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『年号を暗記させられたから歴史はきらい』な人にも聞いてほしい歴史です。年表や地図がなくてもわかる歴史です。あなたが知らない意外な日本史、中国史、これまで日本が避けてきた台湾という『国』の台湾史、モンゴルの歴史、ベトナムの歴史まで語ります。

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2008/04/04

■第369回 【論説】馬英九の台湾(台湾まじめなコラム)

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■第369回 【論説】馬英九の台湾(台湾まじめなコラム)

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  台湾も韓国と同様に政権が交代しました。

 いずれも、日本から最も近い国です。

 その影響が日本にどのように及ぶのか、見守っていかなければなりません。

 今回の記事が、少しでもお役に立てればうれしい限りです。


 この内容は、下記のメールマガジンの転載です。

  『台湾の声』【論説】「馬英九の台湾」
    平成20年(2008年)3月29日配信
     ☆ 配信元:『台湾の声』編集部
        http://www.emaga.com/info/3407.html 


 第1回から第221回までのバックナンバー一覧は、下記をごらんください。
            http://blog.mag2.com/m/log/0000183170/108501028.html

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 22日の台湾総統選で、国民党の馬英九氏は民進党の謝長廷氏に大差をつ
けて当選。

 得票率/得票総数は、馬氏58.45%/7、658、724票、謝氏は
41.55%/5,445,239票であった。

 1月の立法院(国会)選挙時の得票率は国民党51%、民進党37%だっ
た。

 国民党への総統交代は8年ぶりである。



 馬氏の圧勝について、各紙の論評や台湾の専門筋の意見を要約すると、

  1.民進党は対中強硬路線や『独立』路線の仮面をかぶって中国傾斜の
    経済政策をとり産業を空洞化させた、

  2.陳総統の家族や側近らの汚職事件と民進党の無能と腐敗が謝氏にブ
    レーキをかけた、

  3.陳政権の8年間で対中・対米関係が不安定になった、

  4.民進党政権では経済と生活の立て直しは難しい、などであった。



 選挙運動の最中である2月15日、時局心話會の参加者一行が訪台したと
きのことである。

 テレビのチャンネルを何度かひねってみたが、選挙ニュースの70%以上
が馬氏の映像であった。

 当時、各紙与野党系の世論調査でも平均して馬氏55%、謝氏20%前後
である。

 筆者は、馬氏が圧倒的に強いという予感と空気を感じ取ったものだ。



●謝氏はイケメン馬氏に負けた

 訪台の際、我々一行は謝氏の選挙事務所を訪問し、日本から持参した大き
なダルマをプレゼントした。

 今回、そのダルマの片目に勝利の墨を入れられなくて、謝氏も残念であっ
たに違いない。

 しかし総統候補としての謝氏の見識と論戦は、見事の一言に尽きるものだ。



 人物を見ればその器量や能力、素質が97%以上見抜けるという人物がい
た。

 料理屋のご主人の顔を見れば店の味が理解できるのと同じだ。

 台湾人は、高雄市長時代に謝氏が残した業績や能力を評価する人が多い。



 筆者は馬氏や謝氏に会う機会を得てじっくり観察したが、謝氏は総統にふ
さわしい人物と期待した。

 しかし馬氏と比べると、人気やスタイル、男前でスタートから20ポイン
トの大差をつけられていた。



●陳水扁総統の8年間

 2005年5月、陳水扁総統は就任式で『5つのノー』を公約した。

 これは中国が武力行使をしないなら

  1.台湾独立を宣言しない、

  2.国名(中華民国)は変えない、

  3.二国論を憲法に盛り込まない、

  4.独立か統一かを問う住民投票は行わない、

  5.(統一の道筋を定めた)国家統一綱領を廃止しない、

 というものであった。



 陳総統は『台湾共和国』を公約して当選したが、この『5つのノー』で中
華民国体制からの脱却を否定した。

 謝氏のように「台湾の独立した現状を守る」と強調すれば、陳政権の存在
も大きく変わったにちがいない。

 しかし政権与党でありながら多数の議席を握る野党国民党の攻撃に、民進
党は理想や目標を明確に語れなかった。



 だが今後は台湾派が野党になり、政権与党国民党の政策のチェックや台湾
路線の監督など、台湾の台湾化を促す2大政党制、政策による政権交代が可
能だ。

 馬氏は総統選で60%近い得票率を確保したが、60%近い『台湾人意識』
が浸透する中で、残る40%の野党票を無視することはできない。



●馬氏も台湾化路線

 陳前総統に対する台湾有権者の評価は、すでに述べたとおりである。

 陳氏は台湾独立運動家が総統になってそのまま『独立』を連呼してきたと
いう印象が強い。

 しかし近年に見る台湾語など母国語の復活、台湾の郷土教育の充実で、台
湾住民による台湾人意識は大きく変化したのである。



 特に台湾語や郷土史の教育は、李登輝総統時代の90年代から始まってい
る。

 しかし陳政権の8年間で台湾語が小学校の必修科目になり、中学校で台湾
の歴史、地理、社会、伝統、文化を詳しく教えてきたことが台湾人意識を高
揚させた。



 台湾の世論調査記事によると、自らを台湾人と思う人は60%以上、台湾
人であると同時に中国人だという人(混血・新人類)は30%、中国人だと
思う人は10%以下だという世論調査もある。



