2009/05/25
縄文塾通信9年5月号-7(387号)
************************************************** ◎寄稿・ご意見など歓迎します。 ◎転載は歓迎いたしますが、出処だけは明記下さい。 ************************************************** 縄文塾通信 <9年5月号−7(387号)> 縄文暦12009年5月25日 ★縄文塾HP http://joumon-juku.com ★中村キャッスルゲイトHP http://joumon-juku.jp ★縄文ブログ http://joumontn.jugem.jp/ ★「縄文塾通信」メルマガ登録は http://www.mag2.com/m/0000184916.html ************************************************** <5月号ー7(387号)目次> ************************************************** <5月農業特集号−2> ◎巻頭言 中村 忠之 ◎タマゴはなぜ安くなったか? 中村 忠之 ◎驚異の野菜「工場」 馬場 伯明 ◎感銘の一冊“農業が日本を救う!” 中村 忠之 ◎トピックス(1) ★ミツバチ減少の原因は何なのか トピックス(2) ☆「氷感庫」 トピックス(3) ★竹チップの発酵熱でエビ養殖 ◎編集後記 ◎縄文塾通信<告知板> ◎推奨サイトの紹介 ************************************************** <巻頭言> 補助金頼みの「太陽光発電」だが、雨や曇りの日が多 い日本でどのくらい「費用対効果」があるか大いに疑問 あり、というのが私のスタンスである。 加えて、一番問題とすべき点は──太陽エネルギーを 電気に変える──変換効率の推移である。ヤフーニュー スでは、 「三洋電機は22日、太陽光発電パネルの主要部品で ある太陽電池で、太陽エネルギーを電気に変える変換効 率を従来の22%台から23%と、世界最高記録を更新 し、2、3年後の量産化を目指すと発表した」とあった。 では従来(例えば毎年の平均値として)、生産開始以 来、毎年どのくらいの「変換効率」があったものか、そ してその時点での価格はいくらだったのか、を明確にす る必要がありはしないか。 おそらく今後、益々変換効率が向上して普及率が上が って量産が進み、益々価格が下がってくるしたら、一体 いつ導入したらいいのか、また変換効率は一体どのくら いまで向上するのか、政府もメーカーも、国民にある程 度の目安を提示する必要があるのではないか。 同ニュースも、消費者の混乱回避を避けるため、基準 の統一が必要だとしている。 (中村) ************************************************** ■□■━━━━━━━━━━━ タマゴはなぜ安くなったか? ■□■━━━━━━━━━━━ 中村 忠之 タマゴはなぜ安くなったか? 若い方たちには想像もつかないだろうが、その昔タマ ゴは、1年に何個食べられるかというほど、貴重な食品 の中でもトップクラスといえる存在だった。 それが今では、最も安くてしかも「物価の優等生」と 言われるほどポピュラーな食品となっている。ところが 「ではなぜタマゴが劇的に安くなったのか?」という本 当の理由を、ご存知の方は(関係者以外)まずいないの ではないだろうか。 端的に言えば、それは「大量生産されるようになった から〜」だが、では「なぜあれだけ(生産量が少ないた め)貴重だったものが、どうしてそんなに大量生産出来 るようになったか」という疑問が残るはずだ。 □━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「黒船に乗ったニワトリ」日本に襲来! ■━━━━━━━━━━━━━━━━━ 多分1960年(昭和35年)頃だっただろうか。当 時筆者は養鶏業界の最前線にいたのだが、突然アメリカ から「青い目のニワトリ」あるいは「黒船に乗ったニワ トリ」と呼ばれた、しかし一見何の変哲もないニワトリ が日本に襲来したのである。 今までニワトリは、小規模な平飼い設備で飼育されて いたのが、その頃ようやく1羽〜2羽ずつに仕切って─ ─竹と木材で作った3段重ねの篭で飼育する──バタリ ーという飼育形式に切り替わる時期だったが、それでも まだまだ規模は小さかった。 その理由として、日本のニワトリは、特に病気に弱い ことと、個体による産卵能力に大きなバラツキがあった ため、設備の稼働率が低くて安定した養鶏経営を維持す ることが困難だったのである。 