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パリに住む筆者が、なにがなんだかわからないフランス人という人達を映画や絵画作品を通して解剖してみました。Sacres Francais!(サクレ フランセ)とは「とんでもないよ、フランス人」という意味です。

  • 発行周期 隔週刊
  • 最新号 2009/11/25
  • 部数 142部
  • メルマガID 0000191817
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2009/10/05

フランスいろいろ

2009年10月5日発行
【Sacres  francais !52号】                  

フランスいろいろ2009年9月



【Editorial par koko】

10月3日まで、オペラ裏にあるギャラリー・ラファイエットのウィンドウは、あの映画監督デイヴィッド・リンチが制作したオブジェで
飾られていました。これはデコではなく、正真正銘のアートであります。どこにも妥協の余地がない、アーティストによる作品となりま
した。

※デイヴィット・リンチによる ギャラリー・ラファイエットのウィンドイメージ
http://www.lepoint.fr/actualites-exposition/2009-09-18/david-lynch-en-vitrine-aux-galeries-lafayette/1039/2/1340/0/#newdiapo

ラファイエットの2階では彼の版画と短編映像からなるエキスポも行われました。

インタヴューの雰囲気から、彼は自分の作りたいものを作ったということがよくわかります。彼ほどの知名度があれば、依頼人は何も条件なんて出せないですよね。
作ってくれるだけラッキーな感じです。

問題は、これと同質の信頼関係を築けていない相手から、「
僕はアーティストだから、そんな要求はきけない」と仕事の選り好みをされる時。これはキツイ。
お金を払う方にしたら「別にあんたじゃなくてもよかったんだよ」って。

生活のためにこの仕事をするのか、自分の表現手段として作品を発表するのか。
アーティストとして、何もかもがコマーシャルになっている昨今、この流れに逆らうのは根性がいります。




【お題 その1】
ロマン・ポランスキー


多分日本でも話題になっているスイスでのポランスキー逮捕劇。
「強姦されたとする当のご本人が訴えを下げているにも関わらず、32年後にしかも外国で捕まるというのはどういうことなんだろう?」
と首をかしげる私です。

一つには、昨今のアメリカからスイスへの政治的圧力の一つの現れとみる人もいます。
「アメリカのいいなりになってるんじゃないの、スイスさん」、みたいなもの。
隠し口座の問題以来、スイスはちょっと弱腰です。
普通このような事件には時効(カリフォルニア州にはこの手の犯罪に時効がないと後日しりました)というものもあり、
しかも今更触れられたくもない昔の事で煩わされる女性の身になれば、なんだかただのヒスなアメリカ当局が長年の恨みつらみを晴らし
た事件に巻き込まれるのは迷惑。だからこの逮捕は違法であると声を荒げる関係者もたくさんいます。

一方確かに、ロマン・ポランスキーは罪を犯しました。そして罪を償うことなくアメリカを去り、後日被害者に一つも謝罪をしていない
というのは事実です。だから32年前の罪の代償が高くなっても仕方ないという人もいます。(
しかし、当時50年の監獄生活の可能性を知ってアメリカから逃亡した気持ちもわからんではないですな)

最近の13歳は化粧をしてしまえば未成年に見えない子達がたくさんいます。32年前もハリウッドにはそのような子供たちはいたでしょ
う。だからって言い訳にもならないけど、男の側からの言い分はそんなことでしょう。
ふと『ドクターハウス』の一エピソードを想い出しました。病院に担ぎ込まれた未成年のスーパーモデルがハウス先生の読み通り、周り
の大人たちだけではなく、実の父親とも関係を結んでいたというもの。そして少女は「自ら大人を誘惑したんだ」と彼女を周りの大人か
ら守ろうとする女医さんに告白します。

日本にいた時にフランス映画を見ていて「こんなこと信じられない」と思っていたことが、今ではフランスの事実とさほど遠くない内容
だとわかっているので、このようなテレビシリーズのシナリオと事実が交差する部分が実際の生活の中にあると知っています。
火のないところに煙は立たぬです。だから真実は双方にあるのだとも思います。だけどロマン・ポランスキーが犯した誤りは、
それからずっと逃亡し続けてうやむやにしようとしたことでしょうか。

