、1月の1日1台あたり営業収入は前年
同月比2.1%減った。・・・
一方、東京以外では営業収入が前年を上回る所が目立つ。名古屋市域の
昨年12月の1日1台あたり営業収入は前年同月比2.7%増。全国でトップを
切って昨年4月に値上げした大分県は5-11月の営業収入が前年を上回った。
長野県は6-11月の実施で都市部が0.5%減収だった反面、代替交通機関の
ない都市周辺部は3.9%増収だった。

(日経本紙 2月22日 企業総合面)

タクシー業界が転機を迎えている。鉄道などの交通機関の整備が進み、
乗客数は低迷。タクシー各社は乗務員への指導強化で乗り切ろうとするが、
一方で車両台数を増やし続けており、自らの首を締める状況からなかなか
抜け出せない。・・・(理由として)乗務員の賃金は売上に応じて決まる
歩合制が多い。1台あたりの収入は減っても、台数を増やせばある程度の
収入が得られる(からである)。

(日経MJ 2月29日 「タクシー業界曲がり角(上)」かっこ内は当社補足)

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☆燃料サーチャージとは

燃料サーチャージについては、今年度初頭から業界内で話題となっていた
ものですが、実際にはマスコミ各社の取り上げ方は低調で、ここへきて道路
特定財源とセットでやっと日の目を浴びてきた、というような状況です。

簡単におさらいすると、このような制度になります。
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1.制度の基本

燃料価格の上昇、下落による運賃の増減分を別建ての運賃として設定
する制度。
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2.運用の基本

基準とする燃料価格より一定以上に上がった場合、上昇幅に応じて運賃
を増額。基準価格より下落した場合は廃止する。
基準となる運賃価格の設定は、物流事業者の「運賃届け出時点での燃料
価格」か、「荷主企業と運賃契約を交わした時点での燃料価格」のいずれか。
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3.実施の原則

基本的に「実運送事業者」が対象。元請けであり、実運送を持たない企業
が「サーチャージによる運賃増額請求」を別建てで荷主に請求はできない。
このガイドライン上では「物流子会社」も荷主として分類している。
実運送事業者は原価計算に基づく燃料サーチャージ額を計算の上、運輸
局に届出を行わなければならない。
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4.計算方法

(1)距離制
   走行距離(km)÷燃費(km/L)×算出上の燃料価格上昇額(円/L)

(2)時間制
   平均走行距離(km)÷燃費(km/L)×算出上の燃料価格上昇額(円/L)
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5.導入モデル(物流ニッポン記事を参考に補足)

(1)基準となる燃料価格を設定
(2)燃料サーチャージを改定する軽油価格帯の刻み幅を設定
(3)その価格帯における上昇額を算出
(4)併せて改定条件および廃止条件を設定
(5)書面による明確化
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6.取り組みにあたり実施・奨励する事項

(1)事業者側からの原価提示により、荷主との協議を行う場を設けること
(2)不法な事業を行う事業者に対して、国が是正、退出を勧告し、過度な
   値下げが起こらないようにすること
(3)取引における書面交付の徹底(見積書・契約書)
(4)車両保有台数が5台以下になっても事業を続ける事業者の退出の徹底
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自分の整理もかねて列挙してみました。
こんな制度です。燃料サーチャージとは。
実際すでに入れている某大手企業の話を聞いてみましたが、「運賃アップ
は確かにあった。ただ全体から見れば理解の範囲内だった。
むしろ、お互いに原価もわかって仕事ができるようになったので、かえって
車が足りない時などは配車が円滑にいき、安心材料が増えたと思う」と
話していらっしゃいました。

☆国主導の値上げは成功するか

しかし、このような意見は少数派で、物流事業者の多くはこのサーチャージ
導入には懐疑的です。特に大都市圏では、物流会社は「供給過多」の状況が
慢性化しており、もしサーチャージの足並みが揃わなければ、抜け駆けが
発生し、極端な営業力、売上の低下につながります。

そこで出てくるのはタクシー業界。すでに供給過多の状況は長年言われて
おり、昨年とうとう業界全体で値上げを行いました。
しかも抜け駆けが無いよう、タクシー協会も徹底した形で実施を支援。それ
が冒頭の記事ですが、結果として競争が過酷な地域はさらに運賃の下落が
発生し、供給過少な地方が潤う、という結果になりました。

この現象が何を示しているのか?
大都市圏については、値上げが乗り控えを招き、需要自体が減少する、と
いう現象が起こった、と言えます。不要不急な使用を控えることは、社会的
にもメリットがあったかと思います。

もう一つは競争が激しい大需要地では、シェアの取り合いが激化し、おそらく
淘汰、寡占現象が今後明確になっていくだろう、ということです。

つまり、業界を挙げての運賃底上げは、供給過少ない地方については一定
の収入増効果はありますが、供給過剰な大都市については、値上げは需要
自体の縮小を招き、この結果、中小零細物流企業をさらに困窮させる可能
性が高いでしょう。

裏返せば、大都市の中小物流事業者は、自らが淘汰される引き金を引くか?
という決断を迫られる状況を突き付けられた、ということになります。
これは正しい競争環境になるでしょうか?

弱り目にたたり目の状況で、わらをもすがる思いでつかまったサーチャージ
を入れたら、既存受注が減っただけで、運賃設計に優れ、体力がある大手が
粘り勝ちする・・・。これでは怖くて中小は積極的に入れられないのではない
でしょうか?

むしろそれなら、破天荒な運賃を出し続ける事業者や、人を人と思わない
荷主の取り締まりを強化するのと、あまりひねらずに、素直に軽油税率の
見直しをして、あとは自由競争に任せた方がいいと思いますが。

まだガイドラインが出ただけなので、その成否は今後を見ないとわかりません。
ただ、暫定税率が再可決され、なんとなく旧来の制度に落ち着いたら、この
サーチャージの機運もあっという間にしぼんだ・・・などという、
”サーチャージは苦し紛れの業界のご機嫌取りだったのか!”と言われる
ことがないよう、ぜひ本気の決意と議論の継続をもっとアピールしてもらい
たいものです。

日本国様、なにとぞよろしくお願いいたします。

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