そのため、「ボツボツ損をしようと思ったらニワトリ を飼え」という言葉があったくらいである。ところがア メリカからやってきたヒナは、日本のヒナの2倍から3 倍の価格なのに、全部が揃って健康でよく生むではない か。 情けない話だが、丸1年が経つか経たない内に日本鶏 は全滅、日本中アメリカ鶏に席巻されて仕舞ったのであ る。昨日まで日本鶏を売ってきた孵卵場は、先を競って アメリカ鶏に切り替えるというセンセーショナルな事態 が生じたのである。 そのうちに、最初10社近く渡来したアメリカ鶏も淘 汰が進み、結局3〜5社に絞られ、現在日本のニワトリ は、ほぼ100%がその数社のニワトリで占められてい るのが現状である。 この事実は、アメリカヒナの輸入こそ、農業分野での 日本で初めての自由化であり、しかも日本で飼育するた めに、「フランチャイズ・システム」という経営形式が 採用された最初の事業だったことに関係がある。 ではなぜ日本のニワトリとアメリカのニワトリにその ような差が出来たのだろうか。極力専門的なことは割愛 してそのさわりの部分だけを述べてみよう。 とはいえ、多少は専門的な言葉も出てくるが、本編の 読者は、おそらくいろんなことに詳しい知識人でも、案 外知らないその理由をを知ることになるはずだ。以下し ばらく我慢して読んでもらいたい。 ■━━━━━━━━━━━━━━ 個体選抜蕃殖法VS集団蕃殖法 □━━━━━━━━━━━━━━ ここでは自然に交配して子孫を増やす「繁殖」と差別 化するため、以下人為的な目的を持って交配させるもの を「蕃殖」と記述するが、従来家畜や競走馬、それに純 粋犬などを改良する場合、選ばれた血統の同士を交配す る「個体選抜法」を採用してきた。 現在競走馬の一品種になっている感のあるサラブレッ ド(Thoroughbred=Thorough-bred)だが、もともとは「 選りすぐった血統」という意味であって、まさに「個体 選抜法」の典型である。 一方一つの個体から大量に種子の採取できる植物(野 菜や果物、穀物など)の場合は、最近「集団遺伝学」を 応用した、群同士による「集団蕃殖法」が応用されるこ とが多くなってきた。 問題はニワトリだが、それまで日本に限らずすべて「 個体選抜法」が行われてきた。日本では国の種畜牧場や 各県の種鶏場で改良に取り組み、毎年丸一年間、10羽 単位で「産卵検定」が行われ、中には毎日1個の卵を産 むというギネスブック級のスーパー・ニワトリ「365 卵」鶏が作出されてきた。 当時からヒヨコの雌雄を肛門鑑別する日本人の「鑑別 師」が、世界中で活躍していることと合わせて、いわば 日本人の名人芸だが、そのことと養鶏経営とは、まった く合致しなかったのである。 当時全国の各孵卵場は、そうしたニワトリの血統を持 った種鶏を導入して来たのだが、問題はそうしたニワト リが額面通りのタマゴを産んでくれればいいのだが、ど っこい前述のようによく斃死し、しかも産卵のムラも大 きかった。 ところがアメリカのニワトリは、植物の種子を作出す る「集団蕃殖法」によって、優れた成績を上げるニワト リの大きな群を作るという、画期的な蕃殖法を実用化し たのである。 この「集団蕃殖法」の特徴は、それぞれ──たとえば 病気に強く健康である、よく産む、サイズが揃うなどと いう──特徴を持った(主として2つの)異なったグル ープ同士を掛け合わせる手法を採っている。 すなわち、違ったグループ同士の掛け合わせによって 2つのそれぞれの特徴がより強調されるというのは、「 雑種強勢=ヘテロシス(heterosis)」という効果であ った。 しかもその効果は一代目の掛け合わせ、すなわちハー フ=一代雑種(F1=first filial hybid)が最高なた め、養鶏場は自分のところにいるメスに、オスをあてが うという自家繁殖が出来なくなった。 すなわち、アメリカのそうしたヒナ生産会社によって 、毎年必ず新しく(一代雑種の)ヒナを購入させること で多額な投資を回収するという、抜け目ないビジネスが 生まれることになったのである。 この事件は、筆者に2つの教訓、あるいは思考回路を 与えてくれたのである。その一つは、日本にとってアメ リカ鶏の到来は、ゼロ戦対グラマンの角逐を彷彿させる 、ある意味「第二の敗戦」であり、もう一つは、その後 筆者の人生を決定づけた、「日本=縄文×弥生」という 、「中村のハイブリッド日本人説」誕生のエポックにな ったことである。 □━━━━━━━━━━━━━━━━━ 高度成長時代到来と大規模農場の出現 ■━━━━━━━━━━━━━━━━━ さて1964年(昭和39年)の東京オリンピック、 そして1970年(昭和45年)の大阪万博以降、日本 は新幹線の線路網普及に歩調を合わせるように、まっし ぐらに高度成長期に突入していった。 