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パリに住む筆者が、なにがなんだかわからないフランス人という人達を映画や絵画作品を通して解剖してみました。Sacres Francais!(サクレ フランセ)とは「とんでもないよ、フランス人」という意味です。

  • 発行周期 隔週刊
  • 最新号 2009/11/07
  • 部数 142部
  • メルマガID 0000191817
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2009/05/10

サクレ・フランセ 47号 雨あがりの夜空に

                             2009年5月10日発行
【Sacres  francais 47号】                  


雨あがりの夜空に




【Editorial par koko】

今日は3連休の最後の日曜日だ。
昨日おいしいワインを飲み過ぎて頭がズッキンズッキンする。
日本はゴールデンウィークだけど、こちらも毎週ブロンズウィークが続く。
なんだか倦怠感がまといつく週末だ。
何気なくコンピュータの画面に表示されていた今日のニュースをクリックした。

『忌野清志郎さん癌で死去』
えぇ〜!

まだ若かったはずだ。
サイトで調べる。
『58歳』
勘弁してほしい。
58歳なんてまだまだガキだよ!

なんか信じられない。
お粗末な程度だがファンだった。
格好よかったもんね、清志郎さん。
そんとき、わたしゃ高校生だったっけ。

そういや、この3月中旬にAlain Bashung というフランスの偉大なミュージシャンが61
歳で亡くなった。死因は同じく癌。
うちの同居人はひどく悲しんでたっけ。

自分の過去と重なると、その人の死がとても身近に感じる。
その時の音楽が自分をタイムカプセルに乗せて過去へ引き戻してくれる。
ミュージシャンというのは素晴らしい仕事だと改めて思う。
まるっきり音楽の才能がない娘を産んでくれた親に急に文句の一つも言いたいなった。
だけど中途半端な才能をもらうよりは、まるっきりダメなほうがまだ救われる。
下手に夢見て痛い思いをする必要はないからね。

※Alain Bashung(ビデオ)
http://www.youtube.com/watch?v=IXdi7Zn6g8E&feature=related



そういえば、今年はまだあまりコンサートに行ってない。
昨年はそれほどではなかったけれど、一昨年はコンサートの当り年だった。
素晴らしい展覧会でも鳥肌がたつけど、コンサートは体中の血液がボコボコと音をたて
て煮えたぎる感じがして体が熱くなる。
一種の麻薬ってところか。

今年リリースされたU2のアルバムが少し期待外れだったので、チケットを買いそびれた
スティーリー・ダンも日程が仕事と重なっていて行けそうにない。
マイケル・ジャクソン(年がバレバレですな)は見たいけど高すぎて買えない。
悩み深き5月である。




【お題 その1】

Le Grand Pari(グラン・パリ プロジェクト)
Vers une Metropole de l’apres-kyoto(京都議定書に基づいた町づくり)



先日サルコジ大統領の念願であるグラン・パリプロジェクトのお披露目があった。10組
の建築家チームがそれぞれに近未来のパリの町づくりに対する提案を公開した。現在そ
れはトロカデロの建築博物館に展示されている。

とにかくエコで、パリを中心にして郊外地域が一つの大きな生活圏になって、さらには
パリからル・アーブルというセーヌ河口の町までずっと地域がつながって一つの経済圏
をつくるイメージを描いているようだ。従来のエスカルゴだけのパリではなくて、もっ
と大きく外へ広がる地域づくりである。

※どんな建築家が参加しているか知りたい方は下記サイト(仏)を参照。
http://www.legrandparis.culture.gouv.fr/equipes

1年の歳月をかけて研究されたテーマの結果発表であって、この提案を現実化するための
コンクールではない。国がお金を出して研究資金と連携手段を提供するわけだから、そ
の話し合いは毎回500名ぐらいのメンバーで行われたらしい。こういう規模で話合う機会
はお互いに全くないから、建築家も各専門家も行政側もかなり実のある結果を得ること
ができたようである。普段横のつながりがない人たちがそれぞれのアイデアや意見を述
べて、最終的に収斂されていったアイデアというのはとても価値あるものになるよう
だ。参加した人たちの興奮を見ればそれはなんとなく想像がつく。

今後はここで提案されたアイデアを盛り込んで、進行形のプロジェクトや今後の開発プ
ランを立てていくらしい。珍しく社会党もサルコジのイニシアティブを高く評価してい
る。フランスでは普通誰かが文句を言ううんだけど、今回は一斉にエールを送っている
ようだ。それほど町・地域づくりは大切な案件だという共通の認識があったわけだ。さ
らに10組の建築家チームがサルコジからこの話をオファーされたとき、彼らは新しい町
づくりに必要な法改正に国が積極的に取り組むことを要求した。国の後押しがなければ
プロジェクトは現実化されないからだ。

