Sacres francais! <映画と美術とパリジャンと>  RSSを登録する

パリに住む筆者が、なにがなんだかわからないフランス人という人達を映画や絵画作品を通して解剖してみました。Sacres Francais!(サクレ フランセ)とは「とんでもないよ、フランス人」という意味です。

  • 発行周期 隔週刊
  • 最新号 2009/11/25
  • 部数 146部
  • メルマガID 0000191817
  • 個別ページ
最新号をメルマガでお届けします    
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。
2009/09/20

サクレ・フランセ51号 アクス・マジャー

                             2009年9月20日発行
【Sacres  francais !51号】                  


パブリックアートの未来。
   ――― Axe majeur の 30年




【Editorial par koko】

お久しゅうございまするぅ。

あっというまに2カ月のメルマガ休止期間が過ぎ去りました。
みなさんお変わりありませんか?

2か月何をしていたかというと、日本で美味しいものを安い値段で食べまくって、持ってきた服が着れなくなって、今度はショッピングせ
ざるをえなくなり ・・・・ 破産寸前になった日本滞在でした。

10年ぶりの夏の日本は比較的過ごしよく、かき氷をがっついて頭がかち割れそうになった昔を懐かしむほどではありませんでした。しか
しながら、毎週毎週どこかで花火大会に出くわし、盆踊りで東京音頭を口ずさむことはできたわけです。河内音頭は聞けなかったけど、
小学校時代を懐かしむには十分でございました。

映画関係でいえば、この夏の発見は、松山ケンイチ君。
役柄が特殊なので、ちょっと変なイメージあるかもしれませんが、役者としては将来が楽しみです。

美術関係では、縁があったのが大竹伸朗さん。
行くところ行くところ、彼にまつわる話ができきたのにはちょっと驚き。

フランスにもどってきて、9月11日のテロの映像を繰り返し見ることとなり、さらにリーマンショックから1年の話もたぁ~んと聞かされ
て、ちょっと違う話が聞きとうございます。

そんな9月、週末にちょこっとピクニックに行ってまいりました。
行き先は Axe-majeur (アクス・マジャー)。パリから30キロほど郊外にあるCergyという市にある広場というか公園というか、町であり
ます。

ランドスケープアートつまりは広大な土地を使ってのパブリックアート作品です。
それに加えて、またヴェルサイユ宮殿で行われているエキスポジションもご紹介します。
二つの場所は似ているようで非なるものですが、青空の元で健康的に作品を眺めることができるという意味では同じものですね。
つまり、出かけるには好い口実になるということですか。




【お題 その1】
おなじみ ヴェルサイユ宮殿 - Xavier Veillhan


去年のジェフ・クーンズに続いて、今年はフランスのアーティスト グザビエ・ヴェイヤンのインスタレーションがヴェルサイユに設置
されました。去年は、物議をかもしたクーンズの展示のおかげで、入場者数は例年より20パーセントアップ。今年も去年同様に来場者
数を増やすために2億5千万円ほどの予算をつぎ込んだそう。来年は村上隆の作品が並びます。

※紹介ビデオ
http://www.chateauversaillesspectacles.fr/spectacle.php?spe=15
※エキスポジションサイト
http://www.veilhan-versailles.com/index.php

正直、私はまだ観てません。
だけど来週にでも行ってきます。
どうしてかというと、ジェフ・クーンズの作品は知りすぎていて、あまり興味が湧かなかったから行きませんでしたが、ヴェイヤンには
あのチョッチョリーナ(ジェフ・クーンズのお嫁さんです)もいなければ、彼の作品の値段も控え目すぎてぜんぜん話題にならないの
で、ちょっと励ましついでに観てくるつもりです。
それに彼の作品は好きですしね。
実は私、フランスのミュージシャン「Air」のアルバムの表紙の写真で、彼の作品を記憶に刻みました。その上写真で見る限り、あの紫色
っていう色がとてもベルサイユに似合ってます。宇宙飛行士のガガーリンも中庭に寝っ転がってるらしいです。



【お題 その2】
L’Axe majeur ( Cergy-pontoise)


フランス人の間でもあまり知られていないパブリックアートがこのアクス・マジャーと呼ばれる空間です。30年の年月を費やしてなんと
か形になりました。まだ工事は続いてますが、その広大な眺めは壮観です。

湖の向こうに見える高層ビル(パリ、デファンス)を望みながら、ベルベデールの塔から湖の対岸まで約3キロのアクス(軸)が真っ直ぐ
に伸びています。湖の手前を流れるセーヌの支流オワーズ川にかかる真っ赤な橋は最近工事が終わって一般に開放されました。

