千字一話物語 RSSを登録する

川崎ゆきおの千字程度の不思議な小説。

最新号をメルマガでお届けします    
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。
2008/07/24

千字一話物語 653話 盗撮

この記事を取り寄せる

■■■■

■   千字一話物語 川崎ゆきお  

■■

   653話 盗撮

 世の中には妙な発想をする人がいる。
 発想とは、想像することなのだが、創造す
る人もいる。
 この場合、妙な発想ではなく、妙な作り話
になる。
 作り話になると、現実に存在不可能なこと
でも成立してしまう。そうなると常識から逸
脱する。常識では考えられないことになるか
らだ。
 話の上では存在する世界なので、現実には
ありえないため、絵空事になる。この場合、
お話をお話として味わうことになる。
「やはり、現実に存在するから面白いのじゃ
ないですかね」
 盗撮マニアの石田がいう。
「でも、よくできているでしょ、この動画」
「これが本物の盗撮なら価値はありますよ。
でも、明らかにやらせでしょ」
「それは認めます。でも実際の盗撮作品でも、
こんなものでしょ」
「そこが違うのですよ。映像はそっくりでも
ね」
「同じじゃないですか」
「映像ではなく、現実を見ているのですよ」
「動画は映像でしょ。現実じゃない」
「本物だから、説得力があるのです」
「説得力」
「現実にあったという説得力です」
「そこが私には分かりませんねえ。こういう
盗撮の雰囲気がいいのじゃないのですかね」
「雰囲気は結果です」
「現実は、映像で作れますよ。盗撮している
ような臨場感とかもね」
「それが駄目なんですよね。やらせでは」
「演技が駄目なんですか」
「写されていることを知っているから駄目な
んです」
「知らなければいいのですか」
「それが盗撮です」
「盗撮風ではなく、盗撮がいいのですね」
「そうです。当たり前の話です。説明する必
要もない」
「でも、作ってしまえるのですよね。こうい
う盗撮ものは」
「だから、本物に価値があるのです。よくで
きた盗撮風など何の価値もありません。そこ
に現実がない」
「でも、現実ではここまで鮮明に、映せませ
ん」
「映像が問題なんじゃない。それが現実にあ
ったことが大事なんだ」
「それは分かりますがね。映像としては、作
ったほうが、よりそれらしくなるんですがね。
それに、これはありえる現実でしょ」
「現実は作れないのですよ」
「分かりました。また、違う動画を持ってき
ます」
「お願いします」

   了


■■■■■ ■  ■

ww8y-kwsk@asahi-net.or.jp
http://kawasakiyukio.com/

この記事を取り寄せる
最新号をメルマガでお届け
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。

最近の記事

上へ戻る