2009/11/02
メールでわかる最新金融事情Vol.30
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ メールでわかる最新金融事情 H21.11.02 Vol.30 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 企業評価を専門とするビバルコ・ジャパン(株)が新株予約権、優先株式、 M&A、株式公開(IPO)などの最近の金融市場の動向を解説いたします。 ※このメールマガジンは等幅フォントでご覧ください。 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼ 本┃日┃の┃記┃事┃ ━┛━┛━┛━┛━┛ ■ 公正価値のヒエラルキーについて ---------------------------------------------------------------------- 1.論点整理の公表 平成21年8月7日に企業会計基準委員会より「公正価値測定及びその開示に関 する論点の整理」(以下「論点整理」とする。)が公表された。これは、公正 価値の概念、測定方法、開示という3つの区分に焦点を絞って、わが国の会計 基準等で定められている公正価値に対する考えや開示方法を国際会計基準等と 比較しながら、わが国の現状及び今後の対応について検討したものである。 米国会計基準では、既に2006年9月にSFAS第157号「公正価値測定」が公表さ れ、公正価値の定義や測定方法についての整理が行われている。また国際会計 基準でも2009年5月に「公正価値測定」の公開草案を公表し、2010年度を目途 に公正価値測定のガイダンスの最終基準化を目指して進んでいる。こうした中 で、国際会計基準とのコンバージェンスの一環として、わが国の公正価値測定 に対する考え方と開示のあり方について検討を行う際の、議論の整理を図るこ とを目的で公表されている。 本稿は、論点整理の中で今後導入を検討すると示唆している公正価値のヒエ ラルキー(階層化)について、SFAS第157号を参考に簡単に整理することとする。 ○本文をPDF形式でお読みになりたい方はこちら http://bvcj.co.jp/pdf/report030.pdf ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2.公正価値ヒエラルキー SFAS第157号によると、公正価値のヒエラルキーとして、公正価値測定に用い られるインプットのヒエラルキーと測定された公正価値の開示についてのヒエラ ルキーの2つが規定されている。 (1)インプットのヒエラルキー 公正価値を測定するために用いられるインプットは大きく「観察可能なインプ ット」と「観察不能なインプット」に分類できる。 (a)観察可能なインプットとは、報告企業から独立した情報源から入手される 市場データを基礎として設定された、プライシングに際して市場参加者が 用いるであろう仮定を反映するインプットのことである。 (b)観察不能なインプットとは、その状況における入手可能な最良の情報を基 礎として設定された、プライシングに際して市場参加者が用いるであろう 仮定に対し報告企業自身の見積りを反映するインプットのことである。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ さらに、SFAS第157号では公正価値測定における首尾一貫性と比較可能性を高 めるため、観察可能なインプットと観察不能なインプットを3つの水準に区分し、 優先順位付けを行っている。このインプットのヒエラルキーはレベル1からレ ベル3で構成されており、各レベルの内容は以下のように規定されている。 (なお、レベル1からレベル3の内容について、弊社のレポート「Vol.23 財 務諸表の新潮流 公正価値の導入」でわかりやすく解説しているのでそちらも 参照して頂きたい。) ・レベル1のインプットとは、測定日において、報告企業がアクセス可能 な活発な市場における同一の資産または負債に関する公表価格である。 ・レベル2のインプットとは、資産または負債について、直接的又は間接 的に観察可能なインプットのうち、レベル1に含まれる公表価格以外の インプットである。 ・レベル3のインプットとは、資産又は負債について、観察不能な市場デ ータに基づくインプットである。 観察可能インプット・観察不能インプットとの関係で整理すると、観察可能 インプットはレベル1とレベル2に区分され、観察不能インプットはレベル3 に区分されることになる。 ※「インプットのヒエラルキー」の図表はレポートをご覧ください。 http://bvcj.co.jp/pdf/report030.pdf ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ レベル1に区分されるインプットは最も客観的であり、レベル2、レベル3に 下がるにつれ、より主観的な性質を有すインプットとなっていく。そのため、レ ベル1のインプットで算定された公正価値の方がレベル3のインプットで算定され た公正価値よりも信頼性のある数値と考えられる。 