この高度成長期を代表するものの1つが、スーパーマ ーケットの出現と発展であろう。日本の養鶏界、言い換 えればタマゴの普及はスーパーマーケットと共に歩んで きたと言っても過言ではない。 安くて栄養満点のタマゴ需要の拡大に合わせて、いい トリに合致すす大量飼育システムとよいエサが開発され てきた。現在では小型の養鶏場は淘汰され、一農場で数 万・数十万飼育する農場も増えてきた。 筆者のビジネスライフは、そうした時代と共に歩んで きたのである。 ご存知かどうか、最近の大規模養鶏農場は、一区画5 〜60cmの立方体のケージ(金網篭)に約5〜6羽を 収容、5〜4段重ねして数列配置したものが100m近 くというから、1棟当たり数万羽飼育し、それを幾棟も 持って一定のローテーションで回転させていくというシ ステムが採用されている。 エサも水も自動供給ならタマゴも糞もそれぞれ専用コ ンベアで自動排出する。室内温度が上がると撒水による 「噴霧冷房」を行う。 外からの病虫害を防ぐため、窓無し=ウインドレス鶏 舎である。当然過密飼育だから酸素が不足する。だから 強制的に吸排気をする。いわば「採卵工場」という趣で ある。 少し前までは、動物愛護団体などの格好のターゲット にされたが、現在では「トリ・インフルエンザ」を防ぐ システムだからということで、むしろ推奨されているの だから皮肉なものである。 筆者は──自分が取り組んできたシステムだからと言 われればたしかにその点もあるが──健康で長持ちして しかもよく産むという、「結果よければすべてよし」と いう信念を貫いている。 □━━━━━━━━━━ 大規模経営の参入障害 ■━━━━━━━━━━ 実は私の関係した養鶏関連企業グループ(飼料、鶏卵 、、同プラント設備・用品の販売などそれぞれ別会社) は、並行して現在40万羽ほどの鶏卵生産農場を運営し ている。 ところがこうした飼育業に参入するに当たって、大き な制約を味わってきた。いわゆる(養鶏家を含む)農家 でなければ、参入が出来ないのである。 最近はどの程度緩和されたかだが、当時は取引先の農 家数軒が経営母体となるという条件で、ようやく農場開 設に漕ぎ着けたのである。 さてようやく参入が許可されると、農家にとって「補 助事業」がたくさんあることを知らされた。曰く「後継 者育成資金」「公害対策資金」「近代化促進資金」「緑 地化推進資金」……。いずれも当時半額補助であった。 まず鶏舎を建てるのに「後継者育成資金」を申請、鶏 糞処理施設は当然「公害対策資金」となる。 ところが最初に許可されたのは、当時大きな問題とな っていたのが「公害」ということがあってか、ヒヨコが 1羽もいないのに、最初に「公害対策資金」で鶏糞処理 場を作るという、バカげたことに相成ったのである。 そして本命の鶏舎だが、窓口の県(畜産課)からの要 請で、指定の設計事務所を押し付けられる。そしてその 設計事務所の意見として、雪害による鶏舎の崩壊を防ぐ ために、必要以上に強固な鉄骨素材採用の押し付けであ る。 それでは当方独自の設計による建築費の倍の金額が掛 かるということになり、結局補助金を貰わずに自前で建 てるということに相成った。これこそ採算よりも自分の 保全が優先するというお役所独自の仕組みである。 その鶏舎だが、温暖化のおかげ?もあってか、10年 以上経過した今でもガッチリと建って活動している。 ここでもある意味日本農政の縮図を見ることが出来る が、我々企業が、硬直化し陳腐化した農政に棹さして来 たことで、これだけ新鮮で美味しいタマゴが、こんなに 安く食べられるようになった一翼を担ってきたことに、 ひっそりとだが胸を張りたい気持ちである。 ************************************************** わたなべりやうじらうのメイル・マガジン 「頂門の一針」 1546号(5月14日)より転載 ⇒ http://www.max.hi-ho.ne.jp/azur/ryojiro/chomon.htm <中村のコメント> 先日いろんな情報を提供してくれる友人から、次世代農法「アクアフ ァーミング」という説明書を貰ったのだが、そこには無農薬野菜を20 数毛作生産可能だとある。 今回馬場さんの文を拝見した範囲では、非常に似通ったシステムのよ うに感じた。 今回『感銘の一冊』で取り上げた財部誠一氏の本の中に、「農業の参入 した大企業」の「死屍累々」だという箇所がある。 おそらく馬場さんのケースも大変だったことと推察できるが、同時に、 よくぞここまでと言う思いもある。 