●台中経済改善に期待

 馬氏は

  1.中国とは統一しない、

  2.台湾は独立しない、

  3.中台間の武力行使は行わない

 などと連呼し、台湾問題は2300万人の台湾住民が決めると訴えた。

 さらに「経済改革と生活改善に早急に取り組む」「台湾の自由と民主を守
り骨を埋める」と強調、台湾系住民の安心感を誘った。



 馬氏は、陳政権で硬直した対米・対日関係で対米交渉のレベルを引き上げ、
日米安保条約を重視するなど親米・親日路線と関係改善を掲げたのである。

 今後は台湾経済人の期待に応えて、対中関係の実利改善を公約した。



 台中経済政策としては、

  1.4年後には中国人観光客を1日1万人に増やし年間360万人とす
    る、

  2.2年以内に直行航空便を定期化、

  3.対中投資制限の撤廃など、

「対中経済の回復で台湾経済を活性化させる」と公約した。

 しかしこれらの政策では短期的に成果が出ることもあるが、長期的には中
国とのリンクがさらに強められ、台湾の産業空洞化が進むなど、陳政権の二
の舞になりかねない。



●中国経済で台湾は救われるか

 馬氏は今後、有権者の選択した経済振興に対する期待に応えねばならない。

 つまり住民の“経済と生活”に対する不満と批判を吸収して当選したのだ
から、『経済失敗』は許されない。それゆえ、どこまで馬氏が期待に応えら
れるか、世論の目は厳しさを増すことになろう。



 一方馬氏のいうように対中関係がうまくいくのか否か、したたかな中国を
相手に都合のよい交渉ができるのか、疑問視する声もある。

 ましてや筆者から見て、中国への一方的な傾斜が台湾経済を危うくする事
態もある。

 中国経済は北京五輪を機に世界から批判の的になっているからだ。



 今後、台湾経済はBRICsに市場を広げるべきだ。

 すでに韓国企業は中国から撤退や夜逃げが日常化している。

 日本企業の投資・合併・工場進出も激減した。

 今では中国経済もコスト高が加速して、魅力が乏しくなっている。

 中国のコスト安時代は終わったのである。

 馬氏の対中傾斜は、一歩足を踏み外せば世論の反発を招くという火種を抱
えている。



●中国は馬氏を歓迎しない

 馬氏は中国との関係改善を唱えながら、チベット暴動を鎮圧した中国に北
京五輪ボイコット・カードを突きつけた。

 中国はこれに対して今のところ沈黙を保っているが、北京五輪という弱み
につけ込んで政治に結びつけ、内政干渉してくる馬氏を苦々しく思っている
はずだ。



 馬氏は以前も中国の天安門事件やチベット問題に対して厳しく発言するな
ど、人権軽視を批判している。

 ましてや任期中には統一しない、または50年間現状維持だと言って、中
国の意向とは違う動きがある。

 中国高官は、こうした馬氏の意見や態度にどう対応すればよいのか、警戒
心を抱く者が多い。



 筆者は中国側要人の情報をいくつか弊誌で述べてきたが、今回の選挙でも
中南海では馬氏より謝氏の当選を強く望んでいた。

 もちろん胡錦濤主席も、台湾人の謝氏なら『一つの中国』論で内政騒乱を
台湾に向けることで鎮静できる。

 しかし馬氏の本音は「中国国民党が台湾と『一つの中国』を統一する」こ
とだ。

 これでは戦前の国共内戦の延長である。

 李登輝前総統は3月26日付産経新聞のインタビューで『中国共産党は馬
氏を支持していない』と述べている。



●中台共生と和解

 現在、全世界の国々や企業が中国経済の動向を注視している。

 表向きは発展しているかに見えるが、それと同時進行で中国社会の崩壊が
始まっている。

 世界のルールや基準を順守しなかった分野で、中国の脱落は顕著だ。



 中国もやっと国が重い腰を上げて、食品の厳しい検査に乗り出したようだ。

 台湾問題でも中国は勝手に『一つの中国』と喧伝してきたが、このレトリ
ックも化けの皮が剥がれようとしている。

 胡錦濤政権は『馬英九の台湾』とどう向き合うのか、頭の痛いところだ。



 中国からすれば、台湾人は脅しに弱い相手だったが、今後はかつての政敵
である国民党政権となり、『嘘と脅し』が通用しない。

 その国民党のトップである馬氏が、中華人民共和国の天安門事件やチベッ
トの人権問題で批判を始めたのだ。

 自由と民主主義、人権尊重の価値観を訴えて動けば、馬氏は中共の政敵と
なる。

 馬氏は敵なのか味方なのか、中国にとって厄介な存在だといえよう。


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・ 作者は、中澤勇二(台湾名 陳澤民)です。

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