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パリに住む筆者が、なにがなんだかわからないフランス人という人達を映画や絵画作品を通して解剖してみました。Sacres Francais!(サクレ フランセ)とは「とんでもないよ、フランス人」という意味です。

  • 周期 隔週刊
  • 最新号 2008/08/12
  • 発行部数 156
  • マガジンID 0000191817
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2008/04/10

サクレ・フランセ 35号 こういう時こそシネマへ行こう

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【sacres Francais ! 35号】                  2008年4月10日発行

こういう時こそシネマへ行こう!


【Editorial par koko】
夏時間に変わってから、随分と気分が軽くなってきました。
8時前まで明るいのでどんどんお出かけしたくなるのです。
ただちょっと寒い。まだコートは厚手のものが必要です。
雨も多いので、パリ風物詩のカフェのテラスで日光浴をするT-シャツ姿のパリジャンは
見かけられません。
これを書いている日の朝は雪が積もりました。

そうだ!こういう天候の時こそシネマへ行こう!

てなことでメルマガさぼった間に溜まった映画情報をここで少し吐き出すことにしま
す。
去年の秋から比較的ずっと映画のラインアップがよくて、見るほうがついていけていな
い状態なんですが、今年に入ってのフランスのロードショーの様子を一部お伝えしたい
と思います。

それからこの5日から日本でロードショーされている『クローバーフィールド』は、ぜひ
騙されたと思って軽い気持ちで友達と一緒に見に行ってください。面白かったですよ。
オリジナリティがあって話題性もあって、友人と時間を共有するには最適の映画です。



【Cinema−1】
二人のアンダーソン

ほぼ時を同じくしてこちらで公開されている、二人のアンダーソンの映画。

一人はもちろん今年のオスカーの主役映画『There will be blood』を撮ったPaul 
Thomas Anderson。まー骨太な映画をさらっとつくちゃう驚くべき力量の監督です。もち
ろんいい映画でしたが、それは一般のプレスにお任せするとして、ここではもう一人の
アンダーソン、Wes Andersonが撮った『The Darjeering Limited』(2007年米映画)に
ついての覚書。

というのも今までずっと彼の映像スタイルの大ファンで、しかも今回のこの映画で見事
にその期待を裏切らなかったから。彼のスタイルが健在で、さらに磨きがかかっている
感じがしてうれしかったんです。誰が見てもすぐ彼だとわかるこの映画、3兄弟の触れ合
いを軽いタッチで描くコメディです。

個人的な理由を付け加えれば、ロラン・ポランスキーの『ピアニスト』で有名になった
俳優Adrien Brody(次男役)が出ているのでますます気に入ってます。(彼がある晩私
の夢に出てきて以来、私は彼のファンであります。なぜか映画とは全く関係ないんです
けどねぇ。ちなみにその昔沢田けんじが出てきたときは全然ファンにはなりませんでし
た。だから夢と登場人物の関係には特に決まりはないようです・・・)
キャスティングの妙はいつものことながら、アンダーソン作品常連の二人(長男役Owen
 Willson, 三男役Jason Schwartzman)に挟まれていい味だしてます。そのほかお馴染
Bill MurrayやAnjelica Huston、 さらにNatalie Portmanなどの豪華メンバーが要所要
所にいい隠し味でちりばめられていて、絶妙のバランスを保っているのです。

この3兄弟がインドで慈善活動に勤しむ母親に会いにダージリン急行に乗って旅をするこ
とになります。なぜかこの3人がこの家族のイニシャルが入っているオレンジ色のデケ〜
鞄を持っていて、一番下の弟はいつも裸足で歩いている・・・
インドの透き通る青空と褐色の土、色とりどりの町の看板、衣装、土埃、、、、、すべ
てが織り交ざってアンダーソン色となって画面に映し出されるのでした。

3兄弟がとてもちゃんとしたスーツを着込んで、立派な旅行鞄を持って列車に乗り込んで
くるんですけど、最後には持物をすべて捨てて男3兄弟のピュナな関係を再構築していく
わけです。でも本当にあの鞄が印象的で、雑誌のインタビューであの鞄がヴィトンだと
知って妙に納得をしてしまったのでした。それほど鞄の存在感が感じられたのです。

映画を見ていて、撮影スタッフの和気あいあいとした雰囲気が伝わってきて、ただただ
作る喜びがストレートにこちらにまで届いてきた映画です。なんて素敵なことでしょう
か。



【Cinema−2】
ファン定例鑑賞報告、Michel Gondry

ミシェル・ゴンドリーの新しい映画『Be Kind Rewind』(2008年米映画)も作る喜びに
ついて語る映画です。(フランス名『Soyez sympas, Rombobinez』)