拙文“タマゴはなぜ安くなったか?”においても、農業の世界に参入 すると言うことの困難さにふれたが、いま改めて「日本農業」のあり方 が問われるとき、どうしても異血の注入が不可欠である。 いまだに「減反廃止」に異を唱える族議員、硬直した仕組みを墨守し ようとする官僚・農協の厚い壁に、どうしても楔(くさび)を打ち組む 先駆者の参入が待たれる。 ■□■━━━━━━━ 驚異の野菜「工場」 ■□■━━━━━━━ 馬場 伯明 食糧自給率の低下・食の安全性・他の産業の低迷などから、最近雇用対 策を含め農業見直し論議が盛んである。農業へ参入する企業も増えてい る。 先に、農業の集約化・大規模化でコストダウンを図り、流通を簡素化し 市場に直結させ利益が得られる農業経営にする。そのために国は農家を 選択し集中的な優先投資(補助)をすべき。そうしなければ世界に対抗 できないと述べた(「『食料自給率80%』のために」本誌1521・1522号)。 成功例の一つとして、長崎県諫早干拓農地で40ha(町)を超えるレ タスや馬鈴薯の露地栽培等を展開する長崎県雲仙市のH氏(農業生産法 人松山ファーム・松山弘保代表)の積極的な農業経営を紹介した。 AERA(2009/5/18 no22号)が「『農業バブル』がくる」という特集 を組み、植物(農業・野菜)工場に注目している。 現在、工場は全国に約50ヶ所あるという。そのトップ企業は製鉄メーカ ー系のJFEライフ(野菜事業部)。前身は旧川崎製鉄の関係会社であ った川鉄ライフの子会社の神戸企業である。 1984(昭和59)年、水島製鉄所・阪神製造所等の緑化事業をしていた神 戸企業が兵庫県でカイワレ大根の水耕栽培事業を興した。それ以来、成 功に至るまでには長い苦闘の歴史があった。 1995年からレタスに特化し関東へ進出し10余年。水耕栽培の研究と改善 を重ね無農薬の新鮮なレタス800万パック/年の出荷を達成し、2009年度 には売上11億円を超える見込みであるという。 茨城県土浦市に水耕栽培のハイテク工場がある。レタスは巨大なプール に浮かべたベッド(マット)の上で育つ。水温・室温・光量(太陽光・ 人口光)は完全に制御・管理されている。プールで働く社員は(いわば) レタスを育成するインストラクターともいえる。 工場では季節・寒暖・風雨などに左右されることなくレタスが生産され る。製鉄所で培われた(温)水処理・熱管理・空調・化学等のハイテク 技術が野菜工場の随所に生かされている。 露地栽培は太陽・雨・土による自然農業であるが、この工場は24時間連 続稼動している。水耕栽培だから土壌劣化の問題もない。信じられない と思われるだろうが、何と、驚異の年間28期作である。 年間28回転、生育から2週間以内で製品(レタス)を収穫・出荷する。こ の生産効率の高さで露地野菜に対抗し、高い設備費(3〜4億円)にもか かわらず、投資を回収し、黒字化している。 露地栽培では収穫は年2〜3回である。野菜工場は露地野菜の農業事業者 にとってライバルとなる。露地の田舎派か、ハイテクの都会派か。貴方 はどちらを選択しますか。 AERAの特集の見開き2頁の上半分に、全長 100mの流れるプールの巨 大な野菜(植物)工場の写真がある。JFEライフの茨城県土浦工場だ。 AERAが紹介する。 《野菜事業部営業部長の川崎海(わたる)氏(61)はこう話す。「高コ ストをカバーし黒字化するには、生産性の高い大規模工場、効率化(生 産・物流)、安定的な販路の3点セットが必要。それをすばやくそろえた ことが(当社)成功の鍵」》意気軒昂な川崎氏である。 思えば三十数年前、川崎氏は川崎製鉄水島製鉄所の生産管理部門で共に 仕事をした仲間(後輩)である。酒・スキーなどもいっしょ。徹マンの 思い出も懐かしい。彼は冷静沈着な雀士であり私は(完全な)カモだっ たが。彼は10数年前に鉄鋼製品の販売部門から川鉄ライフの野菜事業部 に転じた。 鉄鋼から野菜への業務の転換は彼にとり「コペルニクス的転回」ともい える事態であったが、その苦労が今、実を結んでいる。全国のイオンの 店頭にJFEライフの新鮮・無農薬のプライベートブランドレタスが並 ぶ。 店頭でレタスを手にとってほしい。それが野菜工場生まれの「ハイテク 製品」と知れば、何か不思議な気がすると思いますよ。ところで、連休 中(2009/5/4)「検証・食糧自給率40%の危機」という番組があった (TV朝日・スーパーモーニング)。 石破農水相がインタビューに応じた(ただし、自民党内の農林族の反対 があり合意事項ではないと言っていたが)。《質問1:国の安全保障上必 要な食糧自給率向上は? 回答 1:50%。できれば70%にしたい。 