「ちょっと一言」最後まで残るものは、物ではなく心
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「ちょっと一言」 こころの栄養 2007/12/27
第93号
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■皆さん、こんにちは。
いつもお読みいただきありがとうございます。
今日は「物と心」についてお話しします。
■なにも持たずに生まれ、
なにも持たずに死ぬ。
私は最高に豊かな人生を、
なにも持たずに目撃した。
■これは、マルロ・モーガンという人が書いた一文です。
私たちは、日常いろんな物に囲まれて生活をしています。
冷蔵庫、洗濯機、テレビに自動車、パソコン、携帯電話・・・
そして、この物がないと、あるいは手に入らないと、不幸だと
嘆きます。
しかし、自動車は、地球の全人口の8割以上が所有していない
そうです。
■大昔、今のように物がなかった頃、人の意識は物には向かいま
せんでした。
物がないのですから当然と言えば当然ですが、人の意識は、人
に、あるいは自分の心の中に向けられていました。
ですから、物を所有できないと嘆くことはありませんでした。
■ところが、物が豊富に手に入り始めて、人は物に執着し始めま
した。
物、つまり目に見える物に執着することになりました。
お金もその一つでしょう。
物に意識が向くと、物を追い求め、物を守る人生が始まります。
■こんな人がいました。
Aさんと、Bさん。
二人とも、同じ田舎から都会に出てきて、一生懸命に働きまし
た。
ただ、二人の考え方は違っていました。
Aさんは、子供のころ貧乏だったから、もっとお金や贅沢品が
ほしいと思っていました。
Bさんは、子供のころ貧乏だったから、お金の心配をしなくて
もいい今の生活で十分。ゆっくりと自分を磨いていこう。そう
考えていました。
■Aさんは、努力してお金を貯めました。やがて外車も買えるよ
うになりました。
でも、他人と比較すると、まだまだ持っている物が少ない。
そこで、Aさんは、株式投資をやり始めました。
ちょうどバブルがはじける前でしたので、買った株はみるみる
うちに値上がりして、Aさんの手元には何億というお金が入っ
てきました。
Aさんはそのお金で、高価な物をたくさん買いました。やがて、
Aさんは財産に囲まれて生活をするようになりました。
■あるとき、このお金や財産を誰かに盗まれるのでないか、そん
な恐怖がAさんを襲いました。
他人が信じられなくなってしまったのです。
Aさんは、財産をなくしてしまう恐怖で夜も眠れません。
そして、大金をはたいて、10人の警護を24時間体制で付け
ました。
1日当たり100万円の費用がかかりました。
3年で10億円になります。
Aさんは、そのお金を稼ぐためにひたすら投資を続けました。
■3年後。
Aさんは、暗い部屋に閉じこもり、ひたすら財産を守っていま
した。
Aさんの心の中には、何もありませんでした。
一方、Bさんは、小さな古ぼけた家の縁側に腰掛けて、ゆった
りとお茶を飲んでいました。
そう大きくはない庭の木々の間から、こぼれ出るような光がキ
ラキラとAさんに降りそそいでいます。
「ああ、いい気持ちだ。今日も空気が美味しい」
Bさんの心の中には、自然から与えられる安らぎがありました。
■さて、
□□□ 今日の「ちょっと一言」です。 □□□
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【 最後まで残るものは、物ではなく心 】
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■ライオンなど自然界に生きる動物は、自分が生きるために必要
な分しか、食べません。
食べ物は、天の恵みだと考えています。大自然の中でそんな生
活をしている人たちがいます。
オーストラリアの先住民族アボリジニです。
彼らは物に執着せず、宇宙の法則に従って生きています。
人間の本質は「ものを考える」ということにあります。
アボリジニは、そのとおりに生きている民族だそうです。
真偽は分かりませんが、今日はこれを食べようと思えば、移動
の途中でその食べ物が出てくるといいます。
■先の一文は
「ミュータント・メッセージ(マルロ・モーガン著)角川書店」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4042797016/mag2com02f-22
の冒頭に著者の言葉として書かれています。
その中にこんな一節があります。
二歳の子どもがふたりいて、ひとりがおもちゃ --- 例えば
紐で結んだ小石 --- で遊んでいたとする。
もうひとりの子どもがそれを取りにいこうとすると、大人たち
がじっと見つめているのを感じる。
その子は許可もなくなにかを取るのはいけないことを学ぶ。
おもちゃを持っていた子も人と分かち合うこと、独り占めにし
てはいけないことを学ぶ。
その子はもう充分に楽しんだ記憶が心に残っている。
つまり、物自体ではなく遊んで楽しかった感情がいつまでも残
ることが求められるのだ。
(中略)
ミュータント(文明人)は、屋外ではもう暮らせなくなってい
る。
