千字一話物語  RSSを登録する

川崎ゆきおの千字程度の不思議な小説。

最新号をメルマガでお届けします    
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。
2009/10/19

千字一話物語 996話 日常パターン

■■■■
■
■   千字一話物語 川崎ゆきお  
■
■■

   996話 日常パターン

 いつの間にか決まっしまった日常パターン
に対し、吉田は考えてしまった。こういうと
きは、困ったことだろう。考えるとは、困っ
た時と対になることが多い。
「困っているのだろうか」
 吉田は自問する。この自問も考える行為だ。
「いや、考えるようなことじゃない。なぜな
ら、それほど困っていないからだ。また、困
ることではない。不都合が出ているわけでは
ないからだ」
 というような流れで吉田は自問自答してい
る。
「これを、考えているということだろうか」
 毎日同じようなパターンで暮らしているこ
とに、考えてしまっているはずなのに、今の
吉田は、何故そんな考えが生まれたのかを考
えているのだ。
「考えすぎだろう。なるようにしてなった日
常パターンだ。それは自然なものだ」
 しかし、果たしてそうだろうかと吉田は考
える。この場合、考えると言うより、単に思
っていると思ってもよい。
「努力が足りないのではないか」
 考えることに対しての努力ではなく、日常
パターンの各要素についてだ。
「もっと、仕事量を増やした方が好ましいの
ではないか。スーパーで食材を買うより、近
くのコンビニで弁当を買えばいい。作る時間
も後かたづけの時間も短縮できる。それでで
きた時間を仕事に振り分ければよい。そうす
べきなのだ」
 今の日常パターンにどこか問題があるとす
れば、ここだろう。と、吉田はようやくたど
り着いた。
「それに買い物はバイクで行けばいい。何も
歩いて行くとはないのだ」
 しかし……と、すぐに自問する。そんなに
時間を切り詰めてまでやるほどの仕事量はな
い。余っているほどだ。だから、時間に余裕
があるため、ゆるりとした日常パターンにな
っているのだ。
「自分には強い意志がないのだ」
 次は、そんなことを言い出す。
「仕事量を増やす努力が足りないのだ」
 しかし、それは自分の意志の問題とは関係
がないかもしれない。日常パターンを越えた、
もっと人生規模での話になる。
「そうだ。人生をもう一度考えるべきなん
だ」
 吉田は、そう結論づけたが、その日常は相
変わらずで、何一つ変化はなかった。
 次にまた、こういうことを考えるのは数ヶ
月後だろう。それもまた日常パターンの内の
一つだ。

   了



■■■■■ ■  ■

ww8y-kwsk@asahi-net.or.jp
http://kawasakiyukio.com/


最新号をメルマガでお届け
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。

最近の記事

上へ戻る