質問2:農家への所得保障は? 回答2:全農家への支給は反対。コスト を下げ付加価値を上げる前向きな農家へ投資する(中小山間地農家:例 外)。》 回答にはおおむね賛同できた。日本農業の持続的発展の道のりは険しい。 野菜(レタス等)の生産においても、露地栽培と野菜工場生産の両方式 は、ともに切磋琢磨し、一段階上の「品質・価格(コスト)・納期(市 場・物流)・安全」を究め、世界に勝ち抜いてほしい。 そのために、政府は、日本の食料安全保障の観点から、食料自給率の向 上や食の安全等を確保する長期的な視野に立ち、先進的な農業事業者に 対しあれこれ余計な「クチ(講釈)」を出さず、「カネ(資金)」を十 分に出してほしい。それが最善の対策である。(2009/5/13千葉市在住) ************************************************** 5月『感銘の一冊』 中村 忠之 ■□■━━━━━━ 農業が日本を救う ■□■━━━━━━ 著者 財部 誠一 出版社 PHP いささか皮肉っぽい、逆説的なタイトルだが、副題には 「こうすれば21世紀最大の成長産業になる」とある。 問題はこの「こうすれば…」が、一筋縄でいかないとこ ろが日本農業の泣き所だと言えるだろう。 シンクタンク「東京財団」の上級研究員である山下一 仁氏の指摘によれば、「(2007年度)全農家299 万戸の総生産額が8兆2000億円で、パナソニック1 社の2008年2月期9兆700億円に及ばない上、同 社の従業員31万人と比較すれば、日本の農業がいかに 非効率かがわかる」 という。しかもこれだけの農家数で農業に取り組みなが ら、食糧自給率が40%以下という数字を示しているこ と自体、長年に亘ってコメ本位という「モノカルチャー 」を継続してきた日本の農政がいかに劣悪なものであっ たか、しかもそうした農政を支えてきたのが農協である というのが著者の指摘である。 戦後GHQの命令で地主が追放され、小作農がすべて 自作農に変身した。昔から農村で自作農の田畑相続は長 男だけになされ、次男以下は婿養子になるか、小作農と なるか、都市に出て奉公人になるかしていた。 これは少ない田畑を分けることを「田分け=たわけ」 と言って避けた知恵だった。それをいくら占領軍に押し 付けられたとはいえ、農村改革の美名の元に、なんの疑 いもなく「国策的たわけ」を断行したツケが今大きくの し掛かっていることになる。 それが戦後の復興期を過ぎて高度成長時代に突入した 1965年頃から、都市部の工業地帯からの求人に応じ て、数多くの農家の若者が、狭小な農地から上がる少な い収入と過酷な労働を嫌って、「中学生という金の卵」 と呼ばれた人手ブームに乗って都市部に殺到したのであ る。 ♪ ああ上野駅 ♪ ♪ どこか故郷の 香りを乗せて 入る列車の 懐かしさ〜 すでにその頃から日本農業の衰退は始まっていたこと になる。そして現在では「専業農家」と呼ばれる農家戸 数が、実に1割を割っているという憂うべき現況にある のだ。 現在自民も民主も、農業施策として補助金制度を全面 に打ち出しているが、農地法で禁じられている耕作放棄 地も放置地主もそのまま放置されており、彼らすら農家 としてたとえば「減反農家」として補助金対象となって いる。 またかつての農地を転用して進出した企業に勤務する 兼業農家も、当然補助金を受けられるし、自分の農地を そうした企業に売った農家は、当然多額の売却費を得て 、豪邸を建てて優雅な生活を送っている。 逆に専業農家が、土地の貸し出しや売却を求めてもそ れに応じず、大型小売業や工場、あるいは産廃施設とし て売れることを待っているのが今の農村の姿だと指摘す る。 著者によれば、こうした不合理・不条理を改善するた めには、「ザル法」になっている現行法を忠実に守るだ けでまずは充分だという。それが出来ぬようではまさん いこの国の未来は暗い。 その反面、新たに農業に参入したいという個人や企業 には厚い拒否の壁が立ちふさがる。またなんとか参入を 果たしたとしても、それまでの企業経営と農業とのギャ ップで、挫折したケースも数多いと指摘する。逆に成功 した事例を挙げてはいるが……。 また著者によれば、本著の執筆に当たって各地の農村 を取材し、農協にもインタヴューを試みたが、各地であ からさまな妨害と、取材拒否の連続であったという。 たとえば、ミカン(蜜柑)の某産地では、規格外の小 玉はすべて廃棄処分とされ、「小玉排除の幕まであるら しいのだが、取材前には撤去されたり、事前に変な取材 には応じないように伝えられたケースまであったという 。 実際には小玉の方が美味しいらしいのだが、農協を通 じて出荷する場合、出荷を断られると手の打ちようがな いという。