何がフランスって、「法的に32年後アメリカで犯した罪により、スイスでフランス‐ポーランド人が捕まることはおかしい」というこ
とをモラル的なこと以前に指摘する点。それから彼を援護する現文化大臣(故ミッテラン大統領の甥で、文筆家)のポランスキー擁護演
説。(彼が出版した回顧録に、昔、北アメリカ諸国やアジア諸国でティーンの少年と性行為をしたことを告白〈当時それらの国では合法
行為だったそう〉しているのです。
テレビカメラの前でよくも平然とポランスキー擁護できますな~)

フランスとポーランド政府はアメリカに抗議しています。さてポランスキーの運命はどうなるのでしょうか?




【お題 その2】
『Le Petit Nicolas』 ( Laurent Tirard監督  2009年 仏映画)
http://www.petitnicolas.net/



毎回映画業界の冒険にはハラハラします。
今回は9月30日公開の映画、『Le Petit Nicolas』であります。
あのフランスを代表する児童文学本(バンドデシネ)『Le Petit Nicolas』の実写映画化の話。

1959年にRene Goscinny(Asterixの作者) と Jean-Jacques Sempeの黄金コンビによるこの作品シリーズは、フランス語を学ぼうと
思ったことがある人なら必ず一度は手にする本なのです。
理由は初心者でも読める簡単なストーリーが、親しみやすいサンペの絵と共に正しいフランス語で書かれているから。
(『クレヨンしんちゃん』ではなく、『サザエさん』の実写化に近いか・・・しかし臼井さんの事故死はショックでした。)

映画のプロデューサーは戦々恐々としています。予算も莫大な上、フランスの代表作を映画化したので、これでコケれば彼らの明日はな
いも同然。
出演俳優全員出動の大キャンペーンがはられました。

思えばここのところ名作アニメやアメコミの映画がたくさん公開されましたが、最近のフランスの名作映画化の敗北は、
2007年公開の『Asterix aux  Jeux  Olympiques』 の大コケです。
これもGoscinnyが作り出した人物Asterixを使った家族向け映画でした。
今年秋の公開作の中には、Goscinnyの作品である『Lucky Luck』の実写映画化や、ジャン・ジュネの新作が控えています。
莫大な予算という意味でいえば、インターナショナルにはジェームス・キャメロンの『Avatar』が気になるところですね。

ところでこの『Le Petit Nicolas』、映画はオリジナルに大変忠実で、見ていて居心地が悪いほどにピュアな映画でした。
居心地悪く感じた私はきっとすっかり身も心も灰色に汚れているんですよ(泣)
カップルでまた家族でたまには世間の毒を洗い流しにいくのにはもってこいの映画です。




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4日の朝、中川昭一元議員の死亡ニュースを読んで吃驚しています。親子二代にわたる突然の死(父親は自殺)というのは、因縁めいた
ものを感じます。
そして地震や洪水のニュースもこたえます。

さて、しばらく現在公開されている映画の話をしていなかったのですが、結局カンヌで何らかの賞や注目をあびた作品の評価をそのまま
引き継ぐ形となりました。
パルムドールを獲得したJacques Audiard の『Un Prpohete』 は内容で見せるということがどういうことなのかを知らしめる名作です。
長時間じっと変化のない映像を見る心構えがあったら是非見に行ってください。なんたってほとんど全て刑務所内での話ですから。
そしてタランティーノの『Inglourious Basterds』も驚くなかれ秀作だったのです。あいかわらず暴力シーンはすごいですが、タランテ
ィーノの力量を十分に見せてくれました。これも暴力シーンを見ても平気な心構えがある人だけにお勧めします。

またカンヌとは別にウッディ・アレンの『Whatever Works』も期待を裏切らないできだったし、
Christophe Honore監督作品『Non ma fille, tu n’iras pas danser』も彼のスタイルをいい意味で継続させていました。

所謂評価が出来上がった監督の作品は期待を裏切らなかった、というのがこの9月の映画感想でした。
いい映画を作り続けることが如何に大変かを思えば、世の中には才能のある人がたくさんいるんだなぁ、今更感心の溜息です。

多分来週はまたルネサンス絵画の話に戻りそうです。
次回も懲りずに読んでいただければ幸いです。。。。。


ではまた次回。
A bientot !

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