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2008/03/04

ロジスティクス・キーワード~なるほど物流効率化 No.068【値上げが促す商流改革】

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■■■ ロジスティクス・キーワード〜 なるほど物流効率化
■■■ No.068 値上げが促す商流改革
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2月は小売の決算の季節です。
1日に子供とともに自転車で近所のスーパーに出向いたところ、5件中4件
が大幅なレイアウト改装をしておりました。
これはたった1社のスーパーが撤退した跡地に入った一地方スーパーの
影響なのですが、開店後わずか1か月でその地域の40%ぐらいのシェアを
取ってしまったのです。
それまではのんべんだらりとしていた各社が、電気が走ったように一気に
リニューアルをかけました。
今までなんとなく続いていた秩序が、突然堰を切ったように急激に変化
する一瞬というのが世の中にはあります。
今回は商品の値上げと、値上げがもたらす変革の効果について触れたいと
思います。

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<今週の気になるニュース>

日本の小売市場は食品スーパーが先導する

「製造業とのアナロジーで小売業を捉えると実態を見誤ります。小売業の
競争というのは基本的に店舗間の競争であって、経営規模で競争している
わけではない。実際、ダイエーがあれだけ巨大化した時代でも、私のいた
食品スーパーには全く影響がなかった。他のGMSの店舗とも同じエリアで
競争したけれど、本格的な競争にはならなかった。われわれとは業態が
違うからです。」

(LOGI-BIZ 2008年3月号 キーパーソン 安土 敏)

原則守れぬチェーンストア

日用品雑貨卸の幹部が嘆息する。「ドラッグストアの商品在庫日数は平均
40日前後ある。そんなにあるのに、なんで1週間に二回も三回も発注する
商品が多いのか。おかしいでしょ」
POSデータを活用して売れ筋商品はたくさん置き、動かない商品は少なめ
にする。そうして全商品の発注頻度を合わせるのがユニットコントロールの
原則だ。「ウォルマート・ストアーズやウォルグリーンなどはそれができて
いる。だから効率がいい。でも日本のスーパーやドラッグストア、ホーム
センターはほとんどができていない。そこでわれわれ卸が受発注や物流で
振り回される。合理的な品揃えや受発注をおろそかにしたまま、メーカーや
卸にはリベートや協賛金の要求ばかり。」・・・
標準化というチェーンストアの原則を守れるか否かは、企業間優位を維持
するカギと言える。

(日経MJ 2月25日 底流を読む「原則守れぬチェーンストア」)

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☆どうなる小売

3月1日の日経1面に、とうとうイオンも食品の値上げをすることになったとの
記事がありました。
イオンといえば、昨秋から株価が半値になるなど、これまでの常勝神話にも
若干ではありますが陰りが見えてきています。
極限まで巨大化しようとするイオン。すでに日本の小売りは寡占化してきて
おり、その一挙手一投足に注目が集まります。
あれだけ大きくなって、毎週土日は近所に渋滞を作るほど集客をしているの
に株価が下がるとは、投資家の目は厳しいです。

方や現実の売り場に行くと、店頭の現場が頑張っています。
私も結構スーパーには行く口なのですが、最近どこの店でも品揃えが相当
絞り込まれてきているように感じます。
特にお菓子や飲料は棚のエンドや通路ゴンドラに特定種類が山と積まれて、
赤札表示になっており、値上げ前より賑わし感があります。
ぱっと見ると「を、安いじゃん」と思うのですが、カップラーメンとかを見ると
ぎょっとするほど高かったりして、やっぱり上がったんだ、と実感します。

☆消費者はどうなる

しかし、長い節制の影響か、私個人としては、すでにかなりの程度”この商品
はここで買う”と決めてしまっているので、多少の価格の上げ下げがあろう
とも、買わない店では買わないし、買う店では買う、という状況になっています。
小売の努力や進化とは別に、店頭に出向かないので新たな刺激をスルー
しているような生活になっているのです。

中国製品についても、話題になれば気にしますが、たとえばそれを避けて
買わなくとも全く困りません。
テレビでは「日本人は熱しやすく冷めやすい。もっと怒れ!」とか言いますが、
そもそもそのようなことにいちいち目くじらを立てたとしても、なんら状況は
変わりません。
そのような場合は買わないに限ります。不買すれば、売っている店も扱わなく
なるでしょう。
そうやって値上げだ、偽装だとさんざん世間がもめている間に、いつの間にか
はっきりと自分の購買傾向は固定化されてしまったようなのです。

この感覚、私だけかと思ったら、実は私の周辺に聞いてみるとかなり似たよう
な動きをしていました。
たとえば家電であれば、価格コムで価格と評判を調べて店頭にいく、休日の
ドライブであればネットのブログを読んでから行先を決める、など、わざわざ
何の事前知識も、縁も紹介ももないところに行くこと自体が非常に減っています。
特にどこでも手に入る商品の場合、この傾向は顕著です。
情報技術が、ほとんどの不利益やリスクを事前に吸収させるほどのインパクト
をもってきているのです

このような時代は、そこそこ価格が安い、というぐらいの魅力づくりではなか
なかお客様を呼び込むことはできません。やるならダントツに安いか、本当に
満足してもらえる「売る仕組み」が店頭に必要になります。

そんなすごい仕組みって、何?と言われそうですが、小売の利益創出の原則
「来店客数×リピート率」から照らせば、エブリデーロープライスに尽きる、
と言っていいのではないでしょうか。あとは立地とアクセス(来店の利便性)。
当たり前のことを当たり前に、徹底して継続させることが原理原則です。

しかし現在は、メーカーリベートによる特売の連発や、商品名を替えただけの
「ブランドディスカウント」のようなPBの拡大などで、原理原則が相当ゆが
められているように見受けられます。

☆とうとう商流改革に手が付きはじめた

値上げが消費者の消費心理を冷やす、という大義名分で最大手の小売が率先
して価格抑制をした現状に対して、メーカーや卸もとうとう商流改革に本腰
を入れ始めました。

ネスレ日本は3月から卸からの菓子の返品を全種類受け付けない、という方針
で動き始めました。
酒販卸はメーカーからの特約店制度から脱退して、同業者連携で物流の効率化
に取り組みを始めたそうです。

「値上げを受け入れないなら、条件を見直せ。」

一見まっとうな要求なのに、これまでまず受け入れられることがなかった取引
条件、商習慣の見直しがこれまでにない広がりを見せています。

物流の立場から見れば、多くの小売店は規模にかかわらず毎日の配送・店舗
への納品を余儀なくされており、私どもの調査では多くのビジネスで曜日別の
繁閑差が1週間の中だけでも1.3.〜1.5倍程度発生しているのです。

物流コストの7割が配送費である中で、もし納品日を週5日から4日に減らすと、
単純に14%の配送コストダウンがはかれる計算になります。

また受注形態をFAX・EOS混在型からEOS100%に統一すると、間違い
なく庫内業務は飛躍的に効率化が図れます。

納品を手積み手下ろしから統一の搬送容器(パレット・かご車・クレートなど)
で運用すると納品時間がおそらく20%は短縮されるでしょう。

このように、改善の手法と効果がある程度確立されているのに導入が進まない
のは、明らかに商流側の弊害です。
原油や原料といった、業界や国などの特殊要因でない、万民が等しく避けられ
ない値上げが、今まで空念仏に終わっていた商流改革を促してきています。
数年経てば、あの非合理な取引と決別するには安いコストだった、と言われる
ようになるかもしれません。

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