ここにも、既存の流通システムに依存し切っ ている、農協の硬直姿勢が見て取れる。 最後にタイトルの「日本を救う農業」としては、 1.農地管理のデータベース化 2.民間型農協の出現 3.新規参入の壁排除 4.素晴らしい農作物の海外輸出 などなどを提案しているのだが、ただその前提として絶 対に不可欠なのは、昨今日本中に充満している「物貰い 根性」からの脱却ではなかろうか。 ここでは「書評」に名を借りて、日頃からの思いを吐 露した部分も多いことをお伝えしておく。 ************************************************** 農業関連 <トピックス(1)> ■□■━━━━━━━━━━━━ ミツバチ減少の原因は何なのか ■□■━━━━━━━━━━━━ <中村のコメント> 日本は世界に誇る「果物王国」だと言い続けてきた。 ところがこの果物の生産には、ミツバチによる受粉作業 が不可欠で、それを人手による作業に切り替えることは 事実上ほぼ不可能に近く、そん酷な問題となっている。 石破農相も重大な懸念を表示したが、その割に日本の マスコミは大きく取り上げていない。多分その収穫期に なってから大騒ぎすることは目に見えている。 もう水際作戦が徒労に帰した今、そろそろ他の問題に シフトする時期ではないか。 ■ミツバチ1000万匹不足 青果受粉用、農家ピンチ 農林水産省は21日、特に茨城、鳥取など7県で不足 が深刻で最大約1000万匹が足りないと発表した。こ のまま不足が続けば、果物などの価格高騰につながりか ねない状況になっている。 茨城、鳥取両県以外でミツバチが不足しているのは▽ 青森▽山形▽神奈川▽滋賀▽熊本−−の各県で、受粉で セイヨウミツバチを使う作物は、イチゴのほか、メロン ▽ナシ▽ナス▽カボチャ▽サクランボ−−などで、農家 は養蜂業者などから購入したり借り入れている。 農水省によると、ミツバチ不足は昨年秋ごろから言わ れ始め、10アールあたりの生産コストが上昇、すでに 20都道県で経営や栽培に悪影響が出ているという。 農水省は女王バチをアルゼンチンから輸入するため交 渉を進めているが、輸入されたとしても早くて来年1月 から。同課は「不足が続き出荷量が減れば作物の価格に はね返ることもあり得る」と心配している。 【4月22日12時57分配信 毎日新聞】要約 ⇒ http://m.webry.info/at/rarara/200904/article_10.htm (2009/04/16) ■要因は一つだけではない アメリカを始め日本国内でもミツバチの減少が問題に なっている。では何故ミツバチが減少傾向にあるのだろ うか。 ☆放射線(電磁波)の影響 dailyvidette.comでは過去のNewsにおいて気になる記 事を掲載している。 蜜蜂は、私達が暮らしている世界の中で必須の部分と なる。ことによるといくつかの技術的な機器により発せ られた放射線のため、蜜蜂が減っている。 何人かの科学者が、携帯電話および他のハイテクガジ ェットにより発せられた放射線が、蜜蜂が消えていく理 由に可能な答えであるという理論を出している。 理論は、携帯電話からの放射線が蜜蜂のナビゲーショ ン・システムを狂わせ、彼らが巣箱の場所を探し出す方 法を防止しているのだと言う事である。 「蜜蜂は、場所を記憶する驚異的な能力を持っている。 私達は、蜜蜂が羅針盤のように働く内部のナビゲーシ ョン・システムを持っているという事を理解している」 とダグラスホイットマン〈生物科学の教授〉が言った事 を思い出す。 更にホイットマンはこのように付け加えている。 「地球は電磁波によって満たされています。それは蜜蜂 の内部の羅針盤を狂わせているのです」 電磁波が生命体に与える影響は今現在も研究されてい る状態であるが、もしこの理論が正しいのであれば、人 間の脳も少なからず何らかのダメージを受けていると言 うことになるだろう。 ☆蜂に寄生するVarroaダニ Varroaダニは巣を全滅させてしまうほど恐ろしいダニ と言われ、現在では有効な薬がでているようだが、ダニ に耐性を持つ蜂も作られているとのことだが、突然耐薬 抗体を持った生物に変異する事も考えられる。 ☆蜂に生えるカビ チョーク病といわれるカビの影響も考えられ、やはり 現在では有効な薬品がでているようだが、海外では新た なカビによる影響が原因ではないかとの話もでている。 ミツバチ減少は地球温暖化による気候変動によるもの なのか、放射線(電磁波)の影響なのか、または未知の 細菌によるものなのか、現状では明らかになっていない が、異常な状態が続いている事は確かである。 ■世界同時多発ミツバチ失踪事件 農水省によると、受粉用ミツバチが不足し始めたのは 昨年秋ごろ。2007年10月以降、働きバチを産む女 王バチの主要供給国であるオーストラリアでハチ特有の 病気が流行し、輸入を停止していることが要因の一つだ 。他の国からの代替輸入や豪からの輸入再開の見通しは 立っていない。 ミツバチの失踪はアメリカでも問題になっている。農 産物の受粉のために飼っていたミツバチが集団失踪して 、アメリカではなぜか死骸も見つかってないという。 昨年夏には北海道や東北地方で働きバチが大量死。ハ チに取り付くダニや新しいタイプの農薬が影響したもよ うだが、原因究明には至っていない。 そう、原因は、上記に加え農薬説、ストレス説、遺伝 子異常説、ミツバチの代替わりの限界説、いろんな説が ある。 アインシュタインが「ミツバチがいなくなれば人類は 4年ともたないだろう」という言葉を残しているが、、 日本でも本格的な対策をしないと果物などの価格が高騰 して食べられなくなるかもしれない。 <ニコブログ> (2009.4.10) 要約 ⇒ http://nikonikositaine.blog49.fc2.com/blog-entry-397.html <トピックス(2)> ■□■━━━━━━━━━━━━ 氷点下でも凍らない!?氷感庫 ■□■━━━━━━━━━━━━ <中村のコメント> 島根県太田市にあるヴェンチャー企業「フィールテク ノロジー」が開発した、画期的な冷凍技術です。テレビ のビジネス関連報道『ガイアの夜明け』で紹介され、一 躍脚光を浴びた。 従来の冷凍技術は、(マイナス30℃前後)という極 低温で瞬間冷凍しするというものでしたが、解凍後の品 質と、その保持に問題がありましたが、この技術による と、数ヶ月経ったものでも、出荷後通常新鮮なままでの 状態と代わらない、むしろより鮮度を保てるという優れ もののようです。 ■氷感庫とは 氷感庫は氷点下で保存するにもかかわらず、野菜や魚 ・肉または水などを凍らせること無く保存できる装置を いいます。 島根県にあるベンチャー企業フィールテク ノロジーが開発した次世代技術です。 通常であれば水や食材などは氷点下になると分子同士 が結びつき凍りますが、氷感庫は庫内に高電圧をかけ、 食材に含まれる水分の電子運動を促すことにより、通 常であれば凍ってしまう温度でも凍らせること無く保存 できます。 氷感庫内は10mm程度の穴が開いたステンレス板で覆わ れており、そこに3000〜7000ボルトのプラズマ発生させ ることによって、 食材に含まれる水分の電子運動を促 します。 そしてコロナ放電を起こす状態に保たれた氷感庫内は、 同時に庫内に流れる電流により静電場状態にし、 水 または食材に微振動を与えることで氷点下でも凍らずに 保存が出来き、 マイナス5℃という氷点下で生鮮食材 を新鮮なまま保存することが可能になりました。 冷凍に不向きな野菜や果物などを凍らせること無く鮮 度を保ち続けることが可能で、 ワインや肉類は非凍結 保存を行うことで熟成されることもわかっているそうで す。 ■氷感技術を採用したトラック輸送 「氷感車両」 生鮮食品を冷凍することなく、さらに保冷とは異なる 新しい技術「氷感庫」を搭載したトラックがある。 「氷感車」といいます。氷感車は氷を使用した保冷は異な るため、氷を使用しない。 いままでの輸送で一般的であった氷詰めは、トラック の箱内のスペースをとり、多くの重量もとるため生鮮食 材の積載量を妨げていました。 氷感技術の採用によりこれらが解消され、多くの生鮮 食品を積載可能になり活きのいい状態で消費者への提供 が可能になりました。 また、トラックだけではなく寿司のねた蔵といった小 規模のものから、業務用の大型冷蔵庫タイプのものなど 用途に合わせた氷感庫がリリースされています。 フィールテクノロジー ⇒ http://www.feel-tech.jp/ 情報提供先: <商管コーポレーション> ⇒ http://www.syoukan.jp/index.html <トピックス(3)> ■□■━━━━━━━━━━━ 竹チップの発酵熱でエビ養殖 ■□■━━━━━━━━━━━ <中村のコメント> これも前述いろんな情報を提供してくれる友人から 聴いた情報である。 スギなどの木材は発酵を促す米ぬかや鶏ふんなどが必 要で発酵期間も短く、酸素を供給するため年に三、四回 は混ぜ合わせなければならない。前号では、“いま竹炭 が面白い”という一文を載せたが、竹炭に限らず、「竹 そのものが面白い」といえる記事ではある。 