サクレ・フランセ 27号 2007年夏バカンス
【Sacre francais! 27号 2007年夏バカンス号】 2007年8月28日発行
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ジャイアント鴨を訪ねて3千里
― Estuaire 2007 Nantes Saint-Nazaire の旅 ― ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【Editorial par koko】
不完全燃焼の夏ももう終わりです。
最近では日が沈むのも早くなりました。
こうなるといくら天気がよくなっても、気温が少々上昇しても、秋の訪れを感じないわ
けにはいかないのです。
バカンスに名残尽きない私めは、ナントという町からロワールを大西洋まで下る旅に出
ようと思います。それもあるパンフレットに載っていたジャイアント鴨に会いに行く旅
なのです。
映画とアート作品の紹介を交えながら、ロワール河下りを楽しみたいと思います。
どうぞ最後までお付き合いのほど、お願いします。
【お題 その1】
Estuaire 2007・2009・2011 Nantes><Saint-Nazaire
そもそもことの始まりはこの7月に≪Estuaire≫というタイトルのあるポスターをパリの
街で見かけたことでした。
「なんなんだろう?」 単純にそう思ってポスターを読んでみたのです。
それは今年の7月1日から9月1日まで行われる現代アートイベントの告知ポスターでし
た。そこで雑誌を丹念に見てみたところ、ナントという町からサン・ナザールという町
にかけてのロワール河流域でなかなか面白い30名のアーティストの作品が見れるとわか
ったのです。
特に私の目を引き付けたのは、黄色いジャイアントの鴨が水に浮かんでいる写真でし
た。
実はこれFlorentijn Hofmanというオランダのアーティストの作品です。
http://www.estuaire.info/en/html/artistes/florentijn_hofman.html
解説に「 鴨は国境を知らず。また人の間に差別を設けない。政治的なメッセージも持た
ない。世界の緊張を和らげるのに最適の友好のシンボルだ」みたいなことが書かれてい
ました。高さ1949cm、長さ2344cm、幅1664cm。お風呂によく浮いている黄色い鴨。
「ロワールに浮かぶこの黄色い鴨が見てみたい」 って思ってしまったのが運のつきで
す。
これで旅に立つ動機が出来ました。
「Estuaire」というのはフランス語で「河口」という意味です。ロワール河が大西洋に
流れ出る手前から川幅がどんどん広がり、河口の町サン・ナザール付近ではほとんど海
と河の区別がつかなくなってしまいます。その数十キロに及ぶ地域を舞台に繰り広げら
れるイベント「Estuaire」は、ナントにある中州の大規模再開発事情と相乗りで、これ
から2年毎(2009年、2011年)に計3回繰り広げられる期限限定ビエンナーレアートプロ
ジェクトなのです。
※http://www.estuaire.info/en/estuaire_high.html
(英語バージョン)
【お題 その2】
Nantes (ナント)
フランス第6番目の町ナントは、ロワール・アトランティック地方の首府です。パリから
西へTGVで2時間ほどのところにある町。特に何もないという印象が強い町ですが、実際
特にこれというほどのものもなく、比較的観光客には縁のない町でした。最近では町の
イメージを刷新するプロジェクトが増えているようで、フランスで始めてトラムウェイ
(路面電車)を復活させたのがこのナントの町だそうです。
日本人がもしこの町のことを少しでも知っているとしたら、それは例えば『80日間世界
一周』を書いたジュール・ベルヌの生まれた町であるとか、はたまたジャック・ドミの
映画『Lola』でその町並みを見ることができるからであるとか、もしかしたらアンヌ・
ド・ブルターニュの育った城があるとか、その程度のことなんだろうと推察します。
それでもかなりオタク的ですよね(笑)。
ナントの町が栄えたのは、オルレアン鉄道がナントまで延びて、さらにロワール河が流
れる地の利を生かした輸入産業、そして造船業などの繁栄によるものなんです。今回の
Estuaireのイベントの出発地である中州の一角の名前が<Hangar a Bananes>とあるの