寂れたカセットビデオクラブを舞台に、そこの従業員とその友人がオーナーの留守中に
引き起こす騒ぎを通して、近所の人たちも巻き添えにした映画製作が始まるという話。
いつもどおりのファンタジックなイマジネーションをこれでもかこれでもかとぶつけて
きます。音楽と映像とアイデアをネタに、今回は作ることに参加する喜びについて熱く
語っています。こんな風に映画づくりに関わりあえるのであれば、私も参加してみたい
もんです。

Jack Black, Mos Defの二人に加え、Danny Gloverの懐かしい顔もじっくり見ることがで
きます。(メル・ギブソンとのゴールデンコンビ『リーサル・ウェポン』が目に浮かぶ
なぁ)ちょっとハチャメチャなところもありますが、鑑賞後は心温まる優しい映画で
す。
フランスのプレスでは賛否両論の映画だったのですが、私的にはお勧め映画にしたいと
思います。



【Cinema−3】 
『Bienvenue chez les Ch’tis』(2007年仏映画)

今年はフランス大衆娯楽映画観客動員数の記録が塗り替えられそうです。Dany Boonが制
作・監督・出演しているこの映画が、歴代記録のトップに躍り出ようかという勢いなの
です。

フランスの地中海の風光明媚な町に住む家族の父親は郵便局員です。彼の奥さんはこの
温暖な地域を愛しています。そんなところに旦那の転勤命令が出ます。それがなんとも
北の町だったから大変!都落ち同然の転勤命令に家族が付いてくるはずもなく、旦那さ
ん一人の単身赴任となり、ドタバタ喜劇の始まりです。(「Ch’tis」というのはこの北
の地域の人のことを指しています)

実はこの北の町というのがLilleを首府とするPas de Calaisという地域で、日本でいえ
ばたぶん東北のどこかの県にあたります。天気も悪くて、食べ物もおいしくなくて、み
んな飲んだくれて、すごく訛りが強い地域、それがこの地域のイメージなのです。(東北出身者の方、ゴメンナサイ)
だけど本当に訛りがきついらしくて、パリの人もわからないほどらしい。

その訛りがいかほどのものか実際に知りたい方は、映画オフィシャルサイトをご覧あ
れ!
http://www.bienvenuechezleschtis-lefilm.com/ (もちろん仏)


この映画を製作監督している本人は、この地の出身。そのメリットを存分に活かしてわ
が故郷を描いています。当の本人がここの出身だからどのように描こうが誰も文句はい
いませんよね。ふるさとへの愛が感じられるから、何してもOKです。

それで参考に歴代観客動員1位のフランス映画が何かっていうと、Gerard Oury監督のコ
メディ『la Grande Vadrouille』(『大進撃』1966年仏映画)なんです。フランスを代
表する二人のコメディ俳優(Bourvil, Louis de Funes)を使って、巨匠Gerard Ouryが
作った名作コメディなのでした。まーちょっと日本でいう寅さんシリーズにも近いよう
な、国民的映画であります。40年間この映画の観客動員数(1727万人)が破られずにき
たのですが、とうとう今年その記録が破られそうな気配なのです。今のところ
『Bienvenue chez les Ch’tis』の記録は1670万人ほどで、ちなみに総合1位『タイタニ
ック』の2070万人にも迫らんとする勢いです。

こうなるとDany Boonの笑いはとどまることを知らず、どんどん頭(?)が膨れあがっ
て、最後にはどこにとんでいっちゃうんでしょう???因みに知り合いの映画関係者の
話ではとんでもなく思いあがっているということらしいです、、、、、ま、仕方ない
か。(彼の名誉のために言っておきますが、彼はとてもいいコメディアンです)

でもね、これ日本で見てもぜったい面白くないと思います・・・・
寅さんをフランス人が見たって絶対面白くないのと一緒の意味ですよ。



【あとがき】
ArtParisが開催されていたパリ。春が近くなって人がどんどん出てくるようになりまし
た。
格別寒い日曜日はパリマラソンが行われていましたがそれなりの人ごみ。
月曜日は聖火がパリの町に降り立ち、2度もバスの中に消えていきました(事前に事件を
避けるためだそう)。
火曜日も最高気温は8度ほど。
一度咲いた桜ももうすっかりダメになってしまいました。

そうだこんな時こそ、やはり映画館へ行こう!

ではまた次回。
koko



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発行システム:「まぐまぐ」http://www.mag2.com
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