SFAS第157号の中で、企業が評価対象資産または負債の公正価値を算定する際に は、できる限り観察可能なインプットを用いる必要があり、観察不能なインプッ トは観察可能なインプットが入手できない場合に限り公正価値測定に使用できる としている。その理由の一つが各インプットにより算定される公正価値の信頼性 の度合いにあるのではないかと考える。 では、レベル3のインプットはどういったケースで用いることになるのであろ うか。レベル3、すなわちインプットが観察不能な場合とは、例えば評価対象で ある資産または負債の取引されている市場が活発ではない場合が考えられる。例 えば米国でサブプライムローン問題が生じた時、証券化商品の市場価額は大幅に 下落した。ほとんど投げ売り価額に近い金額で取引されていたと思われる。この ように商品の市場が存在し、実際の取引価額を観察できるとしても、その価額が 秩序ある取引により成立した価額とは考えにくく、資産の公正価値として用いる ことは適切ではない場合もある。このような場合には市場価格をそのままレベル 1のインプットとして用いるよりも、企業独自のデータに基づく見積りにより公 正価値を算定するほうが望ましいであろう(但し、この場合でも市場参加者が考 慮するであろう仮定に基づくべきとされている。)。 (2)開示のヒエラルキー (1)で分類されたインプットを用いて測定された公正価値は、インプットの レベルに応じてレベル1からレベル3までの開示のヒエラルキーに分類するとさ れている。なお、複数のレベルのインプットを用いて測定を行うことも考えられ るが、この場合はその測定にもっとも重要な影響を与えるインプットの属するレ ベルで判断することになる。 開示のヒエラルキーに関して注意したいのは、ヒエラルキーによりレベル3に 区分されたからといって必ずしも全てが損失を生じさせるリスクの高い資産また は負債を意味するわけではないという点である。そもそもこのようなヒエラルキ ーはインプットの有用性に基づいたものであり、損失可能性とは無関係なのであ る。レベル1やレベル2の資産からも損失は生じるのであり、逆にレベル3の資産 から利益が生じることもあるのである。 ※「公正価値の開示ヒエラルキー」の図表はレポートをご覧ください。 http://bvcj.co.jp/pdf/report030.pdf ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 3.まとめ 以上述べてきた公正価値測定のヒエラルキーという考え方は、公正価値測定の 透明性及び比較可能性が高まるとの理由からわが国でも導入する方向で検討する ことが示唆されている。ただ現時点ではわが国の基準にはない概念であり、実 際運用するとなると、資産又は負債の公正価値を評価するためにどのレベルのイ ンプットを用いて行うか十分に吟味・判断することが必要となり、実務上の負担 がかなり大きくなると予想される。特に、市場が活発であるかどうか、市場で行 われた取引が秩序ある取引であるかどうかの判断は難しいケースも多く、報告企 業の主観の入りやすい部分と思われるため、より詳細な指針を作成する必要があ ろう。 以 上 (文責 公認会計士 林 直樹) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼▼▼▼▼ ビバルコ・ジャパンでは以下の業務を行っております ▼▼▼▼  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ○企業評価 ○非公開株式の評価 ○ストックオプションの評価 ○新株予約権・優先株式の評価 ○無形資産の評価 ○デューディリジェンス ○企業再生・事業再生アドバイス ○M&Aアドバイザリー業務 ○M&A・エクイティファイナンスに伴う第三者意見の表明 ○株式公開の助言 ____________________ ▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲ お問い合わせは info@bvcj.co.jp まで ▲▲  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■免責事項 このメールマガジンに掲載されております情報は、内容及び正確さに細心の 注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調 査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。 ビバルコ・ジャパン株式会社では、当該情報に基づいて被ったいかなる損害 についても一切の責任を負うものではありません。 ■配 信 元 ビバルコ・ジャパン株式会社 配信担当:安室 保宏(公認会計士) 東京都千代田区六番町3番地 六番町SKビル5F http://www.bvcj.co.jp/ 本メールマガジンおよび当社が提供するすべての情報について、当社の許 可なく転用・販売することを禁じます。 2009(C) BVCJ All rights reserved. ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