も、アンティーユ諸島からバナナを輸入していたことに由来します。
今回のEstuaireのメイン構想が、この中洲から出発する船に乗って、ロワール河沿いに
点在するアート作品を鑑賞しながらサン・ナザールへ向かう河下りなのです。キラキラ
に光るパネルを船体全体に取り付けた船に乗り込んで朝10時に出発、2時間半の船の旅が
ここから始まります。
だけど私は満員で船に乗れなかったんですよ〜。
残念無念、フゥ〜。
車での観光は少し時間がかかりすぎるので作品の一部しかみれません。というのも大体
の作品が河沿いにあって、駐車場から15分ほどあるかないとお目にかかれないのです。
船に乗れば2時間半で一通り見れるというのにねぇ。。。。。。(ため息)
※ナント市内の会場イメージ
http://www.nantes.fr/ext/estuaire2007/index.php
※見たかったけど見れなかった象さんロボット
http://www.nantes.fr/ext/machines_2007/elephant_les_premiers_pas.php
2009年は事前に予約しなっくっちゃ。
【お題 その3】
Tatzu Nishi(西野達) またその他の作品。
※西野氏参考インタヴュー記事(日本語)
http://www.log-osaka.jp/people/vol.73/ppl_vol73.html
奈良美智もそうだけど、ドイツで頑張ってインターナショナルになる現代作家って結構
多いような気がします。西野さんもその一人。
広場にある噴水や彫刻の周りにホテルを建てるのが彼の作品。
ということで今回もナントのロワイヤル広場にある噴水の周りに建物を建て、2階には本
当に宿泊できる部屋を建築。一泊60ユーロだそうです。
彼にとってフランスで最初の作品発表になりました。
今回イベントに参加している30人のアーティスト中、西野さん以外にあと2人の日本人の
名前が見られます。一人は誰でも知ってる川俣正氏、そしてもう一人は私の知らない人
物丸山欣也氏(アトリエモビル)という名がありました。
川俣正さんの作品はいつものごとく木の建造物。今回は『Observatoire』 ということ
で,ロワールの周りに広がる湿地帯の真ん中に10メートルほどの高さの展望台を完成させ
ました。
ここから何が見えるか?
人の目の高さでは見えない、畑の真ん中に突如現れる船であるとか、ロワールの河の中
に半分沈む昔のオーベルニュ(オリジナルはLavau-sur-Loireにあるクレープ屋)が見え
ます。 オーベルニュはJean-Luc Courcoult(Royal de Luxeの創設者)の作品です。
※Jean-Luc courcoultの作品、『La maison dans la Loire』の写真はこちらから。
http://www.estuaire.info/en/html/artistes/courcoult.html
【お題 その4】
Saint-Nazaire (サン・ナザール)
船は右岸にあるSaint-Nazaireと左岸にあるSt-Brevin-les-Pinsを結ぶ<サン・ナザール
橋(全長3356m)>の下をくぐり抜けて大西洋に出ます。
サン・ナザールの町は、クウィーン・エリザベス2世号を作った造船の町です。日本がど
ちらかというとタンカーなどの造船業が盛んなのとは逆に、フランスらしく豪華客船パ
グボートの製造では世界有数の技術を持つ港町です。大戦中には勿論軍港としてたくさ
んの軍艦を製造していました。現在も大戦中使用されていた潜水艦の見物ができるよう
になっています。
1867年に鉄道がこの港町に敷設されてから、サン・ナザール近辺は大西洋岸でも有名な
避暑地として栄えました。北に数十キロ上がると、La Bauleという松林の中に優雅なイ
ギリス風別荘が立ち並ぶ一大避暑地があります。白くきめ細やかな砂のなが〜いなが〜
い浜辺は、この町の名物です。朝夕とこの浜を馬で散歩する人々が見られます。高級リ
ゾートにふさわしい有名ホテルも並びます。
ところが現在のサン・ラザールは大戦中すっかり破壊されたので、ほとんど何も残って
いません。サン・ラザールっぽい近辺の映像を映画の中に探そうと思えば、車で10分ほ
ど北へ上がったSaint-Marcという町に行く必要があります。
1951年から52年にかけて何の映画がそこで撮影されたかわかりますか?