そういえば、ポンピドゥー大統領の時は、セーヌから水を抜いて高速道路を走らせるな
んていう突拍子もないプロジェクトがあったらしい。今はそんな時代ではなく、地球に
やさしくて住民が住みやすい町が目標だから、例えばシテ島にある裁判所機能を他所へ
移して、素晴らしいあの箱を他の用途に使う可能性だってあるそうな。高層建築も一本
だけでは景観として成り立たないが、高層建築群になると一つの美的外観を創出するこ
とができるという研究に基づいて、パリの町のどこかにそのようなコンセプトで高層ビ
ルが建つ可能性もあるわけ。

予算というものが手に入れば、建築家ほど楽しい仕事もなかろうに・・・




【お題 その2】

『Good Morning England 』Richard Curtis監督 2009年 イギリス



フランスにいて皆が働かないということ以外は別に不満はない。ましてや不景気が世界
的に押し寄せている今年は、金儲けに走らなかった分比較的平和なフランスにいてよか
ったとも思う。

だけど、音楽とシェークスピアと19世紀後半以降の文学、それから一部映画については
イギリスが羨ましい。

私の得手勝手な好みは、いつも自然にイギリス人の作品に行きつく。
意識はないけど、結果がそうだから仕方ない。
映画でいえば、今年はダニー・ボイルがいつもどおり私の期待に応えてくれて、それか
らリチャード・カーティスが心地よく脳みそを刺激してくれた。
『Good Morning England 』は60年代イギリスの熱いロック魂を語った映画だ。
映像的にも音的にも、まさしくイギリスの本分を見せつけてくれている。突拍子もない
言動を通して、音楽に対する熱いハート(なんだか古い表現だけど)がドックンドック
ン伝わってきて、「いいなぁ〜」。
(『Love Actually 』もとっても幸せな気持ちにさせる映画だったけど、今回もカーテ
ィス節は違った形で顕在でござります)

それはまるで清志郎さんが高校生の私を心地よく宙に浮遊させてくれたのと似ている。
元気のないときにはエネルギーを与えてくれるし、元気のあるときはもっと元気にして
くれる。私みたいないい加減な音楽ファンにとっては、歌詞がわかんなくても勢いで元
気になれるってのは大変都合がいい。
まさに「雨あがりの夜空に」イッチョバ〜ンってイテコマシテやるぅ!みない
な・・・・
(何ゆってんのかよくわかんないけど***)

それとは正反対に、言葉がわからんとどうしようもないのがフランスだ。
言葉至上主義だから、ヘタなテキストがつくと誰も振り向かない。文学も歌詞も言葉が
関わる全てについて、フランス人はまず文章が美しいかどうかを重視する。だから内容
があっても文章がなってないと批評欄で評価が下がる。サルコジが正しく美しいフラン
ス語を喋れないといってみんなが馬鹿にする。それほど言葉のスタイルというのは大切
らしい。語学の才がない私ごとき外国人は何も言う権利がない。ただただ人の話聞い
て、はたまた人の書いたものを読んで、感嘆するのみである。

今年はボリス・ヴィアンが亡くなって50年だそうだ。それを記念して私の大嫌いな(と
いうよりも毛嫌いしてまともにアルバムを聞いたこともない)Arthur Hというフランス
のミュージシャンが『日々の泡』を朗読したオーディオCDが発売された。この翻訳者泣
かせのボリス・ヴィアン作品は、20世紀を代表する数少ないフランス文学の傑作だ。
翻訳者泣かせであるほどに言葉のニュアンスは微妙だそうな。

頑張って原文で読んでみるか。





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このメルマガは1週間前に書いたものです。フランスってのはいつもコンセプトを重視す
る国で、グラン・パリプロジェクトのように計画が実行されるまでとても深い考察が行
われる傾向があります。基本方針が決定するとあとはかなり強引にそれを実行に移すか
ら、比較的物事に大きな道筋がつきます。その代わり微細なことには無頓着です。それ
ってまさに日本と正反対で、お互いに分かり合えないのがこの二つの国の宿命なんです
よ。

だからお互いに魅惑されるんですよね。
ミステリアスにみえるでしょ、相手が。
ムフフフッゥ。



とにもかくにも今回も読んでくださってありがとうございました。
ではまた次回。
koko


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