2012/05/23
『太宰治情報』5月号
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 太宰治情報(月刊) ■2012年5月23日(水)第52号■[発行部数 83] -------------------------------------------------------------------- 【1】はじめに 【2】ホームページ『太宰治論』更新分 【3】後記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ※バックナンバーはこちらです。 >> http://archive.mag2.com/0000192171/index.html □────────────────────────────────□ 【1】はじめに □────────────────────────────────□ 皆さん、こんにちは。 ホームページ『太宰治論』の北田です。 ○では、『太宰治論』の更新分からです。 ※アクセス数累計:515,968[5月22日現在] □────────────────────────────────□ 【2】ホームページ『太宰治論』更新分 □────────────────────────────────□ ▼きのう読んだ本 ・柳家小三治『ま・く・ら』『もひとつ ま・く・ら』 http://www007.upp.so-net.ne.jp/dazai-kitada/dokusho300.html ○太宰治は落語が好きで、 作品も落語から影響を受けていると言われています。 『ま・く・ら』に収録されている、落語「かぼちゃや」の「枕」で、 小三治は次のように語っています。 「エー、俳句の話はこのくらいで。そろそろ落語に入ると思うでしょう? (お茶を飲んでズズッ)そうはいきませんよ(笑)。 あたしね、落語やるのそんなに楽しみじゃないんです、ほんと言って(笑)。 落語なんかどこでもやってんですから。ほかじゃやらないような話をここ でさせてもらうってぇのが今や楽しみでね。 初めて来た人は、悪いところへひっかかっちゃったと思ってあきらめてく ださい(笑)。」(「バリ句会」) 「そろそろ落語に入ると思うでしょう? そうはいきませんよ」 と言いながら、小三治は既に、 客席を「落語の世界の中」に連れてきている。 太宰治も「春の盗賊」で、同じような手法を用いています。 この作品では作者とおぼしき作中の「私」が、 「どろぼうに就いての物語」だと前置きした上で、 落語の「枕」のように、自分の過去の私生活のことを語り出します。 そして、次のように続けます。 「またしても、これは、私生活の上の話ではないか。おまへは、ついさつ き、物語のなかに私生活の上の弁解を付加することは邪道であると明言し たばかりのとこでは無いか。矛盾しないか。矛盾してゐないのである。そ ろそろ小説の世界の中にはひつて来てゐるのであるから、読者も、注意が 肝要である。」(「春の盗賊」) 「そろそろ小説の世界の中にはひつて来てゐる」と語ることによって、 作者は既に、「小説の外」にいると思わせておいた読者を、 「小説の世界の中」に連れてきている。 小三治は客席の聴衆を、 「落語の外」にいると思わせておきながら、 いつの間にか「落語の世界の中」に連れてきてしまう。 同じように、太宰も読者を、 「小説の外」にいると思わせておきながら、 いつの間にか「小説の世界の中」に連れてきてしまう。 こうした表現を可能にしているのは、 小三治も太宰も眼の前に、 他者の存在をヒリヒリと感じているためかもしれません。 小三治にとって他者とは現実の客席の聴衆ですが、 太宰にとって他者は太宰自身の影でしかないように思えます。 そこが、小三治と太宰の異なるところではないでしょうか。 『ま・く・ら』amazonはこちらです。 >>http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062637774/dokulyosimasi-22" 『もひとつ ま・く・ら』amazonはこちらです。 >>http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062647915/dokulyosimasi-22 □────────────────────────────────□ 【3】後記 □────────────────────────────────□ ○メルマガは当面、月1回の発行を予定しています。 ○『北野武による「たけし」』 (2012年3月5日ハヤカワ・ノンフィクション文庫)の中で、 北野武は、「死について」という項目で次のように語っています。 「もし俺が今病気になっても、急いで医者に診てもらうようなことはしな いね。病院に行くとしたら、人に担ぎ込まれることになるんだろうな。俺 の理想は、意識不明に陥って病院のベッドに寝かされてやっと目を開くこ と。ていうのも、俺がいちばんいやなのはさ、自分で自分のことを病院ま で運んでいく労力なんだよ。」 トシをとってくると、こうした気持ちがよく分かるような気がします。 『北野武による「たけし」』amazonはこちらです。 >>http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/415050380X/dokulyosimasi-22 ○次号は6月に発行する予定です。 どうぞお元気で、ではまた。 -------------------------------------------------------------------- ◆ ホームページ『太宰治論』 http://www007.upp.so-net.ne.jp/dazai-kitada/ ◆ ブログ『太宰治・作品のことば』 http://dazaiosamu-kotoba.seesaa.net/ ◆ ご意見・ご感想はこちら(メールフォーム) http://www007.upp.so-net.ne.jp/dazai-kitada/mailform.html ◆ このメルマガの解除はこちら http://www.mag2.com/m/0000192171.html --------------------------------------------------------------------