ヒント:Hotel de la Plage(ホテル・ド・ラ・プラージュ)
映画タイトル『les vacances de Monsieur Hulot』 1953年仏映画
そう、あのJacques Tatiの映画です。
絵葉書でこの海辺の写真を見た彼は、ここで映画を撮ることを決めました。現在も浜辺
にあるホテルが残っていて、岩場の間に綺麗な砂浜のある素朴な浜辺の町です。
浜辺にある展望台からM..Hulotのブロンズ像が海水浴をしている人々を眺めています。
そんなのんびりしたサン・マルクの海水浴場の雰囲気とは裏腹に、サン・ナザールの愛
想のない工場や倉庫に一喝を入れたのが、スイスのアーティストFelice Variniです。
※彼の作品『suites de triangles』のイメージとサン・ナザールの港の写真
http://www.nantes.fr/ext/estuaire2007/point29.php
見物用潜水艦のあるコンクリートブロックの建物の上から、サン・ナザールの港を眺め
ると隣にある倉庫の屋根に描かれたショッキングピンクの三角形群が見えます。その三
角形の行き先は・・・・写真ではわかりにくいですが、遠方にある煙突にその三角形の
デッサンの続きが描かれていたりするのです。港全体がキャンバスです。なかなか壮観
な眺めでありました。
旅も終わりに近づきました。
忘れちゃいませんよ!
あのジャイアント鴨は何処に?
展望台から一生懸命巨大な黄色い物体を探したのですがどこにもいない。
諦めて観光局へ。
「あの、鴨はどこで見れるんですか?」
「テクニカルな問題が発生して、撤去してしまいました。もう見れませんよ。」
「え〜、そんなバカな。この鴨を見にためにはるばるここまで来たというのに、、、」
開いた口がふさがらないまま、ロワール河下りも終わりです。
2009年、ジャイアント鴨はまたロワールに戻ってきてくれるのかしら。
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このメルマガを書いている8月27日、ニュースでギリシャの山火事が大変な規模に拡大し
ていることを、衛星写真を交えて伝えています。かなりの煙が衛星写真で確認されて、
なんだかフランスまでこの煙がモクモクきそうな感じまでします。
ルーマニアの洪水も捨て置けず、国境を越えた援助支援活動が必要な状態です。
そんな最近、テレビで放映された日本の右翼についての番組をみながら、なんだか時代
錯誤というのはこのことかと思われる日本の風景を目にしました。欧米人が見る日本の
風景というのは一般日本人があまり知らないものも多く、ナチスドイツの影響を受ける
漫画の話などを聞いていると複雑な印象を受けます。
その反面、最近インターネットでもてはやされているMarco Spitoniの作った『 Code
Guardian』という13分ほどのCGビデオを見て、出来栄えの素晴らしさに加え、そこに
サムライロボットも登場するということにまた深く考えさせられるのです。
要はナチスロボットとGIロボットが対決するのですが・・・・
このビデオ、大変面白いので是非見てください。
http://www.koreus.com/video/code-guardian.html
そういえば、劇場版『ザ・シンプソンズ』も環境問題を扱った話でした。
Toyotaがハイブリッド車を作って世界に君臨する自動車メーカーになるのは当たり前の
話ですね。日本の得意とするエコテクノロジーがもっと世界に広がれば、日本のイメー
ジもますます変わっていくというものです。
右翼のレポートなんてなくなってしまえばいいのに。
そんなことを願う今日でした。
今日も付き合ってくださってありがとう!!
ではまた次回。
Koko
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Sacres francais! <映画と美術とパリジャンと>
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