このフランスで一番長い時間をかけたパブリックアートを作ったのが、Dani Karavanというイスラエルのアーティストです。

まずは全体像をサイトでご覧あれ。
※参照サイト
www.axe-majeur.net  (仏)
www.danikaravan.com 

30年の間に文化大臣が6人替わりました。このプロジェクトを続けるのには随分と忍耐が必要だったに違いありません。

この壮大な作品は「彫刻、風景、ユーバニズムそして建築の狭間に位置づけられた特殊な例」だとDani自身が語っています。また私が理
解した範囲では、とても神秘的な謎解きの場所でもあります。なぜなら『Axe majeur』(主要軸、または大都市軸)という概念自体がとて
も不可思議な概念で、数字や形に意味を見出す神秘的な部分があるのです。当初この計画がどんなコンセプトで企画されたのかインター
ネットで知ることができませんでした。でも、パリのルーブルのガラスのピラミッドを作るために取り除かれた敷石をここの広場に使っ
たり、このモニュメントの端に作られているベルベデールの塔が高さ36メートルで一変が3.6メートルで構成された構造物だったり、
さらに塔自体は軸と同じ方向に1.5度傾斜しているそう。3キロメートルの長さの敷地内に12のオブジェが作られ、途中のオブジェの柱
は12本であるところなども不思議な感じです。
とあるブログには、このベルベデールの塔から真っ直ぐ線を延ばすとルーブルのピラミッドの上で子午線と交わるとかなんとか・・・・
意味不明な文章が・・・・ほんまかいな。

もうすっかりダヴィンチ・コードの世界であります。

さらにベルベデールの塔の周りの建築物はまるで前回のメルマガの話題だったデ・キリコの絵を彷彿とさせます。それは塔が若干傾いて
いるからなのか、Ricardo Bofill設計の構造物全体の無機質で幾何学的な形態のせいなのか、それは各々が見学して確かめてほしいで
す。

行ってみてわかったのは、とにかく素晴らしい眺望が望める最高のピクニック地だということ。RER A線でいけますので、パリが大
好きなビジターにもチェックしてもらっていい場所でしょう。



【お題 その3】
30年という歳月が意味するもの


話はまだAxe-majeur絡みです。
ナントいっても予算は税金から捻出されているんですから、よくもまぁ30年もプロジェクトが途絶えずに続いたなと感心してしまいま
す。

この夏日本ではとうとう自民党は与党ではなくなってしまい、恐らく各地のプロジェクトが変更または中断の憂き目にあうことでしょ
う。とにかく皆のお金が使われるわけですから、いい加減に企画されたプロジェクトというものはすぐに見直しを求められます。見てく
ださい、我が大阪府もとうとう伊丹空港の廃止云々の話をまた持ち出してきました。元大阪府民から言わせれば、関空と伊丹と神戸空港
があの狭い経済圏に共存すること自体が愚かしい話だと思います。赤字なんだからなんとかしなきゃね。地元の利益を優先して全体の利
益を損なうわけにはいきませんわね。

そう考えると、このアクス・マジャーが存続するにはコンセプト自身にそれなりの説得力がなければなりません。それは『現代パブリッ
クアートの文化遺産価値』みたいな言葉に集約されます。所謂ユネスコに登録できるような価値があるものを作るというのが背景にあっ
たようです。30年という歳月と共に、そこに関わる住民や自然が一緒に変化していく場所、それがこのアクス・マジャーの本質です。一
番大切なのは、これはヴェルサイユなどのインスタレーションとは一画をなすプロジェクトであり、これからも永遠に残る人類の遺産と
して建設されたものなのです。まるでナポレオン3世がパリの街の線を引きなおし、その町が今でも市民によって使われているのとほぼ同
じような意味において、人類の遺産としてこれからも存続していこうとする空間がアクス・マジャーなのです。

パブリックアートの概念を問いかけなおすCergy-pontoise市の試みは、今後行政がどの程度ユネスコなどに働きかけられるかにかかって
います。



【最後に】

この秋フランスでは炭素税なるものが可決されました。電気を除くエネルギー消費に税金がつくのです。またパンの値段が上がります
(ちょっと身近すぎる話題ですかぁ)。これ以上日々の物価が高くなるのは困るよなぁ。だけどやらなければ一般の人々の生活改善を促
進できないというわけで、国民に協力を求めるサルコジ君であります。

この議論が結構興味深いのは、エネルギーをなるべく消費しない生活を追求すると、消費全体が減少して、経済が停滞するという問題に
突き当たること。そしてその一方アメリカや中国はどんどんCO2を排出し続けて、涙ぐましいフランス国民の努力は無に帰すだろうと
いうシナリオが浮かぶこと。だけどだからといってこのままほっとくわけにもいかず、フランスとしては炭素税を始めることによって、
新たな経済活動の発展を促そう、という話なんです。

誰か21世紀夢の新エネルギーを発見してくれないかなぁ。
あの黒い液体や原発のお世話にならない日が近づいて欲しいと切に願う私、kokoです。


ではまた次回。
A bientot !

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
Sacres francais! <映画と美術とパリジャンと>
お便りはこちら yuriko.noritake@gmail.com
発行システム:「まぐまぐ」http://www.mag2.com
配信中心はこちら http://www.mag2.com./m/0000191817.html

最新号をメルマガでお届け
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。

最近の記事

上へ戻る