ここでは「養殖エビ」とあるのだが、それだけでなく 、冬場のハウス栽培や霜害に見舞われる農業にまで、幅 広く活用できるし、しかも発酵の済んだ竹チップは、そ のまま有機肥料として活用出来るではないか。 ■竹チップでエビ養殖 輪島で来月から 輪島市門前町の旧七浦小の空き校舎で来月にも、竹チ ップの発酵熱で温めた海水を使い、エビの陸上養殖試験 が開始される。竹の研究に取り組む農業合間修一さん (64)=同市気勝平町=が、現地の水産物生産加工会社 に技術提供する。里山荒廃の原因となる竹で新産業を生 み出す一石二鳥の試みとして金大との共同研究も予定し、 「ぜひ成功させ、地域振興に貢献したい」と意気込ん でいる。 合間さんによると、竹チップは、何もせずに約三年間 は内部の温度を五〇度以上に保てるとしている。竹の殺 菌力でハエなどを寄せ付けず、悪臭がしないことも分か った。 養殖試験では、空き教室に直径約六メートルの円形水 槽を設置。約千五百本分の竹チップを山積みした中に通 した配水管で水を約二十五度まで温め、水槽に供給する。 まずは、ブラックタイガーと並ぶ代表的な養殖エビの バナメイエビを三、四カ月ほどで体長一センチ程度から 約十五センチまで成長させ、生きたまま出荷する計画だ。 試験に取り組む生産加工会社「七浦」の陶敏彦主任研 究員は「電気や化石燃料を使わないエコを前面に、いず れはアワビや魚、海藻にも広げ、雇用を創出したい」と 意欲を込める。合間さんは「使用が終わった竹チップで カブトムシの大量飼育や農業肥料にも活用できる」と期 待を膨らませた。 北海新聞「石川のニュース」より 要約 ⇒ http://www.hokkoku.co.jp/_today/H20090214105.htm ************************************************** <縄文塾5月−7号 編集後記> ************************************************** お隣韓国の前大統領、盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏の 自殺には驚いた。しかも検察は「今までの捜査を全部打 ち切る」という。これではいつまで経っても先進国の仲 間入りは無理だろう。 某氏(出所・氏名失念)は、日本と同じ・地縁・血縁 の上に成り立つだとした「情の国」だと指摘していた。 また『頂門の一針』1556号で古澤襄さん『韓国社会の 地縁・血縁主義』は、「それにしても韓国では歴代大統 領の悲劇や不幸が多い」として、 「今回のような退任後の自殺は初めてだが、初代の李 承晩大統領は海外亡命、長期政権だった朴正煕大 統領は暗殺、全斗煥、盧泰愚大統領は逮捕・投獄、金泳 三、金大中大統領は息子の逮捕・投獄…」これはまさに 戦後韓国の全大統領ではないか。 さて私の考えは、同じ「情の国」だとしても、韓国の 「恨(はん)」に対して、日本は「忘(ぼう)」という 真反対の性格という風に、正反対と言っていいほどの差 があると見る。 それに日本では「血縁」はさして強くなく、「遠くの 親戚よりも近くの他人」と、むしろ「地縁」を重視して いる。 違いを探せば山ほどあるが、一つだけ言わせて貰えば、 もし日本で大統領制が敷かれたとしても、絶対にこんな 韓国の事態とは絶対に無縁であるはずだ。 (中村) ************************************************** < 縄文塾通信 告知板> ************************************************** 広島雑学アカデミー 第68回学会 タイトル “ 能への誘い ” 講師:観世流能楽師(シテ方) 吉田 篤史 師 当日は、能の解説だけに止まらず、祝舞・謡体験 能舞台でのしぐさ・能面・装束の解説など、素人 でも充分楽しめる会です。 ◎日時 6月16日(火) 18:30〜21:00 ◎場所 広島アステールプラザ 広島市中区加古町4大会議室B (Phone to :082-244-8000) ◎会費 1500円(懇談・茶菓子代を含む) ◎申込み・問合せ 同事務局 島田宛 携帯:080-3879-8484 電話&Fax:082-892-4735 Mail to : shimada.hyouji@nifty.com ************************************************** 以下クリックすると、 <推奨メルマガ・ブログ・ホームページが示されます> ⇒ http://joumon-juku.com/suisho.html 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