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パリに住む筆者が、なにがなんだかわからないフランス人という人達を映画や絵画作品を通して解剖してみました。Sacres Francais!(サクレ フランセ)とは「とんでもないよ、フランス人」という意味です。

  • 周期 隔週刊
  • 最新号 2008/08/12
  • 発行部数 156
  • マガジンID 0000191817
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2007/06/25

サクレ・フランセ! 24号 エリートと非エリート

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【Sacre francais! 24号】                  2007年6月25日発行


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エリートと非エリート
 ― フランス総選挙が終わってみたら ―
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【Editorial par koko】

こんにちは。ご無沙汰しています。
大統領選挙から統一選挙までの1ヶ月ほどの間、テレビに貼りつく時間が多かったような
気がします。時間があったのについつい結果がわかるまでメルマガの発行を先送りして
しまいました。でもどうしても結果がわかってからメルマガを書きたかったんですよ。

なぜなら、日本の人にはちょっと今回の選挙の全貌が歪んで伝わっているような感じが
して、それを少し修正する意味もあって、結果が知りたかったのです。

日本に住む母親とフランスに住む娘の会話。
母:「いやらしい顔してるわよね、あのニコラ・サルコジって」
娘:「顔は悪いし、シークレットブーツまで履いてるけど、かなりプロの政治家なんだ
よ」
母:「でも、なんかあのセシリアとかいう女もいやらしいわ」
娘:「彼女もバカじゃないんだよ。あれで結構色んなことをやっているんだ」
母:「そう、だけど日本のこと嫌ってるんでしょ、サルコジって。」
娘:「まー好きじゃないことは確かだけど、むしろシラクが異常だったんだよね」
母:「そりゃ、そうかもしれないけど、でも、やっぱり国内事情が大変なときに、女性
に国は任せられなかったんでしょうよ。」
娘:「違うよ!女だからではなく、社会党に政治を任すことができなかっただけの話だ
よ」

今日は母の思い込みを解消するためのメルマガになりそうです(笑)
但し、私の記憶を辿っての内容なので詳細に思い違いがあるかもしれません。
笑って許してください。

※時間のない方は、お題1と4をお読みください。



【お題 その1】
ニコラ・サルコジ と セシリア・サルコジ
フランソワ・オーランド と セゴレン・ロワイヤル


ニコラとセシリアは再婚同士カップルである。
ジャック・マルタンというフランスでは有名だったテレビ司会者の友人がニコラ、その
妻がセシリアだった。ニコラはセシリアに一目惚れ。エリートではなかったけれど若い
頃から熱心に政治の世界に接触していたニコラは、凄腕の弁護士でもあり、人を口説き
落とすのは彼の専売特許。二人はめでたく結婚し、息子ができる。ニコラがシラクの下
で大臣をしていたときは、彼女はその補佐官みたいな要職にいてかなり能力を発揮して
いたが、時には経費で家の大型テレビを買ったりしてメディアに叩かれることもあった
っけ。

ニコラが大統領選挙戦に突入する前、セシリアはフランス大手広告代理店の幹部と駆け
落ちするが、見事ニコラはセシリア奪還に成功。不倫相手のその後を私は知らない。

そのせいか、大統領選挙中や当選後のセシリアの動向に不自然な点が目立つ。
まずは選挙中に、セシリアが旦那の暴力を警察に届けたらしいという噂が警察関係の間
で流れた。
それから大統領選挙の投票にセシリアは行かなかった。(フツーは旦那とツーショット
で投票箱の前で写真撮るでしょーが)
また大統領になってから普通はエリゼ宮に家族共々引っ越すのが通例なのだが、セシリ
アはそれを拒否した。

私みたいな外国人でも二人の仲がすでに壊れているとわかるのだが、大統領になってし
まったので今更離婚もできず、とりあえず5年間はファーストレディをするという契約で
も交わしたのだろうか。


フランソワ・オーランドは、フランス社会党の書記長である。セゴレン・ロワイヤルは
いわずもしれた社会党大統領候補であった。この二人は正式に結婚こそしていないが、
20年以上の同棲生活で二人の子供がいるのである。
そのエリートカップルが、統一選挙終了後に別居を発表した。

何故か?
実は元々セゴレンはずっと旦那であるフランソワの影でマイペースに政治家活動をして
いたのだが、今回の選挙戦が始まる1年前から急に神のお告げがあったかのようにオーラ
を発揮しだした。社会党支持者はすっかりセゴレンをもちあげだして、他の社会党の政
治家の存在を打ち消してしまったのである。新参者のセゴレンへの風当たりは強かった
はずで、旦那もきっと面食らったはずである。両者夫々のグループが社会党内部で対立
していたらしい。そんなことでどうやって選挙に勝てると言えるのだろうか?

