2008/05/01
あなたへ贈る季節のたより No.27
*〜〜〜〜*〜〜〜〜*〜〜〜〜*〜〜〜〜*〜〜〜〜*〜〜〜〜* あなたへ贈る季節のたより ---- No.27 ---- 「立 夏」 2008.5.1 by URUSHI OHTAKI 大滝 豊 http://www.u-ohtaki.com/ *〜〜〜〜*〜〜〜〜*〜〜〜〜*〜〜〜〜*〜〜〜〜*〜〜〜〜* 遠くのあなたへ お元気ですか。 桜が咲く頃に生まれ出た淡い緑は、日ごとにその濃さを増していき、 鮮やかな若葉へと力強く成長しています。 雪解け水によって、たっぷりと養分を育んだ土と、ようやく眩しくも 感じられるようになった陽光が、森の木々や草花たちに、生きる力を 与えてくれる、そんな心弾む季節が来たのですね。 大型連休の真っ只中、あなたは、ゆっくりと日頃の疲れを癒す時間を 過ごせていますか。 背中に5月の太陽熱を暖かく感じながら、若草色に染められた里山や、 その奥に連なる青い山脈を見るだけで、からだの中を薫風が吹き抜け、 細胞のひとつひとつが、緑に染めあげられるような気さえするこの頃。 現実の風景にも、印象派の絵のような明るいさざめきが感じられます。 5月5日は、はや「立夏」。 「夏」と呼ぶにはまだ少し早いような気もしますが、体感に先駆けて 使われる季語は、祭の開始を告げる触れ太鼓のように、わたしたちの 体内に眠る季節の感覚を、一気に目覚めさせてくれるようです。 遠い峯は風のやうにゆらいでゐる ふもとの果樹園は真白に開花してゐた 冬のままの山肌は 朝毎に絹を拡げたやうに美しい 私の瞳の中を音をたてて水が流れる ありがたうございますと 私は見えないものに向って拝みたい 誰も聞いてはゐない 免(ゆる)しはしないのだ 山鳩が貰ひ泣きをしては 私の声を返してくれるのか 雪が消えて 谷間は石楠花(しゃくなげ)や紅百合が咲き 緑の木陰をつくるだらう 刺草の中にもおそい夏はひそんで 私たちの胸にどんなにか 華麗な焔(ほのお)が環(わ)を描く 「山 脈」 左川 ちか 心地良い南風を、その身いっぱいに飲み込み、ゆったり泳ぐ鯉のぼり。 矢車がカラカラと乾いた音を立て、色鮮やかな吹き流しが、右に左に 揺れながら、のどかな里の風景に溶けこんでいます。 たっぷりと水が張られた田圃は、空の青さを溶かし込み、真白な雲の、 絶えず変化する表情を映す、巨大な鏡となります。 周辺の夏木立は、豊かな緑陰をつくり出し、木漏れ日がわたしの体を 斑(まだら)にします。見あげると、青葉がレントゲン写真のように 光に透けて、その生命の躍動が目に見えるようです。 都会に暮らすあなた。 分刻みのスケジュールや、あまりの人の多さに神経を磨り減らして、 心身ともに、くたくたになってはいませんか。 そんなあなたを大きく包み込み、どんな時も温かく迎えてくれるのは、 何の変哲もない、こうした風景なのではないでしょうか。 木綿(ゆふ)かけて卯月にまつる神山の ならの木かげに夏はきにけり よみ人しらず 夜が明けるのも、驚くほど早くなりました。四十雀(シジュウカラ) の声に目覚める朝もしばしばです。 でも、夏の到来を告げる鳥と言えば、やはり「ほととぎす」ですね。 古来より、どれほど多く歌に詠まれたかしれぬ鳥です。 決して美しいとは言えぬ、絹を引き裂くようなその鳴き声が、なぜに あれほどもてはやされたのでしょうか。 夏の夜のふすかとすれば時鳥(ほととぎす) なく一声にあくるしののめ 紀貫之(きのつらゆき) まだ十分に明けやらぬほの暗い夏の空に、薄闇を切り裂くように響く ほととぎすの声。そしてあかつきの空には、しらじらとした有明の月。 恋しい人とのせっかくの逢瀬も、たちまちに過ぎ去る夏の短夜を恨み、 平安びとは、その哀切な情感をこの鳥の声にも感じたのでしょうか。 けれど、あふれんばかりの緑のエキスを存分に吸収して、ひたむきに 生命を謳歌する「ほととぎす」もまた、わたしには「夏」そのものの 姿であるように思えるのです。 谺(こだま)して山ほととぎすほしいまゝ 杉田久女(すぎたひさじょ) ふるさとの季節の声は、あなたの心にも谺していますか? 平成20年5月1日 遠くのあなたを想いながら・・・ ─────────────────────────────────── メールマガジン 「あなたへ贈る季節のたより」 ●発行 URUSHI OHTAKI ●編集 大滝 豊 Mail to: yutak@lapis.plala.or.jp Web Site: http://www.u-ohtaki.com/ Blog: http://blog.u-ohtaki.com/ ※バックナンバーは、ここで読むことができます。 ↓ http://www.u-ohtaki.com/magazine.html ─────────────────────────────────── このメールマガジンは、以下のマガジンスタンドから配信しています。 配信中止は、それぞれのページから行って下さい。 ・まぐまぐ http://www.mag2.com/m/0000183042.html ・メルマ http://www.melma.com/backnumber_150184/ ・めろんぱん http://www.melonpan.net/melonpa/mag-detail.php?mag_id=009247 ───────────────────────────────────