ほとんどが雨の中に裸で立つのがどんな感じか知ることなく死
んでいく。
人工的な熱と冷気が用意された建物に住み、普通の気温でも熱
射病にかかってしまう。
(中略)
物が恐怖を生む、とこの部族は考えている。物を持てば持つほ
ど恐怖はつのる。
ついには物のために生きることになる。
■この本は、1991年にアメリカで自費出版されてからひそか
なブームになったことがあります。
フィクションか、ノンフィクションかという議論があるようで
すが、真実がどちらであれ、この本を読むと、今の世界で私た
ちに何ができるか、どう生きるかという根本的なことを彼らか
ら教わることができ、世界観が変ります。
「ミュータント・メッセージ(マルロ・モーガン著)角川書店」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4042797016/mag2com02f-22
■人間の本質である「ものを考える」という世界では、物質的な
物に執着するのは無意味だということです。
私のような凡人は、まだまだその境地には至れませんが。
執着していた物を死んでから振り返ってみている自分を想像し
てみて下さい。
自分が生きていたときに執着していた物が、どんなにつまらな
いか、死んでから分かるのでしょうか。
■さて、いつものように、ここから私の学生時代の経験をモデルに
脚色を加えた青春物語
【うしのフットボール】です。
今回は93回目です。参考のために92回目も掲載しておきます。
決して、フットボールの技術指導ではありません。
田舎で若者がフットボール部を作って、僅か2年で関西大会出場
を果たした物語です。
(脚色を加えていますので、登場人物等は架空のものです)
■この物語の中にも生き方のヒントが、たくさんでてきます。
がまんして読み続けてください。
ではどうぞ。
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【 うしのフットボール 】 第93回
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【 前回分 】
3月15日。
合格発表の日、うしは三木高校のグランドにいた。後輩との送
別試合の日である。
誰もが発表を見に大学へ出かけている中、うしは送別試合をし
ていた。
みんさんが心配して
「うし、今日は発表の日と違うんか」
と聞いたが
「結果はもう決まっとるんや。通知がくれば分かるやん」
と答えた。
発表より後輩達と過ごす時間の方が大切と考えていたからであ
る。
送別試合は、3年生がかろうじて勝った。しばらく運動をして
いなかった3年生は後輩達と久しぶりに試合を楽しんだ。
そしてそれが、高校生活最後のフットボールになった。
試合終了後、3年生は後輩たちから、タイピンの贈り物をもら
って送り出された。
もう、卒業式も終わっているので、皆が会う機会はない。
「では、またいつか」
3年生はもう汗の匂いのしなくなった自分たちのヘルメットを
部室に残し、帰っていった。
うしが送別試合から家に帰って、一人でぼんやりとテレビを見
ていたときであった。居間の電話がなった。
うしは、またセールスかと思いつつ、ゆっくりと体を起こして
電話に出た。
【 93回 】
「はい、赤城です。」
すると、電話の向こうから
「うしか、お前合格しとったで」
聞きなれた声がした。
同級生の羽口から、電話による合格通知が届いた。
電話の向こうでガタゴトと電車の通過する音が聞こえていた。
羽口も神戸大学工学部土木工学科を受験していた。自分の合格
を確認した後、うしの姿が見えないので、親切にもうしの合格
を確認してきてくれたのである。
「そうか。とおとったか。ありがとう」
うしは、お礼を言って電話を切った。
「やっぱり、合格しとったか」
うしには、変に自信があった。
あれだけやったんやから落ちるわけがない。ずっとそう思って
きた。
3年生の6月に、西宮ボウルが終わって、一旦引退したときに、
進路面談があった。
進路指導室で正面にうしを座らせて、担任の小宮先生が言った。
「おまえは就職するんか。進学するんか」
「進学します」
「進学するんか。進学するんやったらどこの大学を受けるつも
りや」
「神戸大学です」
うしが答えると
「えっ、冗談やろ」
といって一瞬、小宮先生は言葉につまった。
「先生、冗談と違うで。本気や」
うしがむきになって答えると、
「フットボールしかやっていないおまえの学力で、神戸大学な
んか合格するわけがないやろ。だいたい、最近はうちから国
立に入ったやつすらおらんのやで」
小宮先生は、はき捨てるようにいった。
「先生、そやけどな。うちは、母子家庭やから私立にいくお金
はないねん」
「下宿もでけへんし、神戸大学にいくしかないんや。もし、合
格せえへんかったら働くわ」
そういった後うしは
(今にみとけ。絶対合格して皆をあっといわしたる。秋までフッ
トボールをやってもちゃんと大学にいけることを証明したる)
と心のなかでちかった。
(次回に続く)
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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