それに大切なのは、マルクス主義が21世紀には通用しなくなってきたというのに、新し
い時代に対応した社会党とは何かを打ち出せずに、理想論ばかりを唱える社会党政治家
たち。彼らに票を入れるほどフランス人はバカではないといったところか。(但し大量
の公務員達は当然社会党に票を入れるので、数字はさほど開きがない)


ここから何が導きだされるのか。
夫婦は尊敬はしても助けあうわけではない。お互い独立していて一方の成功のために他
方が尽くすなんていうことは考えられない。男も女も自らが信ずる道に邁進するのみ。
究極の個人主義こそが今回の大統領選挙戦の主要テーマの一つだったんだ!

『あ〜、なむなむ』
※これは森見登美彦著≪夜は短し、歩けよ乙女≫から拝借してます。



【お題 その2】
フランソワ・フィヨン内閣 その統一選挙前と選挙後

ニコラ・サルコジが選んだ首相が、フランソワ・フィヨンという人物である。政治家と
してそんなに名が通っていた人物ではないが、シラク時代にも内閣の仕事に携わること
もあり、そのかた〜い実務態度には定評があったようである。

ニコラ・サルコジ自身がその昔、恩人であるシラクを裏切ってバラデュールについた経
緯があるように、フランソワ・フィヨンもシラクを見切ってさっさとサルコジについた
人間である。実際何があったのかまで私は知らない。私が彼について知る全てのこと
は、彼の出身地がロワール地方にあるサブレ(あのお菓子のサブレの元となった町)と
いう町がある地方で、そこにいうなれば新幹線を誘致した功績と、あと奥さんがイギリ
ス人だということぐらいである。それもかなり服装の趣味がダサい奥様であらせられ
る。フランス人はイギリス人の服の趣味をよくバカにするが、今回は納得せざるを得な
い程度にやはりダサかった。

フィヨン内閣が出来て、それから統一選挙が行われた。
ニコラ・サルコジは選挙で当選しない人間は、内閣に残れないと宣言した。
15人ほどいる大臣で、今回一人だけこの決まりにひっかかってしまった人物がいる。

それは、アラン・ジュぺというシラクの右腕だった人物である。

彼の政治腕力は大変高く評価されていて、だからみんな彼を使いたい。だけども彼の政
治家としての後半の運命は不運続きである。シラクの下、首相に任命されたときはあっ
という間に辞任に追い込まれ、その後もスキャンダルの責任を一人で背負って政治家業
を一時廃業、カナダの大学で1年教鞭をとっていた。それでも無事フランスでボルドー市
長として復帰して、内閣のナンバー2である国務大臣の席を与えられた。なのにたった
0.1%の票不足で、見事落選。涙を呑むこととなったのだ。

エリート中のエリートである彼でも、運命には贖えないといったところか。


もう一人のエリートではなくてやり手の話をしなければならない。
アラン・ジュぺが辞任した影響で内閣のナンバー4(経済相)にのしあがった女性であ
る。
クリスティヌ・ラガルド(51歳)は、2006年フォーブス発表の<世界で最も影響力のあ
る女性ランキング>で30位に選ばれた女性である。(ちなみにトップはドイツの首相ア
ンゲラ・メルケルで、ヒラリー・クリントンは18位だった。トップ100に日本人の名前が
あったので見てみると、な・な・なんと小説家の林芙美子だったのには驚いた!一体ど
うしてこんなランキングに名前が載るのかさっぱり訳がわからない)

この女弁護士はアメリカの最大手ベーカー&マッケンジー(シカゴ)という弁護士グル
ープの長を務めた。在任中は売上を驚異的に伸ばすことにも成功している。15歳のとき
にはフランスのシンクロナイズドスイミングの国内大会で3位に輝く実績をもつ、文武両
道を絵に描いたような人物だ。勿論結婚もしていて2人の子供がいる。

アメリカ時代には「彼女がアメリカ人だったら大統領にもなれたかもしれない」と人に
言わしめるほどの人物が経済大臣になるというのは、フランス(特に左寄り)の有権者
には脅威ではある。

しかし有能であることだけでは政治家は務まらない。今後の彼女の動向に注目だ。



【お題 その3】
ラチダ・ダチ 
ベルナール・クシュナー

ラチダ・ダチはモロッコ系移民の子供である。10代の頃スーパーのレジをして大家族
を支えながら勉学に励み、そのうちニコラ・サルコジの選挙戦のスポークスマンに大抜
擢されて、今回法務大臣にまでのし上がった。彼女とサルコジは、「のし上がった」、
つまりエリートではないという点でとても似ている。

