2008/03/27
■サウンド・トリップ ~ エピソード100■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ サウンド・トリップ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 違いがあるから美しい。違っているからそれがいい・・・ ──────────────────────────── ◆ エピソード100 太陽の従者たち − アンダルシア − 3 ──────────────────────────── 太陽海岸、コスタ・デル・ソルを見下ろす白い村ミハス。 白い村とは、アンダルシア地方に散在する、 白壁にレンガ色の瓦葺屋根の家が集まった居住区です。 その代表的な村、ミハスは観光地化されていて、 レストランやお土産屋さんが並び、 日本人が経営する店もあります。 そういう店は、店員も日本人で商品の説明も日本語。 少々残念な気もしますが、安心はできます。 このように観光地化されているミハスですから、 ロバタクシーという観光客向けの乗り物もあります。 色鮮やかな刺繍入りの馬具を付けたロバが、 お客を乗せた小さな馬車を引くのです。 世界のサウンドスケープを収録している僕としては、 当然、その走行音をコレクションしたいと思ったわけです。 客待ちをしているロバを見ると、 1頭だけ、小さな鐘を付けたロバがいました。 鐘の音があれば、車輪のきしむ音だけでなく、 輝きのある彩りを添えることもできます。 もちろん、そのロバをリクエストしたのですが、 順番だということで、 前に待機するロバが出るまでは乗せてくれません。 頼めば大丈夫かと思ったのですが、 あくまでも順番だということで要求は却下されました。 事情を説明できたら、OKだったのかもしれません。 しかし、片言どころか、スペイン語に関しては、 挨拶と数個の単語しか知らない僕にとっては、 それはかなわないことです。 以下、その時の胴元との交渉です。 ―――――――――――――――――――――――――――― 僕:ロバを指指しながら、‘aqui!’と言う。 「これ」と言ったつもりが、「ここ」という意味^^; こんな語学力ながらも通じたようで・・・ 胴元:首を横に振る。 僕:鐘を指差しながら、 「チリンチリーン、チリンチリーン」とアピールする。 胴元:「チリンチリーン、チリンチリーン」と反復するが、 その表情は???・・・意味不明な様子。 当然の結果だが、日本語の擬音語は通じない・・・ ―――――――――――――――――――――――――――― 胴元は、前にいるロバタクシーを勧めましたが、 ‘No gracias.’と言って断りました。 未来の可能性に賭けたわけです。 その後、あたりを散策したのですが、再び通りかかると、 先ほどのロバタクシーに乗れると言うのです。 順番が来たのか、乗せたほうが得策だと思われたのか、 今となってはわかりませんが、そんなことは問題ありません。 喜び勇んで、マイクを取り出します。 ガタゴトという走行音とともに、 狙いどおり、鐘の音も響きます。 ロバの後に座って初めて知ったのですが、 ロバの両耳は、前を向いたり、後を向いたりするのです。 どうやら前後の音を聞き分けているようで、 その向きが時々変わるのです。 迷わず、マイクを片手に写真も撮ります。 しばらく辺りを散策して、出発地点に戻るその時、 嬉しいハプニングが起きました。 そのロバが大きな声で、 「フィーッ、フィーッ」と数分間鳴いてくれたのです。 近くにいるもう一頭のロバへの呼びかけだったのでしょうか、 そのロバも呼応する形で鳴き始めました。 普段は鳴かない動物の声を確実に収録するには、 鳴くまで待つという持久戦が基本ですが、 短期旅行者の僕にとっては、その手法は使えません。 そういう意味で、ロバが偶然鳴いてくれたことは、 まさに天の恵み。 降車後、彼か彼女のたてがみを ‘gracias.’と言いながら、ずっと撫で続けたのでした。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行人:明土 真也 e-mail:akedo_shinya@yahoo.co.jp MySpace:http://www.myspace.com/akedo_shinya 発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


