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パリに住む筆者が、なにがなんだかわからないフランス人という人達を映画や絵画作品を通して解剖してみました。Sacres Francais!(サクレ フランセ)とは「とんでもないよ、フランス人」という意味です。

  • 発行周期 隔週刊
  • 最新号 2009/11/25
  • 部数 142部
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2008/08/12

サクレ・フランセ 38号 紫マスタード

【Sacres Francais! 38号】               2008年8月12日発行


君は紫マスタードを知っているか!


【Editorial par koko】
バカンス中なかなかインターネットに接続できず、発行しそびれた原稿を横目に一冊の
料理の雑誌をペラペラめくっていたら、なんとも美味しそうな『Moutarde Violette de
 Brive』の写真が目に飛び込んできたぁ。

こりゃなんだ?

紫マスタードだとぉ〜。

なんだかとても秘密の味がしそうワインレッドの物質。
お取り寄せでしか手に入らぬこの黄金(色は紫だけど)のマスタードの記事に釘付け。
今日はCold Playの『Viva La Viva』 のアルバムを聞きながら、片手にMonbazillacの甘
い白ワインを嗜む(というよりも飲んだくれる)、穏やかなマスタード日和です。

今回もよろしく!



【お題 その1】
Pape Clement 六世 (1342~1352在位)

「Pape」というのは、所謂ローマ法王のことだということはご存じですか。
このクレモン6世が法王だった頃、教会分離の危機でアヴィニヨンに今のヴァティカンが
ありました。

クレモン6世の3代前のクレモン5世が、1309年に住まいをローマからアヴィニヨンに移し
たのです。(自分の無知をさらしたくないので、この歴史的な出来事についてはまた別
の機会にお話するとしましょう)

さて、このクレモン6世の別名を 『Le Magnifique』といいます。要するに「華麗な、
壮麗な人物」ということなんです。

何故か?

答え:大変な贅沢者で、お金に射止めをつけず豪奢な暮らしをした人だから。

よくいえば趣味のなかなか凝った方だったということでしょうか・・・
彼が死んだときには、教皇庁の金庫は空っぽだったらしいです。

何に使ったんだろう?

例えば、(ウィキペディア仏版)
教皇になったおりの襲名式に、5000人以上のお坊ちゃま(プリンス)をはじめ、当時の
有力貴族・豪族の方々を招待し、30近い種類の料理を用意したとかしないとか・・・
当時一流のアーティストの保護に努め(メセナちゅうやつです)、前任者のブノワ12世
の地味な住居に飽き足らず、新しい建物建設に取り掛かり、見事なデコを施したとか・・・
当時プロヴァンスの伯爵夫人で、ナポリの王女だった、Jeanne de Naples からアヴィニ
ヨンの町を買い取ったりとか・・・

多分現在の壮大なアヴィニヨンの教皇庁跡は、このころに出来上がったんだろうなぁと
思うのであります。アヴィニヨンの町も奇麗ですが、この建物は圧巻です。

恐るべし、クレモン6世。



【お題 その2】
そこで、『Moutarde Violette de Brive』Brive(地名)の紫マスタード。

発酵前のブドウ液のほのかな味わいがちょっとあの有名なのディジョンマスタードとは
一味もふた味も違う、らしい、、、、、

ここまで書くんだったら味見してから書けってなことですが、通販の苦手なkokoにはな
かなか手に入りにくい商品なもんで、まずはこのマスタードの歴史紹介です。

どうしてクレモン6世の話をしたかというと、実はこのマスタードを地方の名物から全国
区にしたのが、このクレモン6世だとか。
紫マスタードはCorreze地方で作られていたのですが、「プロヴァンス地方のアヴィニヨ
ンでも紫マスタードが食べたい!」と思ったクレモン6世は、当時紫マスタード作りでは
一番といわれたLimousinのマスタード屋Jaubertieにお願いして、はるばるアヴィニヨン
に彼を呼び寄せました。そしてJaubertieは閣下殿となったのです。そんなことからフラ
ンスに今も残るセリフがあります。
『Il se prend pour le grand moutardier du pape!』 
(あいつぁ、自分を教皇の偉大なマスタード屋だと思ってやがる)
教皇に請われて来たマスタード屋の驕りや虚栄心をもじった表現のようです。

天皇家御用達の数々みたいなもんですよね。



【お題 その3】
紫マスタードの今

今日、目の前の雑誌に載っているマスタードの写真は、Denoixというメゾンの製造品で
す。紫マスタードはその後しばらくあまり注目されることがなかったのですが、ベル・
エポック前にまたブームが来たらしいです。その立役者が小間物屋さん。特にBrive-la-
Gaillarde(Limousin地方Correze県)の小間物屋が行商して各地に商品をもたらしたそ
う。当時Correze県に少なくとも23件のメゾンがあって、その大半がリキュール製造をし
ていたそうです。

1950年代の終わりには、紫マスタードは流行遅れとなって、80年代写真にあるDenoixと
いうメゾンの100パーセント手作業で作られたマスタードが4代に渡る製造の秘密を守り
ながら、クレモン6世の愛した紫マスタード(紫玉ねぎと打ち間違えそうですが・・・)
を今に伝えるのです。

すっご〜い歴史ですなぁ。
絶対に味わってみなければ!

La maison Denoix のサイト
http://www.denoix.fr/gb/accueil.html (英・仏)


【最後に】
このマスタードの記事は、「Saveurs」 の161号に掲載されていました。
このマスタードを使ったレシピも載っていたのですが、食べたことないんでレシピを載
せるのは止めにしました。

先日8日、北京オリンピックの開会式の出来に感嘆しつつ、この最新テクノロジーのオリ
ンピックに費やされただろう多大な一般市民の犠牲について少し考えさせられました。
どんどん派手になるのはいいけれど、そろそろこの辺でオリンピックのあり方を考えて
もいいのではないかと思うのです。
しかし、中国はデカイことが得意ですよねぇ。
ほんと日本と正反対なんだよな〜。
自国の発明品だとはいえ、花火上げすぎで、煙しか見えんかった感じです。

今回は女子バレーが久々のメダルをとってくれるのを願って、祈っても何しても見れな
いだろう日本のバレーボール試合中継を夢に見るkokoです。


では北島選手の金メダルに感動しつつ、また次回。
A  la prochaine fois !
koko



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