エリート、エリートと書くが、何を持ってフランスのエリートとなるのか。
簡単にいえば、フランスにあるグランゼコールというエリート校の卒業生かどうかとい
うことになる。ここの卒業生であれば自動的に大会社の幹部の席が待っているというも
のだ。
政治家の世界では、そこの卒業生でないと、かなり引け目を感じることになるらしい。
昔、ミッテラン時代に叩き上げの社会党書記長が自殺した事件があったが、彼の人生は
引け目一色の政治道だったようである。

話を戻そう。
ラチダ・ダチはそういう意味ではエリートではないから、それでも抜擢をうけるという
ことはかなり聡明な女性だと想像してもらいたい。若干41歳の若さで、移民の生活から
這い上がってきたのである。それだけでもあっぱれというもの。
今回のフィヨン内閣の目玉の一つが彼女である。この動向も見逃せない。


もう一つ今回の内閣の目玉だったのが、左にも開かれた内閣人事だということ。
もともと大統領選挙戦の最中から社会党や中道からニコラ・サルコジ支持を謳う政治家
が結構いて、彼らの働きは小さくなかった。だからフィヨン内閣にはその反映として少
なくとも4名の社会党政治家と1名の中道政治家が任命されている。

その中でも当初からの目玉は、外務大臣になったベルナール・クシュナー(67歳)であ
る。多分内閣で一番の長老になると思うけれども、昔から社会党の中でもちょっと一匹
狼のイメージが強い人権擁護運動に熱心なヒューマニスト兼医者でEUの代議士でもあ
った。この人が国境なき医師団の創始者の一人だって知ってました?

多分人生の最後のチャンスに、社会党と外務大臣を選べといわれて、悩むことなく外務
大臣の職を選んだと思う。彼にしてみれば社会党はもはや瓦解したも同然の政党だった
のかもしれない。もちろんヒューマニストの代表なのだからあくまで左の人間であるこ
とに変わりないのは言うまでもないけれど・・・



【お題 その4】
それでやっぱりフランス大統領 ニコラ・サルコジ

結局のところ、これだけの癖のある人間を口説いて自分の傘下に収めてしまえる能力が
彼にはあるらしい。そりゃー彼の演説を聞いていたら私だって納得してしまうだろう。
エリートではないハンガリー移民の息子である彼が生粋のフランスエリートを納得させ
ることができるというのは面白いことである。政治というものは、本当に天賦の才能、
つまり信念を持つことなのだなぁと思う瞬間である。(しかし、サルコジがSciences Po
というグランゼコールを卒業できなかったのは、どうも英語の試験でひっかかったよう
で、彼にも弱点があるのだと思うと微笑ましい。)

彼の実際の体型も含めてナポレオンに似ているところがある。若い頃から政治について
考えて考えて考え抜かれたらしい国のあり方が、彼の隙のない政治演説の基礎になって
いる。そういう意味で本当の政治家マシーンである。セゴレンが残念なのは、まだ十分
に政策が練られていないことだ。だから討論会になると理想論だけが宙を舞う。(それ
でもたまにオーラ(政治家としての信念)が飛び交うところがあって、そんな点に国民
は惹かれたんだろうな。そんなオーラを感じさせてくれる政治家が日本にいたっけ?)


もしサルコジ大統領が本当にナポレオンのような才能の持ち主なら、5年の間にかなり
色々なことができるはずである。議会は圧倒的多数で彼の見方だ。内閣も外から見るぶ
んにはかなり有能な集団のように思える。実際この週末に彼がフランスに持ち帰ったE
Uサミットでの勝利が、彼のやる気をますます増幅させているのではないだろうか。

「お母さん、そんなにニコラのことを嫌う理由はないんですよ。
5年の猶予ぐらいあげたっていいじゃないですか」

皆さん、こんなわけで私は彼の仕事の一つ一つが気になって仕方ないんだな〜。



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ルーブルに飾られているナポレオンの肖像画の数々を思い起こして目を閉じるとサルコ
ジが現れたぁ!
確かに人相悪いよね。。。。。
『あ〜、なむなむ』

今日はすっかりエリートと題して政治の話になっちゃいました。
退屈したらごめんなさい。でもこれもフランス。

それではまた次回をお楽しみに。
Koko


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    発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ 
    配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000191817.html
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