■第415回 秦檜は裏切り者か?(中国、裏切り者の列伝その15)
■第415回 秦檜は裏切り者か?(中国、裏切り者の列伝その15)
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このシリーズは今回で終了です。
次回からは『フィリピン史入門』をお送ります。
第1回から第221回までのバックナンバー一覧は、下記をごらんください。
http://blog.mag2.com/m/log/0000183170/108501028.html
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●中国の『マクベス夫人』
『人の口に戸は立てられない』といいます。
秦檜がどれほど頑張って、自分に都合の悪い史料を抹殺しても無駄でした。
芝居や小説の世界では、『売国奴』秦檜が『愛国者』岳飛を殺したという
話が取り上げられました。
面白おかしくとりあげるほど、読者、観客が喜び大うけするのですから、
話には尾ひれがついていきました。
秦檜だけでなく、妻の王夫人までが『売国奴』の仲間入りをさせられまし
た。
岳飛を逮捕しましたが、秦檜は処刑するか釈放するかで悩んでいました。
それを見た王夫人は「さっさと殺してしまいなさい」と夫の尻を叩きまし
た。
まるでシェークスピアの『マクベス夫人』のようです。
秦檜と王夫人は、芝居や小説では地獄に落とされ、未来永劫の罰を受ける
身となります。
●果てしなき憎悪
秦檜を『売国奴』とする小説は、モンゴル族の元朝、満洲族の清朝が中国
全土を支配していた時代に作られました。
満洲族は名前こそ違いますが、金朝を建国した女真族と同じ民族です。
軍事力によって征服された漢民族の怨念が秦檜に向けられました。
その反作用として、岳飛は救国の英雄として崇められました。
やがて人々は、小説、芝居で『売国奴』呼ばわりするだけでは、物足らな
くなったのでしょう。
抗州の岳飛廟には、鎖でつながれた秦檜と王夫人の鉄の像が置かれました。
参詣者は、その像に向った石を投げつけたり、唾を吐きかけたり、なかに
は小便をかける者までいました。
漢民族の秦檜への憎悪の深さは、日本人の想像もできないものがあります。
秦檜が金との講和を促進した背景には、自分の権勢の確保があったことは
間違いないでしょう。
その結果として、南宋の延命が可能になりました。
●最後に、秦檜は裏切り者か?
どこの国の歴史でも、国家、民族への『裏切り者』がいます。
彼らは、自分の利益のため、国家、民族を裏切り、滅亡に追いやりました。
それからいえば、秦檜を単純に『裏切り者』とは呼べないかも知れません。
たしかに、南宋は120年後にモンゴルの攻撃で滅亡しました。
それは秦檜の責任でなく、歴史の必然です。
1279年、南宋最後の皇帝が広州湾で海に投じた時、南宋の役割は終わ
ったのです。
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■ 歴史好きの素人が語る歴史(第415回)(2008年07月18日号)
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